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黒岩重吾
Kuroiwa Jugo
生没年月日【注】 大正13年/1924年2月25日~平成15年/2003年3月7日
在任期間 第91回~第128回(通算19年・38回)
在任年齢 60歳4ヶ月~78歳10ヶ月
経歴 大阪府生まれ。同志社大学法学部卒。戦中は学徒出陣し、北満に勤務。日本勧業証券、業界新聞記者、キャバレー宣伝部員、水道産業新聞社編集長など、数々の職を経験。
受賞歴・候補歴
  • 戦後第1回千葉賞[長篇・選外佳作](昭和24年/1949年)「虚数と詩人」珊瑚十五名義
  • 第6回『小説倶楽部』小説新人賞(昭和31年/1956年)「賭博の街」
  • 第54回サンデー毎日大衆文芸[入選](昭和33年/1958年下期)「ネオンと三角帽子」
  • 第2回週刊朝日・宝石共催短篇探偵小説懸賞[佳作](昭和34年/1959年)「青い火花」
  • |候補| 第43回直木賞(昭和35年/1960年上期)『休日の断崖』
  • 第44回直木賞(昭和35年/1960年下期)『背徳のメス』
  • |候補| 第17回日本推理作家協会賞(昭和39年/1964年)『廃虚の唇』
  • 第9回小説現代ゴールデン読者賞(昭和49年/1974年上期)「小学生浪人」
  • 第14回吉川英治文学賞(昭和55年/1980年)『天の川の太陽』
  • 紫綬褒章(平成3年/1991年)
  • 第40回菊池寛賞(平成4年/1992年)
処女作 「北満病棟記」(『週刊朝日別冊』昭和24年/1949年9月記録文学特集号)
個人全集 『黒岩重吾全集』全30巻(昭和57年/1982年11月~昭和60年/1985年3月・中央公論社刊)
直木賞候補歴 第43回候補 『休日の断崖』(昭和35年/1960年5月・浪速書房刊)
第44回受賞 『背徳のメス』(昭和35年/1960年11月・中央公論社刊)
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part5
小研究-ミステリーと直木賞
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

直木賞 91 昭和59年/1984年上半期   一覧へ
選評の概要 優れた二作品 総行数59 (1行=14字)
選考委員 黒岩重吾 男60歳
候補 評価 行数 評言
男36歳
16 「透明な感性が感じられた。」「氏はロマン豊かな男女の人間模様を、たくみに計算し尽した色彩で描いて行く。」「気になったのは子供を道具として使っていることだ。これだけ心豊かで知性的な母親なら、子供についてもっと悩む筈である。」「だが、私はこの新しい感性の小説を優れた授賞作として推した。」
男47歳
18 「主人公を始め、他の芸人達の生き様にもリアリティがあり、作者はこの作品に溺れていない。ことに主人公が老いてからの描写は光っている。」「ただ残念なのはてんのじ村の長屋が描かれていないことである。そのため芸人達の体臭が稀薄になった。」「他にも欠点はあるが、授賞に価する作品なので、二作授賞を主張した。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年10月号
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直木賞 92 昭和59年/1984年下半期   一覧へ
選評の概要 妥当な授賞作なし 総行数60 (1行=14字)
選考委員 黒岩重吾 男60歳
候補 評価 行数 評言
  「直木賞は矢張り、その作家の代表作の一つでなければならない。残念だが今回の授賞作なしは妥当なところであろう。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年4月号
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直木賞 93 昭和60年/1985年上半期   一覧へ
選評の概要 授賞作について 総行数60 (1行=14字)
選考委員 黒岩重吾 男61歳
候補 評価 行数 評言
女48歳
31 「選考会が近づくにつれて「老梅」の香りが馥郁と匂い始め、念のために東京のホテルで今一度読み、男女のしがらみが放つ味のある香りに完全に酩酊してしまった。」「男女の愛憎を描きながら気品を感じさせてくれる作品など滅多にない。」「優れた授賞作として推した。」「「演歌の虫」の読後感は稀薄だ。主人公が浮かび上がって来ない。」
宮脇俊三
男58歳
15 「色々な読み方が出来る優れた掌篇小説集である。自然の恐怖を描きながら緊張感を持たせるためには、その地の霊が呼び寄せたような登場人物が必要だ。氏は収録された十八話のうち、半分近く、それに成功している。大変な才能といわねばならない。」
  「今回は前回に較べると読み応えのある作品が揃っていた。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年10月号
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直木賞 94 昭和60年/1985年下半期   一覧へ
選評の概要 林真理子氏への期待 総行数57 (1行=14字)
選考委員 黒岩重吾 男61歳
候補 評価 行数 評言
女31歳
19 「林真理子氏を推すべく選考会に出席した。」「これまでの少女趣味を脱した氏のしたたかな存在感が息づいている。ことに後者(引用者注:「京都まで」)は、主人公の相手役になる男性の描き方がたくみだ。」「氏のどの作品にも、林真理子独特の新しい存在感が胡座をかいている」「そこに私はただならぬ作家の資質を感じるのだ。雑事を排し、作家道に邁進されたい。」
山崎光夫
男38歳
12 「達者さには舌を巻いた。この才能は貴重である。優秀点をつけたのは私だけだったが、他の選考委員が否定した視点もよく分る。達者過ぎて筆が走り過ぎている。」
