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第111回
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Last Update[H26]2014/6/20

久世光彦
Kuze Teruhiko
生没年月日【注】 昭和10年/1935年4月19日~平成18年/2006年3月2日
経歴 筆名=小谷夏(コタニ・ナツ)、筆名(作詞)=市川睦月(イチカワ・ムツキ)。東京・阿佐ケ谷生まれ。富山県富山市出身。東京大学文学部美学美術史学科卒。TBS入社。数々のドラマを手掛ける。退社後にテレビ制作会社を設立。
受賞歴・候補歴
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
リンク集
備考
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直木賞 第111回候補  一覧へ

せんきゅうひゃくさんじゅうよねんふゆ らんぽ
一九三四年冬― 乱歩』(平成5年/1993年12月・集英社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「ねんふゆ」「らんぽ」
印刷/発行年月日 発行 平成5年/1993年12月20日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成6年/1994年4月10日(第4刷)
発行者等 発行者 若菜 正 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社集英社(東京都) 形態 菊判 上製
装幀/装画等 装画 桜田晴義 装幀 中島かほる
総ページ数 269 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
46字
×20行
×1段
本文ページ 5~269
(計265頁)
測定枚数 547
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書誌
>>初出『青春と読書』平成3年/1991年2月号~平成5年/1993年5月号「乱歩は散歩」/単行本化にあたり加筆・改題
>>平成9年/1997年2月・新潮社/新潮文庫『一九三四年冬――乱歩』
>>平成25年/2013年1月・東京創元社/創元推理文庫『一九三四年冬――乱歩』
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候補者 久世光彦 男59歳
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾
男70歳
31 「受賞圏に入ると感じた。」「私は酔った。ただこの作品の評価は酔うか酔わないかによって分かれる。」「平林初之輔まで登場させた作者の該博な知識には驚かされた。ただこの作品は私のように酔わないと夾雑物が喉につかえるかもしれない。」「私は推したが、受賞に到らなかった理由も何となく分るような気がする。」
井上ひさし
男59歳
18 「文章のすばらしさについてはすでに定評がある。」「大正期に生まれて昭和初期に都市大衆のものとなった「文化」生活の微細な陰影、それを文章としてここまでしっかりと取り出した氏の力量はだれもが認めるところであろう。この一点だけでも充分、受賞に価すると考えたのだが……。」
山口瞳
男67歳
30 「麻布の六本木の裏あたりにある怪しげなホテルという舞台がいい。」「作中の「梔子姫」は江戸川乱歩より巧い。変なことを言うようだが巧過ぎるので最後には少しモタレてくる。」「久世さんの乱歩についての思い込みがどれほど燃焼しているのか。私には、それが空転していて考証に逃れてしまっているように思われる。」
平岩弓枝
女62歳
7 「才気という点では(引用者中略)突出していた。才気の羅列、才気の遊びといった感じである。難をいえば、連載で書かれたものだけに一冊にまとめると重複が多く、冗漫にみえることだ。」
藤沢周平
男66歳
24 「才気縦横といった趣がある作品だった。」「肝心の失踪中の乱歩の物語の方は破綻が多くて、二、三見事な表現が目につくものの、これだけでは仕方ない。要約すれば絢爛たる才能ばかりが目立って、中身はいささかまとまりを欠いた作品だった。」
田辺聖子
女66歳
