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第94回
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林真理子
Hayashi Mariko
生没年月日【注】 昭和29年/1954年4月1日~
受賞年齢 31歳9ヵ月
経歴 山梨県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。
受賞歴・候補歴
  • TCC賞新人賞(昭和56年/1981年)
  • |候補| 第91回直木賞(昭和59年/1984年上期)「星影のステラ」
  • |候補| 第92回直木賞(昭和59年/1984年下期)『葡萄が目にしみる』
  • |候補| 第6回吉川英治文学新人賞(昭和59年/1984年度)『星に願いを』
  • |候補| 第93回直木賞(昭和60年/1985年上期)「胡桃の家」
  • 第94回直木賞(昭和60年/1985年下期)「最終便に間に合えば」「京都まで」
  • 第50回文藝春秋読者賞(昭和63年/1988年)「いいかげんにしてよアグネス」
  • |候補| 第6回坪田譲治文学賞(平成2年/1990年)『本を読む女』
  • |候補| 第30回女流文学賞(平成3年/1991年)『ミカドの淑女』
  • 第7回きものグレース京都大賞(平成4年/1992年)
  • |候補| 第34回女流文学賞(平成7年/1995年)『白蓮れんれん』
  • 第8回柴田錬三郎賞(平成7年/1995年)『白蓮れんれん』
  • |候補| 第35回女流文学賞(平成8年/1996年)『女文士』
  • 第32回吉川英治文学賞(平成10年/1998年)『みんなの秘密』
  • 第20回島清恋愛文学賞(平成25年/2013年)『アスクレピオスの愛人』
処女作 エッセイ『ルンルンを買っておうちに帰ろう』(昭和57年/1982年11月・主婦の友社刊)
直木賞
選考委員歴
第123回~(通算16.5年・33回)
サイト内リンク 直木賞受賞作全作読破への道Part2
リンク集
備考
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ほし ねが
星に 願いを』(昭和59年/1984年1月・講談社刊)
書誌
>>昭和61年/1986年9月・講談社/講談社文庫『星に願いを』
>>平成22年/2010年4月・講談社/講談社文庫『星に願いを』[新装版]
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 6回候補 一覧へ
候補者 林真理子 女30歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男50歳
11 「自己劇画化によって自分の青春をいつくしむ。」「自己劇画化をさらに推し進めていただければとねがっている。劇画化=自己批判の徹底は、作品の自立を保証する。」
尾崎秀樹
男56歳
0  
佐野洋
男56歳
0  
野坂昭如
男54歳
0  
半村良
男51歳
0  
選評出典:『群像』昭和60年/1985年5月号
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直木賞 第91回候補  一覧へ

ほしかげ
星影のステラ」(『野性時代』昭和59年/1984年1月号)
媒体・作品情報
誌名 「野性時代」  別表記表紙 「YASEI JIDAI」併記 奥付 「総合文芸誌」併記
巻号 第11巻 第1号  別表記新年特大号
印刷/発行年月日 発行 昭和59年/1984年1月1日
発行者等 編集人 渡辺 豊 発行人 角川春樹 印刷所 大日本印刷株式会社 タイポグラフィ 株式会社オフ・デザイン 製本所 株式会社宮田製本所
発行所 株式会社角川書店(東京都)
装幀/装画等 イラストレーション 広瀬友利子
総ページ数 580 表記上の枚数 表紙・目次・本文 120枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×32行
×3段
本文ページ 156~176
(計21頁)
測定枚数 110
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書誌
>>昭和60年/1985年2月・角川書店刊『星影のステラ』所収
>>昭和61年/1986年1月・角川書店/角川文庫『星影のステラ』所収
>>平成9年/1997年10月・角川書店刊『女性作家シリーズ20 干刈あがた・高樹のぶ子・林真理子・高村薫』所収
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候補者 林真理子 女30歳
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男57歳
31 「感性と素質という点で抜群に秀れている。」「ムリヤリに小説を書かされて、知らないうちに候補作にされて、こんなことを言われるのは不本意だろうが、しかし、これは、残念ながら、非常によく出来た少女小説というほかはない。」「直木賞はプロ作家の通行手形であって、その候補に擬せられた以上は覚悟をきめてもらいたい。その感性を評価する者としてあえて言う。林真理子さん、顔を洗って出直していらっしゃい。」
池波正太郎
男61歳
