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第121回
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Last Update[H27]2015/11/3

桐野夏生
Kirino Natsuo
生没年月日【注】 昭和26年/1951年10月7日~
受賞年齢 47歳9ヵ月
経歴 本名=橋岡まり子。石川県金沢市生まれ。成蹊大学法学部卒。
受賞歴・候補歴
直木賞
選考委員歴
第144回~(通算6.5年・13回)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
直木賞受賞作全作読破への道Part1
リンク集
備考
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直木賞 第118回候補  一覧へ

アウト
OUT』(平成9年/1997年7月・講談社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙・背・扉・奥付 「アウト」併記
印刷/発行年月日 発行 平成9年/1997年7月15日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成9年/1997年8月6日(第2刷)
発行者等 発行者 野間佐和子 印刷所 豊国印刷株式会社 製本所 株式会社若林製本工場
発行所 株式会社講談社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 多田和博 オブジェ(BC・光) 鹿目尚志 撮影 藤塚光政
総ページ数 447 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
25字
×21行
×2段
本文ページ 5~447
(計443頁)
測定枚数 1163
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書誌
>>書下ろし
>>平成14年/2002年6月・講談社/講談社文庫『OUT』(上)(下)
>>平成26年/2014年6月・双葉社/双葉文庫 日本推理作家協会賞受賞作全集89,90『OUT』(上)(下)
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候補者 桐野夏生 女46歳
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾
男73歳
61 「候補作品の中で最も気になった」「氏の描写のしたたかさに感嘆しながら読み進んだ。」「佐竹の過去の殺人描写に至り、完全に白けてしまった。」「私が首を横に振ったのは、作者が佐竹に、快楽殺人ではなく、死を共有したかった、二人にしか分らない天国と地獄などと、文学少女じみた甘ったれたことをいわせているからである。」
阿刀田高
男63歳
30 「残酷な事件がつぎつぎに起きて、エキサイティングではあるけれど、読み終って残るものが乏しい。」「快楽殺人の共有感を持たなければ、納得のむつかしい作品である。おもしろければ、それでよいというものではあるまい。筆力は水準を越えていながら、推輓をためらった第一の理由である。」
平岩弓枝
女65歳
26 「どこにもありそうな日常の中に生きている四人の女性が殺人にかかわり合うまでの見事な話の進め方にひきこまれたが、後半、死人の解体のあたりからしらけてしまった。」「一人の主婦が他人の殺人の後始末、それも人間を解体する決心をするに至る心理や状況の追いつめ方が弱いために、最後は殺人に進まざるを得なかった主人公に読者が納得しにくくなるのも小説の欠点」
井上ひさし
男63歳
55 「今回、評者がもっとも高い評点をつけた」「冒頭の弁当工場の夜勤の光景から第一の死体解体のあたりまでは快調そのものの運びで、まったく完璧である。」「クライマックスは、作者の意図は充分に尊重しながらも、一読者としては、「話をややこしくしすぎて、最後が絵空事になってしまったのでは……。惜しい」と呟やかざるを得なかった。」「評者は最後までこの作品を推したが、しかし最後の最後に折れてしまった」
田辺聖子
女69歳
35 「簡潔にして力強く、無駄がなく、美しくさえ感じられる文体。要所をはずさぬ、的確で犀利な人物造型。すごい作品だ。」「途中でもう一人の男性主人公が登場したときから、テーマが二つに割れたと感じた。」「あとのテーマの異常性愛の世界、この作品では単なる嗜癖にとどまっている。人間を逸脱してゆく恐れと恍惚をもっと見据えるべきではないか。」
渡辺淳一
男64歳
51 「最も惹かれた。」「前半、とくに冒頭部が秀逸」「欠陥がないわけではなく、その一つは、雅子らが死体処理という異常な行動をするにいたる心理的背景が書き込まれていないことである。」「それでもなお、わたしがこの作品を推したのは、雅子という新しい女主人公を創り出した手柄と、この作品に一貫して溢れる作者の気迫と、現代の激しい鼓動、ビートのようなものを感じたからである。」
津本陽
男68歳
47 「ひとりが衝動的に夫を絞殺するあたりから、説得力が乏しくなってくる。」「本職の暴力団員が、金さえもらえば依頼人の素姓もたしかめず、屍体解体をうけおう場面もあるが、すでに説得力はなくなっている。」
五木寛之
男65歳
13 「(引用者注:「風車祭」「嗤う伊右衛門」「OUT」のうち)どれが受賞作になってもおかしくないと考えて選考の席にのぞんだ」「女主人公の職場での存在感にくらべて、その犯行手段の幼稚さがいちじるしく物語のリアリティーを損ねていたことも確かだろう。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年3月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 19回候補 一覧へ
候補者 桐野夏生 女46歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男63歳
10 「人物への目配り、重厚な文章、そしておもしろさ、長所は充分に認めながらも、作者のモチーフに曖昧なものを感じてしまった。あえて極論すればエキサイテングであることをもてあそんでいるのではあるまいか。」「ためらいながらも強く推すことができなかった。」
井上ひさし
男63歳
0  
尾崎秀樹
男69歳
15 「強く印象にのこった。」「OUTとは日常の規範からの離脱を暗示するが、平凡な主婦たちの内奥に迫った犯罪小説として興味深かった。」
野坂昭如
男67歳
0  
半村良
男64歳
0  
選評出典:『群像』平成10年/1998年5月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 夜勤」「第二章 風呂場」「第三章 烏」「第四章 黒い幻」「第五章 報酬」「第六章 四一二号室」「第七章 出口」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
香取雅子(弁当工場パート)
佐竹光義(バカラ賭博のオーナー)
山本弥生(雅子の同僚)
城之内邦子(雅子の同僚)
吾妻ヨシエ(綽名・師匠、雅子の同僚)
宮森カズオ(日系ブラジル人)
十文字彬(本名・山田明、街金業者)
今井(武蔵大和署捜査一課刑事)




