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第95回
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昭和61年/1986年上半期
(昭和61年/1986年7月17日決定発表/『オール讀物』昭和61年/1986年10月号選評掲載)
選考委員  池波正太郎
男63歳
陳舜臣
男62歳
山口瞳
男59歳
藤沢周平
男58歳
五木寛之
男53歳
黒岩重吾
男62歳
村上元三
男76歳
渡辺淳一
男52歳
井上ひさし
男51歳
選評総行数  49 58 59 60 47 56 53 59 60
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
皆川博子 『恋紅』
506
女56歳
20 33 9 26 23 19 14 22 52
隆慶一郎 『吉原御免状』
748
男62歳
0 0 17 18 0 0 6 0 0
もりたなるお 「画壇の月」
123
男60歳
0 0 0 0 0 8 3 0 0
逢坂剛 『百舌の叫ぶ夜』
711
男42歳
12 12 13 9 6 0 10 14 29
泡坂妻夫 「忍火山恋唄」
154
男53歳
14 17 19 14 12 15 6 19 29
篠田達明 『元禄魔胎伝』
574
男48歳
0 0 0 0 0 14 5 0 0
山崎光夫 「詐病」
106
男39歳
0 0 0 0 6 0 5 0 0
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年10月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員
池波正太郎男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
秀作「恋紅」 総行数49 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
20 「時代小説の背景として、もっともむずかしい新吉原と芝居の幕内を巧妙に描き、(引用者中略)ことに恋人の男(役者の富田福之助)がよく描けていて、男が読んでも魅力を感じた。」「これからの皆川さんは、これまでのミステリーのみでなく、時代小説家として歩んでもらいたい。」
隆慶一郎
男62歳
0  
もりたなるお
男60歳
0  
逢坂剛
男42歳
12 「一つ事を、あっちからこっちから突つきまわして書くものだから前半が読み辛く、それがマイナスになったとおもう。しかし後半は、その欠点を忘れるほどに迫力が出て来て、この人の将来については大いに期待できる。」
泡坂妻夫
男53歳
14 「なかなかよかった。」「あやうく気障りになりかねない芸道物を、しっとりとした情感で描き、クライマックスの三味線の幽霊流し、ケレン弾きのトリックで終ったなら、私はもっと強く、この小説を推したろう。だが、その後で、真犯人らしき男(原文傍点)が捕まるという〔どんでん返し〕によって、たちまちに興が殺がれた。」
篠田達明
男48歳
0  
山崎光夫
男39歳
0  
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他の選考委員
陳舜臣
山口瞳
藤沢周平
五木寛之
黒岩重吾
村上元三
渡辺淳一
井上ひさし
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選考委員
陳舜臣男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
ビルドゥングスロマン 総行数58 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
33 「主人公ゆうの目が、全篇を通じていささかも乱れをみせていないのがみごとであった。」「ゆうは自分の世界のなかで、おぞましいことの多い現実と戦い、傷つきながら、彼女のなりの自己形成の道を行く。肩に力がはいりがちなその過程が、抑制のきいた筆でえがかれて、すばらしいビルドゥングスロマンであるとおもう。」「推理小説でない作品で受賞したことが、私にはいささか気になった。これからも皆川氏には推理小説をつづけて書いていただきたい。」
隆慶一郎
男62歳
0  
もりたなるお
男60歳
0  
逢坂剛
男42歳
12 「百舌が百舌にならねばならなかったいきさつを、もっと書きこんでいたら、説得力が増したであろう。オール讀物推理小説新人賞の選考委員として、六年来の逢坂氏の健闘をたたえたい。」「二作受賞の声もあったが、泡坂・逢坂両氏に票が割れ、けっきょく見送られたのは惜しかった。」
泡坂妻夫
男53歳
