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平岩弓枝
Hiraiwa Yumie
生没年月日【注】 昭和7年/1932年3月15日~
在任期間 第97回~第142回(通算23年・46回)
在任年齢 55歳3ヶ月~77歳9ヶ月
経歴 東京生まれ。日本女子大学文学部国文科卒。
受賞歴・候補歴
  • 第41回直木賞(昭和34年/1959年上期)「鏨師(たがねし)
  • 第10回新鷹会賞(昭和34年/1959年)「狂言師」「鏨師(たがねし)
  • 第30回NHK放送文化賞(昭和53年/1978年度)
  • |候補| 第19回吉川英治文学賞(昭和60年/1985年)『橋の上の霜』
  • 第12回菊田一夫演劇賞大賞(昭和61年/1986年)「三味線お千代」「真夜中の招待状」《脚本・演出》
  • 第9回日本文芸大賞(平成1年/1989年)
  • 第25回吉川英治文学賞(平成3年/1991年)『花影の花』
  • 紫綬褒章(平成9年/1997年)
  • 第46回菊池寛賞(平成10年/1998年)「御宿かわせみ」シリーズ、『妖怪』などで歴史・時代小説に独自の世界を確立
  • 文化功労者(平成16年/2004年)
  • 第49回毎日芸術賞(平成19年/2007年度)『西遊記』
  • 第48回長谷川伸賞(平成25年/2013年)
  • 文化勲章(平成28年/2016年)
直木賞候補歴 第41回受賞 「鏨師(たがねし)」(『大衆文藝』昭和34年/1959年2月号)
サイト内リンク 小研究-記録(年少受賞)
直木賞受賞作全作読破への道Part3
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

直木賞 97 昭和62年/1987年上半期   一覧へ
選評の概要 新しい海洋小説 総行数56 (1行=14字)
選考委員 平岩弓枝 女55歳
候補 評価 行数 評言
高橋義夫
男41歳
17 「材料をよく消化しているし、追う者と追われる者の人間像がしっかりしていて、文章も歯切れが良い。今回の候補作品の中では一番、印象に残ったし、読後感も好かった。」「地味なようにみえて、本質的には、大変、派手な作品である。」
男55歳
8 「大作であり、力量からいっても、受賞は当然であろう。時代小説で海洋を舞台とする作品はそう多くはない。白石さんによって、新しい海洋小説がこれからも誕生するのではないかと、たのしみにしている。」
女28歳
6 「才筆かも知れないが、軽いという印象が強かった。」「この作家の本質はこれではなかったような気がする。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号
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直木賞 98 昭和62年/1987年下半期   一覧へ
選評の概要 さわやかな受賞 総行数89 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女55歳
候補 評価 行数 評言
男54歳
14 「いうことがありません。自分の文章で、これだけの人間を見事に描き切った力量はすばらしいと思います。」「選考委員が、ほぼ、もろ手を上げての阿部さんの受賞は、まことにさわやかな決定といえましょう。」
赤瀬川隼
男56歳
11 「いい作品だと思いました。特に私は「オールド・ルーキー」が好きで、もしかすると阿部牧郎さんの「それぞれの終楽章」と共に受賞するのではないかと思っていましたが、点が集まりませんでした。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号
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直木賞 99 昭和63年/1988年上半期   一覧へ
選評の概要 人間を描く技 総行数100 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女56歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
19 「西木さんの作品は以前から好きだったが、着想の面白さに対して平仄の合わない部分があってまことに惜しいと思っていた。今回の二作品にはそれがなかった。」「委員の中に、西木さんの前回の候補作品のほうがよいというような声もあったが、私はむしろ、けれんのない今回の作品が西木さんの本領であって欲しいと思っている。」
藤堂志津子
女39歳
16 「女一人に男二人の関係が乾いた筆致で書けていて面白いと感じた。」「現代の或る女の感覚が作品の中で生きている。」「それにしても「青空」という過去の作品を候補作に並べられたのは、藤堂さんにとって、お気の毒なことだった。」
男41歳
29 「核というシリアスな問題を背景においているだけに、国によっては小説だからと笑ってすませてくれないかも知れない。そのことはさておいても、後半、殊に登場人物が都合よく出来すぎているし、構成も荒っぽい。」「メルヘンであれ、冒険であれ、小説は人間を描くことだと私は思っているので、この作品を推す気持にはなれなかった。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年10月号
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直木賞 100 昭和63年/1988年下半期   一覧へ
選評の概要 地道な精進に喝采 総行数111 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女56歳
候補 評価 行数 評言
女35歳
12 「長年こつこつと積み上げて来たものが開花したという作品だと感じた。」「苦しいもの、むごたらしいものを描いても投げ出していないのが、この作者の作風だろうと思う。文句なしの受賞で、心からお祝を申し上げる。」
佐々木譲
男38歳
15 「一番、面白く読んだ。」「飛ぶまでを書く紙数が多すぎて、飛んでからがあっけなかったという指摘があり、私も多少、同感だったが、飛行機というのは飛び立ってしまえば速いのだから仕方がないと弁護したくなるくらい、楽しい作品と思ったが、票が集まらなかった。」
古川薫
男63歳
24 「面白く読んだ。殊に勝呂という外国駐在の日本人がよく描けていると思った。」「日本の律儀すぎる社会構造の中で息苦しくなっていた主人公が、生きても死んでも関係ないような島の雰囲気の中で、スペイン系の女に半分欺され、半分溺れたような関係になって今様浦島太郎で日を送るのも可笑しかった。」「これは私小説風にもっとねばっこく描いてもよかったのではないかと思った。」
女39歳
