準上級篇その2
古本屋で探して読む、単行本を。
|
|
古本屋でしか手に入らない単行本の数々。これら諸作品を「準上級篇」として挙げるのは、やや忍びない気がします。当然のことながら、古いものほど値が高いし、お目にかかりにくくなるわけで、手に入りにくいという観点でいえば、次回予定の「図書館で全集を読む」より、難易度が上かもしれません。 ちなみに、私の場合、『虜囚記』『落ちる』『赤い雪』『壁の花』『叛乱』の5つは、ネット上の古本屋サイトで見つけて買いました。いちばん高価だったのは『壁の花』で、たしか3,000~4,000円くらいしたと思います。まあ、そのくらいは3日間食事を抜くと思えば、安いものですが。 『赤い雪』は、とくに入手に苦労しました。つい最近、買ったばかりです。初版ともなると、8,000円~10,000円くらいの値がついていたりしますが、私が買ったのは4刷で、古書的な価値は落ちます。 『それぞれの終楽章』『恋紅』『黒パン俘虜記』『機雷』『元首の謀叛』については、文庫化もされているので、古本屋で文庫を見かけることもあります(新刊書店でお目にかかれないのが、残念です)。いや、『黒パン俘虜記』は、実は数年前、八重洲ブックセンターで単行本が売っていたので、買ったものなのです。もしかしたら、まだ絶版になっていないのかもしれません。それはそれで、文藝春秋、偉いです。 参考のために、古本屋サイトへのリンク第2弾を挙げておきます。どうしても見つからないときは、探求書として登録しておく手があります。運がよければ、反応があります。でも、あまり期待はできません。 ふるほん文庫やさん http://www.e-shop.co.jp/bunkoyasan/ OldBookMark 古本屋散策の栞 http://www.crypto.ne.jp/oldbookmark/ イー・ブックオフ http://www.ebookoff.co.jp/ 『落ちる』は、つい最近、電子文庫パブリのなかで、徳間書店がラインアップのなかに加えたので、簡単に読めるようになりました。少し話はズレるけれど、文献によっては、このときの受賞対象作が、短篇としての「落ちる」であるとされていたり、同書収録の「落ちる」「ある脅迫」「笑う男」の3篇であるとされているのですが、当サイトでは、短篇集『落ちる』全体として受賞した、ととらえています。ご了承ください。 ●
ちなみに、左の12作品のうち、サイト管理者(P.L.B.)が独断と偏見で、お勧めを選ぶとするなら、佐藤得二氏『女のいくさ』と、立野信之氏『叛乱』。『女のいくさ』は、ヒト昔前といえばヒト昔前の作品、ってな感じがぷんぷん漂う、剛腕女性の一代記。決してハッピーエンドじゃありません。めでたしめでたし、とはいかないけれど、かといって悲惨な一生、というふうにも受け取れない淡々とした、しかも骨太な文章。こういう大衆小説、今、どこも文庫とかに入れていないところを見ると、最近はウケないのかなあ。 『叛乱』は、二・二六事件を、その首謀者とされる青年将校側から描いた、押しも押されぬ正統派歴史小説。特別、主人公はいません。登場する多くの軍人たちが、みな主人公の扱いです。しかしながら、事件そのものが劇的で、吸引力があるからか、人物たちがバラバラしていなくて、まさにエンターテイメント小説として、ぐいぐい読めます。実力派、立野さんのチカラワザですね。 Part7は、上級篇「図書館で全集を読む」です。 [H13]2001/1/21にUploadしました。 Part7へ |