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第124回
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Last Update[H26]2014/6/20

山本文緒
Yamamoto Fumio
生没年月日【注】 昭和37年/1962年11月13日~
受賞年齢 38歳2ヵ月
経歴 神奈川県横浜市生まれ。神奈川大学経済学部卒。OLを勤めたのち、作家へ。昭和62年/1987年「プレミアム・プールの日々」で第10回コバルト・ノベル大賞佳作入選し、少女小説を数多く手掛ける。
受賞歴・候補歴
サイト内リンク リンク集
備考
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れんあいちゅうどく
恋愛中毒』(平成10年/1998年11月・角川書店刊)
書誌
>>平成14年/2002年6月・角川書店/角川文庫『恋愛中毒』
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他文学賞 山本周五郎賞 12回候補 一覧へ
候補者 山本文緒 女36歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男64歳
28 4点「作品については面白く読んだんですが、その反面、ヒロインに好感を持てなかった。」「ただこの作家は、端倪すべからざる力量を持っていると思います。書いている世界は子供っぽいんだけれども、書いている作者その人はけっして子供じゃない。大人の目でじっとものを見ているのを強く感じますし、小説のテクニックもかなりのものです。」
井上ひさし
男64歳
40 4点「実は偶然、この人の処女作を読んでいるんですが、これがひどい(笑)。(引用者中略)その処女作とこの作品を比べると、まるで別人の観がある。」「この小説の手柄は、(引用者中略)定型をくつがえして、どうにもつまらない男と女の恋愛小説を成立させたことですね。」「作者はハーレクイン・ロマンスの反対を、そのパロディをやろうとしているわけです。それが見事に成功している。」
逢坂剛
男55歳
26 4.5点「前半と後半の印象が、乖離しています。」「非常にサスペンスをもたせて、読者を引き込んでくれます。このへんのつくり方は、非常にうまい。」「文章は、読点の打ち方が無秩序で、字面は読みにくい感じがしますが、独特な饒舌体の文章で、逆にすらすら読めるという、不思議な効果もある。」
長部日出雄
男64歳
31 4.5点「これは実に不自然な小説で、かつて自然主義というのがありましたけれども、その反対で不自然主義小説ですね(笑)。」「不自然ということはつまり謎ということです。釈然としないままその謎に惹きつけられて読まされてしまう。」「とにかくこの人は、小説家として大変に才能のある人だと感じました。」
山田太一
男64歳
40 4.5点「小説を読む楽しさが、しっかりとありました。」「いい意味でも悪い意味でも、文章やスタイルに傾きすぎているところがある。」「例えば主人公の水無月という人の情念の部分に関わってきても、今までの軽快さが禍いして、重くなるべきところがどうも重くならない。共感できなくなってくるんです。」
選評出典:『小説新潮』平成11年/1999年7月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 20受賞 一覧へ
候補者 山本文緒 女36歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男64歳
11 「巧みに現代を切り取っている。愛されたいのに、すなおになれず、愛されると負担を感じ、自己愛は充分に強い女性を的確に描きあげている。」「ヒロインに憧憬を抱けないのは小説を読む楽しみを損うことになりかねないが、確かなアクチュアリティを評価した。」
井上ひさし
男64歳
23 「秀抜なところは、現在の若い女性の心の動きを的確に言語化しえたこと。」「観察力と描写力には感心した。加えてこの作品には小細工ではない、堂堂たる笑いがあった。」「これはさまざまに技巧を凝らした末にひょっこり出来た「天衣無縫の快作」である。」
北方謙三
男51歳
5 「よくも悪くも作為的で、そして過剰な小説であった。その過剰さが豊饒さに昇華されていない弱さはあるが、呈示された世界は異様な迫力に満ちている。力量充分で、授賞作とすることに異議はなかった。」
野坂昭如
男68歳
5 「フワフワしていて、しかし、現実味は添う。もはやぼくにとって別世界。当節はこういうものかと、無理なく読めた。」
林真理子
女44歳
27 「レベルの高い候補作品の中でもひときわ抜きん出ていた。」「この恋愛小説は、不思議な魅力にとんでいる。」「主人公の女性は美しくもなければ魅力もない。それどころか、とんでもなく鬱陶しい女性である。」「「主人公は自家中毒している」という意見があったが確かにそのとおりで、自分の毒に犯されていくありさまを、淡々と描いていくさまは見事であった。」
