直木賞のすべて
第142回
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Last Update[H28]2016/11/2

佐々木譲
Sasaki Jo
生没年月日【注】 昭和25年/1950年3月16日~
受賞年齢 59歳9ヵ月
経歴 本名=佐々木譲(ササキ・ユズル)。北海道夕張市生まれ。札幌月寒高校卒。本田技研入社。「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞受賞。その後退社し作家に。
受賞歴・候補歴
処女作 「鉄騎兵、跳んだ」(『オール讀物』昭和54年/1979年)
サイト内リンク 小研究-記録(高齢受賞)
小研究-ミステリーと直木賞
リンク集
備考
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直木賞 第100回候補  一覧へ

ひこうしれい
『ベルリン 飛行指令』(昭和63年/1988年10月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「ひこうしれい」
印刷/発行年月日 発行 昭和63年/1988年10月25日
測定媒体発行年月日 発行 平成2年/1990年7月30日(10刷)
発行者等 発行者 佐藤亮一 印刷所 株式会社光邦 製本所 加藤製本株式会社
発行所 株式会社新潮社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 平野甲賀 装画 滝野晴夫
総ページ数 338 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
25字
×21行
×2段
本文ページ 5~338
(計334頁)
測定枚数 865
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書誌
>>平成5年/1993年1月・新潮社/新潮文庫『ベルリン飛行指令』
>>平成28年/2016年2月・集英社刊『冒険の森へ 傑作小説大全13』所収
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候補者 佐々木譲 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子
女60歳
15 「私は実に楽しく拝見した。手に汗にぎる冒険ロマンであるが、その背後にアジア近代史が点描されていて、よくできたエンターテインメント文学といえると思った。」「しかしゼロ戦の知識のない私には、事実関係の誤認を他委員に指摘されると、そこはよくわからないので、推す力が弱まるのは残念であった。」
黒岩重吾
男64歳
0  
陳舜臣
男64歳
8 「冒険小説として、景山民夫氏の『虎口からの脱出』を超えることができなかった」
村上元三
男78歳
14 「冒頭から、この話には引きこまれる。真偽は読んでいるうちにわかる、と思いながら最後まで読み続けた。」「エピローグを読んで落胆した。ミステリー長編というのは、こういう落し穴をどうして作るのだろうか。」
藤沢周平
男61歳
14 「途中でやや退屈する難点があるものの、小説的な構成にすぐれ、受賞圏内の力を持つ作品だった。ことに感服したのは、クレバー(頭のいい)な平明さとでも名づけたい文章で、ここにこの作者の本来の資質のよさが光っていた。しかし肝心の零戦のベルリン行きに疑いがあるという意見が出されてみると、強く推すこともためらわれた。」
山口瞳
男62歳
0  
平岩弓枝
女56歳
15 「一番、面白く読んだ。」「飛ぶまでを書く紙数が多すぎて、飛んでからがあっけなかったという指摘があり、私も多少、同感だったが、飛行機というのは飛び立ってしまえば速いのだから仕方がないと弁護したくなるくらい、楽しい作品と思ったが、票が集まらなかった。」
井上ひさし
男54歳
9 「近代史の中へ想像力の楔をどれだけ深く、かつ巧みに打ち込むかという冒険であった。」「「とにかく読み手を楽しませなければならぬ」という苛酷な条件の下で試みられた(引用者中略)冒険や実験に評者はまず脱帽し低頭する。」
五木寛之
男56歳
7 「雄大な構想の男性的長篇で、その小説の方向には最も興味をおぼえた作品だ。惜しむらくは省略の工夫に欠ける。この半分の長さでいいと思った。」
渡辺淳一
男55歳