9 「主人公の女子大生が憧れている金持の中年の女が、どうにも魅力的には思えないのが不満であった。女子大生の一人よがりが、作者の一人よがりと重ならなければよいと思っている。勿論、この作者の受賞を否定する気持はない。」
  「読後感はどれも良かった。この中から受賞作をえらび出すのは、なんだか落とした作品が気の毒だというのが正直のところであった。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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直木賞 101 平成1年/1989年上半期   一覧へ
選評の概要 高円寺純情商店街を推す 総行数98 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女57歳
候補 評価 行数 評言
男41歳
18 「推したいと思った。」「主人公の少年とその家族が、いきいきと描けているし、商店街の人々の生きた表情が文章の中から立ち上って来る感じで、素直に読ませられ、素直に感動した。近頃、こんなに読後感のいい小説にめぐり合ったことがなかった。」
男40歳
17 「よくまとまった作品であった。テーマも、前作「漂流裁判」よりわかりやすく、今日的である。難をいえば、得体の知れない外国人の女性を、初対面の日本の男達が、比較的、あっさり味方になってしまうのが、一つ間違うと法に触れることだけに、どんなものだろうかと気になった。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年9月号
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直木賞 102 平成1年/1989年下半期   一覧へ
選評の概要 読者の得心を 総行数108 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女57歳
候補 評価 行数 評言
椎名誠
男45歳
13 「読み終えた時の印象がさわやかで、好感が持てた」「現在、椎名さんが連載中の作品や、すでに発表されているものを含めての実績が評価されても良いと考えていたが、残念なことに票が集まらなかった。」
男68歳
27 「第三者である狂言作者の口を通して語られている分だけ、登場人物の心理が読者から遠くなって歯がゆい思いをさせられる難点がある。」「権八が小伝を殺すという、いわばこの芝居の大詰を、作者は何故か書かなかった。これは、どう弁解しても、逃げたことになる」「やはり、大詰はきちんと書いてもらいたい。」
男43歳
41 「この作品は最後に読者を裏切っている。」「母親が我が娘を殺害するというのは、滅多にあることではない。異常である。異常が起るのはよくよくの事情が介在したからで、それが納得出来るように書けていないと読者は騙し討ちに遭ったと感じてしまう。」「いやしくも授賞の対象となる作品がそうであってはならないと思ったので、私はこの作品を推さなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年3月号
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直木賞 103 平成2年/1990年上半期   一覧へ
選評の概要 「蔭桔梗」に喝采 総行数67 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女58歳
候補 評価 行数 評言
男57歳
11 「職人芸とか下町情緒とかを小道具、或いは背景にして、泡坂さんの描き出した人間達が現代に呼吸しているのが快かった。」「当然の受賞である。」
選評出典:『オール讀物』平成2年/1990年9月号
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直木賞 104 平成2年/1990年下半期   一覧へ
選評の概要 「漂泊者のアリア」に感動 総行数61 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女58歳
候補 評価 行数 評言
男65歳
19 「登場人物の描写が秀れていて感銘を受けました。」「一人の人間の人生の怖しさ、面白さ、哀しさを描き切った古川さんの力量に感動しています。」
出久根達郎
男46歳
8 「好感を持ちました。たしかに文章には少々、無造作なところがあるのですが、独特の小世界が巧みに書かれていて、気持のよい作品だと思います。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号
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直木賞 105 平成3年/1991年上半期   一覧へ
選評の概要 「風吹峠」に共感 総行数66 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女59歳
候補 評価 行数 評言
高橋義夫
男45歳
29 「推したいと思った。」「如何にも高橋さんらしい素材だが、今までと違うのは、暗さの中の明るさの発見が見事なことである。」「例えば、美しい雪国の四季の描写であり、翁屋旅館の女将と女主人公との交流である。」
男46歳
9 「中国の古代史に取り組んでいる作者の労作であることは充分に評価されてよいと思う一方で、宮城谷さんには歴史をわかりやすく紹介することよりも、人間を描くことにより多くのエネルギーを費して頂きたいと思う。」
男41歳
8 「気持のいい作品であった。底抜けに明るく、屈託のない主人公達の青春物語には好感が持てたが、楽しい思い出ばかりが強調されて、青春の翳りの部分に筆が及ばないのが物足りなく感じた。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年9月号
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直木賞 106 平成3年/1991年下半期   一覧へ
選評の概要 二人の高橋さんの底力を推す 総行数89 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女59歳
候補 評価 行数 評言
男46歳
26 「東北の、きびしい自然の中で生きる人々の明暗を抑えた描写で読者に語りかけている。それが、かえって心を打つのだろうと思う。登場人物の性格も、心の動きも、行動も無理がなく、作品全体には雪国の良い季節の青空をみるような明るさがあった。」
男44歳
13 「実に巧緻な作品集であった。一つ間違うと才智だけが目立ってしまうところを、人間の記憶の怖しさでまとめ上げたのが成功していると思う。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年3月号