選評出典:『群像』平成11年/1999年5月号
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らっかりゅうすい
落花流水』(平成11年/1999年10月・集英社刊)
書誌
>>平成14年/2002年10月・集英社/集英社文庫『落花流水』
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他文学賞 山本周五郎賞 13回候補 一覧へ
候補者 山本文緒 女37歳
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男65歳
22 3.5点「アクセルだけあって、ブレーキのない車の迷走という印象でした。」「もちろん迷走している車に乗っている間は、ハラハラしたり、景色が変わったりなんかして面白い。ですから全く退屈せずに読んだんですけれども、一体、何を一番書きたかったのかなと考えると、私にはピンとこなくて、三・五です。」
北原亞以子
女62歳
11 3.5点「面白く読んでいたら、いきなりハッシシが出てきちゃんですよね。話がどんどん違う方向へ行ってしまうとか、(引用者中略)ただ、おしまいが近未来の老人ホームで、これが面白いといえば、面白かった。」
久世光彦
男65歳
30 4点「時代が先に行くにしたがって、崩れていくという感じをどうしようもなかった。」「最後に、女三代がみんな集まったところの意味というか、当然あるべき一種の感動みたいなものが、まるでなかったのは大変残念でした。完成予想図はおありになったんだろうけども、そこへ行けなかった。つまり設計ミスだと思います。」
花村萬月
男45歳
34 3.8点「この人は、とても安定感があります。奇を衒わない、優れた表現が結構ありますよね。」「ところが、なぜか悪い癖があって、奇妙な落ちをつけるところがあるんですね。」「細かいことも気になって、だから、何でそんな盛り上げなくてもいいところで、無理やり盛り上げて破綻してしまうのか、惜しいと思いました。」
山田詠美
女41歳
21 3点「この人って、好感を持てない人を書かせるとものすごくうまいと思うんですけど、今回は、変に好感持てる人たちが出てきて、それがすごく失敗してしまったなという感じなんですけど。」「キャラクターに一貫性がないというか、全然違う作品として短篇集にしたほうがまだよかったんじゃないかという感じで、時代を追って書く必要は全くなかったと思います。」
選評出典:『小説新潮』平成12年/2000年7月号
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直木賞 第124受賞  一覧へ
『プラナリア』(平成12年/2000年10月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成12年/2000年10月30日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成12年/2000年12月20日(第3刷)
発行者等 発行者 寺田英 本文印刷 理想社 付物印刷 大日本印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 大久保明子 目次イラスト 井筒啓之
総ページ数 266 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×17行
×1段
本文ページ 7~266
(計260頁)
測定枚数 410
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>平成17年/2005年9月・文藝春秋/文春文庫『プラナリア』
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収録作品の書誌
プラナリア
>>初出『小説現代』平成11年/1999年7月号
>>『オール讀物』平成13年/2001年3月号
ネイキッド
>>初出『小説新潮』平成12年/2000年3月号
どこかではないここ
>>初出『オール讀物』平成12年/2000年2月号
囚われ人のジレンマ
>>初出『オール讀物』平成12年/2000年8月号
あいあるあした
>>初出『オール讀物』平成12年/2000年10月号
>>『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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候補者 山本文緒 女38歳
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子
女72歳