21 「事実関係は一応よく調べられているが、推理小説として読むと先が割れているし、冒険小説として読むとさほどの緊迫感はない。なによりも零戦野郎とでもいうべき主人公の、マニアックな思い入れが伝わってこないところが、この作品を味の薄いものにしている。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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文量
長篇
章立て
「著者前書き」「第一部」【「1」~「5」】「第二部」【「1」~「35」】「第三部」【「1」~「22」】「エピローグ」
時代設定 場所設定
1960年代~1940年  ドイツ・ベルリン~上海~東京~横浜~東ベンガル~トルコ~ドイツなど
登場人物
安藤啓一(海軍大尉)
乾恭平(海軍一等航空兵曹)
山脇順三(海軍省書記官)
大貫誠志郎(海軍省副官)
ガジュ・シン(インド西部の藩王)
柴田亮二郎(陸軍情報将校、東亜対策要員)
安藤真理子(啓一の妹)
由紀(横浜のシンガー)
ゲルハルト・グラーフ(空軍省副官、少佐)
浅野敏彦(ホンダF1チーム・マネージャー)





はつきんきゅうでん
『エトロフ 発緊急電』(平成1年/1989年10月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
書誌
>>平成6年/1994年1月・新潮社/新潮文庫『エトロフ発緊急電』
>>平成16年/2004年6月・双葉社/双葉文庫・日本推理作家協会賞受賞作全集62『エトロフ発緊急電』
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他文学賞 山本周五郎賞 3受賞 一覧へ
候補者 佐々木譲 男40歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男55歳
44 4点「三十億だか五十億だかいる人間の中の、ある二人に焦点を当てておき、それが、時代の悲劇的な進展につれてついに結ばれるという距離の縮め方……。(引用者中略)そこに全霊を上げて取組む作者の力技に感心しました。」「ただ、この作者が最も力を注ぐべきだったのは、国家とは何かということだと思うんです。」
田辺聖子
女62歳
39 5点「私、スパイが好きなんです(笑)。」「とにかくばらばらに始まった物語が、だんだん収斂されていき、それぞれの過去を持った人たちが、一つの大きなドラマのうねりの中に巻き込まれて、個人の運命も、国家の命運も一緒になってという、手に汗握る力強さといいますか、これはもう、かいなでの作者では出来ないですね。」
野坂昭如
男59歳
48 0点→3点「前半は面白かったけれども、後半はかなりがたがた。」「波瀾万丈かと思ったら、お涙頂戴みたいなシーンが出てくるし、絵に描いたような差別の問題が出てきたりもする。」「僕は最初、〇と言いましたが、はじめに読んだ時、一番面白いと思ったのは、「エトロフ」でした。」
藤沢周平
男62歳
24 3点「物語としてはよくまとまっていまして、佐々木さん、うまくなったなと思わせられるところもあるんですが、皮一枚のところで、気分が乗らないというか、共感できない小説でしたね。」「日本を裏切るという感じにならないように、純粋な日本人ではないという工夫は、いろいろとこらされていますが、全体がぎこちなく、滑らかに行っていないために、乗れない気分は如何ともしがたいのです。」
山口瞳
男63歳
43 4点「「スメル男」とか「アリスの穴の中で」の後で読みますと、心に滲みるようにわかるんですね。」「よくわかるということと併せて、前作の「ベルリン飛行指令」からそんなに経っていないのに、よくこれだけ調べた、よくこれだけ書いた、そのバイタリティを、私は買いたいと思いました。」「ただし、長すぎますよ、この人のは。」
最終投票     3+3+3+2+2=13
選評出典:『小説新潮』平成2年/1990年7月号
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直木賞 第138回候補  一覧へ

けいかん
警官の 血』(上)(下)(平成19年/2007年9月・新潮社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「けいかん」「ち」 表紙 「The Policeman's Lineage」併記
印刷/発行年月日 (上)(下)発行 平成19年/2007年9月25日
