直木賞のすべて
第139回
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Last Update[H28]2016/10/6

井上荒野
Inoue Areno
生没年月日【注】 昭和36年/1961年2月4日~
受賞年齢 47歳5ヵ月
経歴 東京都生まれ。成蹊大学文学部英文学科卒。アルバイトののち、フリーライターに。在職中の平成1年/1989年、「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞受賞。NHKで「現代ジャーナル」の司会を務める。父は作家の井上光晴
受賞歴・候補歴
備考
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そう
『だりや 荘』(平成16年/2004年7月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成19年/2007年8月・文藝春秋/文春文庫『だりや荘』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 26回候補 一覧へ
候補者 井上荒野 女44歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男53歳
3 「余人を以てかえがたいテクニックを随所に感じたが、全体に平坦で躍動感に欠ける憾みがあった。」
伊集院静
男55歳
3 「きらりと光る才能(引用者中略)が印象的だった。」
大沢在昌
男48歳
6 「軽いのにトゲがある。これも作者の資質だ。ただ、初めて男女がことに及ぶとき、女性の意志はそこにあっても男性の意志はないような、妙な居心地の悪さを感じた。」
高橋克彦
男57歳
0  
宮部みゆき
女44歳
0  
選評出典:『群像』平成17年/2005年5月号
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だれ うつく つま
誰よりも 美しい 妻』(平成17年/2005年12月・マガジンハウス刊)
書誌
>>平成21年/2009年3月・新潮社/新潮文庫『誰よりも美しい妻』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 27回候補 一覧へ
候補者 井上荒野 女45歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男54歳
3 「文学の早瀬に取り残された、反動的な小説と読んだ。」
伊集院静
男56歳
4 「男女の情愛が清冽な文章で描かれていた。私には男も女も今ひとつもの足りなかった。新鮮なものがないのか。」
大沢在昌
男49歳
8 「この作者の企みを、私は今回も読み解くことができなかった。泥々とした人間関係をさらりと書けてしまうのは、資質なのか、それともあえて避けているのか、その見極めがつかないのだ。」
高橋克彦
男58歳
0  
宮部みゆき
女45歳
8 「個人的には、二作受賞を望んでいながら、(引用者中略)押し切れなかったことが口惜しいです。昨年の候補作『だりや荘』のときから、井上荒野さんの作品には瞠目・敬服しておりました。」「他の選考委員諸氏を動かすことのできなかった私の論の脆弱さを情けなく思います。」
選評出典:『群像』平成18年/2006年5月号
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直木賞 第138回候補  一覧へ
『ベーコン』(平成19年/2007年10月・集英社刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成19年/2007年10月30日(第1刷)
発行者等 発行者 加藤 潤 印刷所 凸版印刷株式会社 製本所 株式会社ブックアート
発行所 株式会社集英社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装画 いしわためぐみ 装丁 大久保伸子
総ページ数 205 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ 5~205
(計201頁)
測定枚数 314
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書誌
>>平成21年/2009年6月・集英社/集英社文庫『ベーコン』
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収録作品の書誌
ほうとう
>>初出『小説すばる』平成16年/2004年7月号
クリスマスのミートパイ
>>初出『小説すばる』平成16年/2004年12月号「ミートパイ」
アイリッシュ・シチュー
>>初出『小説すばる』平成18年/2006年3月号
大人のカツサンド
>>初出『小説すばる』平成17年/2005年9月号
煮こごり
>>初出『小説すばる』平成18年/2006年6月号
ゆで卵のキーマカレー
>>初出『小説すばる』平成17年/2005年6月号
父の水餃子
>>初出『小説すばる』平成18年/2006年10月号
目玉焼き、トーストにのっけて
>>初出『小説すばる』平成18年/2006年8月号
ベーコン
>>初出『小説すばる』平成18年/2006年12月号
