直木賞のすべて
第107回
  • =受賞者=
  • 伊集院 静
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Last Update[H28]2016/11/2

伊集院静
Ijuin Shizuka
生没年月日【注】 昭和25年/1950年2月9日~
受賞年齢 42歳5ヵ月
経歴 本名=西山忠来(ニシヤマ・タダキ)。山口県生まれ。立教大学文学部卒。
受賞歴・候補歴
処女作 エッセイ『あの子のカーネーション』(平成1年/1989年7月・文藝春秋刊)
直木賞
選考委員歴
第144回~(通算7年・14回)
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part2
備考
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さんねんざか
三年坂』(平成1年/1989年9月・講談社刊)
書誌
>>平成4年/1992年8月・講談社/講談社文庫『三年坂』
>>平成10年/1998年4月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『三年坂』
>>平成23年/2011年11月・講談社/講談社文庫『三年坂』[新装版]
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収録作品
「三年坂」「皐月」「チヌの月」「水澄」「春のうららの」
 
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他文学賞 山本周五郎賞 3回候補 一覧へ
候補者 伊集院静 男40歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男55歳
25 4点「文章の力に感心しました。それから、あんまり破綻がないんですね。全部が的に当っている。」「ただ、この短篇集に収められた各作品、パターンが似てるんですね。」
田辺聖子
女62歳
14 2点「五篇とも、好感は持って読みました。」「これ、誰かに似ていると思ったら、どうも宮本輝さんの世界に似ているんですね。」「でも、ちょっとしみじみ、ほのぼのしすぎ。」「たしかにいいことはいいんだけれど、あまりにも完結しすぎた世界ですね。」
野坂昭如
男59歳
8 0点「小説となると、向田邦子と宮本輝を一緒くたにして、少し薄めたような世界ですね。泣かせがうまい。併し、これはこうなって、こうなるんだなということが、わかりすぎる。」
藤沢周平
男62歳
20 4点「全部がいいというわけではないんですが、文章なんか初々しくてね。(引用者中略)幾つになっても、初々しさはあっていいと思います。」「全体として、大変いい感じを受けました。」
山口瞳
男63歳
20 3点「古いというのかなあ、安定感がありすぎるというのか、なんか、新派の芝居を見ているみたいで、平成版川口松太郎という感じなんですね。」「君の本音はどこにあるんだ、といつでも思ってしまう。」
最終投票      
選評出典:『小説新潮』平成2年/1990年7月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 11回候補 一覧へ
候補者 伊集院静 男40歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男55歳
9 「主人公と同じ屈託を抱く多くの読者をあたたかくはげます。文章の素姓のよさ、たしかな描写力。次作を期待させずにはおかない書き手の一人だ。」
尾崎秀樹
男61歳
4 「短篇集は、長篇と同じ土俵で論じられると損をする。」「それぞれの持味を生かした好短篇をふくむものだった。」
佐野洋
男61歳
0  
野坂昭如
男59歳
16 「短篇なら伊集院静『三年坂』と、今回はあっさりと決めた。」「おさめられた作品は、いずれも見事な仕上りで、すでにして作者は、自分の世界を完成させている、」「選考会の席上、短篇を対象の賞がどうしてないのかと、話題になった由縁、伊集院さんもって瞑すべし。」
半村良
男56歳
8 「二つの短編集(引用者注:「三年坂」と「孤立無援の名誉」)のどちらかが、最終段階へ残ってくることも考えていた。」「好きな作品で、できればこれも受賞して欲しかったが、一発満票の長編があったので、同時受賞は沙汰やみになった。」
選評出典:『群像』平成2年/1990年5月号
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ちぶさ
乳房』(平成2年/1990年10月・講談社刊)
書誌
>>平成5年/1993年9月・講談社/講談社文庫『乳房』
>>平成19年/2007年9月・文藝春秋/文春文庫『乳房』
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収録作品
「くらげ」「乳房」「残塁」「桃の宵橋」「クレープ」
 