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直木賞 107 平成4年/1992年上半期   一覧へ
選評の概要 足りないもの 総行数57 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女60歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
13 「才筆であった。文章がいい意味で軽やかであり、あたたかい。おそらく読者の多くがこの作品に好感を持つに違いない。」「この作品に関してだけいえば、ダンディな都会派である。伊集院さんはいくつもの仮面を内蔵している作家なのかも知れない。」
  「選考会へ出て行く時、今回はもしかすると受賞作なしになるかも知れないという気持があった。五作品とも、背骨の部分で一つ、インパクトが足りないような印象が強かったからである。そつなくまとめているが、読んでいて高揚を感じにくかった。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年9月号
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直木賞 108 平成4年/1992年下半期   一覧へ
選評の概要 心に残った「風の渡る町」 総行数88 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女60歳
候補 評価 行数 評言
内海隆一郎
男55歳
15 「私の心に最後まで残った」「文章が簡潔で描写が行き届いている。登場人物の一人一人に身近かなものを感じたし、そういう意味ではこの風の渡る町は、私自身、長年住んでいる町にも似ているような気がした。」
男48歳
34 「如何にも小説的小説というか、よくも悪くも技巧的という印象を受けた。」「主人公のパートナーの人のいい、気の弱い、しかも誠実な男というのも或るパターンではあった。一つ間違うと、えらく古くさい作品になるのを、そう仕上げなかったのは、作者の腕であり、キャリアであろう。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年3月号
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直木賞 109 平成5年/1993年上半期   一覧へ
選評の概要 北原さんの丁寧な仕事ぶり 総行数73 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女61歳
候補 評価 行数 評言
女55歳
20 「長いキャリアからいっても、最近の丁寧な仕事ぶりを拝見しても、直木賞を受賞するにふさわしいと感じていた」「江戸時代のキャリアウーマンを書くということだったそうだが、その発想が各々の短篇に生きている。」
女40歳
20 「文字の間からすさまじいばかりの熱気が立ち上って来るようで、そのねばり強さと迫力には、脱帽する思いであった。ただ、ミステリーとして、この作品を取りあげた場合、あまりに偶然の積み重ねの多いのが気になった。」
選評出典:『オール讀物』平成5年/1993年9月号
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直木賞 110 平成5年/1993年下半期   一覧へ
選評の概要 受賞作によせて 総行数59 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女61歳
候補 評価 行数 評言
男52歳
26 「公事宿というものの面白さがよく描けている、品のいい作品である。」「喜兵衛という人物がほどほどに温厚で人情味があり、仕事に関しては冷静できっぱりしているという性格描写がしっかりしているので、喜兵衛を通して裁判なり、事件なりを読者が理解しやすい。そういうところが、作者の腕だと思う。」「欲をいわせてもらえば、夫婦の情愛の機微に関して、もう少し書き込んでもらえれば、作品の情感が増したのではないかと感じた。」
男37歳
33 「週刊誌に連載中から愛読していて、次の回が楽しみであった。」「で、(引用者中略)読者として苦情を申し上げたい。」「巨大な権力の中心人物が姿もみせず、その一族にあの老いぼれは、じきに死ぬ、と一人言で片づけてしまったのは、まことに残念。更にいえば、(引用者中略、注:キャンディを作っていた)理由が、でき上った自分のまわりの世界を汚したかったのかも知れない、という、これも独白だけで終らせたのでは、おそらく誰も納得出来ないと思う。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年3月号
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直木賞 111 平成6年/1994年上半期   一覧へ
選評の概要 好材料に応えた筆力 総行数89 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女62歳
候補 評価 行数 評言
男45歳
31 「六篇の候補作の中、まず「二つの山河」に心惹かれた。」「中村さんは良い素材を、極めて中村さんらしい素朴な語り口で、じっくり読ませる作品に仕立て上げた。この力量は大きく評価されるべきだと思う。」
男44歳
9 「落ちついたいい作品であった。六つの短篇はどれもさりげない口調で語られているが、さりげないだけではない余情を持っている。とりわけ、好きだったのは表題になっている「帰郷」と「夏の終りの風」の二篇であった。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年9月号
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直木賞 112 平成6年/1994年下半期   一覧へ
選評の概要 受賞作なし 総行数85 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女62歳
候補 評価 行数 評言
中島らも
男42歳
12 「「永遠も半ばを過ぎて」を推すつもりで選考会に出た。」「この作者独特の巧緻のちりばめ方も見事で嫌味がなく、大変に楽しく読んだ。案に相違したのは、それほど票がまとまらなかったことで、これは今でも意外に思っている。」
  「ここ数年、なんとなく感じていたことだが、小説としては実に旨い作品が次々と登場するのに、読み終って魂に触れて来るようなものが、次第に薄くなっているような気がしてならない。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年3月号
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直木賞 113 平成7年/1995年上半期   一覧へ