49 「投じた票が開かれるや否や、たちまちほとんど満票を集めてしまった」「文章にリズムがあって現代の匂いがぷんぷんしていて面白いから、スカスカと読めるが、底の岩盤はがっちりしている。人生と人間の洞察力のことである。それが文学的肺活量を大きくしている。」
津本陽
男71歳
22 「書きかたも随分手慣れていて、チャランポランのようでありながら、すぐに読み手を引きこみ、触手のようなものがまとわりついてきて、はなしてくれない。」「とにかくおもしろかった。こういうのを、「天然の資質」というのだろうかと、ひそかに思った。」
平岩弓枝
女68歳
28 「私の好みでいわせてもらえば、(引用者注:収録作品群の)後半になるほど作者の視野が広がり、人間に対する見方に自信が強くなっている。この調子でどこまで伸びて行くのかと期待をこめて推した。」
宮城谷昌光
男55歳
15 「氏の文章はまことに読みやすいが、やはり映像先行型であり、ことばを隷属化している。自己への徹底的な問いかけが不足しているせいではあるまいか。氏が沈黙することばに気づいたら、どれほどすばらしい作品を産むであろうか。」
黒岩重吾
男76歳
35 「新鮮さに眼が洗われる思いがした。」「人間を鋭利な刃物で抉りながらも小気味が良いし、時には詩的でさえもある。」「また氏の居酒屋の主人を視る眼は、お見事、の一語につきる。古い匂いを背中に漂わせている中年男性をこれだけ描き切るには、頭だけでは無理であろう。」
林真理子
女46歳
35 「山本さんは「プラナリア」でさらに飛躍された。」「今までの恋愛小説に出てくる、恋や仕事に前向きの女という理想像に、山本さんは大きく×印をつけたような気がする。また後半の、居酒屋の主人を主人公にした短篇などは、作者の著しい成長を見せるものだ。」「山本さんはまさしく「大化け」した。」
阿刀田高
男66歳
17 「一皮深いところで人間を捕らえている。それを示す確かな表現を持っている。」「芸域を広げてみたい……。小説家の本道を踏んでいることは疑いない。納得のいく受賞であった。」
渡辺淳一
男67歳
18 「最も惹かれた」「軽妙な文章もさることながら、人を見る目、いいかえると、人間への視力がたしかである。」「「あいあるあした」は快作で、この作家の強みは、女性の主人公はもちろん、異性である男の主人公もそれなりに書けることで、先の人を見る視力があるかぎり、長く着実に、小説を書き続けていくことができるだろう。」
北方謙三
男53歳
19 「どこかに淡々としたさりげなさがあり、ほのかな死の匂いも漂い、日常のあやふやさが逆に緊張感を呼んで、質のいい短篇集に仕あがっていたと思う。そして、『あいあるあした』の酒場の親父の話で、ほっと息を抜くこともできた。」「この作品も、やはり授賞には賛成した。」
五木寛之
男68歳
10 「あえて言うことはない堂々たる佳作である。」「手だれの書き手であり、キャリアも十分、新しい野心作も期待できるはずだ。」
井上ひさし
男66歳
22 「なによりもまず文章のよさで傑出している。」「加えて主題がいい。〈なぜ人は働かなければならないのか〉は、漱石の『それから』の代助以来の大主題。この根源的な主題を扱いながら、歯切れのよい文章で、小さいけれど魅力的な短篇群を紡ぎ出してみせた山本さんの作家的膂力に、感嘆符のたくさん咲いた花冠を差し出さずにはいられない。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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文量
短篇集〔5篇〕
プラナリア
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある県
登場人物
私(語り手、上原春香、乳がん経験者)
豹介(春香の恋人、大学三年生)
永瀬(和菓子屋の雇われ店長)
ネイキッド
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、泉水、元・雑貨店オーナー)
明日香(私の友達、主婦)
小原健太(家電の営業マン、私のかつての部下)
どこかではないここ
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
私(語り手、加藤真穂、主婦)
日菜(私の娘、高校三年生)
夫(私の夫、リストラで下請け会社へ出向)
浜崎(私のパート先の社員)
囚われ人のジレンマ
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
私(語り手、美都、OL)
朝丘(私の恋人、大学院生)
大石(デザイナー)
河合(私の上司)
あいあるあした
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
俺(語り手、真島誠、居酒屋の大将)
すみ江(手相観)
太久郎(居酒屋のアルバイト)
淀橋(居酒屋の前の店主)
娘(俺の娘、小学生)




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