男60歳
15 「ところどころヴィヴィッドな描写もあり好感を抱いたが、主人公秘密が明かされる部分で失望した。」「最後の簡単な説明だけでは、主人公の行動を理解することは不可能である。寧ろ魚河岸だけの物語にしたなら優れた作品になっていたような気がする。」
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年4月号
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直木賞 95 昭和61年/1986年上半期   一覧へ
選評の概要 「恋紅」の魅力 総行数56 (1行=14字)
選考委員 黒岩重吾 男62歳
候補 評価 行数 評言
女56歳
19 「最も優れていた。この小説の魅力は、主人公を始め登場人物の総てが活字から立ち上がり読者の前で素晴らしい芸を演じていることである。」「慶応から明治の激変期にかけ、吉原に生まれ、吉原で生きた人達の呻き声さえ聞えて来そうである。」「作者の人間を視る眼には一分の揺るぎもない。」
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年10月号
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直木賞 96 昭和61年/1986年下半期   一覧へ
選評の概要 感銘度と面白さ 総行数56 (1行=14字)
選考委員 黒岩重吾 男62歳
候補 評価 行数 評言
男55歳
11 「味のある文章で青春の悩みと希望を見事に描き切り当時の風俗を彷彿とさせる。」「この小説の魅力はたんなる青春小説ではなくアメリカを遠い国とする「時代」が息づいているところにある。」
早坂暁
男57歳
13 「今回の候補作の中で最も面白く読んだ。読み終ってほろりとさせるものがある。一見自叙伝風だが内容の拡がり方を見て半分はフィクションと視た。」「意外に点が入らなかったのは残念だ。」
男43歳
14 「千三百枚の長篇だが乱れが殆ど感じられないのには感心した。ただ人間描写が甘い。」「氏のこれからの課題は人間に対する凝視力を深めることにあるのではないか。今少し読後の感銘が欲しい。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年4月号
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直木賞 97 昭和62年/1987年上半期   一覧へ
選評の概要 作家魂 総行数106 (1行=14字)
選考委員 黒岩重吾 男63歳
候補 評価 行数 評言
男55歳
17 「「海狼伝」を推す積りで出席した。最初の投票で最高点を得たので推し易かった。」「初めから終りまで熱気が溢れている。」「村上水軍をここまで描き切ったのは見事である。書き下ろし小説だと思っていたのが新聞小説だと知り更に驚かされた。」
女28歳
15 「氏の処女作「ベッドタイムアイズ」で受けた感動はなかった。感性の表現力が稀薄になっているせいか、人物が具象化されて迫って来ない。」「私は白石一郎と山田詠美の両氏が候補になったところに直木賞の意義がある、という井上委員の発言に触発され、氏の受賞に賛成した。」
  「私は直木賞はプロ作家として長期間書き続けることが出来る作家に与えるべきだ、と考えている選考委員の一人である。」「私が受賞作として推す作品は、私が何等かの意味で感動を得た作品のみである。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号
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直木賞 98 昭和62年/1987年下半期   一覧へ
選評の概要 受賞作の感動 総行数134 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男63歳
候補 評価 行数 評言
男54歳
55 「「それぞれの終楽章」が抜群で、受賞作は阿部氏以外にないだろう、と感じた。」「贅肉が取れた文章で描かれた人間模様には今の氏の年齢でなければ凝視出来ない人生への慈愛が滲み出ている。」「旧友の死を作為的なストーリーで追わず、彼の性格を抉って小説に構築したこともこの作品の格調を高めた。」
赤瀬川隼
男56歳
31 「私は前二作(引用者注:「オールド・ルーキー」「梶川一行の犯罪」)に感銘を受けた。」「(引用者注:「オールド・ルーキー」の)テーマで受けた読後の爽快感は氏の才能の所産であろう。」「「梶川一行の犯罪」は、野球という夢を通して生きて行く男の影とロマンの一体化に魅力がある。」「受賞作の価値はあると今でも考えているが阿部氏との得点差が離れ過ぎていた。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号
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直木賞 99 昭和63年/1988年上半期   一覧へ
選評の概要 受賞作について 総行数113 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男64歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
39 「群を抜いており、」「(引用者注:「凍れる瞳」は)読後に北海道の雲が囁き合うような余韻が感じられたのは作者の人間への愛情のせいである。」「これだけストーリーがたくみだと、普通なら作為を感じるものだが、本作品にはそれがない。」「「端島の女」もなかなかの力作である。この小説の魅力はそこに育った土地と人間の関係が鎖を引きずるように重く描かれているところにある。」
藤堂志津子
女39歳