17 「すみずみまで行き届いた作品である。」「現実と非現実のあいだを、文章がやや古風に渡り歩き、一種のムードを醸し出し、それによって一層あざやかな現実を洗い出すという、いつもながらの泡坂節に、ファンである私は堪能した。」「二作受賞の声もあったが、泡坂・逢坂両氏に票が割れ、けっきょく見送られたのは惜しかった。」
篠田達明
男48歳
0  
山崎光夫
男39歳
0  
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池波正太郎
山口瞳
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渡辺淳一
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選考委員
山口瞳男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
努力賞 総行数59 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
9 「終始、これは次点だと思いながら読んだ。選挙で言うと、次回は最高点となる力を備えているが、今回に限っては魅力に乏しい。「一人が笑うために一人が泣く」というテーマも平凡。それより文学少女臭が気になった。これは努力賞だ。」
隆慶一郎
男62歳
17 「第一位に推した。吉原を城に見立てて柳生一族と戦わせるという構想が面白い。作者がノリにノッて書いているのがいい。」「私が推しきれなかったのは、ところどころに粗雑な文章がありナマな言葉が出てくるからだった。残念!」
もりたなるお
男60歳
0  
逢坂剛
男42歳
13 「この作者の筆力と腕力は群を抜いていた。ただ、まことに申しわけないのだが、双生児、記憶消失、国家権力(警察)の犯罪ということになると、私は拒絶反応が働いてしまう。また、ハード・ボイルドとかサスペンス小説となると、仕掛けが慎重な割に結末がバタバタになってしまうのはなぜなのだろうか。」
泡坂妻夫
男53歳
19 「この作者は、偏執狂の男女を追いかけるのを得意とするが、この作品で、遂に壁を越えて自分の世界を構築した。特に女を描くのが巧い。久しぶりに情緒纏綿という作品に接して小説の面白さを堪能した。」「ただし、いつも思うのだが、トリックが弱く必然性に乏しい。」「泡坂さんも、もう推理仕立てをやめてしまったほうがいい。」
篠田達明
男48歳
0  
山崎光夫
男39歳
0  
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池波正太郎
陳舜臣
藤沢周平
五木寛之
黒岩重吾
村上元三
渡辺淳一
井上ひさし
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選考委員
藤沢周平男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
抜群のリアリティ 総行数60 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
26 「私は以上の二作(引用者注:「百舌の叫ぶ夜」と「忍火山恋唄」)と皆川さんの「恋紅」を受賞圏内の作品と考えて銓衡会にのぞんだ」「周到な考証と適確な想像力なくしては生まれない抜群のリアリティに感服した。」「欲を言えばリアリズムに過ぎて花に欠けるきらいがなきにしもあらずだったが、しかし読み終って時を経てなお感銘が持続する堂々たる受賞作」
隆慶一郎
男62歳
18 「仕かけの大きいおもしろい小説だったが、先行する美意識に合わせて事実を無理につくる欠陥と独り合点の思い入れのために、せっかくのおもしろさが半減する。」「奇説も独断も大いにけっこうだが、作者は一度考証以前の、虚構は細部の真実から成り立つというあたりの平凡な認識に立ちもどってみる必要がありはしないか。」
もりたなるお
男60歳
0  
逢坂剛
男42歳
9 「文章がよく斬新な試みに魅力があった。作者にとっても新境地をひらいた作品と思われ、受賞は逃したが将来有望と考えたい。」
泡坂妻夫
男53歳
14 「余韻嫋嫋といった作品になっている。ただ私は冒頭の導入部と結末の推理小説的処理、つまりこの小説の推理仕立ての趣向そのものが、せっかくの情感に水をさした印象をぬぐえなかった。」
篠田達明
男48歳
0  
山崎光夫
男39歳
0  
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池波正太郎
陳舜臣
山口瞳
五木寛之
黒岩重吾
村上元三
渡辺淳一
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選考委員
五木寛之男53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「恋紅」を推す 総行数47 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
