直木賞のすべて
第113回
  • =受賞者=
  • 赤瀬川 隼
受賞作家の群像 トップページ
直木賞・芥川賞受賞作一覧
受賞作・候補作一覧
候補作家の群像
選考委員の群像
選評の概要
小研究
大衆選考会
マップ

受賞作家の一覧へ
前の回へ後の回へ
Last Update[H27]2015/1/27

赤瀬川隼
Akasegawa Shun
生没年月日【注】 昭和6年/1931年11月5日~平成27年/2015年1月26日
受賞年齢 63歳8ヵ月
経歴 本名=赤瀬川隼彦。三重県生まれ。大分第一高校卒。弟に芥川賞受賞作家の尾辻克彦(赤瀬川原平)がいる。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第88回直木賞(昭和57年/1982年下期)「捕手はまだか」
  • 第4回吉川英治文学新人賞(昭和57年/1982年度)『球は転々宇宙間』
  • |候補| 第90回直木賞(昭和58年/1983年下期)「潮もかなひぬ」
  • |候補| 第92回直木賞(昭和59年/1984年下期)「影のプレーヤー」
  • |候補| 第98回直木賞(昭和62年/1987年下期)「オールド・ルーキー」「梶川一行の犯罪」「それぞれの球譜」
  • 第113回直木賞(平成7年/1995年上期)『白球残映』
処女作 『球は転々宇宙間』(昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊)
サイト内リンク 小研究-記録(高齢受賞)
直木賞受賞作全作読破への道Part2
備考
  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



たま てんてんうちゅうかん
球は 転々宇宙間』(昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊)
書誌
>>書下ろし
>>昭和59年/1984年9月・文藝春秋/文春文庫『球は転々宇宙間』
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他文学賞 吉川英治文学新人賞 4受賞 一覧へ
候補者 赤瀬川隼 男51歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男48歳
6 「素直で、平明で、それでいて質の良い文章でなされた社会批評小説である。社会の構造を小説の構造に移しかえる腕力に凄みがある。」
尾崎秀樹
男54歳
11 「単なる野球小説の次元をこえて、未来小説、政治小説、ユートピア小説としても読め、現代文明論になっているところに、作者の稀有な才能が感じられる。」
佐野洋
男54歳
16 「今回の候補作では(引用者中略)群を抜いて優れていると思った。」「突拍子もないアイデア、自由な構成力など、優れた点がいくつもあるものの、それらによりかかり、余りにも都合よく話を進めて行く姿勢に、一抹の不安を感じたのだ。だが、その後いくつか発表されたこの作者の短編を読み、その実力が並々ならぬものであり、人間観察の目にもしたたかさがあることを知った。」
野坂昭如
男52歳
10 「第一位に推した。これは吉川さんが、読まれたならば、手をうっておよろこびになる作品だろうし、また吉川さんを離れて考えても、よく出来た小説である。」
半村良
男49歳
6 「ことさら言うまでもない。委員の一人である井上ひさし氏に――あなたの作品じゃないかと思った――と冗談を言ったところ、他の委員からも笑い声があったところを見ると、私の印象と同じものをみなさん受けておられたようだ。」
選評出典:『群像』昭和58年/1983年5月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



