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第86回
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昭和56年/1981年下半期
(昭和57年/1982年1月18日決定発表/『オール讀物』昭和57年/1982年4月号選評掲載)
選考委員  城山三郎
男54歳
池波正太郎
男58歳
水上勉
男62歳
源氏鶏太
男69歳
阿川弘之
男61歳
村上元三
男71歳
山口瞳
男55歳
五木寛之
男49歳
今日出海
男78歳
選評総行数  52 36 57 51 18 53 57 81  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
光岡明 『機雷』
725
男49歳
14 21 21 12 7 12 6 10    
つかこうへい 『蒲田行進曲』
272
男33歳
14 10 25 8 6 5 10 37    
古川薫 『暗殺の森』
384
男56歳
7 0 0 7 0 14 6 8    
西村望 『丑三つの村』
537
男56歳
0 0 0 4 0 4 5 10    
海老沢泰久 『F2グランプリ』
456
男31歳
10 5 0 7 7 4 7 0    
村松友視 「泪橋」
156
男41歳
7 0 11 7 0 3 10 20    
深田祐介 「バンコク喪服支店」
128
男50歳
0 0 6 6 0 5 12 5    
                欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和57年/1982年4月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員
城山三郎男54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
独特の破壊力 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明
男49歳
14 「戦争の非情さ、アメリカのこわさといったものも、にじみ出て、いろいろ教えられることが多い。」「やや観念的というか、ぐちや説教を感じさせるところがあり、リズムが生まれず、少々読みづらかった。」
つかこうへい
男33歳
14 「テンポがよく、間がよく、イキがよく、いかにも人間が生きている感じがあった。」「だめな男対だめな男の関係が、お互いを生かし合っていて、おもしろく、その底にこの作者独特の破壊力を感じさせる。」
古川薫
男56歳
7 「一本調子な小説ではなく、怨念を二重にだぶらせて進行させ、構成にも工夫があるように思われたが、それだけに、いまひとつすっきりしない仕立て上りになったことが惜しまれる。」
西村望
男56歳
0  
海老沢泰久
男31歳
10 「達者な作品である。」「緊迫感もあり、人生のにがみを感じさせるところもあるが、一方ではアメリカ映画のセリフのようなものもあって、鈴鹿の風のにおい土のにおいといったものが稀薄な気がした。」
村松友視
男41歳
7 「小道具大道具を巧みに使いこなして、銅版画のような世界をつくり上げている。そのうまさが少し鼻につくような気がしたのは、どうしてであろうか。」
深田祐介
男50歳
0  
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他の選考委員
池波正太郎
水上勉
源氏鶏太
阿川弘之
村上元三
山口瞳
五木寛之
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選考委員
池波正太郎男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
力作〔機雷〕 総行数36 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明
男49歳
21 「この小説がもつ力感を第一に買わざるを得なかった。」「構築のみごとさ。登場人物の描写もすぐれてい、戦争小説の範疇をこえた力作といえる。」
つかこうへい
男33歳
10 「笑いながら読みすすみつつ、長年、芝居の世界にいた私は、むしろ鋭いリアリティに迫力を感じた。後半は、先を読まれてしまってペースが落ちる。」
古川薫
男56歳
0  
西村望
男56歳
0  
海老沢泰久
男31歳
5 「いかにも若々しい精悍さでダイナミックなマシーン小説を書いた海老沢泰久氏へも今後に大きな期待がよせられたようである。」
村松友視
男41歳
0  
深田祐介
男50歳
0  
  「今回の候補作は、いずれも粒がそろっていたようにおもう。」
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他の選考委員
城山三郎
水上勉
源氏鶏太
阿川弘之
村上元三
山口瞳
五木寛之
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選考委員
水上勉男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
誠実とペーソス 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明
男49歳
21 「すぐれていた。文章もしっかりしていて重厚である。」「だが、おもしろい小説といえるかどうか。」「作者が創りだした人間世界を求めるものには、調査の重みだけでは退屈するのだった。誠実でいい仕事だな、と思うがちょっと首をひねった理由はそれである。」
つかこうへい
男33歳
25 「私はさきに、「ひも」を強力に推して破れていたので、この作品が最後までのこったのはうれしかった。どちらかといえば、「ひも」の方が密度も濃かったと思う。「蒲田」は「ひも」のように会話が追いこまれてなくて改行の多いせいか、つかさんの語りのオリみたいなものが散ってしまう気分である。」
古川薫
男56歳
0  
西村望
男56歳
0  
海老沢泰久
男31歳
0  
村松友視
男41歳
11 「小説つくりの才は抜群でも、どこか弱い。」「いろいろ持ちこみすぎたためか、主題が散った。惜しい作品である。だがこの人はいつか申し分のない傑作を見せてくれよう。」
深田祐介
男50歳
6 「深田さんのものとしては落ちた。「革命商人」の重厚な面白さに比して軽いのだった。深田さんもこんな作品が授賞では困られるだろう。」
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他の選考委員