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候補者 井上荒野 女46歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男56歳
12 「文学の主幹に位置する、正統の、しかもすぐれた短篇集」「人間が置かれた状況を傍観的に書く小説が多い風潮の中で、人間そのものをすこぶる自然かつ正確に描いたそれぞれの作品は、文学の王道を感じさせた。」
阿刀田高
男73歳
8 「軽やかで、――こんな小説もいいな――と楽しく読んだが、人間や出来事への目配りに少し納得のいかない部分があるように思った。」
五木寛之
男75歳
18 「(引用者注:「私の男」とともに)今回読んだなかかで、明確な文体意識を感じた」「すでに一家をなしている作家の安定した世界を感じさせるところが不満だった。そんなにはやく達者な芸を身につけてどうする、と心中、感じたのである。過不足のない仕上りという点では、この作品集が一番だろう。」
井上ひさし
男73歳
16 「あちこちに小手の利いた表現があって感心させられたが、食べ物と愛(主に愛人関係)の二つの縛りが筆を窮屈にしたのか、九篇を通して話の拵えがやや図式になっていた。」
北方謙三
男60歳
15 「うまさを狙うという点においては成功していて、その完成度も低くはないと思った。しかし、さりげなさが殻のようになって、なかなか世界に入りこめない、というもどかしさがつきまとまった。」「うまいと思いながら、短篇の持つ切り口の鮮やかさが、ややもすると見えてこないのである。」
林真理子
女53歳
10 「手堅くまとめた短篇集で、作者の実力を感じる。けれどもどれも既視感があるのが残念だ。女性の人生や日常をスケッチする小説は、他の女性作家がいくらでも書いている。井上さんだけの世界を読んでみたいと思う。」
平岩弓枝
女75歳
8 「鋭い感性が匂い立つ作品群で好ましかった。但し、小説として開花させるには、もう一歩のふみこみが必要であろう。」
宮城谷昌光
男62歳
27 「ことばにたいする神経のつかいかたは粗略ではない。人が生きてゆく深刻さをあえて文体が隠蔽しており、小説が昏くも重くもなっていない。それだけでも、この作者は新しい知的作業をおこなっている。」「ときどき危険な陰翳がみえるものの、それが小説の骨子にかかわると誤解されないために、作者はその陰翳をくりかえしすることをしない。要するに作者の賢明さがよくわかる作品ではあるが、それ以上の何かが足りない。」
渡辺淳一
男74歳
0  
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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文量
短篇集〔9篇〕
ほうとう
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
小山内温子(グラフィックデザイナー)
安海(通販化粧品メーカー広報部係長、温子の恋人、妻帯者)
エリコ(安海の妻)
クリスマスのミートパイ
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
芳幸(映像制作会社社長、休職中)
ゆかり(芳幸の妻、キャットシッター)
アイリッシュ・シチュー
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京都下
登場人物
私(語り手、専業主婦)
延彦(私の夫)
留加(私の長女、中学二年生)
紬(私の長男、小学六年生)
大人のカツサンド
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
真夕(10歳の少女)
直人(真夕の叔父)
聖子(真夕の叔母、歌手)
煮こごり
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
大木晴子(教師を定年退職ののち家庭教師)
鵜飼光一(晴子の30年来の恋人、75歳で事故死)
石田航(晴子の教え子、中学生)
ゆで卵のキーマカレー
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
橋本柚衣(10歳年上の男と同棲中の女性)
靖司(挿画家、柚衣の同棲相手、妻子持ち)
父の水餃子
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
僕(語り手、淳、10歳の少年)
父(僕の父親、二つの仕事を掛け持ち)
母(僕の母親、専業主婦)
目玉焼き、トーストにのっけて
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
可奈(中学二年生)
勇二(中学二年生、可奈と出会って二日目)
ベーコン
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
私(語り手)
沖(私の母の恋人、養豚家)
恋人(私の婚約者)




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きりは
切羽へ』(平成20年/2008年5月・新潮社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「きりは」
印刷/発行年月日 発行 平成20年/2008年5月30日
発行者等 発行者 佐藤隆信 印刷所 二光印刷株式会社 製本所 大口製本印刷株式会社