選評の概要 「白球残映」と「百面相」 総行数130 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女63歳
候補 評価 行数 評言
男63歳
18 「(引用者注:「百面相」と「白球残映」を)推した。」「第九十回の直木賞候補作品であった「潮もかなひぬ」が長いこと心に残っていた。」「ただし、私自身は野球に知識がなく、この作品の芯にある狂的な野球に対する熱情が実感出来なかったのは口惜しかった。」
内海隆一郎
男58歳
26 「(引用者注:「百面相」と「白球残映」を)推した。」「登場人物に生彩がある。」「小料理屋を開業しての悪戦苦闘ぶりに多く筆を費しているが、これも読みごたえがあった。強いて難をいえば、(引用者中略)人間の奥にあるどろどろした毒の部分に触れない点ではないかと思う。とはいえ、それは作者の一つの持味であろうし、私自身はこういう作品が好きである。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号
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直木賞 114 平成7年/1995年下半期   一覧へ
選評の概要 時代が求めるもの 総行数146 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女63歳
候補 評価 行数 評言
藤田宜永
男45歳
23 「一番、小説らしいと思えた」「穏やかで安定感があり、しかも粋である。」「六話の中では、とりわけ「凱旋門のかぐや姫」が心に残ったし、好きである。」「この作品を最後まで支持出来なかったのは多数決のせいでもあるが、もう一つ、現代の小説の上を流れているエネルギッシュで奇妙なほどの迫力を持った何かがその作品に集結していると、少々の欠点なんぞをはねとばしてしまって読者の心をわしづかみにする。そういった傾向に抗し得なかったようにも思う。」
女43歳
32 「委員の殆んどが指摘したように、主人公の男女が兄妹である必要は全くないと私も思った。(引用者中略)少くとも、この小説では不要というか、マイナスであった。」「けれども、それでも、この作品を受賞からはずせなかったのは、感嘆するほどの作者の筆力、文章力で、結局、私もなんのかのといいながら、その魅力に溺れてしまった。」
男47歳
38 「主犯の桑野という男が最後にひたすらせりふでその生涯を説明するせいもあって、どうも龍頭蛇尾の人間にしかみえない」「小説の醍醐味を心得すぎるほど心得た作品であり、切れ味が実に見事となると、やっぱり、瑕瑾にこだわる必要はないと判断してしまう。受賞する所以であろう。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年3月号
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直木賞 115 平成8年/1996年上半期   一覧へ
選評の概要 難しかった選考 総行数86 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女64歳
候補 評価 行数 評言
女35歳
35 「推理小説としては欠点の多い作品で、一番気になるのはオオカミ犬を使って人殺しをする人物に必然性がないことだろう。」「それでも、この作品がえらばれたのは主人公の女刑事が実に熱っぽく描かれていてそれが全体の迫力になったせいだと思う。」「ただ、私としては、(引用者中略)ミステリーとして書かれたものなのにミステリーの部分が不確かというのも気になっている。」
  「候補作五篇を読み終えて正直のところ、当惑した。」「各々に魅力もあるが、マイナス面もないわけではない。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年9月号
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直木賞 116 平成8年/1996年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数109 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女64歳
候補 評価 行数 評言
黒川博行
男47歳
12 「今回の候補作品の中では(引用者中略)一番楽しかった。どの短篇にも現代人の病んでいる部分が鮮やかな背景になっていて、面白く読ませておいて、ぞっとさせる。」
女38歳
48 「鄙びた浄瑠璃をうっとりと聞いているような気分にさせられるのが、坂東さんの語り口の魅力でもあり、同時に小説としての限界があるとすれば、そうした部分でもあろうかと思う。」「芝居でいえば、一幕、二幕と静かに重く語り進んで来たものが、三幕になって前の二つの幕と長さや重さのバランスを取るために突如、大道具の仕掛で多くの登場人物に片をつけて幕を下ろす結果になってしまったような感じを受けた。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年3月号
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直木賞 117 平成9年/1997年上半期   一覧へ
選評の概要 「女たちのジハード」を推す 総行数83 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女65歳
候補 評価 行数 評言
女41歳
21 「良いと思った。」「登場人物はみな威勢よく、力強く、いきいきと呼吸してまことに快い。」「女たちがよく描けているから、男たちもそれを反映するかのように存在感があって各々に面白く読めた。」
男45歳
23 「最初に表題となっている「鉄道員」を読んで、この一冊はすべて、さまざまのぽっぽやさんを主人公とする作品を集めたのかと思い込んだら、そうではなかった。別にそのことに苦情があるわけではないが、(引用者中略)浅田さんなら、そうしたかつての愛すべき鉄道員をもっともっと書いて下さるのではないかと期待をこめてお願いしたい気持がある。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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直木賞 118 平成9年/1997年下半期   一覧へ
選評の概要 一長一短について 総行数119 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女65歳
候補 評価 行数 評言
池上永一
男27歳