直木賞 第88回候補  一覧へ

キャッチャー
捕手はまだか」(『別冊文藝春秋』161号[昭和57年/1982年10月])
媒体・作品情報
誌名 「別册文藝春秋」  別表記表紙・目次 「別册文藝春秋」 奥付 「別冊文藝春秋」
巻号 第161号  別表記161特別号
作品名 別表記 目次・本文 ルビ有り「キャッチャー」
印刷/発行年月日 発行 昭和57年/1982年10月1日
発行者等 編集兼発行人 阿部達児 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 442 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 352~386
(計35頁)
測定枚数 105
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>『オール讀物』昭和58年/1983年4月号
>>昭和60年/1985年1月・文藝春秋刊『影のプレーヤー』所収
>>昭和62年/1987年12月・文藝春秋/文春文庫『捕手はまだか』所収
>>平成6年/1994年1月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館 第五一巻 大分』所収
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 赤瀬川隼 男51歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男48歳
33 「文章は平明な上に心象を捕まえる力が強く、しかも一人よがりの飾りもなく、一等賞だと思います。」「作者の世代にとって野球と平等主義とは一対をなすものであったにちがいなく、たとえ片腕を失おうとも、このゲームの善き平等主義をどこかで支えようという意地は失っていないぞ、と低い声でであるが、たしかにうたっているところに、さわやかな感動をおぼえました。」
源氏鶏太
男70歳
13 「私は、終始、好感をもって読んだのだが、最後の最も感動的な場面が、ちょっと弱いように思われた。」
池波正太郎
男59歳
24 「この作は、先ず何よりも後味がよかった。」「登場人物が、まったくの創作であることを、はじめに打ちあけていながら、読みはじめると、たちまちにひきつけられたのは、フィクションの人物と人生に〔小説としての真実〕があるからだ。」「最後に票が分散して授賞とはならなかった」
城山三郎
男55歳
11 「野球の進行につれて、さまざまな人生が浮きぼりにされてくるさまが「舞踏会の手帖」を思わせた。作者は省くことの効果を知っており、読み手を一気にひっぱって行く力があり、後味もよかった。ただ赤峰という男の出し方に、わたしはやや不自然さを感じた。」
阿川弘之
男62歳
0  
山口瞳
男56歳
5 「わかりやすい好感の持てる小説であるが、それだけに、もうひとヒネリないと受賞作としては寸が足りない。」
五木寛之
男50歳
12 「私の見るところで、この後もますます力のある作品を続けて発表してくれそうな予感をおぼえさせるのは、赤瀬川氏と、連城三紀彦氏の二人かもしれない。」
村上元三
男72歳
5 「読後感は快いが、これがなぜ「天山」と同じ票を集めたのか、読み返してもわからない。直木賞の作品ではない、と今でも考えている。」
水上勉
男63歳
13 「仕上りの心地よさがつたわる好短篇だった。」「野球をあまり知らない私も、ひっぱられた。こんな一日の連帯を作者はその心奥で創ってみせたのである。ここには人生があった。」
選評出典:『オール讀物』昭和58年/1983年4月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
短篇
章立て
「1」~「3」
時代設定 場所設定
同時代  別府~広島~東京等
登場人物
木谷繁生(音響映像機器メーカー広報室長、元・大分中学野球部主将)
赤峰孝一(地方回りの画商、元・同野球部捕手)
落合圭太(元・同野球部補欠、無職で借金持ち)
賀来八郎(元・同野球部遊撃手、離婚後やもめ)