発行所 株式会社新潮社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装画 根本有華 装幀 新潮社装幀室
総ページ数 204 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×17行
×1段
本文ページ 3~204
(計202頁)
測定枚数 336
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書誌
>>初出『小説新潮』平成17年/2005年11月号~平成18年/2006年10月号
>>平成22年/2010年11月・新潮社/新潮文庫『切羽へ』
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候補者 井上荒野 女47歳
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝
女76歳
22 「(引用者注:「千両花嫁」と共に)心に残った」「作者の感性と構成力の確かさがよくわかる作品」「人間描写、とりわけ、心の表裏や僅かな動きを捕える表現力に秀れていて、文句なしの受賞作品と思った。」
林真理子
女54歳
47 「これは文学のひとつの挑戦だと思った。」「性交のシーンは、恋愛小説において心臓部分である。我々作家は、そこをいかにエロティックに、新鮮に描くか苦心する。」「ところがどうだろう、「切羽へ」は、この心臓部分をまるっきり失くしたのだ。そのかわり、指から踵の端まで、神経と血液を張りめぐらした。選び抜かれた比喩、文章のリズム、巧みな心理描写。どれをとっても素晴らしい。当然の受賞であろう。」
渡辺淳一
男74歳
26 「(引用者注:最後に残った「切羽へ」「のぼうの城」「千両花嫁」の)三作のなかでは、もっとも人間を見詰めて説得力があった。」「だが、後半、主人公の内面の書き込みが浅く、男が去り、夫の子供を妊娠したというだけでは、いささか安易な結末といわざるをえない。」「しかし、全作品のなかでは、もっとも小説らしい小説で、この作品を受賞作とするのに、異論はない。」
五木寛之
男75歳
18 「最後に残り、私も一票を投じた。」「主人公の「私」をはじめ登場人物の心と体の揺れうごくきわどさが、人間存在のきわどさを反映していると同時に、文章のもつ官能の力を巧みに使いこなしているところに、この作家の成熟度を感じた。その完成度の高さにかすかな不安もある。しかし、自然描写にさえセクシーな気配が漂うのは、貴重な才能というべきだろう。」
浅田次郎
男56歳
18 「伝統的な文学のスタイルを踏襲している」「自然主義の様式に呪縛されたフィクションなので、ダイナミックなストーリー展開がかなわず、かといって内面に踏みこむにも限界がある。しかしそうした基本構造上の矛盾を、文章の力によって静謐な絵に描きおえたのはさすがである。いささか苦言は呈したものの受賞には異論がない。」
宮城谷昌光
男63歳
20 「品の悪くない小説であるが、全体が平面的で、人と物の厚みも不足している。」「ときどきいらいらする。リズムに弱点がある。」「人が人を好きになるという新しい形態を示している点で、その(引用者注:受賞の)決定に異存はないが、さらに大きな作家になるためには、自制の外へ踏みだす足が欲しい。」
北方謙三
男60歳
23 「いつ崩れるかわからない切羽へ、なかなかいかないという、もどかしさがつきまとった。」「しかし切羽を、情況的なものでなく心理的なものだと考えると、世界は俄然色彩を帯びてくる。」「三作(引用者注:「切羽へ」「のぼうの城」「千両花嫁」)の決戦では、迷わず『切羽へ』と『のぼうの城』に票を投じた。」
阿刀田高
男73歳
21 「波乱万丈のストーリーが展開されるわけではない。どこにでもあるような歪な恋のかけら、それをしなやかな文章で綴って快い。切羽というタイトルに籠められた寓意がもっとはっきりと作品の中に示されたら、ストーリー性も豊かになっただろうに、と惜しんだが、それはこの作者の狙いではなかったろう。ともあれ、よい受賞作をえた、と嬉しかった。」
井上ひさし
男73歳
42 「よく企まれた恋愛小説ではあるが、評者には退屈だった。あんまり話がなさすぎる。」「けれども、ここで実現された九州方言による対話は、これまでに類を見ないほど、すばらしいものだった。これほど美しく、たのしく、雄弁な九州方言に、これまでお目にかかったことがあっただろうか。」「最終投票で、評者は、この九州方言による対話に票を投じた。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年9月号
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文量
長篇
章立て
「三月」「四月」「五月」「六月」「七月」「八月」「九月」「十月」「十一月」「十二月」「一月」「二月」「四月」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある島~東京
登場人物
私(語り手、麻生セイ、小学校の養護教諭、元・診療所の娘)
麻生陽介(私の夫、画家)
石和聡(小学校に赴任してきた教諭)
月江(小学校教諭、私の友人)
しずか(一人暮らしの老婆)
本土さん(月江の愛人、東京在、既婚者)




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