25 「一番、作者の心の熱さが伝わって来た」「ピシャーマと少年のかかわり合いにロマンがあり、ギイギイという六本足の豚の存在もユーモラスで大いに笑ってしまった。この作者に必要なのは調べ抜いたことの八十パーセントを捨てて書くという姿勢で、それが成功すると捨てたものが行間に滲み出て来て、書いたよりも更に深く、読者を理解させる。」
  「(引用者注:一長一短の)短に目をつぶって授賞作として推すことをしなかったのは、迂闊に授賞して短の部分がその作家のさきゆきの致命傷になるのではないかという不安があった故である。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年3月号
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直木賞 119 平成10年/1998年上半期   一覧へ
選評の概要 好きだった「定年ゴジラ」 総行数105 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女66歳
候補 評価 行数 評言
重松清
男35歳
20 「もっとも楽しく読めて、読後感がさわやかだった」「殊に作者の、父親ほどの年代の男達への優しい視線がこの作品を上質のユーモア小説に仕上げていると思う。推察するに、六十以上の男性読者にはそのあたりが不快だったのかも知れない。なんにせよ、私はこの作品を高く評価している。」
男53歳
18 「私小説として読むべきかどうかに問題があるように思った。」「秀れた筆力に違いない。凄いと感じたのは、これだけ底面の社会を書きながら、作品がなんとも品がよいことで、これは作者の人生観と抑制のきいた表現力のたまものだろうか。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号
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直木賞 120 平成10年/1998年下半期   一覧へ
選評の概要 「理由」について一言 総行数100 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女66歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
72 「大変な力作だと私も思った。」「ここ数年の宮部さんのめざましい仕事ぶりからしても、今回の受賞は極めて妥当だと思い、賛成した。」「満一歳にもならない赤ん坊が、父親を母親に殺されたという怖しい十字架を背負ったということに対して、作者はどう考え、どう対処しようとしているのかが明らかにされていない。(引用者中略)「理由」という作品に唯一、私が不満を感じたのは、その点であることを書いておきたい。」
  「(引用者注:受賞作以外の候補作について)共通しているのは、才気が前面に強く押し出されている点だろうか。」「才気は作家にとって貴重な財産だが、それを抑えて書く姿勢のほうが成功するもので、才気に酔うのは、まことに危険だと私は考えている。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年3月号
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直木賞 121 平成11年/1999年上半期   一覧へ
選評の概要 秀頴の二作品 総行数90 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女67歳
候補 評価 行数 評言
男31歳
43 「主人公のフランソワをはじめとして一人一人がいい目くばりでしっかり描けているのでラストの父と子のかかわり合いが陳腐にならず、むしろ、快い読後感となって生かされた。」「良い材料を丁寧に仕上げた作者の筆力は高く評価されてよいと思う。」
女47歳
36 「読み終えてこの作者が何年かにわたって書きたいと思い、書き続けて来たに違いない現代人の荒涼とした心象風景が漸くわかったような気持になった。老人から幼児まで、登場人物のすべての人の体の奥を吹きすぎて行く風の冷たさに慄然としながら、それを書き切った作者の勇気に感動をおぼえた。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年9月号
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直木賞 122 平成11年/1999年下半期   一覧へ
選評の概要 「長崎ぶらぶら節」を推す 総行数101 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女67歳
候補 評価 行数 評言
男61歳
44 「古賀と愛八がキリシタンの歌を探しに長崎の島々を廻り、いくつもの貴重なかくれキリシタンの祈りの歌を記録するあたりは、この作者の独壇場で、読者に深い感動を与える。」「ただ、作品全体の印象は極めて単彩に見える。」「むしろ「兄弟」一作しか書けないのではないかといった危惧を、この作品で払拭した、間口の広さを立証したと私は評価している。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年3月号
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直木賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 「GO」を推す 総行数88 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女68歳
候補 評価 行数 評言
男31歳
13 「一番心に残った」「本来なら重く暗い主題を書きながら、さわやかで明るい。巧まざるユーモアも感じさせる。作者の筆力と若さの故かと思う。しかも、一つ一つのエピソードは切なく、哀しい。」
男56歳
13 「長さを感じさせないほど面白かった。エンターテイメントの要素を完全に備えていて読者を飽きさせないというのも技術の一つだし、それに元気のよさが加われば鬼に金棒であろう。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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直木賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 上り坂の作家 総行数89 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女68歳
候補 評価 行数 評言
女38歳
28 「私の好みでいわせてもらえば、(引用者注:収録作品群の)後半になるほど作者の視野が広がり、人間に対する見方に自信が強くなっている。この調子でどこまで伸びて行くのかと期待をこめて推した。」
男37歳