0  
水上勉
男65歳
5 「不思議な、根なし草のようなイモねえちゃんたちのくらしのうちかたに興味をもった。それにしても弱い。」
源氏鶏太
男72歳
8 「私には何んとも理解出来なかった。これは自分の老齢のせいだろうかと反省してみたのだが、こんな魅力のない女に主人公がどうしてこんなに惹かれたのか、やっぱりわからなかった。」
井上ひさし
男49歳
4 「物語の設定に才気を感じさせてくれますが、文章そのものに魅力が乏しい。」
渡辺淳一
男50歳
14 「注目した。選考会では、「どうしてこんなくだらないものを書くのか」という酷評もあったが、このあたりは、いままで書かれなかったところであり、単なる少女趣味とはまったく違う。ステラは実在してもしなくてもいい、いわば若い女性が抱く夢で、それなりのリアリティがある。」
五木寛之
男51歳
6 「注目した。「中産階級の時代」の林芙美子、という見方もできるだろう。この作家も、まごうかたなき時代の子なのだ。」
黒岩重吾
男60歳
6 「こういう女性も居るだろう、と微笑しながら読んだ。だがこの作品は小説になっていない。この作者が小説に開眼すれば良い作品が生まれるだろう。」
村上元三
男74歳
6 「へんに、と言っては失礼だが、へんに面白かった。わたしなどの会ったこともない女性が、それなりの世界で生きている姿が新鮮だった。今後を期待したい。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年10月号
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文量
短篇
章立て
「1」~「9」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
あたし(語り手、崎山富美子、デザイナー)
ステラ(スタイリスト、あたしの居候)
今日子(あたしの同僚)
湯川誠吉(ジャズ・トランペッター)




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ぶどう
葡萄が 目にしみる』(昭和59年/1984年11月・角川書店刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 昭和59年/1984年11月5日(初版)
発行者等 発行者 角川春樹 印刷所 大日本印刷株式会社 製本所 株式会社宮田製本所
発行所 株式会社角川書店(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 カバーイラストレーション 大橋 歩 カバーデザイン 長友啓典+K<2>
総ページ数 211 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×16行
×1段
本文ページ 5~211
(計207頁)
測定枚数 318
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書誌
>>初出昭和59年/1984年7月・角川書店刊『真理子スペシャル』/大幅加筆訂正
>>昭和61年/1986年3月・角川書店/角川文庫『葡萄が目にしみる』
>>平成8年/1996年6月・講談社/講談社文庫『葡萄が目にしみる』
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候補者 林真理子 女30歳
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男58歳
7 「劣等感と自己愛の世界にとどまっているかぎり、少女小説と言われても仕方がないのではあるまいか。」
池波正太郎
男61歳
0  
渡辺淳一
男51歳
19 「この人のいいところは、よかれ悪しかれ、林真理子そのものが小説ににじんでいるところで、これだけ自分を素直に露出できるのは、作家としての貴重な資質に違いない。」「ただ惜しむらくは終章で、ここだけ突然、頭で書いた脆さが露呈した。」「惜しい一失であった。」
井上ひさし
男50歳
0  
源氏鶏太
男72歳
27 「初めから林真理子さん一人にしぼっていた」「従来のギラギラするような才能をぐっとおさえて、一人の女性が中学生、高校生、更に社会人になってからのことを、そのときどきの心理を過不足なく描いていて立派である。」
水上勉
男65歳
30 「ブスであるために培う劣等感を、きめこまかい女の息づかいでよく描いている。だが、(引用者中略)あの結末では、作者の思い入れの深部もうまくつたわってこない。」「おそらくこれは作者の一回きりの大事な材料だろうが、授賞作として押し切る力と鮮度に欠けた。」
黒岩重吾
男60歳
25 「他の委員の賛同を得たなら、授賞作としても良い、と思ったのは、林真理子氏の「葡萄が目にしみる」一作であった。」「比較的私が買ったのはこの小説に透明感を感じたからである。」「ただこの作品は林氏が絶えず描いている世界のもので新鮮さが薄い。登場人物もどこか少女小説的な稚さから抜け切っていない。」
村上元三
男74歳
10 「わたしは物足りなかった。自伝を書こう、と作者が開き直ったのなら、まだ時期が早い。体験を扱うのは、よほどの用意が必要だと思ってほしい。かえって最後の第九章だけが、この作者らしくて、文章もいきいきしている。」
五木寛之
男52歳