測定媒体発行年月日 (上)発行 平成19年/2007年10月20日(2刷) (下)発行 平成19年/2007年10月20日(2刷)
発行者等 発行者 佐藤隆信 印刷所 大日本印刷株式会社 製本所 大口製本印刷株式会社
発行所 株式会社新潮社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 (上)(下)装幀 新潮社装幀室
総ページ数 (上)397 (下)381 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×19行
×1段
本文ページ (上)3~397 (下)3~381
(計774頁)
測定枚数 1437
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書誌
>>初出『小説新潮』平成18年/2006年6月号~平成19年/2007年8月号
>>平成22年/2010年1月・新潮社/新潮文庫『警官の血』(上)(下)
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候補者 佐々木譲 男57歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男56歳
12 「受賞作に並べて推してもよいと思ったのだが、まこと頭の下がる父子三代の大河小説に、なぜミステリーを絡めてしまったのだろうという疑いを捨て切れなかった。」
阿刀田高
男73歳
19 「推理小説仕立てにしたために一番肝腎な(引用者注:主人公たちの)苦悩が謎とされ、充分に描ききれず、種あかしでサラッとすまされたのが私には残念に思えた。力作であることは疑わない。」
五木寛之
男75歳
11 「組織内に潜入する公安スパイという設定も興味ぶかい。これが受賞作として選ばれなかった理由を考えてみると、警官の視点が最後まで固定されて崩れなかった点にあるように思う。」
井上ひさし
男73歳
30 「三代にわたる警察官一家の生き方に、黒くて太い謎を絡ませて描いた(引用者中略)壮大な試みだ。けれども、もっと壮大であってもよかったかもしれない。叙述の速度が早すぎて、三人の人生の山場をやすやすとつないでしまったような駆け足感がある。」
北方謙三
男60歳
17 「一代目の不審死がミステリー仕立てになっていて、縦糸として牽引力を持っていた。時代背景の描写が、濃厚な生活感の描写とともにあり、力量の確かさを感じさせる。三代という発想のダイナミズムも、物語に少なからず強靭さを与えていると思った。」「例外的に、『悪果』、『警官の血』、『私の男』、の三作に丸をつけて(引用者注:選考会に)臨んだ。」
林真理子
女53歳
14 「戦後の焼け跡の風景や、学生運動の時代をきちんと描いておられる。しかし、作者が読者の知り得ない事実を最後に提出し、謎を解き明かすという手法はどうなのだろうか。それまで本に寄り添ってきた読者の信頼感が崩れるような気がしてならない。」
平岩弓枝
女75歳
28 「終戦の頃から半世紀にわたる三代の父子の警官物語を祖父と父と、二つの死の真相を鍵にして展開させて行く過程に作者の技の切れ味が見事で読みごたえがあった。私好みでいわせてもらえば、三代の家族の各々について、もう少々、筆をのばしてもらいたかった。」
宮城谷昌光
男62歳
8 「『警官の血』の構成と描写には、瑕がすくないようにおもわれた。設計図をもとに、基礎工事も手ぬきなくおこなわれて、建てられた家を想えばよい。」
渡辺淳一
男74歳
17 「なぜ親、子、孫と、みな警官になったのか。なかには警官になることに迷ったり、悩んだ子もいるのではないか。血という以上、そうした内面にまで掘り下げるべきで、父の死因を探るというだけでは安易すぎるし、最後がお行儀よくまとまるのも興を殺ぐ。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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大衆選考会 138回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
書痴 平成20年/2008年1月7日 (前文=>桜庭一樹)もう一作あるとすれば、佐々木さん。以前より『択捉発~』など優れた作品を書かれており、この期にとってほしい方です。
クレソン 平成20年/2008年1月8日 面白かったーーー!!