26 「一つの山脈を越えて行かれたという印象を強く持った。」「重松さんの書かれる世界は、これからもじわじわと奥深い人間性にふみ込んで行かれるだろうし、それをこの作者らしいソフトな語り口で読者に語りかけてもらいたいと願っている。」
  「受賞作がいずれも短篇集だったことは、大変、珍らしく、とりわけ、短篇のきりりと締った読後感が好きな私には、今回の選考はとても楽しかった。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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直木賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 「愛の領分」の魅力 総行数104 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女69歳
候補 評価 行数 評言
男51歳
18 「一つ間違うとレトロと捕えられかねない素材と人間像を作者独特の情感でじっくりと練り上げて、その行間に現代の風をさわやかに流れ込ませている。私はもともと藤田さんの小説が好きで、小粋でダンディな作風を愛好していたのだが「愛の領分」ではそれとは異ったリリシズムを感じて、これはこれはと思っている。」
山之口洋
男41歳
13 「選考委員の票が集まらなかったが、私は楽しく読めた。」「主人公が、かつて自分と一緒に作品を書いた坊やが、主人公から贈られたフランソワ・ヴィヨンの名前で笑劇一座の座長となって作品を書いているのを知るあたり、エスプリがきいていると思ったのだが。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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直木賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 「あかね空」を推す 総行数98 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女69歳
候補 評価 行数 評言
男53歳
28 「宝暦十二年八月と、登場人物の生きた年代をはっきり決めている姿勢にこの作者の時代小説への意気込みを感じた。」「第一部と第二部に分ける構成ミスということもいわれたが、山本さんの自作に対する姿勢は、すみやかにそうした点をクリアしてしまうと思う。この作品に出会えたことは、今回の収穫だった。」
女46歳
13 「才能を強く感じさせる作家であることには異論はない。ただ、この作品は如何にも軽い。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年3月号
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直木賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 弱さを描く 総行数84 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女70歳
候補 評価 行数 評言
男49歳
45 「乙川さんは人間の弱い面を描くのが巧い。」「強いほうには目もくれず、ひたすら人間の弱い部分に取り組み続けたようで、それがいつの間にか乙川さんの作品の抒情性の根っこになったような気がする。」「いつの間にか乙川さんは暗さの中の明るさを捕えるのが巧みになっていた。弱さの中の強さを具体的に描く意志を持たれたようだ。鬼に金棒である。」
江國香織
女38歳
10 「受賞されなかった候補作の中で、もっともインパクトが強かった」「凄い才能をオブラートに包んでさらりと読ませるところが、また凄い。」
奥田英朗
男42歳
11 「受賞されなかった候補作の中で、もっともインパクトが強かった」「軽く書いているようにみせて、実は重いテーマを洒落た切りくちで読ませてくれた。直木賞にふさわしくないという意見もあったが、私はこういう作品が直木賞になってもよいと思っている。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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直木賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 いま一つの何か 総行数128 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女70歳
候補 評価 行数 評言
  「個々の候補作は各々に魅力があるのに受賞作なしとなったのは、いま一つの何かという感触のせいではないか。その何かがわかればもの書きに苦労はないのだろうが。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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直木賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 二作品を推す 総行数93 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女71歳
候補 評価 行数 評言
女39歳
21 「今回は、まず村山由佳さんの『星々の舟』を(引用者中略)推したいと思った。」「凄いところは一人の人物を描くことから、まるでつながっている糸をひき出すように一つの家族の人々が各々、主人公となって浮び上って来る構成力の巧みさと適確な人間像の描写力だろうと思う。小説というものの魅力と怖しさを久しぶりに堪能させられた。」
男43歳
28 「(引用者注:「星々の舟」に次いで)推したいと思った。」「前回、候補になった『骨音』と同じく明るく軽快な文章がそのまま作品の芯になっていて、それが実に快い。」「ここに登場する十四歳の少年達が実にいい。或る時は大人、また子供という弥次郎兵衛みたいな不安定の上で、絶妙なバランス感覚と行動力を発揮する痛快さはこの作家の真骨頂であろう。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年9月号
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直木賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 受賞二作品について 総行数91 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女71歳
候補 評価 行数 評言
女39歳