24 「受賞圏にあると考えて選考委員会に出席した。」「大人の童話として読むと不自然さが消えた。主人公の優しさの中に潜む女性のエゴや性愛描写、三角関係も納得出来る。」「ただ幾ら童話でも、二人の男性、唐沢と郁馬が同一人物に思えるのは本小説の欠点である。」
男41歳
38 「私がこの小説に否定的だったのは小説が二つに割れ、後半が前半とは異質で崩れているからである。」「(引用者注:前半は)優れた描写が多く、恐竜の子、クーが最初に見た主人公の少年を母と思うあたりは感動的だ。」「フランスの特殊部隊の出現あたりからアクション小説になり、場所がら核実験が絡むだろうと予想していると案の定そうでがっかりした。後半は描写も前半の緻密さを失い、その落差は酷い。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年10月号
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直木賞 100 昭和63年/1988年下半期   一覧へ
選評の概要 古川氏への未練 総行数114 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男64歳
候補 評価 行数 評言
古川薫
男63歳
31 「比較的好感を持ち、今でも未練を抱いている」「私は面白く読んだ。面白さという点では随一だった。」「残念なのは漁業会社の出張所所長の勝呂の人物像が中途半端なことだ。(引用者中略)勝呂を書き込まないと、読者はこの面白い小説をもの足りない思いで読了せねばならない。好きな作品だけに惜しい。」
女35歳
19 「全く欠点のない作品である。」「明治維新後の浮世絵界や風俗が破綻なく描かれている。」「受賞に異論はないが、私の読後感は優等生の模範答案を見せられた、といったところである。人間の臍には垢がついていることを認識した時、この作家は大きく飛躍するのではないか。」
女39歳
22 「私はこの作品は買わなかった。だが藤堂氏の才能を否定しているわけではない。」「私が今回の作品に酩酊出来なかったのは、人間の屑のような紀夫に雄が全く感じられなかったからである。」「もし紀夫に雄(女性を擲るという行為は雄とは関係がない)を感じることが出来たなら、この作品は凄いものになっていたような気がする。」
  「今回は受賞作も含め、標準に達した作品は多かったが、無我夢中で推したい作品は無かった。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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直木賞 101 平成1年/1989年上半期   一覧へ
選評の概要 優れた作品群 総行数106 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男65歳
候補 評価 行数 評言
男41歳
41 「一番高く評価した」「この種の少年は一見書き易いようだが、最も書き難く、筆に対する抑制力が備わっていないと、変にべとつき、中途半端な少年像になる危険性を抱いている。」「作者のこの見事なコントロールは、総ての登場人物に行き届き、読んでいて不安感が全くない。」
男40歳
23 「受賞圏にあると考え、選考会に出席した。」「浩という人間の屑の存在感が自然でリアリティがあるのも、作者が主人公の女性の心理のひだを書き込んでいるせいである。」「ただ読み終って、この種の小説にしては躍動感がないのが気になったが、受賞を否定するほどのものではない。」
隆慶一郎
男65歳
13 「受賞圏にあると考え、選考会に出席した。」「これまでの作者の諸作品にない燻し銀に似た艶がある。」「吸い込んだもろもろの血を滲ませた古刀を見たような気がした。」「すぐれた佳作である。」
古川薫
男64歳
15 「受賞圏にあると考え、選考会に出席した。」「作者の感性の若さに感嘆した。小説もなかなか面白い。」「意外に点が入らなかったが、描写が単調に過ぎたことも一因かもしれない。」
  「今回は優れた作品が多く、候補作を読むのが愉しかった。そのかわり他の回なら当然受賞している作品も、受賞を逸する、ということにもなる。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年9月号
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直木賞 102 平成1年/1989年下半期   一覧へ
選評の概要 余韻と面白さ 総行数101 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男65歳
候補 評価 行数 評言
男68歳
44 「読み終って私は、こういう小説を待っていたような気がした。」「本小説に魅力を与えているのは権八の存在である。」「権八の想いがあればこそ、私は色塗れの小伝に、仄かな香りと哀しみを感じることが出来た。」
男43歳
42 「結末部分にやや難があり、授賞が危ぶまれたが、選考委員の意見が割れた結果、(引用者注:「小伝抄」との)二作授賞ということになった。」「久し振りで、優れた推理サスペンス小説を読んだ思いである。」「一部の選考委員から、あの事故の場合、母親が実の娘を殺すことは絶対あり得ない、という反論が出た。尤もな反論である。」「原氏の授賞に賛成したが、小説ではなく現実の出来事なら、矢張り母親は救急車を呼ぶに違いない。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年3月号
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直木賞 103 平成2年/1990年上半期   一覧へ
選評の概要 泡坂氏の魅力 総行数86 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男66歳