53 「実に楽しく読めた。」「今年度の収穫の一つ――と私は個人的に思うのだが……ではこの作品が直木賞に、ということになると、「土俵が違う」という気がする。といったとて作者に失礼ではないし、作品を貶めることでないのは無論だ。」「これこそオトナの鑑賞に堪える、好事家文学だ。」「しかし栄光もいささかの瑕疵もそこにある。」
五木寛之
男61歳
48 「この作家は今さら直木賞をうんぬんすることがおかしい位の書き手である。」「乱歩を描くより久世さん自身が乱歩になればいいのに、と、正直そう思った。私が今回の候補作のなかでもっとも強い印象を受けた作品であるにもかかわらず、(引用者中略)まっ先に推すことができなかった理由の一つがそこにある。もう一つは、久世さんの書くものが過度に文学的(原文傍点)に傾きがちな点にひっかかった。」
渡辺淳一
男60歳
18 「氏の乱歩への思い入れはよくわかるが、それが小説として成功しているか否かというと別の問題になる。」「ホテルのシーンや、解説というか評論風の部分になると、作者のペダンティックな知識がおしつけがましくて興を殺ぐ。」「「梔子姫」だけを、最後の冗長さを狩りこんで短篇にしたら、それこそ乱歩を凌ぐ名作になったろうに。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年9月号
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他文学賞 山本周五郎賞 7受賞 一覧へ
候補者 久世光彦 男59歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男59歳
74 4.5点「「梔子姫」という乱歩の作品を久世さんが書いてしまい、しかも乱歩より乱歩的と言っていいくらいな作品に仕上がっている。それを書き遂せたということは非常に新しい試みです。」「一番の不満は、(引用者中略)「梔子姫」はどうなったんだということです。「梔子姫」が乱歩の作品として、後世に残らなかった理由がどこにも書いてない。」「私は他との比較ということでなくても、この作品を読んだ時に、ああ、この一年の成果として評価するにたる作品だと、そういうふうに素直に思えましたね。」
井上ひさし
男59歳
59 5点「僕はこの文章力にはまったく感心しました。(引用者中略)実際に書いてはいないけれど、文章の後ろから、昭和ひと桁の雰囲気がふわっと浮き上がってくる。」「乱歩になってみたり、乱歩をからかってみたり、調べたことを書いたり、きっと楽しい仕事だったと思います。その楽しさがこっちに伝わってきますし、本当にいい小説です。」「色々と細かいミスや疑問点はあるんですが、でもそういう疑問も全部、なんかへんな構造があって呑み込まれてしまうんです。」
逢坂剛
男50歳
58 4.5点「知的興奮を味わえる大人の小説ですね。」「文章力はすぐれているし、言語感覚も非常に鋭い。」「作中作の「梔子姫」は、浪漫派の作品らしくむしろ未完に終わらせた方がよかった。完結させたことで、逆に浪漫派としての結構が崩れたと思います。」「私の場合、「梔子姫」は「狗神」より怖かったですね。」
長部日出雄
男59歳
39 4点「文章力、これを私は一番感心しました。」「山場が非常に視覚的に書かれていますね。この作者はやはり映像の専門家だなと思いました。」「驚きとか恐怖とかは、実際にあり得なくてもいかにもありそうな具体性とか実感から生まれるもので、超現実主義の超ではなく現実主義のほうがとても大事なんですね。文章でそれをやるには、何かもうひと工夫欲しかったような気がします。」
山田太一
男59歳
32 5点「この作品は、文章でしか書けない世界を、遂に書き通したという快感がありました。」「よくできたいい作品ですし、力作でもあると思います。」「強いてマイナス点を言えば、作中作の「梔子姫」(引用者中略)は久世さんが書いたわけですよね。それにしては、ちょっと自分で褒めすぎてないか(笑)。他の部分の洗練に比べて少し野暮なんじゃないかという気がしました。」
選評出典:『小説新潮』平成6年/1994年7月号
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文量
長篇
章立て
「序章 張ホテル」「第一章 梔子姫」「第二章 ミセス・リー」「第三章 偏奇館主人」「第四章 唖者の声」「第五章 ポインセチアの秘密」「第六章 神々の蝶」
時代設定 場所設定
昭和9年/1934年  東京
登場人物
江戸川乱歩(小説家、失踪中)
梔子姫(乱歩が書く小説の登場人物)
翁華栄(張ホテルのボーイ)
ミセス・メイベル・リー(張ホテル宿泊人、東京駐在商人の妻)
水谷準(雑誌『新青年』編集長)




