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第148回
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Last Update[H29]2017/10/29

安部龍太郎
Abe Ryutaro
生没年月日【注】 昭和30年/1955年6月20日~
受賞年齢 57歳6ヶ月
経歴 福岡県生まれ。久留米高専機械工学科卒。東京都大田区役所に就職。区立図書館司書を務めながら各誌の新人賞に応募を続け、「師直の恋」で作家デビュー。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第67回オール讀物新人賞(昭和62年/1987年)「矢口の渡」安部良法名義
  • |候補| 第5回小説新潮新人賞(昭和62年/1987年)「降人哀し」安部良法名義
  • |候補| 第4回山本周五郎賞(平成2年/1990年度)『血の日本史』
  • |候補| 第13回吉川英治文学新人賞(平成3年/1991年度)『黄金海流』
  • |候補| 第7回山本周五郎賞(平成5年/1993年度)『彷徨える帝』
  • |候補| 第111回直木賞(平成6年/1994年上期)『彷徨える帝』
  • |候補| 第10回山本周五郎賞(平成8年/1996年度)『関ケ原連判状』
  • |候補| 第9回中山義秀文学賞(平成15年/2003年)『生きて候』
  • 第11回中山義秀文学賞(平成17年/2005年)『天馬、翔ける』
  • 第148回直木賞(平成24年/2012年下期)『等伯』
  • 第72回西日本文化賞[社会文化部門](平成25年/2013年)
  • 第23回福岡県文化賞[創造部門](平成27年/2015年)
  • 第5回歴史時代作家クラブ賞[実績功労賞](平成28年/2016年)
  • 第41回福岡市文化賞(平成28年/2016年度)
処女作 「師直の恋」(昭和62年/1987年・新潮社/新潮文庫『時代小説大全集2』所収)
備考
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にほんし
血の 日本史』(平成2年/1990年12月・新潮社刊)
書誌
>>平成5年/1993年8月・新潮社/新潮文庫『血の日本史』
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収録作品
「大和に異議あり」「蘇我氏滅亡」「長屋王の変」「応天門放火」「鉄身伝説」「北上燃ゆ」「陸奥の黄金」「比叡おろし」「鎮西八郎見参」「六波羅の皇子」「鬼界ガ島」「木曽の駒王」「奥州征伐」「八幡宮雪の石階」「王城落つ」「異敵襲来」「大峰山奇談」「霧に散る」「山門炎上」「道灌暗殺」「末世の道者」「松永弾正」「余が神である」「沈黙の利休」「性」「姦淫」「大坂落城」「忠長を斬れ」「浪人弾圧」「男伊達」「雛形忠臣蔵」「お七狂乱」「団十郎横死」「絵島流刑」「加賀騒動」「世直し大明神」「外記乱心」「大塩平八郎の乱」「銭屋丸難破」「寺田屋騒動」「孝明天皇の死」「龍馬暗殺」「俺たちの維新」
 
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他文学賞 山本周五郎賞 4回候補 一覧へ
候補者 安部龍太郎 男35歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男56歳
33 3点「最初に、びっくりし、感心した点を申し上げますと、日本史全般にわたって、うんと調べて、ここはこういうふうにして、ここはこういうふうにしてと、全部カバーしようとした作家的野心ですね。内容はどうあれ、この野心は僕も学ぶべきだと思って感服しました。」「とにかく、圧倒的なエネルギーですが、僕は読者として、この日本史のつかまえ方にはついていけません。」
田辺聖子
女63歳
21 3.5点「読み進めているうち、タイトルが「血の日本史」というだけあって、やたらと血みどろになって、しまいのころにはうんざりしてしまった。すごく重たいんですね。」「文章は読みやすいんですが、これは小説とはいえないな、というのもありますね。」「これは才能の浪費という気もしないではありません。」
野坂昭如
男60歳
19 0点「この作品集に限っていうと、小説家としての才能は認められないね。」「この人は、なんにも面白く書いていない。ただ、書いてるだけなんだ。」「なんのことはない、『週刊新潮』の「黒い報告書」、あれの時代版じゃないですか(笑)。」