候補 評価 行数 評言
男57歳
52 「今回の候補作品の中に、もし泡坂氏の作品が入っていなかったなら、私はやり切れないほど重い気持で選考会に出席したに違いない。」「氏の作品の魅力は精緻を凝らした艶やかな絹の幕を透し、現実を忘れ大人の夢を観させてくれるところにある。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年9月号
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直木賞 104 平成2年/1990年下半期   一覧へ
選評の概要 年輪の魅力 総行数84 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男66歳
候補 評価 行数 評言
男65歳
38 「私が最も惹かれたのは、古川薫氏の「漂泊者のアリア」である。」「藤原義江を描く作者の眼光は鋭く、また慈愛に満ちている。」「淡々と描きながらも、主人公の人生が重くのしかかって来るのは、作者の才能に年輪が加わったせいではないか。」
東郷隆
男39歳
23 「票が入れば、受賞作として良い、と考えていたが、余り票が入らなかった。」「私は「水阿弥陀仏」を実に面白く読んだ。この面白さは理屈抜きだが、結構、足利義尚を通し権力をからかい、憐れんでいる。」「この一作なら良いが、「放屁権介」「人造記」となると作品の濃度が落ちて来る。」
  「今回の候補作は充実していた。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号
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直木賞 105 平成3年/1991年上半期   一覧へ
選評の概要 「風吹峠」を推す 総行数116 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男67歳
候補 評価 行数 評言
高橋義夫
男45歳
39 「最も惹かれた。」「人間模様が鮮やかに迫って来るのも、作者の慈愛の眼が総てに行き届いているからである。」「票が集まりながら受賞を逸したのは、優等生的な作品と評価されたせいである。」「だが現在、これだけの筆力で寒村僻地を描ける作家は少ない。」
男46歳
50 「前作に較べると人物に躍動感がある。」「春秋時代を小説に仕上げた腕力は見事だが、私は作者が男女の関係や、小説を構築する上で大事なディテールについて、どのように考えているのだろうか、と疑問を抱いた。」
男41歳
22 「作家志望なら一度は書いてみたい、と望むテーマである。それだけにこの種の小説には、衝撃また感動が伴わなければ意味がない、と私は考えている。本小説にはそれがない。」「登場人物に悩みもなければ、作者が何かを訴えようとする意欲も感じられない。」「読んでいるうちに一人の若者のコピーが踊っているような空しさを覚えた。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年9月号
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直木賞 106 平成3年/1991年下半期   一覧へ
選評の概要 「狼奉行」の技倆 総行数107 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男67歳
候補 評価 行数 評言
男46歳
23 「三作(引用者注:「狼奉行」「緋い記憶」「人体模型の夜」)を受賞圏内の作品とし、選考会に出席した。」「この作品の魅力は、作者が主人公を始め総ての登場人物を自然に描き、押しつけがましさのないところにある。人間の絡み合いを淡々と描きながら、これだけの迫力を読者に与えた作者の技倆は、並大抵のものではない。」
男44歳
32 「三作(引用者注:「狼奉行」「緋い記憶」「人体模型の夜」)を受賞圏内の作品とし、選考会に出席した。」「各作品にはそれぞれ味があり、比較的佳作が多い。」「感性豊かな新しい才能の持ち主といえよう。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年3月号
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直木賞 107 平成4年/1992年上半期   一覧へ
選評の概要 天性の抒情感 総行数88 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男68歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
50 「単なる安堵感以上のものがあった。暑い季節なのに、花の香をそれとなく含んだ春の微風に頬をくすぐられたような、甘い爽やかさを感じたのかもしれない。」「どうもこの作者は、小説の人間像から垢や脂をたくみに拭い去り、人生に慈愛の眼を注ぎながら描く、独得の才能を持っているらしい。」「私が最も惹かれたのは「夕空晴れて」と「切子皿」だが、惜しい、と感じたのは「菓子の家」である。」
中村彰彦
男43歳
25 「面白く読んだ。私が四篇のうち最も魅力を感じたのは「龍ノ口の美少年」である。(引用者中略)他の作品と違い、資料に振り廻されていない。」「主人公である美少年が、情を移しかけている〓(引用者注:禾+最)所元常を殺す場面も、短い描写の中に、男色家である武将の最期が鮮明に描かれ、興趣をそそった。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年9月号
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直木賞 108 平成4年/1992年下半期   一覧へ