23 「最も印象にのこった。一見、古風な物語りのようでいて、かならずしもそうではない。」「もし受賞作を選ぶとすればこの作品だろうと考えながら選考の席にのぞんだ。」「幕末から明治という、それだけでも難しそうな時代を背景に、ゆうという女性の前半生を様々な群像とともに描いてみせた作者の力量は相当のものである。」
隆慶一郎
男62歳
0  
もりたなるお
男60歳
0  
逢坂剛
男42歳
6 「最初やや読みにくさは感じるものの、構成力のある異色の長篇だ。文章にもう一つ独特のものがにじみ出てくれば、期待できる書き手だと思う。」
泡坂妻夫
男53歳
12 「魅力のある小説だった。あえて、ミステリ-に仕立てあげずとも、近頃めずらしい情感のある佳作として、大人が読むに耐える小説の一つになったに違いない。」「ひさびさに小説を読むたのしさをあじわうことができた。」
篠田達明
男48歳
0  
山崎光夫
男39歳
6 「丹念な仕事ぶりには好感をもった。実のある小説だが、読者としては、花を見たい気持ちもまたある。その辺を少し考えてほしいと思う。」
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池波正太郎
陳舜臣
山口瞳
藤沢周平
黒岩重吾
村上元三
渡辺淳一
井上ひさし
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選考委員
黒岩重吾男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「恋紅」の魅力 総行数56 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
19 「最も優れていた。この小説の魅力は、主人公を始め登場人物の総てが活字から立ち上がり読者の前で素晴らしい芸を演じていることである。」「慶応から明治の激変期にかけ、吉原に生まれ、吉原で生きた人達の呻き声さえ聞えて来そうである。」「作者の人間を視る眼には一分の揺るぎもない。」
隆慶一郎
男62歳
0  
もりたなるお
男60歳
8 「テーマもストーリーも良い。ただそれだけに終ってしまっている。この作品の欠点は、名誉欲と芸術家としての誇りが交錯し揺れ動く心理描写だけで、当然、それに伴うべき人間描写が欠落していることである。」
逢坂剛
男42歳
0  
泡坂妻夫
男53歳
15 「優れた作品である。氏は登場人物を彩る人生の哀歓を優しい大人の眼で描いている。この小説の情景はまさしく新内そのものだ。」「私は酔わされたが、最後に唐突に真犯人が出現したことによって妖しい酔いから現実に戻された。惜しい、と歯軋りした。」
篠田達明
男48歳
14 「読み始めた時は、傑作になるのではないか、と感じた。」「だが、登場人物の多くなる中頃あたりから作品の濃度が薄れ、筆があちこちに飛び始めた。こうなると作者が面白がっているだけに読者は醒めて来る。小説とは何か、を今一度考え直していただきたい。」
山崎光夫
男39歳
0  
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陳舜臣
山口瞳
藤沢周平
五木寛之
村上元三
渡辺淳一
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選考委員
村上元三男76歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
しばらくぶりに時代物 総行数53 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
14 「「恋紅」一つに絞って選考会に出た。」「難しい吉原や芝居者を扱っていながら、調べもよく行き届いている。新しい時代物の作家、しかも女流作家が出たのは、まことに有難い。推理小説と二本立で行くのではなく、作家として定着するまで、時代物一本で行ったらいかがなものであろうか。」
隆慶一郎
男62歳
6 「資料の読みかたを誤っている。資料をそのまま鵜のみにするのではなく、自分の中で咀嚼するのを怠っている。ただ、筆力は認めたい。」
もりたなるお
男60歳
3 「モデルにちょっと興味があっただけであった。」
逢坂剛
男42歳
10 「手のこんだ構成だが、ときどきわからなくなって、前のほうを読み返した。ハードボイルド小説の通例だとは思わないが、最後にばたばたと結末をつけてしまい、読後が呆気ない。警察官をこういう風に扱うのは、やはり後味がよくない。」
泡坂妻夫
男53歳
6 「未練があった。人間もよく描けているし、文章も素直で好感が持てた。ただ、この作者は、どうしてこう作品を推理小説に仕立ててしまうのだろうか。」
篠田達明
男48歳
5 「文章も会話も、もっと練ってほしかった。医学をこういう風に使われると、読んでいて戸惑ってしまう。」
山崎光夫
男39歳
5 「どこかにこういう病院があったら面倒だな、と思った。読んでいて無理は感じないが、直木賞の対象にするには弱い。」