藤沢周平
男63歳
20 4点「そうか、歴史的な事件を題材にして、小説を書いたんだなと、やっと納得したんです。」「しかしとにかく、このスタイルで四十三篇も書いたというのは、なかなかの力業だと思いました。」「ではこれを推せるかというと、積極的に推すには何か中心を欠いている。」
山口瞳
男64歳
19 2.5点「小説というより、これは読物だと思うんです。読物とするなら、もうちょっとアクの強さとか、おどろおどろしさとか、驚きみたいなものがあってしかるべきだと思います。」
最終投票      
選評出典:『小説新潮』平成3年/1991年7月号
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おうごんかいりゅう
黄金海流』(平成3年/1991年11月・新潮社/新潮書下ろし時代小説) *
書誌
>>平成7年/1995年4月・新潮社/新潮文庫『黄金海流』
>>平成25年/2013年10月・日本経済新聞出版社/日経文芸文庫『黄金海流』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 13回候補 一覧へ
候補者 安部龍太郎 男36歳
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男57歳
0  
尾崎秀樹
男63歳
0  
佐野洋
男63歳
0  
野坂昭如
男61歳
0  
半村良
男58歳
5 「既成の時代物の手法に徹しすぎたきらいはあったが、阿部龍太郎(原文ママ)氏の作品にこだわる気持が強かった。」「熱筆に賛辞をおくる。」
選評出典:『現代』平成4年/1992年5月号
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直木賞 第111回候補  一覧へ

さまよ みかど
彷徨える 帝』(平成6年/1994年3月・新潮社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 奥付 ルビ有り「さまよ」「みかど」
印刷/発行年月日 発行 平成6年/1994年3月15日
発行者等 発行者 佐藤亮一 印刷所 株式会社精興社 製本所 大口製本印刷株式会社
発行所 株式会社新潮社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装画 百鬼丸 装幀 新潮社装幀室
総ページ数 450 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×22行
×2段
本文ページ 5~447
(計443頁)
測定枚数 1214
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書誌
>>平成9年/1997年3月・新潮社/新潮文庫『彷徨える帝』
>>平成17年/2005年2月・角川書店/角川文庫『彷徨える帝』(上)(下)
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候補者 安部龍太郎 男39歳
選考委員 評価 行数 評言
黒岩重吾
男70歳
0  
井上ひさし
男59歳
23 「後醍醐帝像について疑問がある。」「荒唐無稽なものであれなんであれ、「かくかくしかじかであるから作者はこう考える。どうだ、まいったか」という理由づけが要るはずだが、この作品ではそこのところがきわめて弱い。」「互いに敵対しながら狂言回しを兼ねている二人の主人公がうまく噛み合っていない。」
山口瞳
男67歳
0  
平岩弓枝
女62歳
16 「対立する二人の主人公のイメージが似たりよったりだったことで随分、損をしている。」「外見も性格も生い立ちも全く正反対のインパクトの強い人間を描き切らないと、これだけ複雑で登場人物の多い物語をひきずって行くのは困難であろう。」
藤沢周平
男66歳
11 「大部の物語をまとめた意欲と構想力は今後楽しみだが、細部のつくりが雑だ。三つの能面の出し入れの整理がわるく、また人物設定に難があるので、読んでいてどっちが南朝方か幕府方かわからなくなったりする。」
田辺聖子
女66歳
29 「主人公にもっと魅力があればと惜しい。これだけの長篇に読者を引っぱってゆくには、〈いい男だなあ〉と思わせる強烈な魅力がないと。……それから時代小説の楽しさは、いかにもその時代らしい雰囲気に眩惑を強いられることだが、ここではちょっとその幻戯の呪力が不足していないだろうか。」