選評の概要 受賞作の魅力 総行数116 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男68歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
47 「私はこの作品一本に絞り選考会に出席した。」「某委員が指摘したように、ところどころに作者の作意を感じなくもないが、これだけの登場人物の一人一人に個性を持たせ、最後まで読者を飽かせない腕力は貴重といえよう。」「作者は小説の本質を?んだような気がする。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年3月号
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直木賞 109 平成5年/1993年上半期   一覧へ
選評の概要 毒に痺れる 総行数86 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男69歳
候補 評価 行数 評言
女40歳
39 「突出しており、」「(引用者注:殺人犯と看護婦の)二人の関係には呻きがあり毒が滲み出ている。」「心象風景の中の山が迫って来るせいかもしれないが、生臭く俗な人間に対する小説の勝利といって良いであろう。」「これを推理小説として読むと欠点は多い。(引用者中略)それにも拘らず私が本小説に魅了されたのは、毒気が欠点を麻痺させたからである。」
今井泉
男58歳
30 「表題作が優れている。」「(引用者注:樺太から北海道に向かう)その間の人間と海との闘いには、息を呑むほどの迫真力がある。」「「道連れ」「島模様」も佳作だが、票が集まらなかったのは、人間でいえば臍が隠れていたせいかもしれない。受賞に価する作品だったが残念である。」
女55歳
18 「総ての短篇が旨く纏められていて愉しみながら読むことが出来た。ただ、登場人物が作者の設定通りに動いているような気がする。その中でも余り作為を感じなかったのは「恋忘れ草」である。」「男性を視る女主人公の眼に、ベテランホステスに似たしたたかさを感じた。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年9月号
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直木賞 110 平成5年/1993年下半期   一覧へ
選評の概要 対照的な二作品 総行数105 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男69歳
候補 評価 行数 評言
男52歳
28 「(引用者注:江戸時代の)民事の訴訟をテーマにした作品を読んだのは初めてだが、難解ではなく実に読み易い。」「とくにこの作品を魅力的にしているのは、旅人宿の主人、喜兵衛の人間描写にある。」「訴え出た地方の百姓も一見純朴そうだが実にしたたかで、この作者が人間を凝視する眼に曇りはない。」
男37歳
29 「新しい迫力がある。」「問題は前半の汗ばむような緊張感が後半に到って崩れることである。政界人を操るような地方財閥の息子が、危険な覚醒剤を売らなければならない理由が、読者に納得出来るまで描かれていない。」「本家の息子など実に屈折した人物なので、もっと書き込んで貰いたかった。」「苦言を呈したが、私の時代には存在しなかったであろう晶は、作者の筆力においてのみ創り得た女性であることは間違いない。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年3月号
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直木賞 111 平成6年/1994年上半期   一覧へ
選評の概要 優れた三作 総行数85 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男70歳
候補 評価 行数 評言
男45歳
18 「受賞圏に入ると感じた。」「松江豊寿の人間像が、爽やかな魅力を放っている。」「戊辰戦争や斗南での飢餓が主人公の反軍的な行動の裏打となっており、良い資料を選び出すのも、作者の眼力であることを示している。」
久世光彦
男59歳
31 「受賞圏に入ると感じた。」「私は酔った。ただこの作品の評価は酔うか酔わないかによって分かれる。」「平林初之輔まで登場させた作者の該博な知識には驚かされた。ただこの作品は私のように酔わないと夾雑物が喉につかえるかもしれない。」「私は推したが、受賞に到らなかった理由も何となく分るような気がする。」
男44歳
34 「受賞圏に入ると感じた。」「“夏の終りの風”と“帰郷”がとくに優れていた。」「ただ右の二作品以外の作品は、既成作家の手の内のものという感がしないでもない。その点やや物足りなかったが、作者の才能は間違いないと思い受賞に賛成した。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年9月号
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直木賞 112 平成6年/1994年下半期   一覧へ
選評の概要 二作の魅力 総行数84 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男70歳
候補 評価 行数 評言
志水辰夫
男58歳
32 「受賞に価する作品だと今でも私は信じている。」「大人の童話として読むと、黄ばんだ葉からしたたり落ちる雫を味わったようなまろやかな滋味を感じる。私の好みとしては「嘘」を最も推したい。(引用者中略)嘘が救いになっているところに本作品の味がある。」
坂東眞砂子
女36歳