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文量
長篇
章立て
「プロローグ」「第一部 清二」「第二部 民雄」「第三部 和也」「エピローグ」
時代設定 場所設定
昭和20年代~[同時代]  東京~北海道~山梨
登場人物
安城清二(除隊後に警視庁警察官、天王寺駐在所勤務)
安城民雄(清二の長男、警察官、公安刑事のち駐在所勤務)
安城和也(民雄の長男、警察官、捜査四課捜査員のち捜査二課)
早瀬勇三(清二の同期警官、公安刑事)
香取茂一(清二の同期警官)
窪田勝利(清二の同期警官)
原田圭介(上野公園の浮浪者)
宮野俊樹(民雄の北大時代の同級生)
堀米順子(軽井沢の保養所勤務、のち民雄の妻)
安城正紀(清二の次男、電気設備メーカー勤務)
恩田(天王寺町のアパート住民、畳職人)
加賀谷仁(警視庁捜査四課係長、和也の上司)
永見由香(東京消防庁の救命士)




直木賞 第142受賞  一覧へ

はいきょ
廃墟に 乞う』(平成21年/2009年7月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「はいきょ」「こ」 表紙・背 ルビ有り「こ」
印刷/発行年月日 発行 平成21年/2009年7月15日(第1刷)
発行者等 発行者 庄野音比古 印刷所 凸版印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 片岡忠彦
総ページ数 318 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ 5~318
(計314頁)
測定枚数 533
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書誌
>>平成24年/2012年1月・文藝春秋/文春文庫『廃墟に乞う』
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収録作品の書誌
オージー好みの村
>>初出『オール讀物』平成19年/2007年7月号
廃墟に乞う
>>初出『オール讀物』平成20年/2008年7月号
>>『オール讀物』平成22年/2010年3月号
>>『オール讀物』平成26年/2014年3月臨時増刊号
兄の想い
>>初出『オール讀物』平成19年/2007年10月号
消えた娘
>>初出『オール讀物』平成20年/2008年1月号
博労沢の殺人
>>初出『オール讀物』平成20年/2008年4月号
復帰する朝
>>初出『オール讀物』平成21年/2009年3月号
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候補者 佐々木譲 男59歳
選考委員 評価 行数 評言
五木寛之
男77歳
57 「選考の席では、いまさら直木賞でもあるまい、という空気もあったが、デビュー作から三十一年という、そのたゆまぬ作家活動への敬意をふくめて今回の受賞となった。」「著者の描きたかったのは、事件解決への主人公の鮮かな推理や、犯罪の動機ではあるまい。(引用者中略)松本清張さんは「犯罪の動機(原文傍点)」に執着したが、佐々木さんは「事件の背景(原文傍点)」に注目している。そこが新しい。」
渡辺淳一
男76歳
36 「全体は各短編から成り立ち、主人公が休職中の刑事というところが、ユニークで新鮮である。」「当然、このような構成では、従来のような物語の分かり易さや痛快性には欠ける点がある。」「しかしかわりに、人間、そして人間性への視点がふくらみ、作品の陰影が濃くなっている。」「以上、これまでの努力と、作品の巾と深みが加わった点をかって、受賞に賛成した。」
阿刀田高
男75歳
33 「ずっと警官の登場する作品を書き続けて来た作者は、あえてこの手法(引用者注:休職中の刑事なので犯人を逮捕するところまで行かない)を選び、事件を解明することより荒廃の辺境と刑事の人となりを描くことに力点を置いたのだろう。そう考えて読むと構造の整った、味わい深い作品集になっている。ベテランの筆力を痛感した。」
林真理子
女55歳
9 「推理小説ではない、とわかっているものの、中途半端な終わり方にはぐらかされたような思いがしないでもない。とはいうものの古い白黒(ルビ:モノトーン)の名画を見ているような描写の巧みさは見事なものだ。」
平岩弓枝
女77歳
28 「(引用者注:「ほかならぬ人へ」と共に)筆力充分、品が良く、手馴れた巧者の感がある。その意味では文句のつけようがないけれども、読者の立場からいうと、なんとなくもの足りない。」「読む進む中に心の深い部分に衝撃を与えてくれるような人間の奥行が書かれていたら、作品にもう一つ、陰影が出たのではないかというような気持が残っている。」
宮城谷昌光
男64歳
27 「氏の『警官の血』が、押した作品、であるとすれば、これは、引いた作品、である。私はまえに『警官の血』が受賞作品になってよいとおもっていたので、それと合わせれば、この作品が受賞してもかまわないが、切り離して考えるべきだといわれれば、ものたりないというしかない。ただし作家としての習熟度は氏がもっとも高い。」