直木賞 第90回候補  一覧へ

しお
潮もかなひぬ」(『別冊文藝春秋』165号[昭和58年/1983年10月])
媒体・作品情報
誌名 「別册文藝春秋」  別表記表紙・背・目次・奥付 「別册文藝春秋」 裏表紙 「別冊 文藝春秋」
巻号 第165号  別表記第165特別号
印刷/発行年月日 発行 昭和58年/1983年10月1日
発行者等 編集兼発行人 阿部達児 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 458 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×25行
×2段
本文ページ 202~248
(計47頁)
測定枚数 142
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>昭和60年/1985年6月・文藝春秋刊『潮もかなひぬ』/長篇化にあたり全面改稿
>>昭和63年/1988年8月・文藝春秋/文春文庫『潮もかなひぬ』/長篇化にあたり全面改稿
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 赤瀬川隼 男52歳
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男60歳
0  
源氏鶏太
男71歳
5 「万葉集と朝鮮語の関係についての説明が果して本当なのかとの疑問を最後まで拭い得なかった。」
村上元三
男73歳
5 「万葉仮名をハングルに直すと、こうも意味が変るという点に、もっと説得力のある立証をしてもらいたかった。」
五木寛之
男51歳
13 「口惜しい小説だった。私はもともとこういう発想が大好きなたちであるから、折角の物語を自分ならこう書いたのに、と残念に思ったりもした。」「サンスクリットで万葉古語を読むという本を読んだ直後だったので、ことに興味ぶかく読んだ。」
水上勉
男64歳
4 「前回のあのみずみずしさが欠けた。この人には、ずばぬけた作品がうまれる日は近かろう、と思う。」
山口瞳
男57歳
6 「多津子という女性に艶がない。しかし、なんとも好感の持てる作家であって、このまま進めば必ず壁を突き破るはずだと信じている。」
井上ひさし
男49歳
13 「今回の題材は、この枚数で支えるには巨きすぎたかもしれない。そこで作者の美点がそれぞれ幾分かずつ損われてしまったのではないか。とにかくこれは凄い題材ではある。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年4月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
短篇
章立て
「一」~「四」
時代設定 場所設定
同時代  東京~韓国~軽井沢~神奈川~奈良
登場人物
笹木一成(スポーツ誌のルポライター)
荒巻田津子(笹木の妹の旧友)
荒巻潮(田津子の祖父、商社マン、万葉集の素人研究家、昭和19年没)




直木賞 第92回候補  一覧へ

かげ
影のプレーヤー」(『別冊文藝春秋』168号[昭和59年/1984年7月])
媒体・作品情報
誌名 「別册文藝春秋」
巻号 第168号  別表記168特別号
印刷/発行年月日 発行 昭和59年/1984年7月1日
発行者等 編集兼発行人 阿部達児 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 458 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 141~179
(計39頁)
測定枚数 115
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>昭和60年/1985年1月・文藝春秋刊『影のプレーヤー』所収
>>『オール讀物』昭和60年/1985年4月号
>>昭和62年/1987年12月・文藝春秋/文春文庫『捕手はまだか』所収
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 赤瀬川隼 男53歳
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男58歳
8 「高度な野球小説であるが、直木賞受賞作としてのハナに乏しかった。これも残念。」
池波正太郎
男61歳
21 「群を抜いており、私は、この一本にしぼって選考の席へ出た。」「百枚の枚数の中に過不足なく主人公の人生が描かれており、読後の爽快感は、まぎれもなく直木賞のものだし、これまでの、赤瀬川さんの候補作の中では、もっともよかったと私はおもう。」
渡辺淳一
男51歳
9 「頭で計算された小説である。むろん理が目立たぬよう巧みにおさえられてはいるが、思いつきで書く小説の弱さは否定しがたい。」
井上ひさし
男50歳
46 「審判たちはそのへんのスター選手など及びもつかない起伏に富んだ人生経験を持っているが、その人生経験がゲームの展開へ微妙な影を落すことを、作者はきびきびした文体でみごとに表現している。」「野球という国民的ゲームを新しい視座から見ようとする冒険がある。」「内容、型式、文体、三拍子そろった傑作である。」
源氏鶏太
男72歳
23 「読んでいて、実にたのしかった。」「この人は、すでに自分の文体を持っているように思われた。が、この作品で直木賞となると、さて、とためらわせられる。要するに、私に、花がこの作品から感じられなかったということであろうか。」
水上勉
男65歳
19 「野球に縁のない私などまでひきずってゆく話のはこびは堂に入っており、文章が大人で、わかりやすくて、てらいがない。」「さてこれが授賞作か、とつめられると、はねとばす力のようなものが少し足りない。」
黒岩重吾
男60歳
18 「野球に頼り過ぎているせいか、作者が気負っている割には感動を受けなかった。」「私が普遍性を感じない、と述べると水上委員が、普遍性はある、といわれた。私は帰宅して今一度読み返したが、矢張り普遍性は感じなかった。」
村上元三
男74歳
7 「読んでいるあいだも面白くて、読後感も爽やかなのに、さてこれを、と考えると、やはり物足りない。賞に価する一本筋の通った力強さに欠けている。」
五木寛之
男52歳
8 「まるで意見が対立し、結局、一作を選ぶところまではいかなかった。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年4月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
短篇
章立て
「1」~「3」
時代設定 場所設定
同時代  東京~甲子園~長崎等
登場人物
脇村止男(セリーグ審判員、佐世保出身)
脇村奈津(止男の妻)
脇村透(止男の息子、小学生)
桑門弘志(タイガース捕手、脇村と同郷出身)




