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第113回
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Last Update[H26]2014/6/22

梁石日
Yan Sogiru
生没年月日【注】 昭和11年/1936年8月13日~
経歴 本名=梁正雄(ヤン・ジョンウ)。大阪府大阪市猪飼野生まれ。済州島出身。大阪府立高津高校定時制卒。事業失敗後、各地を放浪。タクシードライバーなど多くの職に就く。ノンフィクション『タクシードライバー日誌』は、映画『月はどっちに出ている』の原作となり、話題に。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第12回日本ノンフィクション賞(昭和60年/1985年)『タクシードライバー日誌』
  • 第16回青丘文化賞(平成2年/1990年)
  • |候補| 第113回直木賞(平成7年/1995年上期)『夜を賭けて』
  • 第11回山本周五郎賞(平成9年/1997年度)『血と骨』
  • |候補| 第119回直木賞(平成10年/1998年上期)『血と骨』
備考
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直木賞 第113回候補  一覧へ

よる
夜を 賭けて』(平成6年/1994年12月・日本放送出版協会刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成6年/1994年12月20日(第1刷)
発行者等 印刷 太平印刷社/大熊整美堂 製本 石津製本
発行所 発行 日本放送出版協会(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 川畑博昭
総ページ数 418 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
45字
×19行
×1段
本文ページ 7~417
(計411頁)
測定枚数 792
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書誌
>>書下ろし
>>平成9年/1997年4月・幻冬舎/幻冬舎文庫『夜を賭けて』
>>平成18年/2006年6月・勉誠出版刊『〈在日〉文学全集 第7巻 梁石日』所収
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候補者 梁石日 男58歳
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男68歳
16 「大変な労作であり教えられるところも多かったが、あまりに面白すぎてかえって平板になるところがあった。」「私はどこという指摘ができないが、この小説には「小説以前」という感じがあって、どこかに隙間がある。」
渡辺淳一
男61歳
35 「候補作中でただ一つ、作者が熱く訴えたいものをもっていて、その気迫に惹きこまれた。しかし欠点も多く、まず文章が荒いが、その荒さが重層的に連ねられると別の効果が生じ、前半の冗長さと後半の駆け足の構成の乱れも、初めて知らされる事実の前には、さほどの傷とも思えない。」「ドキュメンタリーやレポート的な面白さで、そこを咀嚼した上でのものかとなると、いささか疑問が生じてくる。」
平岩弓枝
女63歳
16 「前大半のアパッチ族事件と大村収容所の部分、更に最後の作者らしい人物が登場する現代の部分とが、ばらばらになっていて、一本の作品として熟成されていないのが難になった。」「しかし、力強さと人間の厚みを描いた点では今回の候補作の中でとび抜けている。」
津本陽
男66歳
29 「細部に実感があり、あがったり、さがったりをくりかえす内容を、むさぼるように味わった。」「だが美味を楽しんだのは、アパッチ族の終末までであった。そのあとは、どうも別の話になっているような印象をうけた。」「導入部から中盤へかけてのいきおいを終末へ一気になだれこみ、余韻をひくような仕上がりにできないものであろうか。」
田辺聖子
女67歳
16 「生々たる膂力、庶民の発動する生命力から生れる哄笑。元気のいい、面白い小説だった。」「荒削りだが、私はそこを愛する。しかし作品自体が賞を寄せつけないような、不羈奔放なところがあり、賞と相性が悪いとしか、いいようがない。」
黒岩重吾
男71歳
17 「人間の熱気が溢れている。」「本作品に賭けた作者の意気込みは理解出来るが、読後の感動は薄かった。作者は溢れる思いを小説に叩きつけたのだが抑制力がない。故に熱気と熱気がぶつかり合っても炎にならずにお互いを消してしまった。残念である。」