17 「今回の作品は、好感の持てる物語りに仕上っている分だけ、ギラリとした迫力に欠ける。」「私は最初、北方、林の両氏の受賞を提案したが、合わせて一本というのは失礼かもしれないと考えなおし、受賞作なしに賛成した。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年4月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 葡萄畑」「第二章 プールサイド」「第三章 花火」「第四章 野球場」「第五章 図書館」「第六章 初雪」「第七章 アイスクリーム」「第八章 窓の雪」「第九章 再会」
時代設定 場所設定
[十数年前~同時代]  ある農村~東京
登場人物
岡崎乃里子(葡萄農家の娘、高校生)
岩永健男(乃里子の同級生、ラグビー部のエース)
保坂(乃里子の先輩、ウエイトリフティング選手)
祐子(乃里子の仲のいい友達)
菊代(乃里子の同級生)




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くるみ いえ
胡桃の 家」(『小説新潮』昭和60年/1985年3月号)
媒体・作品情報
誌名 「小」  別表記表紙 「Sho^setsu Shincho^」併記
巻号 第39巻 第3号  別表記3月号
作品名 別表記 本文 ルビ有り「くるみ」「いえ」
印刷/発行年月日 発行 昭和60年/1985年3月1日
発行者等 編集兼発行人 川野黎子 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
装幀/装画等  早川良雄
総ページ数 440 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
20字
×25行
×3段
本文ページ 34~56
(計23頁)
測定枚数 72
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>昭和61年/1986年8月・新潮社刊『胡桃の家』所収
>>平成1年/1989年11月・新潮社/新潮文庫『胡桃の家』所収
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候補者 林真理子 女31歳
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎
男62歳
0  
山口瞳
男58歳
0  
村上元三
男75歳
3 「この作品が候補になったのは不運であった。挫けずに精進してほしい。」
井上ひさし
男50歳
12 「〈女はみんなかわいそう〉という本主題への展開が充分ではなかった。胡桃の油で磨き抜かれた柱という小道具の使い方も巧みであるとは云いかねる。だが、作者の素顔が、今回はひそやかに作品のかげに隠れていたのは、生意気をいうようだが、作者の進歩である。」
水上勉
男66歳
15 「最初の候補作にはこの人ならではの眼があって、誰もが書けぬ娘が立っていた。「胡桃の家」の話づくりはいい。が、登場人物がみな古風なのが気になる。」「柱を撫でるぐらいでは、あの枚数を貫く何かが弱いのである。」
五木寛之
男52歳
3 「最後に決をとる際に、私は山口洋子さん、林真理子さん、二氏の受賞を提案した。」
黒岩重吾
男61歳
6 「殆ど欠点のない、いわば優等生的な作品である。私が感動を受けなかったのは、実家をテーマとした作品に存在する家神を感じなかったせいだ。」
渡辺淳一
男51歳
24 「家に根ざす女という難しいテーマに挑み、それなりに描かれているが、地味になった分だけ、前作のヴィヴィッドさが失われてしまった。」「氏はこれで連続三回候補になり、その都度、この人の才能をかっているのだが、今回もまた見送られてしまった。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年10月号
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文量
短篇
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京~ある田舎町
登場人物
槇子(高級ブティック勤務、離婚経験者)
とく子(槇子の母親、ひとり暮らし)
実(三輪田屋菓子店主、とく子の末弟)
きぬ(とく子の母親、女傑)




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さいしゅうびん きょうと
最終便に 間に 合えば」「 京都まで」
(昭和60年/1985年11月・文藝春秋刊『最終便に間に合えば』より)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 昭和60年/1985年11月20日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成1年/1989年5月30日(第16刷)
発行者等 発行者 豊田健次 印刷 共同印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 灘本唯人
総ページ数 219 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×17行
×1段
本文ページ
  • 5~59
  • 163~219
(計112頁)
測定枚数 176