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他の選考委員
池波正太郎
陳舜臣
山口瞳
藤沢周平
五木寛之
黒岩重吾
渡辺淳一
井上ひさし
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選考委員
渡辺淳一男52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
心に沁みるものを 総行数59 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
22 「丁寧な仕事で、色街や芝居の資料もよく咀嚼され、味わいのある作品であった。」「女流作家には珍しく、周辺の男達がよく描けているところにも感心した。この小説は、女性の一種のビルドゥングスロマンとしても読むことができるが、してみると、少女期から二十代半ばまで、というのでは少しもの足りない。このあたりが、いま一つの盛り上がりに欠け、華やかさを添えられなかった原因であろう。」
隆慶一郎
男62歳
0  
もりたなるお
男60歳
0  
逢坂剛
男42歳
14 「文章のしまりがよくて読ませるが、後半、やたらに人を殺しはじめてから興を殺がれた。」「推理小説として気になるところがいくつかあった。」
泡坂妻夫
男53歳
19 「暗く切ない基調音が底に流れ、それが読むうちに次第に心に沁みてくる、といったたぐいの小説である。」「惜しむらくは、最後に突然、推理の解決的な理詰めの話がでてきて、しらけてしまった。」「やや傾向の似た「恋紅」と競ったことも不運であったが、ぜひもう一作、読ませてもらいたいものである。」
篠田達明
男48歳
0  
山崎光夫
男39歳
0  
  「面白ければいい、という意見もわからぬわけではないが、少なくとも直木賞受賞作は、面白さとともに心に沁みるものが欲しい。」
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藤沢周平
五木寛之
黒岩重吾
村上元三
井上ひさし
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選考委員
井上ひさし男51歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
田之助の扱いの妙 総行数60 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
皆川博子
女56歳
52 「作者の最近の仕事ぶりは丁寧で細心、じつに用意周到である。」「たとえば一代の人気役者で、脱疽で両手両足を切断することになるあの沢村田之助の使い方(原文傍点)ひとつを見てもよくわかる。」「いまだに筆者は三作(引用者注:「恋紅」「忍火山恋唄」「百舌の叫ぶ夜」)に甲乙をつけられないでいる。」
隆慶一郎
男62歳
0  
もりたなるお
男60歳
0  
逢坂剛
男42歳
29 「気合いの入った剛直な出来栄えで、結末の、関係者が一堂に会しての謎解き場面には胸が躍った。」「いまだに筆者は三作(引用者注:「恋紅」「忍火山恋唄」「百舌の叫ぶ夜」)に甲乙をつけられないでいる。」
泡坂妻夫
男53歳
29 「新内を扱いながら、じつは作品全体が新内そのもののように仕上ったという巧緻をきわめた作品である。」「いまだに筆者は三作(引用者注:「恋紅」「忍火山恋唄」「百舌の叫ぶ夜」)に甲乙をつけられないでいる。」
篠田達明
男48歳
0  
山崎光夫
男39歳
0  
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他の選考委員
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陳舜臣
山口瞳
藤沢周平
五木寛之
黒岩重吾
村上元三
渡辺淳一
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受賞者・作品
皆川博子女56歳×各選考委員 
『恋紅』
長篇 506
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男63歳
20 「時代小説の背景として、もっともむずかしい新吉原と芝居の幕内を巧妙に描き、(引用者中略)ことに恋人の男(役者の富田福之助)がよく描けていて、男が読んでも魅力を感じた。」「これからの皆川さんは、これまでのミステリーのみでなく、時代小説家として歩んでもらいたい。」
陳舜臣
男62歳
33 「主人公ゆうの目が、全篇を通じていささかも乱れをみせていないのがみごとであった。」「ゆうは自分の世界のなかで、おぞましいことの多い現実と戦い、傷つきながら、彼女のなりの自己形成の道を行く。肩に力がはいりがちなその過程が、抑制のきいた筆でえがかれて、すばらしいビルドゥングスロマンであるとおもう。」「推理小説でない作品で受賞したことが、私にはいささか気になった。これからも皆川氏には推理小説をつづけて書いていただきたい。」