28 「感受性の鋭い、都会的ないい作品であった。」「時折出て来る省略がスパイスの役目をしている。この節、今回の作品と似たような小説を書く人が増えて来ているような印象を持っているが、江國さんの感性は真似をしようと思っても容易に真似の出来るものではない。」
男40歳
49 「最初の「赤えいの魚」が一番、面白かった。」「ただ、この構成は数を重ねて行くにつれて、読者がどうしても手品の種を先読みしてしまうので、毎度、話の裏が老人(引用者中略)と、その昔の知り合い達の仕掛けによるものとなると読者は少々、しらけて来る。とはいえ六篇に各々、異る趣向をちりばめ、博識の裏打ちをしてのけるのは、やはり、この作者の力倆ならでは」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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直木賞 131 平成16年/2004年上半期   一覧へ
選評の概要 「空中ブランコ」が面白い 総行数91 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女72歳
候補 評価 行数 評言
男44歳
29 「(引用者注:「イン・ザ・プール」が候補作のとき)どういうわけか票がまとまらず、受賞に至らなかったのを残念に思う気持がずっと尾を引いていた。」「作者が苦労なしにこの五篇を書いたとは考えていないが、よくも悪くも現代の最前線で脚光を浴びている人間をひっぱり出して伊良部先生の前へおいたのは作者の凄腕であり、しかも成功している。」
伊坂幸太郎
男33歳
5 「面白い作品であった。人間描写もうまいし、発想に技がある。受賞作にしてもよい秀作と思った。」
男46歳
27 「久しぶりに骨太の作品を読んだと思った」「取材がよく行き届いているし、行間から山や森の気配が感じられ、読み進むほどに作者の仕掛けた網の中にとりこまれてしまうのが快い。」「但し、ラストで重傷を負った主人公が熊に導かれて村へたどりつくのはリアルに考えると如何なものか。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号
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直木賞 132 平成16年/2004年下半期   一覧へ
選評の概要 「対岸の彼女」を推す 総行数88 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女72歳
候補 評価 行数 評言
女37歳
22 「瞠目した。」「自由奔放に行きつ戻りつしているようで緻密に計算されている構成のおかげで作品の流れがよどむことはない。こけおどしの作為もないし、豊富な資料を使った重厚さもない代りに、登場人物の一人一人の表情がはっきり見え、その背景の現代に正確なスポットライトが当っている。受賞作にふさわしいと思った。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年3月号
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直木賞 133 平成17年/2005年上半期   一覧へ
選評の概要 「花まんま」を推す 総行数90 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女73歳
候補 評価 行数 評言
男42歳
13 「受賞作となったのは、やはりこの作品が他の候補作より二足も三足も前を走っていたことによろう。」「私が感動したのは「トカビの夜」と「摩訶不思議」、前者にはしみじみとした哀感があり、後者は巧みなユーモアが秀逸である。」
絲山秋子
女38歳
13 「会話の妙に感動した。」「病気を持った男女二人の心の通い合いを九州の自然の中にばらまきながらつむいで行った作者の腕は見事という他はなかった。次の機会には必ず直木賞を受ける作家と思っている。」
  「今回の候補作品を読み終えて感じたのは、どの作品もこぢんまりとして行儀よくまとまってみえるということであった。」「なかったのは覇気とでもいったらよいのか。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年9月号
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直木賞 134 平成17年/2005年下半期   一覧へ
選評の概要 堂々たる受賞作 総行数57 (1行=13字)
選考委員 平岩弓枝 女73歳
候補 評価 行数 評言
男47歳
31 「秀れた棋士が大胆、且つ、細心の注意を払って指し進めた棋譜をみるような構成力も見事ながら、ひたすら人間を描くことと、事件の謎ときが渾然と一つに溶け合っているあたり、作者の実力であろうが、これも、そうしなければと心がけていても容易に成功するものではない。」「受賞作が、これだけ重厚で、奥行きの深さがあると、才智だけで書いた作品はどうしても色褪せてみえてしまう。」
伊坂幸太郎
男34歳
11 「軽く書いているようで、この作品の本質は決して軽くはない。作風は小粋で、人間のとらえ方に柔軟性があってとても楽しく読めた。」「(引用者注:主人公の死神による最終判断が)もう少し「見送り」の作品があってもよろしいのではあるまいか。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号
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直木賞 135 平成18年/2006年上半期   一覧へ
選評の概要 三浦しをんさんを推す 総行数94 (1行=12字)
選考委員 平岩弓枝 女74歳
候補 評価 行数 評言
女29歳
23 「候補作の中で、ずば抜けた秀作と思った」「登場人物を描く作者の目線がまことに快い。」「暗いものを背負って生きている行天さんから愛敬をひき出してみせた手腕なぞ羨しいほど見事だ。この作者の年齢の時、私はとてもこれだけの作品は書けなかったと思い知って、また一段と羨しくなった。」
女38歳
16 「作品を書く上で基礎となる取材や資料による下調べをきちんとしている点に好感がもてる。」「願わくば調べて知ったものを半分以上、捨ててから作品に取り組むこと。八十パーセント捨てて書けたら大成功と私は教えられました。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年9月号
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直木賞 136 平成18年/2006年下半期   一覧へ
選評の概要 力のあった「空飛ぶタイヤ」 総行数96 (1行=12字)
選考委員 平岩弓枝 女74歳
候補 評価 行数 評言
池井戸潤
男43歳
