超初級者篇
最近の受賞作を、単行本で読む。
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まず何と言っても、読破への道の王道中の王道は、書店で単行本を探して、買って読む、という手です。 そして最も入手しやすいのが、最近の作品(つまり、まだ絶版・品切れになる前のもの)であるのは、自明の理。 とくに、最直近の受賞作は、書店でもかなり目立つところに平積みされている場合が多いので、迷わず見つけられるでしょう。ちょっと前の受賞作は、たいてい棚差しになっていますが、これもまた入手しやすいことに変わりはありません。 近くの書店に行けば(極端に小さな店でなければ)、左に紹介する数冊は、確実に読むことができるでしょう。 「しかしねえ。単行本は値段が高いので、いずれ文庫になるまで待つよ」という向きもあるでしょう。確かに、それはそれで、一つの手です。 しかし、この手は「直木賞受賞作」の場合に限られます。「直木賞候補作」を、可能な限り読んでやろう、という向きは、あまりこの手を使いすぎるのは危険です。受賞作は、かならずといっていいほど、やがて文庫になりますが、候補作はその法則が通用しません。ちょっと前の候補作でも、文庫になっていないし単行本は品切れだし、すでに入手できない、というものが結構あるのです。油断できません。 もう一つ、受賞作のなかでも、最近では珍しい例外があって、それが第109回受賞の高村薫氏『マークスの山』です。 単行本は平成5年/1993年の発行、以来、いまだ文庫になっていません。今後も文庫にならないのかどうかは、早川書房にきいてみなければわかりません(きっと、きいてもわからない)。 この作家の場合は、文庫になるときには、また筆を大幅に入れたりするので、おそらく「直木賞受賞作を読む」という意味では、単行本で読んでおくしかないでしょう。 ●
ちなみに、左の8作品のうち、サイト管理者(P.L.B.)が独断と偏見で、お勧めを選ぶとするなら、佐藤賢一氏『王妃の離婚』。最初は少し、とっつきにくい文体かもしれませんが、慣れてくるうちに、ストーリーの盛り上げ方やユーモアの妙につられて、面白く読めます。勧善懲悪のお話には違いありませんが、ヒロインたる王妃が、決して可憐でも乙女でも美人でもないところが、またいいんです。
Part2は、初級者篇「ちょっと前の受賞作を、文庫本で読む」です。 [H12]2000/8/26にUploadしました。 Part2へ |