山口瞳
男59歳
9 「終始、これは次点だと思いながら読んだ。選挙で言うと、次回は最高点となる力を備えているが、今回に限っては魅力に乏しい。「一人が笑うために一人が泣く」というテーマも平凡。それより文学少女臭が気になった。これは努力賞だ。」
藤沢周平
男58歳
26 「私は以上の二作(引用者注:「百舌の叫ぶ夜」と「忍火山恋唄」)と皆川さんの「恋紅」を受賞圏内の作品と考えて銓衡会にのぞんだ」「周到な考証と適確な想像力なくしては生まれない抜群のリアリティに感服した。」「欲を言えばリアリズムに過ぎて花に欠けるきらいがなきにしもあらずだったが、しかし読み終って時を経てなお感銘が持続する堂々たる受賞作」
五木寛之
男53歳
23 「最も印象にのこった。一見、古風な物語りのようでいて、かならずしもそうではない。」「もし受賞作を選ぶとすればこの作品だろうと考えながら選考の席にのぞんだ。」「幕末から明治という、それだけでも難しそうな時代を背景に、ゆうという女性の前半生を様々な群像とともに描いてみせた作者の力量は相当のものである。」
黒岩重吾
男62歳
19 「最も優れていた。この小説の魅力は、主人公を始め登場人物の総てが活字から立ち上がり読者の前で素晴らしい芸を演じていることである。」「慶応から明治の激変期にかけ、吉原に生まれ、吉原で生きた人達の呻き声さえ聞えて来そうである。」「作者の人間を視る眼には一分の揺るぎもない。」
村上元三
男76歳
14 「「恋紅」一つに絞って選考会に出た。」「難しい吉原や芝居者を扱っていながら、調べもよく行き届いている。新しい時代物の作家、しかも女流作家が出たのは、まことに有難い。推理小説と二本立で行くのではなく、作家として定着するまで、時代物一本で行ったらいかがなものであろうか。」
渡辺淳一
男52歳
22 「丁寧な仕事で、色街や芝居の資料もよく咀嚼され、味わいのある作品であった。」「女流作家には珍しく、周辺の男達がよく描けているところにも感心した。この小説は、女性の一種のビルドゥングスロマンとしても読むことができるが、してみると、少女期から二十代半ばまで、というのでは少しもの足りない。このあたりが、いま一つの盛り上がりに欠け、華やかさを添えられなかった原因であろう。」
井上ひさし
男51歳
52 「作者の最近の仕事ぶりは丁寧で細心、じつに用意周到である。」「たとえば一代の人気役者で、脱疽で両手両足を切断することになるあの沢村田之助の使い方(原文傍点)ひとつを見てもよくわかる。」「いまだに筆者は三作(引用者注:「恋紅」「忍火山恋唄」「百舌の叫ぶ夜」)に甲乙をつけられないでいる。」
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他の候補作
隆慶一郎
『吉原御免状』
もりたなるお
「画壇の月」
逢坂剛
『百舌の叫ぶ夜』
泡坂妻夫
「忍火山恋唄」
篠田達明
『元禄魔胎伝』
山崎光夫
「詐病」
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候補者・作品
隆慶一郎男62歳×各選考委員 
『吉原御免状』
長篇 748
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男63歳
0  
陳舜臣
男62歳
0  
山口瞳
男59歳
17 「第一位に推した。吉原を城に見立てて柳生一族と戦わせるという構想が面白い。作者がノリにノッて書いているのがいい。」「私が推しきれなかったのは、ところどころに粗雑な文章がありナマな言葉が出てくるからだった。残念!」
藤沢周平
男58歳
18 「仕かけの大きいおもしろい小説だったが、先行する美意識に合わせて事実を無理につくる欠陥と独り合点の思い入れのために、せっかくのおもしろさが半減する。」「奇説も独断も大いにけっこうだが、作者は一度考証以前の、虚構は細部の真実から成り立つというあたりの平凡な認識に立ちもどってみる必要がありはしないか。」
五木寛之
男53歳
0  
黒岩重吾
男62歳
0  
村上元三
男76歳
6 「資料の読みかたを誤っている。資料をそのまま鵜のみにするのではなく、自分の中で咀嚼するのを怠っている。ただ、筆力は認めたい。」
渡辺淳一
男52歳
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井上ひさし
男51歳
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他の候補作
皆川博子
『恋紅』
もりたなるお
「画壇の月」
逢坂剛
『百舌の叫ぶ夜』
泡坂妻夫
「忍火山恋唄」
篠田達明
『元禄魔胎伝』
山崎光夫
「詐病」