五木寛之
男61歳
4 「意あって何かが足りないという印象をおぼえたのが残念だった。」
渡辺淳一
男60歳
8 「なかなかの力作で、文章もそれなりにでき上っているが、いわゆる読物的すぎて、新味に欠ける。この古い感覚から一歩抜け出なければ、化けることは難しそうである。」
選評出典:『オール讀物』平成6年/1994年9月号
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他文学賞 山本周五郎賞 7回候補 一覧へ
候補者 安部龍太郎 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男59歳
48 4点「力技の小説で、史料的にも厚いし、充分にレベルに達している小説です。」「ただ、敢えて言えば、小説としての魅力に乏しい。小説を読む楽しみに引き込まれていかない。」「天皇というのは日本の歴史にとって大変大きな意味を持つ存在だったと思うのですが、作者なりの史観というものが、出てこないんです。」
井上ひさし
男59歳
69 4点「筆力があり、作家的腕力もある。色々な手を考え出し、立回りを、愛欲場面をおもしろいものにしています。」「しかし、(引用者中略)小説の面白さとなると話は別ですね。」「作者に新しい史観があれば、主人公たちもそれを嬉々として演じることができるんですが、史観が曖昧で、手腕だけが浮き上がって、小説的な、そういう感動はついになかった。」「とにかく、読むのにものすごい時間がかかります。読むほうの意識をぶつぶつ切ってしまう。」
逢坂剛
男50歳
49 4点「物語を引っ張っていく大きな力、まさにうねりというものが欠けていますね。そのために、小さな欠点が目についてしまう。」「また、人物の造形力が、もうひとつないのではないかとも思いました。範冬も宗十郎も、どうしても人物のイメージが湧いてこない。」「視点がばらばらに入ってくるので、なかなか感情移入できないという面も、出てくるんじゃないでしょうか。」「でもこの作者は、物語を語ろうという意欲がすごく感じられますね。」
長部日出雄
男59歳
66 4.5点「この小説は歴史小説と伝奇ロマンを融合させるという大変興味深い試みをしていて、しかもその試みを実現できるに足る、かなり包容力の大きい文体、柔軟で力強い文体というのをつくり出していると思います。」「うねりがないというか、もう少し、物語の山と谷の差を大きくして、めりはりをつけてもらいたかったですね。」「僕は、色々、欠点があってもなおかつ、最終的には「彷徨える帝」を支持したいと思って来たんですよ。」「この人は一作ごとに飛躍する幅が大きいんです。」
山田太一
男59歳
62 4点「長い作品をよく考えて書き通されたなあ、と敬意を抱きました。ただかなり読みにくく、時間がかかりましたね。それは、宗十郎と範冬の両方に等分に目が行っているという相対主義で、情熱が高まりにくいせいなのかな、と思いました。」「帝の位置が非常に曖昧で、どこに力を入れて読んだらいいのかがつかみにくく、興奮が来ない。」
選評出典:『小説新潮』平成6年/1994年7月号
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文量
長篇
章立て
「観阿弥暗殺」「高雄山神護寺」「くじ引き将軍」「狩野右馬助貞行」「遠き故郷」「宇嶺の滝」「新たな指令」「花倉の姫」「背振衆の里」「異形の帝」「清笹峠の決闘」「倒幕の令旨」「決戦前夜」「鎌倉公方」「父と子」「了俊の暗号」「翁の舞」「見付天神」「後醍醐の罠」「離見の見」「赤松家と南朝」「僚友二人」「義昭の首」「清浄尼」「二人の遺児」「囚われの帝」「道円死す」「再会」「赤松左馬助則繁」「和議」「密謀」「将軍暗殺」「前兆」「嘉吉元年九月三日」「嘉吉元年九月五日」「嘉吉元年九月七日」「嘉吉元年九月九日」「嘉吉元年九月十日」「大峰山」
時代設定 場所設定
室町中期[後南朝時代]  京都~駿河~鎌倉~吉野山など
登場人物
北畠宗十郎(南朝再興を画し挙兵した満雅の養子)
世阿弥(能楽師)
朝比奈範冬(将軍の近習)
清姫(範冬の許嫁)
足利義教(六代将軍)
真矢(背振衆の里の娘)





せきがはられんばんじょう
関ケ原連判状』(平成8年/1996年10月・新潮社刊)
書誌
>>平成11年/1999年12月・新潮社/新潮文庫『関ケ原連判状』(上)(下)
>>平成23年/2011年3月・集英社/集英社文庫『関ケ原連判状』(上)(下)