阿刀田高
男60歳
21 「あらっぽい作りの作品である。」「小説を描く視点にも不適当が見られる。が、もう一度読み返し、さらに他の作品と比べてみると、骨太の魅力がある。」「――この作家は、明確に訴えたいものを持っている――」「その情熱に拍手を送りたくなった。」「受賞に至らなかったのは、作品として、もう一つ、仕上げの丁寧さを欠いていたからだろう。」
井上ひさし
男60歳
25 「大村収容所送りになる金を命がけで待つ女、初子がすばらしい。」「読者は、漢語を数多く駆使した独特の文体に最初のうちはてこずるが、先へ進むにつれて、そのごつごつした文体が金と初子の運命を描くのに最適であったことを理解する。」「『白球残映』とともに受賞に値すると考えて選考の席に臨んだ」
五木寛之
男62歳
37 「異色の候補作だった。こういう作品が受賞すれば、直木賞のイメージも大きく変るかもしれないと思って一票を投じたのだ。この長篇には、何かを書かずにはいられないという、つよい衝動がみなぎっている。その粗削りなエネルギーこそ最近の小説に欠けている大事なものだろう。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号
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文量
長篇
章立て
「第一部」【「一」~「八」】「第二部」【「九」~「十三」】
時代設定 場所設定
昭和30年/1955年前後~[同時代]  大阪~長崎県
登場人物
金義夫(在日朝鮮人、偉太夫)
初子(飲み屋手伝い、義夫を片思い)
張有真(義夫の友人)
申大起(有真の義兄、集落のボス的存在)
金聖哲(詩人)
ヤン婆さん(初子の親類、飲み屋経営)
高山健一(服役後に集落に帰郷)




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ほね
血と 骨』(平成10年/1998年2月・幻冬舎刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成10年/1998年2月10日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成10年/1998年3月2日(第8刷)
発行者等 発行者 見城 徹 印刷・製本所 中央精版印刷株式会社
発行所 株式会社幻冬舎(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 菊地信義 装画 斎藤 隆
総ページ数 513 表記上の枚数 奥付前頁 1368枚 基本の文字組
(1ページ当り)
25字
×21行
×2段
本文ページ 3~513
(計511頁)
測定枚数 1337
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書誌
>>初出『サンサーラ』平成8年/1996年7月号~平成9年/1997年4月号/単行本化にあたり大幅加筆訂正
>>平成13年/2001年4月・幻冬舎/幻冬舎文庫『血と骨』(上)(下)
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候補者 梁石日 男61歳
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子
女70歳
19 「はじめは金俊平という主人公に共感をおぼえさせられるが、次第に、獰猛な野獣の如き、人間ばなれした彼に、読者は心がはなれてゆく。しかしその無法ぶりもまた、小説的興味ではある。」「ワンパターンの最近の小説群の中ではひときわ異色の、不逞な面構えの小説である。」「男の子(原文傍点)の読む小説だなあ、と思いながら、しかし読後感は〈憎めない〉というもの。」
阿刀田高
男63歳
20 「技法的には弱点もあり、相当にあらっぽい作品である。ただ、途方もない主人公をあますところなく描いて、読む者をぐんぐん引き込んでいく。その迫力、そのすさまじさ。」「力作ではあったが、すでに他の賞を受けているという事情もあって、受賞作に一歩譲ることとなった。」
黒岩重吾
男74歳
30 「日本人によって差別された人達の憤りと苦しみ、悲しみは読者の胸を衝く。」「私は、金俊平の暴力が余りにも凄まじ過ぎるが故に、作者はその人物像をやや把握しかねているようにも思えた。」「成漢の父に対する憎悪には息を呑む。」「ただ、すでに山本周五郎賞を受賞している上での直木賞ということになると、受賞圏内ではあるが、やや平面的な仕上がりが気になった。」
津本陽
男69歳