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候補者・作品
もりたなるお男60歳×各選考委員 
「画壇の月」
短篇 123
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男63歳
0  
陳舜臣
男62歳
0  
山口瞳
男59歳
0  
藤沢周平
男58歳
0  
五木寛之
男53歳
0  
黒岩重吾
男62歳
8 「テーマもストーリーも良い。ただそれだけに終ってしまっている。この作品の欠点は、名誉欲と芸術家としての誇りが交錯し揺れ動く心理描写だけで、当然、それに伴うべき人間描写が欠落していることである。」
村上元三
男76歳
3 「モデルにちょっと興味があっただけであった。」
渡辺淳一
男52歳
0  
井上ひさし
男51歳
0  
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他の候補作
皆川博子
『恋紅』
隆慶一郎
『吉原御免状』
逢坂剛
『百舌の叫ぶ夜』
泡坂妻夫
「忍火山恋唄」
篠田達明
『元禄魔胎伝』
山崎光夫
「詐病」
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候補者・作品
逢坂剛男42歳×各選考委員 
『百舌の叫ぶ夜』
長篇 711
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男63歳
12 「一つ事を、あっちからこっちから突つきまわして書くものだから前半が読み辛く、それがマイナスになったとおもう。しかし後半は、その欠点を忘れるほどに迫力が出て来て、この人の将来については大いに期待できる。」
陳舜臣
男62歳
12 「百舌が百舌にならねばならなかったいきさつを、もっと書きこんでいたら、説得力が増したであろう。オール讀物推理小説新人賞の選考委員として、六年来の逢坂氏の健闘をたたえたい。」「二作受賞の声もあったが、泡坂・逢坂両氏に票が割れ、けっきょく見送られたのは惜しかった。」
山口瞳
男59歳
13 「この作者の筆力と腕力は群を抜いていた。ただ、まことに申しわけないのだが、双生児、記憶消失、国家権力(警察)の犯罪ということになると、私は拒絶反応が働いてしまう。また、ハード・ボイルドとかサスペンス小説となると、仕掛けが慎重な割に結末がバタバタになってしまうのはなぜなのだろうか。」
藤沢周平
男58歳
9 「文章がよく斬新な試みに魅力があった。作者にとっても新境地をひらいた作品と思われ、受賞は逃したが将来有望と考えたい。」
五木寛之
男53歳
6 「最初やや読みにくさは感じるものの、構成力のある異色の長篇だ。文章にもう一つ独特のものがにじみ出てくれば、期待できる書き手だと思う。」
黒岩重吾
男62歳
0  
村上元三
男76歳
10 「手のこんだ構成だが、ときどきわからなくなって、前のほうを読み返した。ハードボイルド小説の通例だとは思わないが、最後にばたばたと結末をつけてしまい、読後が呆気ない。警察官をこういう風に扱うのは、やはり後味がよくない。」
渡辺淳一
男52歳
14 「文章のしまりがよくて読ませるが、後半、やたらに人を殺しはじめてから興を殺がれた。」「推理小説として気になるところがいくつかあった。」
井上ひさし
男51歳
29 「気合いの入った剛直な出来栄えで、結末の、関係者が一堂に会しての謎解き場面には胸が躍った。」「いまだに筆者は三作(引用者注:「恋紅」「忍火山恋唄」「百舌の叫ぶ夜」)に甲乙をつけられないでいる。」
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他の候補作
皆川博子
『恋紅』
隆慶一郎
『吉原御免状』
もりたなるお
「画壇の月」
泡坂妻夫
「忍火山恋唄」
篠田達明
『元禄魔胎伝』
山崎光夫
「詐病」
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候補者・作品
泡坂妻夫男53歳×各選考委員 
「忍火山恋唄」
中篇 154
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男63歳
14 「なかなかよかった。」「あやうく気障りになりかねない芸道物を、しっとりとした情感で描き、クライマックスの三味線の幽霊流し、ケレン弾きのトリックで終ったなら、私はもっと強く、この小説を推したろう。だが、その後で、真犯人らしき男(原文傍点)が捕まるという〔どんでん返し〕によって、たちまちに興が殺がれた。」
陳舜臣
男62歳
17 「すみずみまで行き届いた作品である。」「現実と非現実のあいだを、文章がやや古風に渡り歩き、一種のムードを醸し出し、それによって一層あざやかな現実を洗い出すという、いつもながらの泡坂節に、ファンである私は堪能した。」「二作受賞の声もあったが、泡坂・逢坂両氏に票が割れ、けっきょく見送られたのは惜しかった。」
山口瞳