36 「受賞に価する作品だと今でも私は信じている。」「珊瑚に憑かれた若い漁師達をあこぎな商売人以上に醜く描いており、海の小説に新境地を開いた。大勢の登場人物も類型的ではなく一人一人の躍動感が伝わって来る。」「ただ作者は、登場人物の総てに平等に力を注いだ結果、読者は読み進めるうちに、息切れして来る。」「筆力が空転したのが惜しい。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年3月号
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直木賞 113 平成7年/1995年上半期   一覧へ
選評の概要 陽炎球場の魅力 総行数95 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男71歳
候補 評価 行数 評言
男63歳
24 「とくに惹かれたのは「陽炎球場」だった。この一篇が存在したことは、私にとって救いといって良い。(引用者中略)秀作である。」「他の作品は標準作だが、「消えたエース」は話を都合良く作り過ぎている。」「本にするために安易な作品を書くことは避けるべきであろう。」
  「今回も前回と同様に感銘を受ける作品が少なかった。」「一寸した風で浮き上がるような人間が増えてくると、余韻のある小説が生まれ難くなるのも仕方のないことなのか。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号
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直木賞 114 平成7年/1995年下半期   一覧へ
選評の概要 毒に痺れる 総行数119 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男71歳
候補 評価 行数 評言
女43歳
31 「信太郎助教授と雛子夫人の人物描写には虚を感じさせない存在感がある。二人の会話や動作が織りなす物語は、夢幻的な絨毯の一角獣にも似ている。このような絨毯に私ほどの年齢の読者を安心して寝転がせる作者の才能は尋常ではない。」「信太郎と雛子が異母兄妹であったとするくだりで、手品の種明かしめいたものを感じたが、作品の酔いを醒ますほどではなかった。」
男47歳
29 「私が感心したのは、主人公の観察眼には無数の針があって次々と人間を抉ってゆくにも拘らず、針が真綿でくるまれ文章に溶けていることである。」「ラストの部分で纏めて事件を説明しなければならなくなる。案の定そうなり、軽い失望感を覚えた。だがこれは推理小説の宿命かもしれないし、作者の才能は間違いなく、受賞に賛成した。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年3月号
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直木賞 115 平成8年/1996年上半期   一覧へ
選評の概要 「凍える牙」の魅力 総行数96 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男72歳
候補 評価 行数 評言
女35歳
66 「食事や風呂、また睡眠時間を惜しんで読んだ」「エンターテインメント小説の醍醐味を満喫出来た。」「その面白さの核は、見事に光る女性刑事の存在感にある。」「これまで、警察と刑事を描いた小説の中で、このように女性臭くて、しかも任務に対して筋を通す女性刑事を主人公にした作品はなかったような気がする。そういう意味では、画期的な小説ともいえよう。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年9月号
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直木賞 116 平成8年/1996年下半期   一覧へ
選評の概要 山妣の魅力と不満 総行数90 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男72歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
52 「疵を筆力でカバーした」「第一章と第二章の筆力は、私を唸らせるものがあった。」「だが第三章で氏は、折角作りあげてきた小説世界を、自分の手で打ち壊してしまった。」「私は氏の前作「桃色浄土」の筆力を買っていたし、今回の第一章第二章の肉厚な迫力は第三章の疵を覆うものがあると判断し、受賞に賛成した」
  「今回は、最後まで夢中になって読み切った作品はなかった。どれにも積極的に推せない疵があった。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年3月号
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直木賞 117 平成9年/1997年上半期   一覧へ
選評の概要 優れた二作 総行数103 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男73歳
候補 評価 行数 評言
女41歳
33 「迫力には圧倒された。作者は数人のOL達に自己投入し、彼女達と共にのたうち廻ったような気がする。」「惹かれたのは男顔負けの強腕ではなく、恐怖に慄えながら前進する姿にリアリティを感じたからである。」「今回の氏の作品には、これまでの壁を突き破った強靭な小説の核が間違いなく存在している。」
男45歳
21 「収録された諸短篇は、計算されつくした作品で、余分な贅肉を削り落し、読者に夢を与える小説の揺り籠を作った。」「私は表題作以外、「ラブ・レター」、「角筈にて」、「伽羅」、「うらぼんえ」などに惹かれた。この種の短篇集で、五作に陶酔出来たのは珍しい。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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直木賞 118 平成9年/1997年下半期   一覧へ