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他文学賞 山本周五郎賞 10回候補 一覧へ
候補者 安部龍太郎 男41歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男62歳
32 3点「読みにくかったですね。特に前半、これだけのことを書くのに、前座からこんなにいろんな人を登場させ、事件をいろいろ出さなくてもいいんじゃないか。」「連判状はどうなったのか。キャスティングボートになるすごいものが出るぞ、出るぞと言っておきながら、結局きちっと出てきてくれない。」
井上ひさし
男62歳
29 3.5点「この作家の着眼のおもしろさ、そして骨太な構想力に、いつも敬服しています。ただし、前半は入口が見つからないでいらいらしますね。意欲的すぎて、小説自体はちっとも飛翔しない。」「それから時折、理解しにくい悪文が現れます。」
逢坂剛
男53歳
21 4点「この作品は良くも悪くも、面白いけれど後に残らないという、東映のチャンバラ映画なんですね。」「チャンバラ映画的部分と、史実としての古今伝授の部分とが、乖離している。そのために小説としてのバランスが崩れて、リアリティを欠く結果になったと思います。」
長部日出雄
男62歳
27 4点「古今伝授というのは、歴史的な事実で、そういう文化的なものが一国の合戦の大勢を決したというのはとても面白い話ですね。」「もっと古今伝授の話自体のもっている面白さにしぼってほしかったと思います。ただ、この作者の文章とか描写力は、一作ごとに進歩しているんで、もうひとつ上の段階まで化けてほしいという、その期待度をこめて四点とさせていただきます。」
山田太一
男62歳
19 4点「この小説の主人公は、形としてはやはり石堂多門というフィクションの人物だと思うんです。(引用者中略)その情熱の根拠がどうもはっきりしない。」「多門とか蒲生源兵衛といったフィクションの人物はあまり魅力がありません。そのために、重みを失っているのではないかなと思いました。」
選評出典:『小説新潮』平成9年/1997年7月号
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直木賞 第148受賞  一覧へ

とうはく
等伯』(上)(下)(平成24年/2012年9月・日本経済新聞出版社刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 (上)(下)発行 平成24年/2012年9月14日(第1刷)
測定媒体発行年月日 (上)発行 平成24年/2012年10月10日(第3刷) (下)発行 平成24年/2012年10月16日(第4刷)
発行者等 発行者 村上和宏 印刷所 凸版印刷 製本所 加藤製本 組版 萩原印刷
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 (上)装幀 菊地信義 装画 長谷川等伯「松林図屏風」(国宝、部分)東京国立博物館所蔵 Image:TMM Image Archives カバー装画は右隻、見返し装画は左隻。ともに白黒反転使用。 (下)装幀 菊地信義 装画 長谷川等伯「松林図屏風」(国宝、部分)東京国立博物館所蔵 Image:TMM Image Archives カバー装画は右隻、見返し装画は左隻を使用。
総ページ数 (上)350 (下)369 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ (上)5~350 (下)5~364
(計706頁)
測定枚数 1242
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書誌
>>初出『日本経済新聞』朝刊 平成23年/2011年1月22日~平成24年/2012年5月13日/単行本化にあたり加筆修正
>>平成27年/2015年9月・文藝春秋/文春文庫『等伯』(上)(下)
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候補者 安部龍太郎 男57歳
選考委員 評価 行数 評言
宮部みゆき
女52歳
40 「等伯は等伯だから偉大なのではなく、等伯になろうとあがき続けたその道程が偉大だった。実在の著名な人物の一代記、しかも大長編でありながら、読み始めたらやめられないページターニングな小説になったのは、安部さんがただ等伯を讃えるだけでなく、最良の形でこの「There is also a man」も描いたからだと思います。」