直木賞 第98回候補  一覧へ

かじかわいっこう はんざい きゅうふ
「オールド・ルーキー」「 梶川一行の 犯罪」「それぞれの 球譜」
(昭和62年/1987年8月・文藝春秋刊『梶川一行の犯罪』より)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 昭和62年/1987年8月20日(第1刷)
発行者等 発行者 西永達夫 印刷 大日本印刷 製本 矢嶋製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 並製
装幀/装画等 装幀 峰岸達
総ページ数 309 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ
  • 5~45
  • 111~186
  • 187~228
(計159頁)
測定枚数 269
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>平成7年/1995年6月・文藝春秋/文春文庫『深夜球場』所収
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
収録作品の書誌
オールド・ルーキー
>>初出『オール讀物』昭和61年/1986年6月号
梶川一行の犯罪
>>初出『別冊文藝春秋』177号[昭和61年/1986年10月]
それぞれの球譜
>>初出『オール讀物』昭和62年/1987年4月号
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の収録作品
「深夜球場」(『オール讀物』昭和62年/1987年1月号)
「K・T・」(『オール讀物』昭和58年/1983年7月号)
「デザートはリンゴ」(『ミステリマガジン』昭和62年/1987年5月号)
 
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 赤瀬川隼 男56歳
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男61歳
11 「赤瀬川さんならこれくらい書けて当然で、今回は題材に恵まれなかった。運不運もあるのだが、どうしても書きたいというテーマに取り組んでもらいたい。」
黒岩重吾
男63歳
31 「私は前二作(引用者注:「オールド・ルーキー」「梶川一行の犯罪」)に感銘を受けた。」「(引用者注:「オールド・ルーキー」の)テーマで受けた読後の爽快感は氏の才能の所産であろう。」「「梶川一行の犯罪」は、野球という夢を通して生きて行く男の影とロマンの一体化に魅力がある。」「受賞作の価値はあると今でも考えているが阿部氏との得点差が離れ過ぎていた。」
村上元三
男77歳
7 「野球がわからないわたしなので(引用者中略)興味が半減していた。作者の責任ではないが、野球に熱中できない選考委員もいる、と考えてほしい。」
陳舜臣
男63歳
12 「有能で安定した作家であり、人生の断片をさりげなく切り取ってみせる技は、心憎いばかりである。ただつっこむ直前に踏みとどまるかんじがする。それはそれであざやかなフォームだが、強さがあらわれにくいのではあるまいか。」
藤沢周平
男60歳
21 「「オールド・ルーキー」に感服した。全体に会話のテンポがよく、プロ野球の表裏に通じた作者の眼によって、大人の小説の雰囲気をそなえた佳篇になっている。」「野球選手本庄雄太を通して、人生とはあるいは人間とは何かを問いつめる結果になっていて、野球小説もここまで来るときわめて質の高いものになった。」「しかしほかの二篇は、(引用者中略)かなり見劣りするように思われた。」
平岩弓枝
女55歳
11 「いい作品だと思いました。特に私は「オールド・ルーキー」が好きで、もしかすると阿部牧郎さんの「それぞれの終楽章」と共に受賞するのではないかと思っていましたが、点が集まりませんでした。」
井上ひさし
男53歳
12 「(引用者注:「それぞれの終楽章」「オールド・ルーキー」「幽霊記」のうち)どれが受賞しても妥当であると考えた。」「低くて謙虚な姿勢から諧謔をまじえて実人生をとらえる作風はかねてから傾倒するところ」
田辺聖子
女59歳
24 「ことに私は「梶原一行の犯罪」に魅力を感じた。野球に賭ける男の夢、などというのは、女の認識の埒外であるのに、私にはとても面白くよくわかった。それでいて、ほかの作品に目移りする、というのは、これはどういうことであろうか、破綻のなさが却って力を弱めるのであろうか、いや、小説というのは、(引用者中略)ほかの小説と並べて比較したとき、時々刻々に味が変り、色を変ずるところがある。」
渡辺淳一
男54歳
23 「三作ともほどよい仕上りである。しかしほどよい(原文傍点)という意味のなかには、甘さと調子のよさもある。なによりも気になるのは、人物を安易に動かしすぎることである。」「とくに不満なのは、男女が深い関係にいたる最も難しい部分を、すべて省略して話をすすめることである。安易な虚構の乱発が、かえって小説のリアリティを薄めてしまう。」
五木寛之
男55歳
11 「爽やかさの背後には、現実の苦さを知りつくした上で、なお小説を人生を慰藉するものにとどめようという、大人の抑制を感じる。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
短篇〔3篇〕
オールド・ルーキー
章立て
「一」~「三」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
本庄雄太(ケガ上がりのプロ野球選手)
南条寿美子(出版社勤務)
梶川一行の犯罪
章立て
「一」~「三」
時代設定 場所設定
[同時代]  川崎~東京
登場人物
立花虎生(健康器具販売員、妻と別居中)
梶川一行(野球通、「知休荘」住人)
古庄一馬(通称・権兵衛、退役軍人で「知休荘」管理人)
それぞれの球譜
章立て
「一」~「四」
時代設定 場所設定
[同時代]~太平洋戦争戦中~戦後  東京~小倉
登場人物
久米正三(食品問屋の専務)
矢川行雄(久米の旧友)
北川志津子(久米の昔の同級生、矢川の妻)




