超難関篇(最終回)
雑誌を探して読む。
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ようやくここまでたどりつけました。Part9までで取り上げたのは154作品。そして、4作品を残すのみとなりました。 なんといっても、最も苦労するのは、太平洋戦争戦中と戦後まもなくの受賞作を読むことです。文庫本はもちろんのこと、単行本も全集の類も当てにならない、とすれば、思い切って”原典”を読むのが、手っ取り早い方法なんですが、当時の雑誌はそうそう古本屋に出ているわけでもないし、図書館にもあまり残っていません。 で、ようやく神奈川県立近代文学館で見つけたのが、左の三作品。発行から約50年たっていて、しかも当時の紙の質はあまりよくなく、コピーをお願いしたら、司書の方もかなり困っておられました。 作品の内容はともかく、それが読める、というだけで感動モノです。そして、ワタクシ管理者に、最後に残された未読の直木賞受賞作は、第18回受賞の森荘已池氏「蛾と笹舟」一作品のみとなりました。 『オール讀物』昭和18年/1943年7月号。”オール”が敵国の言葉だというので、誌名が『文藝讀物』に変わる直前の号で、残念ながら前述の神奈川県立近代文学館にも残されていません。あとは、東京にある日本近代文学館か、国立国会図書館に行って、その有無を調べるしかないかな、と思っているのですが、なかなかひまが見つからず、これが読める日はいつになるやら。もしもこの雑誌の所在、または「蛾と笹舟」がどこかの本に収録されているとか、何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひとも教えていただきたいと、お願いする次第です。 (補足)御礼が遅くなってしまいましたが、このページをアップロードしてまもなく、ある親切な方より、「蛾と笹舟」が『オール讀物』平成1年/1989年3月増刊号に掲載されているとの有益な情報をいただきました。”このような情報系サイトをやっている人間だから、当然このぐらいのことは知っているだろう”と買い被らず、勇気をもってメールをくださったハラさん。ほんとうにありがとうございました。ワタクシが個人にしてこんなサイトを運営している理由の一つは、もちろん、自分にはまだまだ知らないことがたくさんあって、何か情報のお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただきたい、と虫のいいことを考えているからなのです。どうか、今後ともよろしく、です。平成13年/2001年7月10日 ●
お疲れさまでした。当連載は、一応、これにて終了です。きっと、いつの日のか、文藝春秋さんあたりが『直木賞全集』みたいなものを刊行してくれて、直木賞全作読破が楽になるときがくるでしょう、いや、きてほしい、と願いつつ。おひらきとさせていただきます。長々ととりとめもない連載にお付き合いいただいた奇特な方、ほんとうにありがとうございました。 |