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やわ ほほ
柔らかな 頬』(平成11年/1999年4月・講談社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「やわ」「ほほ」
印刷/発行年月日 発行 平成11年/1999年4月15日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成11年/1999年7月26日(第5刷)
発行者等 発行者 野間佐和子 印刷所 豊国印刷株式会社 製本所 株式会社若林製本工場
発行所 株式会社講談社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 多田和博 装画 西口司郎
総ページ数 365 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
25字
×21行
×2段
本文ページ 7~365
(計359頁)
測定枚数 945
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書誌
>>書下ろし
>>平成16年/2004年12月・文藝春秋/文春文庫『柔らかな頬』(上)(下)
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候補者 桐野夏生 女47歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男64歳
26 「きっかりとした構造を作り上げ、その舞台の上で、それぞれの登場人物が持つ心の闇をあぶり出している。」「どの登場人物も必死になって生きる手応えを求めているのだ。それがこの作品のモチーフなのだ。」「最後の数十行を人間たちの心の闇を伝える深遠な寓話として読んだ。」
平岩弓枝
女67歳
36 「読み終えてこの作者が何年かにわたって書きたいと思い、書き続けて来たに違いない現代人の荒涼とした心象風景が漸くわかったような気持になった。老人から幼児まで、登場人物のすべての人の体の奥を吹きすぎて行く風の冷たさに慄然としながら、それを書き切った作者の勇気に感動をおぼえた。」
黒岩重吾
男75歳
35 「「柔らかな頬」一作を推した。この作品にはどうにもならない人間の呻きが満ちている。作品の基調は鉛色だが、奥底深くにマグマに似た生へのエネルギーが潜んでいるのを感じる。」「主人公のカスミは、その汗のしたたりや匂いを感じるほどの迫力で迫まってくるが、カスミの愛人だったデザイナーの石山も活きている。」
津本陽
男70歳
18 「才能すぐれた作者の、努力の成果であろう。」「この作者は、きわめて話し上手であるが、作品を展開させる事件について、どうしてそうならざるをえなかったかという、必然性を読者に納得させる説明について、簡略にすませる癖がある。」「その間の事情が納得できるように語られたならば、なお色濃い人間像がえがかれよう。」
田辺聖子
女71歳
42 「私はこの小説に感動した。そればかりでなく、この小説はどこを開けても、どのページも美味しかった。」「死と生が入りみだれ、作品を重層的にする。――と、こう書くと重苦しい作品のようだが、読後感は意外に爽快である。たぶん死病にとりつかれた元刑事の死で、読者はヒロインと共に背中を押され、〈生〉へ弾みをつけて転回するからであろう。近来の佳作と思われた。」
井上ひさし
男64歳
32 「作者はついに読者に幼女失踪の真相を明らかにしようとしない。その意図はどうであれ、作者は読者を欺いている。……たしかにそう思わないわけでもないが、わたしは、作者の人間の死を徹頭徹尾モノとして扱う態度に心を動かされた。」「これはやはり一個の確固たる作品である。」
五木寛之
男66歳
27 「「OUT」とくらべて、新人の小説としての野心に欠けると思った。」「制度としての直木賞のラインからはじき出されたところにこそ、「OUT」の真の栄光があったのではあるまいか。私は胸中にウメガイを抱いているかのように見えるこの作家が、ふたたび「OUT」の世界を描いて「平地人を戦慄せしめ」るであろうことを、ひそかに期待している。」
渡辺淳一
男65歳
33 「全体には推理的手法で、女の故郷喪失と、娘の突然の失踪などをからませて、読者を引きずっていくが、それにしてはラストの閉じかたが不親切である。」「作品の強さという点では前作の「OUT」が上で、登場人物もリアリティをもって生き生きとしていたが、前作に続いてこの作品を書きあげた、努力と気迫を評価するに、やぶさかではない。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年9月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 終車」「第二章 水の気配」「第三章 漂流」「第四章 洪水」「第五章 浮標」「第六章 水源」「第七章 桟橋」「第八章 遡航」「第九章 放流」「第十章 砂岩」
時代設定 場所設定
1990年代  東京~北海道
登場人物
森脇カスミ(製版会社社長の妻)
内海純一(元刑事、がん患者)
石山洋平(グラフィックデザイナー、カスミの愛人)
和泉正義(別荘地のオーナー)
水島昭治(別荘地の管理人)
森脇有香(カスミの長女、行方不明)




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