直木賞 第113受賞  一覧へ

はっきゅうざんえい
白球残映』(平成7年/1995年5月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成7年/1995年5月25日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成7年/1995年7月30日(第2刷)
発行者等 発行者 湯川 豊 印刷 精興社 製本 大口製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装画 北村 治 装幀 坂田政則
総ページ数 257 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ 5~253
(計249頁)
測定枚数 417
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
書誌
>>平成10年/1998年5月・文藝春秋/文春文庫『白球残映』
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
収録作品の書誌
ほとほと……
>>初出『別冊文藝春秋』171号特別号[昭和60年/1985年4月]
夜行列車
>>初出『オール讀物』昭和60年/1985年7月号
>>『オール讀物』平成7年/1995年9月号
陽炎球場
>>初出『オール讀物』平成6年/1994年5月号
>>『オール讀物』平成7年/1995年9月号
春の挽歌
>>初出『オール讀物』平成5年/1993年4月号
>>『オール讀物』平成7年/1995年9月号
消えたエース
>>書き下ろし
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 赤瀬川隼 男63歳
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男68歳
31 「「思いが深ければ誰にでも良い文章が書けるはずです」と言ったのは向田邦子さんである。(引用者中略)この発言を実証してくれた小説(文章)が短篇集『白球残映』のなかの「陽炎球場」であるような気がして仕方がない。」「私は「陽炎球場」があるので『白球残映』の赤瀬川さんだけを強く推した。」
渡辺淳一
男61歳
24 「「夜行列車」と「陽炎球場」がそれなりの出来で、文章も繊細だが、全体に負の人物に甘えすぎて、感傷に流れすぎる傾向がある。むろんそれをよしとする人はいるだろうが、そうしたつくりの裏側が見えてくると、興醒めすることもある。作中、最も新しい作品といわれる「消えたエース」が最も見劣りしたのも、気にかかるところであった。」
平岩弓枝
女63歳
18 「(引用者注:「百面相」と「白球残映」を)推した。」「第九十回の直木賞候補作品であった「潮もかなひぬ」が長いこと心に残っていた。」「ただし、私自身は野球に知識がなく、この作品の芯にある狂的な野球に対する熱情が実感出来なかったのは口惜しかった。」
津本陽
男66歳