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 12受賞 一覧へ
候補者 伊集院静 男41歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男56歳
13 「多少の出来不出来の波はあっても、どれも読者の心をいきなりグイと掴んでくるような不思議な強さをもっている。」「同じ構造を何度突きつけられても鼻につくことがないのは、それだけ細部が豊かだからだ。」「この作者は、一管の筆で読者の心に波風を立てさせる力をもっているようだ。」
尾崎秀樹
男62歳
14 「印象にのこった。」「それぞれに人生のある種の屈折を照射した好短篇で、さりげない文体で人生の諸断面を描いており、しっとりとした味をもつものだった。」
佐野洋
男62歳
13 「いまだに疑問を持っている。『私』を主人公にした作品が四編あるが、この四人の『私』(あるいは一人なのか)について、どんな職業についているのか(引用者中略)など、小説を読んだだけでは、よくわからない。」「しかし、文章は優れているし、野坂委員が「受賞すれば、間違いなく伸びる」と保証したので、賛成に回った。」
野坂昭如
男60歳
10 「しみじみとしたナルシシズム小説、ここまで徹底されると、これは立派な伊集院静の世界、広い視野を有し、ただながめるだけじゃなく没入していればこそ、伊集院の今後を刮目して待つ。」
半村良
男57歳
10 「今回受賞しなくても今後毎回候補にあがってくるだろうと思っていた。」「おめでとうというより、遅かったねという人がいるかも知れないが、わたしは早く嫁づいてほっとした。」「この種の作品では旨さ抜群である。しかもいろいろに読めるところが癪なくらいだ。」
選評出典:『群像』平成3年/1991年5月号
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かいきょう
海峡』(平成3年/1991年10月・新潮社刊)
書誌
>>平成14年/2002年7月・新潮社/新潮文庫『海峡―海峡幼年篇』
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他文学賞 山本周五郎賞 5回候補 一覧へ
候補者 伊集院静 男42歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男57歳
33 3.5点「とにかく全編を通じて言えることは、その技法のうまさで、まずこれだけうまければ、ある水準に達した作品と言っていいのではないかという、私はむしろプラスのほうに考えました。」「ただ、こういう小説というのは、小説家の手だれと言われるプロならば、まず書ける小説であるということも確かで、そういう意味では、新鮮味というものはあまりない。」
井上ひさし
男57歳
39 4.5点「カッコいいこと言っていても、自分たち大人のつくっている世界は矛盾だらけです。それぞれ苦い思いがあるはずでしょう。それが物語に反映してこない。」「この小説は、みごとに出来た歌舞伎です。(引用者中略)この作者はこれまでのいろんなエンターテインメントのいいところを全部集めて、それを自分のものにしてゆるやかに展開しながら、読者をいい気持ちにさせる。」
逢坂剛
男48歳
37 3点「とにかく非常にうまく書かれた小説だな、という第一印象があります。ただ、読んでいるうちに、うまいなというふうに思わされるのが、だんだん煩わしくなってくる。」「視点が、とくに理由もなく変わってしまう。(引用者中略)ちょっと違和感を感じました。」
長部日出雄
男57歳
55 5点「淡々として気負いのない文章で、そこに描かれている世界が、とても小説的な魅力に富んでいるというふうに感じられたんです。」「(引用者注:主人公の国籍の問題を)社会派的な重いテーマにしないで、暗示するぐらいにとどめたことが、小説としての奥行きを深くしていると思うんです。」「ぱっと思い当たるような類型というのが幾つもあるんですが、また、その類型からはみ出しているいいところもかなりあると思います。」
山田太一
男57歳
29 3点「かつての美意識を対象化した上で書いてもらいたいところを、少し安心して、書いていらっしゃる。」「こういう人物でもう一度感動させるためには、もっと今の時代に意識的であって欲しい、と感じました。」「きまりものの需要がいまだあることは事実でしょうが、新進気鋭の作家としては少し緊張がないような気がいたしました。」
最終投票     ○2票
選評出典:『小説新潮』平成4年/1992年7月号
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直木賞 第107受賞  一覧へ