宮部みゆき
女49歳
36 「月並みな表現ながら〈いぶし銀の味〉なのですが、個々の作品にはピリッとした企みが隠されていることが嬉しいのです。」「表題作は、追う者と追われる者のあいだに発生する〈清算〉がテーマです。普通は清算を要求するのは追う者の側ですが、この作品では追われる者が追う者に決死の清算を迫り、それを仙道刑事が、ヒーロー然としてやり過ごせないところに新鮮なリアルを感じました。」「読んでいて、だから短編は面白いんだと思い、短編を書きたくなる作品集でした。」
浅田次郎
男58歳
13 「ベテランの候補というのも考えもので、さまざまの事前知識が公正な判断力のさまたげになってしまう。私の頭も氏が長編作家だという印象が強いから、たとえば著名なマラソンランナーがむりやり百メートルを疾走しているような奇異を感じてしまった。」
北方謙三
男62歳
22 「大長篇の力作の多い作家だが、切り口だけを見せる短篇では、人生の真実をさりげなく読者に投げかけてくる。私にあったのは、力作長篇での受賞でなくていいのか、というわずかなためらいだったが、この作品が賞に縁があったのだ、と思うことにした。」
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年3月号
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大衆選考会 142回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
書痴 平成22年/2010年1月6日 買って来たばかりで読んではいないが、取ってほしい。
Y.M.O. 平成22年/2010年1月12日 本命不在の(と言うより、どの作品が受賞しても意外性が無い)今回の候補作中で、あえて挙げるとすれば『廃墟に乞う』でしょうか。
処女作の『鉄騎兵、跳んだ』以来の佐々木ファンの私としては、是非とも受賞して欲しいのですが・・・。
2作同時受賞が有る場合のもう1作は、作品の傾向が過去の受賞作に近い、辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』でしょうか。
発候補にして、即受賞もあり得ると思います。
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文量
連作短篇集〔6篇〕
登場人物
仙道孝司(北海道警察本部捜査一課刑事、休職中)
オージー好みの村
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  北海道・ニセコ~倶知安
登場人物
中村聡美(ワインバー経営、仙道の知り合い)
アーサー・リチャーズ(オーストラリア人、旅行代理店経営者、殺人事件の被疑者)
氏家(ニセコの有力者の一人、不動産業者)
守口啓介(倶知安署刑事、仙道の昔の同僚)
廃墟に乞う
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  北海道・十勝地方~空知地方
登場人物
古川幸男(13年前の札幌娼婦殺害事件で服役、旧炭鉱町出身)
山岸克夫(仙道の昔の上司)
兄の想い
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  北海道・ある港町(オホーツク海沿岸)
登場人物
石丸幸一(漁師、町内の若手リーダー、殺人事件の被疑者)
竹内勝治(漁協幹部、殺人事件の被害者)
山野敏也(幸一の義兄、水産廃棄物処理場を経営、仙道の知り合い)
消えた娘
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  北海道・札幌
登場人物
高田峰夫(連続婦女暴行犯、逃走中に死亡)
宮内由美(風俗店勤務の女性、行方不明)
田辺浩(白石署刑事、仙道の昔の同僚)
博労沢の殺人
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  北海道・日高地方
登場人物
大畠岳志(競走馬生産牧場オーナー、殺人事件被害者、17年前の殺人事件の被疑者)
大畠幸也(岳志の長男)
大畠真二(岳志の次男)
長沼輝明(17年前の殺人事件の被害者、建設業者)
佐久間良治(仙道の昔の同僚)
復帰する朝
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  北海道・帯広
登場人物
中村由美子(帯広の資産家の娘、ホテル勤務、仙道の知り合い)
中村春香(由美子の妹、エステティックサロン経営、殺人事件の参考人)
町田奈穂(有名菓子メーカー経営者の娘、殺人事件の被害者)
秋野浩平(帯広署地域課刑事、仙道の昔の同僚)




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