10 「五つの短篇のうち「陽炎球場」「夜行列車」などが好きな作品である。酸っぱい含羞の味わいをたたえた作者の感情が、音をたて流露する。読んでいる私の内部に、喚起されるいくつもの記憶がある。人生の諸相のひとつにつながるひろがりがみちびきだす酸味であろう。」
田辺聖子
女67歳
41 「「ほとほと……」「夜行列車」は好短篇と思い、更に「陽炎球場」は野球オンチの心なき身にも共感できる味わいがある。」「「消えたエース」は作為が目立ち、味噌の味噌くさきに似て、小説的工夫のひねりがちょっと過ぎたかんじ、やや、あざとい。」「私は文学賞の選考委員資格に性差はないと思っているが、ただ、こと野球に関してはどうかな、と思ってしまった。」
黒岩重吾
男71歳
24 「とくに惹かれたのは「陽炎球場」だった。この一篇が存在したことは、私にとって救いといって良い。(引用者中略)秀作である。」「他の作品は標準作だが、「消えたエース」は話を都合良く作り過ぎている。」「本にするために安易な作品を書くことは避けるべきであろう。」
阿刀田高
男60歳
14 「なによりも行間に含みのある精緻な文章を評価したいと思った。」「「ほとほと……」は万葉集の歌と、稚拙な恋とがうまく呼応して味わいが深い。」「「陽炎球場」は、ベースボールがどれほど美しいドリームであったか、あらためて懐しさを覚えさせてくれた。」
井上ひさし
男60歳
28 「氏のすぐれた資質がよくあらわれている。すなわち、行儀よく均整のとれた物語をつくる技量、それを支える良質の文章。中でも「陽炎球場」は、氏のもう一つの長所である無垢で軽やかな幻想性を散りばめながらひときわまぶしく光っている。(引用者中略)これは名作だ。」
五木寛之
男62歳
31 「私は後半三つの野球小説よりも、学生時代を描いた前半二作品につよく惹かれるところがあった。ことに『夜行列車』の背景をなしている時代相の描写に、胸をしめつけられるような感慨をおぼえたものだ。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
短篇集〔5篇〕
ほとほと……
章立て
「一」~「五」
時代設定 場所設定
太平洋戦争戦後  門司
登場人物
尾形雄介(貧乏中学生)
原口恵子(雄介の4歳違いの叔母)
夜行列車
章立て
「一」~「四」
時代設定 場所設定
昭和20年代  東京
登場人物
ぼく(語り手、鬼塚未明、受験生)
野際日出子(銀行員、ぼくの恋人)
陽炎球場
章立て
「一」~「三」
時代設定 場所設定
[同時代]  地方球場~大阪
登場人物
今泉善雄(製鉄会社総務部)
村沢雄一郎(今泉の友人、プロ野球選手)
春の挽歌
章立て
「一」~「四」
時代設定 場所設定
[同時代]~太平洋戦争戦前  [東京~大分]
登場人物
修一(喪主)
今西一成(修一の父親、元・国鉄マンで野球愛好者、故人)
消えたエース
章立て
「一」~「五」
時代設定 場所設定
[同時代]  香川県~東京~能登
登場人物
わたし(語り手、清家鎮夫、元スポーツ記者)
春名大五(元プロ野球投手、板前)




ページの先頭へ

トップページ直木賞・芥川賞受賞作一覧受賞作・候補作一覧候補作家の群像選考委員の群像
選評の概要小研究大衆選考会マップ || 受賞作家の一覧へ前の回へ次の回へ