直木賞 第120回候補  一覧へ

みずはんじむようちょう
逃げ 水半次無用帖』(平成10年/1998年11月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「に」「みずはんじむようちょう」
印刷/発行年月日 発行 平成10年/1998年11月30日(第1刷)
測定媒体発行年月日 発行 平成11年/1999年3月25日(第3刷)
発行者等 発行者 和田 宏 印刷所 凸版印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 中島かほる 装画及び本文挿画 建石修志
総ページ数 368 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
45字
×20行
×1段
本文ページ 5~368
(計364頁)
測定枚数 703
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書誌
>>平成14年/2002年2月・文藝春秋/文春文庫『逃げ水半次無用帖』
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収録作品の書誌
童子は嗤う
>>初出『オール讀物』平成9年/1997年10月号
振袖狂女
>>初出『オール讀物』平成9年/1997年12月号
三本指の男
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年3月号
お千代の千里眼
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年5月号
水中花
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年8月号
昨日消えた男
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年9月号
恋ひしくば
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年11月号
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候補者 久世光彦 男63歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男64歳
21 「みごとな美文である。」「文章と事件との喰いちがいを感じてこれは単なる捕物帳ではあるまいとおもった。」「まことに絢爛たる作風だが、その過程で「江戸」が脱け、たとえば可憐な捕物娘お小夜の「思い」が落ちた。とりわけ後者はこの小説と読者との大事な通い路だったから、読む側としては途方に暮れてしまう。」
田辺聖子
女70歳
23 「時代考証がどうの、人物設定がどうの、と、野暮なことはいいっこなし、という面構えだ。」「ただ、この作品でいえば、その幻戯をかける力がやや稀薄だったといえるかもしれない。」「氏の新しい世界の可能性を証明されたと思う。」
渡辺淳一
男65歳
26 「探偵ものとしてはご都合主義が過ぎるし、妖しの小説としては話のすすめかたが捕りものに傾きすぎている。」「部分的にはいくつか光るところがある。」「それにしてもこのような妖しの世界が、著者の内的な世界とたしかにつながっているのか。もしそうならいま少し粘着なものを期待したいし、単に面白さとして書くのなら、このスタイルではいささかもの足りない。」
阿刀田高
男64歳
9 「捕物帖として読めば弱点が多すぎるし、さりとて「ほかのなんなんだ?」と自問しても答えるものがない。上手の手から水が漏れた、という印象が深い。」
黒岩重吾
男74歳
20 「氏の作品の特徴は凝りに凝った文章で読者を酔わすところにある。」「他の委員の中から江戸の匂いがしない、との批判もあり、最終的に推し切れなかったが、女性の怨念やそこから生じる理屈抜きの業火の描写は見事である。」
平岩弓枝
女66歳
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津本陽
男69歳
9 「ときどき雑誌で目にする短篇で、おどろくような切れ味を見せる作者のものにすれば、日頃の光りをひそめている。時代小説には、まだ手慣れていないように思える。時代の雰囲気に引きこんでくれない。」
五木寛之
男66歳
10 「久世さんの才華の一端が認められはするものの、久世光彦的世界の独特な持ち味を開花させるには、この舞台では酷としか言いようがない。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年3月号
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文量
連作短篇集〔7篇〕
時代設定 場所設定
[江戸]  江戸
登場人物
半次(絵描き)
佐助(御用聞き、療養中)
お小夜(佐助の娘)
お駒(辻君)
花幻尼(実相寺の尼)
クロベエ(貸本屋の7歳の息子)
童子は嗤う
章立て
なし
登場人物
お滝(後家、首吊り死)
お絹(呉服屋の針子、お滝の友達)
振袖狂女
章立て
なし
登場人物
お袖(仏具商の娘、狂女)
お遊(仏具商の女主人)
婆羅門英泉(仏具屋に出入りする祈祷師)
三本指の男
章立て
なし
登場人物
キン(生菓子屋の婆さん)
了然(慶徳寺の和尚)
桂庵(大酒飲みの医者)
お千代の千里眼
章立て
なし
登場人物
お千代(千里眼を持つ少女)
権十(お千代の父親)
お登勢(お千代の母親、家出人)
水中花
章立て
なし
登場人物
お島(南蛮品商「大浦屋」の女中頭)
葉月(大浦屋の娘)
秀次郎(大浦屋の細工師)
昨日消えた男
章立て
なし
登場人物
千兵(クロベエの父親、貸本屋)
おえん(千兵の妻)
狐泉堂(正体不明の骨董屋)
恋ひしくば
章立て
なし




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