選評の概要 「OUT」について 総行数84 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男73歳
候補 評価 行数 評言
  「どんなに暗く残酷であっても、それが私を戦慄させるような作品であったなら、懸命に推すであろう。」「残念ながら今回はそういう作品がなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年3月号
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直木賞 119 平成10年/1998年上半期   一覧へ
選評の概要 不思議な透明感 総行数115 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男74歳
候補 評価 行数 評言
男53歳
40 「「赤目四十八瀧心中未遂」一作を推した。」「どういう世界にあっても人間が生きねばならない物悲しい呟きに似た呻吟が、行間から低音の旋律となって私に纏いつき、狂おしいほど私を昂揚させまた痛めつけた。」「彫眉の女であったアヤ子が主人公に惚れ、心中未遂現場まで連れて行った気持も納得させられる。」
  「受賞に価する作品が三作もあったのは嬉しい驚きだった。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号
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直木賞 120 平成10年/1998年下半期   一覧へ
選評の概要 満票の理由 総行数94 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男74歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
23 「最終投票において満票となった。大抵の場合、一、二票欠けるから、今回は珍しい受賞といえよう。」「作者は、現代の病弊を徹底的に取材し、小説的に構築する手腕に優れている。」「ただ気になるのは、作者の人間に対するこだわり方である。奥深いところまで届いていない。それにも拘らず満票となったのは、作者の小説に対する執念の成果であろう。」
服部まゆみ
女50歳
35 「大人のメルヘンとして惹かれた。誘拐犯がレイアを返すまでの、日常生活の無気味さには、息を呑むほどの緊迫感が漂っている。」「この作品のラストはそれなりに余韻を残しているが、一人二役の作家が、何故少女レイアとして育てた「僕」を誘拐したのかがどうしても納得できなかった。それにも拘らずこの作品をも推したのは、作者の才能に香気を感じたせいである。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年3月号
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直木賞 121 平成11年/1999年上半期   一覧へ
選評の概要 桐野氏の光と雫 総行数109 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男75歳
候補 評価 行数 評言
女47歳
35 「「柔らかな頬」一作を推した。この作品にはどうにもならない人間の呻きが満ちている。作品の基調は鉛色だが、奥底深くにマグマに似た生へのエネルギーが潜んでいるのを感じる。」「主人公のカスミは、その汗のしたたりや匂いを感じるほどの迫力で迫まってくるが、カスミの愛人だったデザイナーの石山も活きている。」
男31歳
30 「次点といったところか。」「ところどころ骨張った文章にとまどったが、フランス史にうとい私も面白く読み終えた。」「記録によれば、ルイ十二世は「人民の父」と称された人物である。離婚の経過は兎も角、その点に触れなければ読者はルイ十二世に偏見を抱きかねない。」「氏の受賞に異論はない。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年9月号
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直木賞 122 平成11年/1999年下半期   一覧へ
選評の概要 存在感の深まり 総行数97 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男75歳
候補 評価 行数 評言
男61歳
51 「人間に真っ向から取り組んだのが、なかにし礼氏の「長崎ぶらぶら節」である。」「愛八の情熱の背後に影を落している孤独感に私は惹かれた。」「確かに今少し濃密さが欲しかった気もするが、日がたつにつれ、愛八の存在が深まってくる。」
  「(引用者注:ここ数年のミステリー系作品の受賞作が)発酵した文学的毒気や甘美な酩酊は何と刺戟的であったことか。」「残念ながら今回のミステリー系諸作品にはそれが全くなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年3月号
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直木賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 読後感 総行数77 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男76歳
候補 評価 行数 評言
男56歳
30 「なかでも闘鶏場の描写は圧巻で、私自身がその場で賭けているような昂奮を覚えた。それに少年の正義感が実に爽やかで心地が良い。確かにところどころ映画調の場面がないではないが、怒濤にも似た迫力に押され余り気にならなかった。」「何よりもの魅力は、読後にロマンを感じたことである。」
男31歳