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書誌
>>昭和63年/1988年11月・文藝春秋/文春文庫『最終便に間に合えば』所収
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収録作品の書誌
最終便に間に合えば
>>初出『オール讀物』昭和59年/1984年7月号
>>平成9年/1997年10月・角川書店刊『女性作家シリーズ20 干刈あがた・高樹のぶ子・林真理子・高村薫』所収
京都まで
>>初出『オール讀物』昭和59年/1984年10月号
>>平成5年/1993年7月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館 第三十巻 京都1』所収
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他の収録作品
「エンジェルのペン」(初出『オール讀物』昭和59年/1984年12月号)
「てるてる坊主」(初出『別冊文藝春秋』172号[昭和60年/1985年-月])
「ワイン」(初出『オール讀物』昭和60年/1985年9月号)
 
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候補者 林真理子 女31歳
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳
男59歳
21 「『最終便に間に合えば』のほうを買うが、憧れの都会的なるもの、もしくは男性に失望するという同じパターン(『京都まで』に顕著)で書いているのが気になる。男と女の卑しさとイヤラシサを描くのが実に上手だが、そのぶん後味が悪い。にもかかわらず林さんが受賞したのは、力でもって選考委員を捩じ伏せたのであり、それは、うんと自慢していいことだと思う。」
池波正太郎
男62歳
14 「薄汚い男女の交情を描いてはいるが、読後、胸にこたえるものが何もなく、私は票を入れなかった。むろんのことに薄汚い男女を描くのはよい。よいが、それだけでは、文学賞をあたえる小説にはならない。プラス何かがなくてはならぬ。その何かが読者の胸を打たなくてはならぬ。」
村上元三
男75歳
10 「この作品(引用者注:「最終便に間に合えば」)の読後感の不快さは、「京都まで」のほうにはなかった。候補になること四回目なので、もう授賞してもいいだろう、という気持が選考する側にあった、と忘れないでもらいたいが、この作者は百も承知だろうと思う。」
藤沢周平
男58歳
20 「私は一応受賞圏内に入れながら積極的には推さなかった。理由はこの小説が、当世風の男女の世界を巧みに描いているものの、それだけで自閉している感じが不満だったからである。」「しかし林さんの小説はすでにプロの安定感をそなえていた。」「受賞を機会にひとまわり大きく成長することも期待出来、最終的には受賞に反対しなかった。」
井上ひさし
男51歳
12 「じつに巧者である。けれどもどちらの作品でも、女主人公は世故くて薄汚い。」「ただし四期連続して強力な候補作を書きつづけるという力量は上々吉であって、これには素直に脱帽すべきだろう。」
黒岩重吾
男61歳
19 「林真理子氏を推すべく選考会に出席した。」「これまでの少女趣味を脱した氏のしたたかな存在感が息づいている。ことに後者(引用者注:「京都まで」)は、主人公の相手役になる男性の描き方がたくみだ。」「氏のどの作品にも、林真理子独特の新しい存在感が胡座をかいている」「そこに私はただならぬ作家の資質を感じるのだ。雑事を排し、作家道に邁進されたい。」
五木寛之
男53歳
15 「林真理子さんと、森田誠吾さんのお二人を推した。」「男性に愛されたいと願いつつ、男の敵になってしまう。」「私を含めて男たちはどこか無気味な脅威を林さんの資質にかぎとっているのだろう。」
陳舜臣
男61歳
13 「登場する男に魅力がなく、読みながら、何の因果でこんなつまらない男の話につき合わねばならないのかと、腹立たしくなった。が、ひるがえって考えると、そんな読中感をおこさせるのも作家の手腕であろう。」
渡辺淳一
男52歳
17 「「最終便に間に合えば」は、ラストがやや曖昧に流れ、「京都まで」は逆に最後で焦点を絞りすぎた。」「いずれにせよ、この作者は新鮮な感性と柔軟な文章をもち、人物を見る目も行届いている。四回連続候補になり、いずれも八十点以上の作品を書けるのは、相当力のある証拠である。」
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年4月号
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文量
短篇〔2篇〕
最終便に間に合えば
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  札幌
登場人物
永田美登里(フラワーデザイナー、元OL)
長原武文(美登里の昔の恋人)
京都まで
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  京都~大阪~東京
登場人物
佐野久仁子(フリーの編集者)
草間高志(久仁子の年下の恋人、大学教授の息子)




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