男59歳
19 「この作者は、偏執狂の男女を追いかけるのを得意とするが、この作品で、遂に壁を越えて自分の世界を構築した。特に女を描くのが巧い。久しぶりに情緒纏綿という作品に接して小説の面白さを堪能した。」「ただし、いつも思うのだが、トリックが弱く必然性に乏しい。」「泡坂さんも、もう推理仕立てをやめてしまったほうがいい。」
藤沢周平
男58歳
14 「余韻嫋嫋といった作品になっている。ただ私は冒頭の導入部と結末の推理小説的処理、つまりこの小説の推理仕立ての趣向そのものが、せっかくの情感に水をさした印象をぬぐえなかった。」
五木寛之
男53歳
12 「魅力のある小説だった。あえて、ミステリ-に仕立てあげずとも、近頃めずらしい情感のある佳作として、大人が読むに耐える小説の一つになったに違いない。」「ひさびさに小説を読むたのしさをあじわうことができた。」
黒岩重吾
男62歳
15 「優れた作品である。氏は登場人物を彩る人生の哀歓を優しい大人の眼で描いている。この小説の情景はまさしく新内そのものだ。」「私は酔わされたが、最後に唐突に真犯人が出現したことによって妖しい酔いから現実に戻された。惜しい、と歯軋りした。」
村上元三
男76歳
6 「未練があった。人間もよく描けているし、文章も素直で好感が持てた。ただ、この作者は、どうしてこう作品を推理小説に仕立ててしまうのだろうか。」
渡辺淳一
男52歳
19 「暗く切ない基調音が底に流れ、それが読むうちに次第に心に沁みてくる、といったたぐいの小説である。」「惜しむらくは、最後に突然、推理の解決的な理詰めの話がでてきて、しらけてしまった。」「やや傾向の似た「恋紅」と競ったことも不運であったが、ぜひもう一作、読ませてもらいたいものである。」
井上ひさし
男51歳
29 「新内を扱いながら、じつは作品全体が新内そのもののように仕上ったという巧緻をきわめた作品である。」「いまだに筆者は三作(引用者注:「恋紅」「忍火山恋唄」「百舌の叫ぶ夜」)に甲乙をつけられないでいる。」
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他の候補作
皆川博子
『恋紅』
隆慶一郎
『吉原御免状』
もりたなるお
「画壇の月」
逢坂剛
『百舌の叫ぶ夜』
篠田達明
『元禄魔胎伝』
山崎光夫
「詐病」
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候補者・作品
篠田達明男48歳×各選考委員 
『元禄魔胎伝』
長篇 574
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男63歳
0  
陳舜臣
男62歳
0  
山口瞳
男59歳
0  
藤沢周平
男58歳
0  
五木寛之
男53歳
0  
黒岩重吾
男62歳
14 「読み始めた時は、傑作になるのではないか、と感じた。」「だが、登場人物の多くなる中頃あたりから作品の濃度が薄れ、筆があちこちに飛び始めた。こうなると作者が面白がっているだけに読者は醒めて来る。小説とは何か、を今一度考え直していただきたい。」
村上元三
男76歳
5 「文章も会話も、もっと練ってほしかった。医学をこういう風に使われると、読んでいて戸惑ってしまう。」
渡辺淳一
男52歳
0  
井上ひさし
男51歳
0  
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他の候補作
皆川博子
『恋紅』
隆慶一郎
『吉原御免状』
もりたなるお
「画壇の月」
逢坂剛
『百舌の叫ぶ夜』
泡坂妻夫
「忍火山恋唄」
山崎光夫
「詐病」
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候補者・作品
山崎光夫男39歳×各選考委員 
「詐病」
短篇 106
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男63歳
0  
陳舜臣
男62歳
0  
山口瞳
男59歳
0  
藤沢周平
男58歳
0  
五木寛之
男53歳
6 「丹念な仕事ぶりには好感をもった。実のある小説だが、読者としては、花を見たい気持ちもまたある。その辺を少し考えてほしいと思う。」
黒岩重吾
男62歳
0  
村上元三
男76歳
5 「どこかにこういう病院があったら面倒だな、と思った。読んでいて無理は感じないが、直木賞の対象にするには弱い。」
渡辺淳一
男52歳
0  
井上ひさし
男51歳
0  
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他の候補作
皆川博子
『恋紅』
隆慶一郎
『吉原御免状』
もりたなるお
「画壇の月」
逢坂剛
『百舌の叫ぶ夜』
泡坂妻夫
「忍火山恋唄」
篠田達明
『元禄魔胎伝』
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