16 「作者の才能の奥深さが柔軟性をおび、様々な人間像を掌中で愉しみながらねっているような気がする。」「書き下ろしの長篇第一作らしいが、自叙伝的な小説で大事な存在である父親を書いてしまって良いのだろうか、という不安感は残る。受賞に賛同したが、私の懸念を吹っ飛ばすような作品を書いて貰いたい。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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直木賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 感想 総行数110 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男76歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
35 「新鮮さに眼が洗われる思いがした。」「人間を鋭利な刃物で抉りながらも小気味が良いし、時には詩的でさえもある。」「また氏の居酒屋の主人を視る眼は、お見事、の一語につきる。古い匂いを背中に漂わせている中年男性をこれだけ描き切るには、頭だけでは無理であろう。」
男37歳
31 「軽く描いているが、現代に生きる人間の重さに迫まっている。」「「セッちゃん」が最も優れていた。(引用者中略)加奈子なる少女が憐れで、とどまることのないこの病弊に憤り、無力な対策にうちのめされた。」「次に惹かれたのは「母帰る」である。主人公の姉と離婚した浜野が口にした「家族っていうのは、みんながそこから出ていきたい場所なんだよ」との言葉は鋭い。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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直木賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 業火の魅力 総行数80 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男77歳
候補 評価 行数 評言
男51歳
42 「「愛の領分」一作を推す積りで選考会に出席した。」「氏は本作によってこれまでの優等生的な化粧雲を突き破り、それぞれの業に身を灼く男女を描くことに成功した。」「精神異常や人格障害者、またバイオレンスに頼り切った小説の氾濫にいささかうんざりしていたせいか、本小説に奇妙な心の安らぎさえ覚えた。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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直木賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 針の眼の面白さ 総行数89 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男77歳
候補 評価 行数 評言
女46歳
27 「最も面白かった。」「この種の作品は底が浅いと厭きるのも早い。一気に読ませたのは、底を見せない作者の筆力のせいである。」「二人の女性の波がぶつかり合い、様々な飛沫をあげるが、どきっとするほど色鮮やかで、虹の波間に誘い込み読者を酔わせる。それは飛沫の到るところに人間を貫く針の眼が隠されているからである。読者は酔うが作者は酔っていない。」
男53歳
14 「家族をはじめ登場人物の多くが地味に描かれていて、破綻がない。」「気になったのは主人公に力を貸す人々が、都合よく現われることだった。ただ受賞後、この作者は大きく化ける可能性を秘めているように思えた。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年3月号
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直木賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 入魂の受賞作 総行数96 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男78歳
候補 評価 行数 評言
男49歳
43 「最も優れていた。主人公をも含めた周囲の人々の呻吟が、地上を覆った枯葉の下から自然に聞えてくる。」「今回の作品で氏は見事に脱皮した。周囲の人物像にも目配りを怠らず、肌理細かく描いた結果、情感が違和感なく響き合い、人間の業が持つ侘しさ醜さを浮き彫りにした。」「何よりも感心したのは、三作とも手抜きがなく、まさに入魂の作品であることだ。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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直木賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 角田氏を推す 総行数78 (1行=13字)
選考委員 黒岩重吾 男78歳
候補 評価 行数 評言
角田光代
女35歳
35 「最も面白かった。」「見事だった。私は次々と家族たちを剥いでゆくペン捌きに魅了され、時には解剖の生々しさに息苦しくなった。だが息抜きの場もペンを乱すことなく描かれている。」「確かに唐突な描写や、放り投げたような面がないでもないが、この作品が持つ新鮮な吸引力は直木賞にふさわしい、と感じて推した。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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