準上級篇
古本屋で探して読む。
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古本屋。ああ、なんとこの魅惑的な響き……。蝶が舞い、花が咲き乱れる夢心地の世界……。などと、うっとりした眼になるような「本の虫」なら、きっと好みの古本屋の一つや二つ(五つや十)を持っています。 恐れながら、私はさしたる虫でなく、蝶も舞わず花も咲かないので、でかい口は叩けません。それでも、直木賞をすべて読むと決意したからには、古本屋そして図書館は、避けて通れぬ道です。びくつきながら先に進みましょう。 第5回めの今回は、私が古本屋で買った(もしくは現時点で古本屋でしか手に入らない)文庫を取り上げます。単行本はまたいずれ。 左に18作品を挙げました。入手難度はさまざまなので、チェーン展開している大手古本屋でもよく見かけるものもあるし、文芸関係に近い古本屋でないと、なかなかお目にかかれないものもあるし、まあ、それが古本屋の楽しみの一つなのですが、どこに必ずある、というわけではありません。心して探しましょう。 ちなみに、私の場合を言えば、大学に通っていた時分には、大学のそばにあった数軒の古本屋を、ひまをみつけてはめぐり、卒業後は、新宿、神田といった大都市の店、家のそばの小さな店などに足を運んで、せっせと見つけては買ってきました。 また最近は、Web上で在庫情報を公開している店が増えてきているので、通信販売も利用しています。古本好きなら、すでに以下のサイトはご存知でしょうが、念のため、ご紹介させていただきます。 古書検索サーチエンジン http://www.murasakishikibu.co.jp/oldbook/sgenji.html 古本屋さんに行こうよ! http://www.furuhon.org/ 高原書店 http://www.takahara.co.jp/ 実売価格はよくわかりませんが、私の場合は、いちばん高かったのが早乙女貢氏『僑人の檻』でした。1冊2,000円也。新しい単行本を1冊買うと思えば、一応許せます(言うまでもありませんが、左に挙げたそれぞれの価格は、私が所持している版に書かれているものです。古本屋で買うときは、これより高い場合もあれば安い場合もあります)。 価格が高いということは、無論、なかなか手に入りにくいものだから、なのですが、他に、あまり見かけないものを挙げると、有明夏夫氏『大浪花諸人往来』、新橋遊吉氏『八百長』、藤井重夫氏『虹』、渡辺喜恵子氏『馬淵川』、有馬頼義氏『終身未決囚』といったところでしょうか。 青島幸男氏『人間万事塞翁が丙午』と南條範夫氏『燈台鬼』については、電子文庫パブリにて、購入可能です。もし、「書籍の形態でなければ、本を読んだ気になれないからイヤだ」という向きでなければ、電子テキストを購入するのも、これからの新手でしょう。 ●
ちなみに、左の18作品のうち、サイト管理者(P.L.B.)が独断と偏見で、お勧めを選ぶとするなら、安藤鶴夫氏『巷談本牧亭』。静かです。物語の筋そのものが、静かであり、またいくつものエピソードの積み重ねであり、ゆっくりとしみじみと流れてゆきます。読み手はそれに乗せられて、ゆっくりとしみじみとその世界にハマってゆきます。燕雄さんのトボけた人生、いいですねえ。 Part6は、準上級篇その2「古本屋で探して読む、単行本を」です。 [H12]2000/12/17にUploadしました。 Part6へ |