17 「怒濤のとどろきのような、有無をいわせないで押し寄せてくる筆力には、感心する。」「凶暴で魅力ある男の典型をえがきだした筆者が、多くの読者に迎えられる理由は、この作品を読めば分る。」「父を憎みつつ、わが原型をそこに見る息子の、ほとばしる愛情がなお書きこまれておれば、一段の説得力を増したのではないか。」
平岩弓枝
女66歳
8 「文章、構成ともに荒い。荒々しさは、時にエネルギーと解釈されるが、適度に抑制のきいた文章、しっかりした土台をふまえた構成力は、小説の必須条件で、力にまかせて長々と書けばよいというものではない。」
渡辺淳一
男64歳
15 「大変な力わざではあるが、全面、厚塗りの油絵を見るようで、読むうちにむしろ平板化し、退屈してくる。なによりも不満なのは、金俊平が老いて弱っていく部分があっさりしすぎていることで、死にいたるまで刻明に描くべきではなかったか。」
五木寛之
男65歳
21 「私は梁、車谷、両氏の二作受賞を提案した」「荒けずりな文章がむしろ効果的といっていいような骨太の物語である。」「この作家の会心の力作と言っていいだろう。いかに才能ある書き手にしても、そうちょくちょく書ける作品ではあるまいと思われるだけに、今回の受賞を逸したことは惜しまれる。」
井上ひさし
男63歳
20 「リチャード三世とリア王を合わせたような神話的人物を創造し得た傑作である。」「瑕は多いのだが、それでもとにかく、金俊平という途方もない巨人をみごとに出現させ、十二分に生きさせ、そして完膚なきまでに老いぼれさせたところは、一つの文学的偉業であった」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号
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他文学賞 山本周五郎賞 11受賞 一覧へ
候補者 梁石日 男61歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男63歳
27 4.5点「主人公はとても好きになれない人物ですけど、こういう父親を書くことによって、(引用者中略)人間とは何かという問題を提示している、」「小説技法的には弱点がずいぶんあると思いますけれども、それを言う小説じゃないというのは、逢坂さんとまったく同意見です。」
井上ひさし
男63歳
46 5点「欠点がめちゃくちゃに多い作品です。」「そういうたくさんの欠点をふっ飛ばす大きな力があります。主人公に人間の運命というものがくっきりと刻み込まれている。」「読む者をぐいぐいと引っ張っていく不思議な、しかし原初的な力があります。」「たとえ小説技法が下手でも、いい小説は成立するという真理が確立したような気がします。」
逢坂剛
男54歳
53 4点「どういう観点から分析し評価するかで、点数が変わってくるだろうと思うんです。」「全然退屈させない、これほどの力と、エネルギーを感じさせる作品というのは、そうはないわけですね。」「一番生々しく書けているお父さんが、小説的な人物として昇華しきれていないところに、不満が残ります。」「この作品を書いたあとどういう方向へ進むのか、見えにくいという不安もあります。」
長部日出雄
男63歳
40 5点「日本語でこれほど強烈極まりない人間像が描かれたのは初めてじゃないでしょうか。」「私もこの主人公は神話的人物、神話的原型であると思いました。」「日本語で書かれた世界文学の誕生と言ってもいいんじゃないでしょうか。」
山田太一
男63歳
35 4.5点「フィクションの面白さと、作者らしい人物の幼年期の日常の思い出などが盛り込まれて未整理という印象があり、(引用者中略)小説でなくノンフィクションで書かれたほうがよかったんじゃないかなと思いました。」「北朝鮮を最後に信じて行くところなんか悲しくて、とてもいいし、凄い作品だとは思います。」「これだけの素材をガンと出されれば、たいていの小説はふっ飛んでしまう。」
選評出典:『小説新潮』平成10年/1998年7月号
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文量
長篇
章立て
「1」~「26」
時代設定 場所設定
昭和初期~昭和50年代  大阪~東京~岡山など
登場人物
金俊平(済州島出身の朝鮮人、蒲鉾職人)
成漢(金俊平の息子)
高信義(金俊平の同郷人・友人)
英姫(飲み屋の女主人、金俊平の妻)
八重(飛田遊郭の遊女)
明実(高信義の妻)
春美(英姫の連れ子)
韓容仁(春美の夫、在日韓国人組織の青年幹部)
山梨清子(金俊平の妾、脳腫瘍患者)
鳥谷定子(金俊平の妾)




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