づき
受け 月』(平成4年/1992年5月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成4年/1992年5月30日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成4年/1992年7月30日(第2刷)
発行者等 発行者 阿部達児 印刷 凸版印刷 製本 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 長友啓典+K<2>
総ページ数 259 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ 5~259
(計255頁)
測定枚数 415
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書誌
>>平成7年/1995年6月・文藝春秋/文春文庫『受け月』
>>平成13年/2001年11月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『受け月』(上)(下)
>>平成19年/2007年3月・講談社/講談社文庫『受け月』
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収録作品の書誌
夕空晴れて
>>初出『オール讀物』平成3年/1991年8月号
>>『オール讀物』平成4年/1992年9月号
切子皿
>>初出『オール讀物』平成2年/1990年9月号
>>『オール讀物』平成4年/1992年9月号
冬の鐘
>>初出『オール讀物』平成2年/1990年12月号
>>『オール讀物』平成4年/1992年9月号
苺の葉
>>初出『オール讀物』平成3年/1991年3月号
ナイス・キャッチ
>>初出『オール讀物』平成3年/1991年4月号
菓子の家
>>初出『オール讀物』平成4年/1992年4月号
受け月
>>初出『オール讀物』平成4年/1992年1月号
>>『オール讀物』平成4年/1992年9月号
>>『オール讀物』平成26年/2014年3月臨時増刊号
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候補者 伊集院静 男42歳
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾
男68歳
50 「単なる安堵感以上のものがあった。暑い季節なのに、花の香をそれとなく含んだ春の微風に頬をくすぐられたような、甘い爽やかさを感じたのかもしれない。」「どうもこの作者は、小説の人間像から垢や脂をたくみに拭い去り、人生に慈愛の眼を注ぎながら描く、独得の才能を持っているらしい。」「私が最も惹かれたのは「夕空晴れて」と「切子皿」だが、惜しい、と感じたのは「菓子の家」である。」
藤沢周平
男64歳
40 「「切子皿」があざやかな作品だった。」「胸の内ではうちとけていない親子が、祇園で飯を喰う。人生を感じさせる場面で、その場面を切子皿がぴしりと締めている。この小説には感動がある。」「ところが「切子皿」以外の作品は、まとまってはいるもののどことなく決めどころが手ぬるく、私はこの作品の受賞には消極的賛成の立場に立った。」
五木寛之
男59歳
26 「それぞれの委員が、この作品集の中で気に入った一篇をあげるのが、ほとんどちがった作品であることも興味ぶかかった。」「この作品集では、すでに伊集院静の世界、という独自の世界がはっきりできあがってしまっていることが感じられる。」「しかし、「受け月」には、まだどこか不安定なところがあって、私はそこに作者の今後の可能性を見たいと考えた。」
陳舜臣
男68歳
49 「ふくらみをかんじさせるものが多く、きめどころが浅いという批判もあったが、私には好感がもてた。」「だが、どうもこの作家は読者の想像力に大きく頼りすぎているかんじがする。」「ほめて言えば、伊集院氏はすでに手だれの作家で、その作品に安心感とともに一抹の不満もおぼえる。」
山口瞳
男65歳
108 「七篇のなかでは「切子皿」が好きだ。」「こんなに上手な小説家がまだいたのか! 伊集院さんは小道具を使うのがうまい。」「それと、もうひとつ。その土地を描くのがうまい。」「短篇の名手の誕生を小説好きの読者とともに喜びたい。私は久しぶりに堪能した。」
平岩弓枝
女60歳
13 「才筆であった。文章がいい意味で軽やかであり、あたたかい。おそらく読者の多くがこの作品に好感を持つに違いない。」「この作品に関してだけいえば、ダンディな都会派である。伊集院さんはいくつもの仮面を内蔵している作家なのかも知れない。」
井上ひさし
男57歳
30 「多言を要すまい。とてもよくできている。」「作者の駆使する言葉は、その一つ一つがいい意味で情緒に濡れていて読む側の心を動かす。」「つつましくキラリと光るものを持ち、かつ巧みに企まれた小傑作が七つも収められているのだから、これは立派な一冊と言わねばならない。」
田辺聖子
女64歳
25 「氏のご受賞に異存はない。」「「切子皿」の、父と子は簡潔で情があってよかった。「夕空晴れて」で、「冷泉牛乳」と子供野球の母親が泣きあうくだり、これは男性読者には受けるだろうが、女性読者は目のやり場に困ってしまう(感傷性過多のため)てい(原文傍点)のものである。」
渡辺淳一
男58歳
22 「なかなか巧みな小説で、いわゆる「手足(原文ルビ:てだれ)」という感じを受ける。とくに文章の間合いというか、切り上げの感覚がよく、この技だけでも、直木賞作家として充分の力をもっている。」「強いて難点をあげると、いずれも仕上げがやや浅く、感傷に流れすぎるようである。」
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年9月号
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文量
短篇集〔7篇〕
夕空晴れて
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
小田由美(未亡人)
茂(由美の息子、小学生)
冷泉(少年野球の監督、由美の亡夫の知人)
切子皿
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  京都
登場人物
正一(予備校の教師)
小栗正造(正一の父親、かつて社会人野球のスター)
冬の鐘
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  鎌倉
登場人物
佐山久治(小料理屋の主人)
由紀子(久治の妻)
大矢(草野球の選手)
苺の葉
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]~20年前  東京
登場人物
楠本伸子(独身女性)
修ちゃん(食堂の板前)
ナイス・キャッチ
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  瀬戸内
登場人物
小高美知男(高校野球の監督、もと社会人野球で活躍)
和子(美知男の妻)
菓子の家
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪~東京
登場人物
井沢善一(債務者、草野球チームのオーナー)
児山雄次(草野球チームの監督)
受け月
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
谷川鐵次郎(東亜製鉄野球部の老監督)
石井久一(東亜製鉄専務、元・野球部選手)




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