伊集院静
男62歳
22 「長谷川等伯は狩野派に対して異端の存在であるが、このような歴史上の人物を描くと必要以上に奇異なキャラクターをつけてしまいがちだが、安部氏は長い経験がそれを上手くこしらえている。さすがだと思った。他の選考委員よりこの数年本賞から輩出した歴史小説と比べて遜色なくむしろ上との見解に最後に票を入れた。」
浅田次郎
男61歳
18 「読み始めるとじきに、選者の立場を忘れて一読者となった。推した理由の第一はそれである。」「この作品には、作家の読者に対する誠意と責任が結実しており、細部を論ずるまでもなく受賞作にふさわしいと感じた。」
桐野夏生
女61歳
16 「武士である自分と、画家である自分とがせめぎ合う時代が長く描かれる。画家の長い一生を書くからには、避けて通れないテーマだったのかもしれないが、それ故に画家の「狂乱」はなかなか描かれない。そこがやや冗長に感じられたのだが、画家としての欲望を全開させた下巻は迫力がある。」
北方謙三
男65歳
18 「読んでいて、不安になるところは、皆無である。強いて言えば、創造の狂気が、そばにいる人間の、業が深い、という言葉に収約されてしまっているところ、成熟期の晩年が描かれていないところなどが、いくらか気になった。受賞にふさわしい、堂々たる力作であったと思う。」
林真理子
女58歳
15 「第一に推すつもりで選考会に臨んだ。」「上巻は戦国の世を生き抜く等伯を描いて、まるで冒険小説のような面白さだ。そして下巻は、政治に翻弄され、陰謀と策略の世界に身を置く画家を描ききった。違う色彩で、上下巻を一気に読ませる力はさすがである。」
宮城谷昌光
男67歳
14 「長谷川等伯の情熱とかれの子の久蔵の顕揚欲が旺盛であるがゆえに、危うい、という感じが、よく描けていた。それでもこの作品には、わかりにくいところがいくつかあり、読了するまでに、何度か立ちどまったことはたしかである。」
阿刀田高
男78歳
21 「小説としての新しさを強く訴えるものではないが、オーソドックスな歴史小説として安定した力を強く感じた。納得のいく受賞であった。」
渡辺淳一
男79歳
23 「ものごとの本質を見極めたいという絵師の性と、荒ぶる武家の血が、さまざまな事件に会う度に揺らぎ、かつ燃え盛る。」「まさしく、絵師には想像できぬ事態が次々とおきるが、それを乗り越えていく生きざまがよく描かれている。」「とくに新聞小説という舞台で、これだけの大作を安定して描ききった力量は、おおいに評価していいだろう。」
選評出典:『オール讀物』平成25年/2013年3月号
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大衆選考会 148回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
エイチャン 平成25年/2013年1月10日 そうか、昔の絵師も画家であると同時に新進のデザイナーで、現場監督も出来る企業人でもないと大きな作品が描けないということか。
思わず『へぇー』の知識を紹介する安部さん。相変わらずです。
麸谷 学 平成25年/2013年1月14日 元武士らしいまっすぐな生き方、絵師としての波乱人生。
水墨画という書き直しができない集中力と信念。
人への思いやり、感謝するやさしい性分と決めたことには一途一心。
信長、利休、秀吉、近衛前久等とのかかわり、この小説に引き込まれました。
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文量
長篇
章立て
上巻「第一章 京へ」「第二章 焦熱の道」「第三章 盟約の絵」「第四章 比翼の絆」「第五章 遠い故郷」「第六章 対決」下巻「第六章 対決(承前)」「第七章 大徳寺三門」「第八章 永徳死す」「第九章 利休と鶴松」「第十章 「松林図」」
時代設定 場所設定
戦国[永禄年間]~江戸初期[慶長年間]  能登~越中~芹川~近江~京~大坂~堺など
登場人物
長谷川又四郎信春(のち等伯、絵師)
静子(信春の妻)
久蔵(信春の長男)
清子(信春の二番目の妻、堺の油屋の娘)
奥村武之丞(信春の実兄、畠山家の家臣)
狩野永徳(朝廷の御用絵師)
夕姫(畠山義綱の娘、三条西家に嫁入り)
近衛前久(関白)
秀吉(天下人)
千利休(茶人)




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