17 「もっとも力があると思った」「登場人物がよく描けている。」「力なき蛙でもここまでやってのけられるという作者の思いが読者をゆり動かす。企業小説を超えた優秀な作品といえる。」
  「粒揃いとまではいえないかも知れないが、今回は才気や力を感じさせる作品が並んで、読むことが楽しかった。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年3月号
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直木賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 成功した「吉原手引草」 総行数98 (1行=12字)
選考委員 平岩弓枝 女75歳
候補 評価 行数 評言
女53歳
62 「作者の得意業が存分に発揮された異色作で歌舞伎に精通している松井さんの遊び心が横溢している。」「成功の鍵は、江戸で幕府公認の唯一の遊里である吉原を全く知らないと称する人物がそこで暮す人々の間を訊ね歩いてさまざまのことを探るという形を取っている点で、吉原についてのノウハウがごく自然に描き出されたことかと思う。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年9月号
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直木賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 少々の不安と大きな期待 総行数95 (1行=12字)
選考委員 平岩弓枝 女75歳
候補 評価 行数 評言
女36歳
22 「桜庭一樹さんはこの作品を書き出しの仕掛けの旨さで成功させたように感じた。」「この前直木賞の候補になった『赤朽葉家の伝説』とほぼ前後して書かれたと聞いて、桜庭さんの持つ可能性の豊かさに改めて驚かされた。」
  「今回はよくも悪くも、重くて暗い部分にインパクトの強い作品が並んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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直木賞 139 平成20年/2008年上半期   一覧へ
選評の概要 豊かな表現力 総行数100 (1行=12字)
選考委員 平岩弓枝 女76歳
候補 評価 行数 評言
女47歳
22 「(引用者注:「千両花嫁」と共に)心に残った」「作者の感性と構成力の確かさがよくわかる作品」「人間描写、とりわけ、心の表裏や僅かな動きを捕える表現力に秀れていて、文句なしの受賞作品と思った。」
山本兼一
男51歳
33 「(引用者注:「切羽へ」と共に)心に残った」「大舞台を幕末の京都にして、その中に小さな道具屋を構築し、美人で度胸のすわった女房を持つ、みかけは平凡だが懐の深い主人公をおいたのが第一の成功の鍵。第二には見立てという遊び心のある趣向を商売に生かした着想と、一話に一人ずつ登場させている幕末の有名人の容貌を独特のデフォルメで描写することで新機軸を打ち出したところが作者の腕であろう。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年9月号
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直木賞 140 平成20年/2008年下半期   一覧へ
選評の概要 二作品の力量 総行数101 (1行=12字)
選考委員 平岩弓枝 女76歳
候補 評価 行数 評言
男48歳
54 「作者は主人公を通して現代、及び現代人と向き合い、書こうとされたように思った。当然、全体のバランスを取るのは不可能に近いし、冗漫にもなる。それを無視してこの作品をここまでにまとめ上げたのは、作者の熱と力によるもので、読者はそれに、ひき込まれたり、はじきとばされたりする。やはり、凄い小説という他はない。」
男52歳
47 「総体に品よく、そつなく仕上っていて山本さんの力倆が高く評価される。ただ、諸刃の剣となるのは、主要な小道具となっている緑釉の小壺で、(引用者中略)この小壺の持ち主、高麗の女と若き日の利休とのかかわり合いと死に関しては叙情に流されず、心の深い部分を突込んだ摘示が欲しい気がする。」「もう一つ、(引用者中略)宗恩が後世、茶人として高い評価を受けている人物であることを勘案すると、その人が茶道具を叩き割るのは、なんともそぐわない気持になる。」「山本さんが今、もっとも充実した時代小説の書き手の一人であると認識している故の欲ばりな注文である。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年3月号
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直木賞 141 平成21年/2009年上半期   一覧へ
選評の概要 作品と資料 総行数98 (1行=12字)
選考委員 平岩弓枝 女77歳
候補 評価 行数 評言
男59歳
50 「軽快な語り口と話の進め方、登場人物の配置の巧みさは、北村さんならではの作品である。逆にいえば、テンポのよすぎるのが、作品を軽くみせるぎりぎりのところで自制されている点に好感を持った。」「今回の北村さんの作品は思いがけず幼女の頃の自分の姿へ束の間、私をひき戻し、すでに世にない、なつかしい人々の顔を瞼の中に甦らせてくれた。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年9月号
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直木賞 142 平成21年/2009年下半期   一覧へ
選評の概要 選評 総行数65 (1行=12字)
選考委員 平岩弓枝 女77歳
候補 評価 行数 評言
男59歳
28 「(引用者注:「ほかならぬ人へ」と共に)筆力充分、品が良く、手馴れた巧者の感がある。その意味では文句のつけようがないけれども、読者の立場からいうと、なんとなくもの足りない。」「読む進む中に心の深い部分に衝撃を与えてくれるような人間の奥行が書かれていたら、作品にもう一つ、陰影が出たのではないかというような気持が残っている。」
男51歳
28 「(引用者注:「廃墟に乞う」と共に)筆力充分、品が良く、手馴れた巧者の感がある。その意味では文句のつけようがないけれども、読者の立場からいうと、なんとなくもの足りない。」「読む進む中に心の深い部分に衝撃を与えてくれるような人間の奥行が書かれていたら、作品にもう一つ、陰影が出たのではないかというような気持が残っている。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年3月号
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