城山三郎
池波正太郎
源氏鶏太
阿川弘之
村上元三
山口瞳
五木寛之
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選考委員
源氏鶏太男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数51 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明
男49歳
12 「海軍将校の花々しい死をのぞみながら機雷に取っ組み、その志を得ず、戦後まで生き延びて、甦る機雷に関係しなければならなかった男の生きざまが見事に描かれている。その死生観も十分に理解出来る。」
つかこうへい
男33歳
8 「何んとも面白くてうら悲しい小説であった。」「作者の才能を感じさせる。難をいえば、すこし軽い。尤も、この軽さは、作者の狙いであったようにも思える。」
古川薫
男56歳
7 「よく調べて書いてあるが、その描き方がすこし雑然としていて、途中から煩わしくなって来た。古川氏の過去の候補作品に比較してもやや落ちる。」
西村望
男56歳
4 「まことに厭な話であるが、そこに不思議な魅力がある。文章もうまいと思った。」
海老沢泰久
男31歳
7 「読んでいて愉しかったが、文学的香気がいささか欠けているように思った。」
村松友視
男41歳
7 「うまい小説である。」「人生の一断面を見せられる思いで読んだが、推すには今一つ何かが不足しているような気がした。」
深田祐介
男50歳
6 「ユウモア小説としてもあまり成功しているとは思われなかった。深田氏には他にもっといい作品がある筈である。」
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他の選考委員
城山三郎
池波正太郎
水上勉
阿川弘之
村上元三
山口瞳
五木寛之
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選考委員
阿川弘之男61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
一長一短 総行数18 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明
男49歳
7 「重厚だが専門用語その他海軍の描き方に首をかしげる箇所が多く、めでたく決定後も、すつきりしないものが残つた。」
つかこうへい
男33歳
6 「軽妙だが読み了へての印象が薄く、(引用者中略)めでたく決定後も、すつきりしないものが残つた。」
古川薫
男56歳
0  
西村望
男56歳
0  
海老沢泰久
男31歳
7 「素材にふさはしいスピード感あり、構成もがつしりしてゐて面白かつたけれど、要らざる洒落気があちこち眼につき、積極的には推しかねた。」
村松友視
男41歳
0  
深田祐介
男50歳
0  
  「今回は受賞作無しと思つてゐた。」
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他の選考委員
城山三郎
池波正太郎
水上勉
源氏鶏太
村上元三
山口瞳
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選考委員
村上元三男71歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
もっと短篇を 総行数53 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明
男49歳
12 「第一章が不要で、第二章以下に盛りこむべきであったろう。」「無駄を書きすぎているし、この作品はもう一ぺん整理してまとめたほうがよかったと思う。」
つかこうへい
男33歳
5 「前半の章だけが面白かった。会話はお手のものでうまいし、軽く読めるが、後半もヤスの話で進めるべきではなかったろうか。」
古川薫
男56歳
14 「主人公の野見庄太郎がこれほど苦労をして取材をしたり、古文書を漁ってまとめた「中山忠光卿殺害顛末」が棺の中で灰になってしまった、となると、作者がこの一作の中で調べたことが、嘘になってしまう。」「高い広い視野から見てほしかった。」
西村望
男56歳
4 「読後感も悪いし、主人公がよく描かれていない。ただ人を殺して廻る小説では、賞の対象にはならない。」
海老沢泰久
男31歳
4 「レースの場面だけが面白くて、終末も予想した通りになったし、小説としての構成は月並であった。」
村松友視
男41歳
3 「うまいが、小味で、読み終っても何も手応えはなかった。」
深田祐介
男50歳
5 「当然もう受賞していい実力を持った人だが、今回この作品が候補になったのは作者にとって不運だった。」
  「わたしは今回、該当作なしのほうに票を入れた。」
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他の選考委員
城山三郎
池波正太郎
水上勉
源氏鶏太
阿川弘之
山口瞳
五木寛之
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選考委員
山口瞳男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
豊作貧乏 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明
男49歳
6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
つかこうへい
男33歳
10 「ともかく面白い作品で、何度も笑ったり唸ったりした。銀ちゃんがいい。」「いまの若者の受身の姿勢がマゾヒズムに拡大され、一種の恍惚境を造りだす作者の手腕に感動した。」
古川薫
男56歳
6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
西村望
男56歳
5 「私の好きな作家で、粘着力のある文章が光っているが、他の作家の書いている事件を扱ったので損をした。」
海老沢泰久
男31歳
7 「彼はハードなタッチの翻訳調という独特の文体を持っていて、そのおおらかで決して小味にならない仕事ぶりとあわせて、常に大物感が漾っている。」
村松友視
男41歳
10 「第一京浜国道立会川附近の埃っぽい感じと羽田埋立地水路の索漠とが完璧に描かれているうえに話の転結が面白く、上々の風俗小説となっている。」「前回と較べて格段の進歩があるところから将来性を買って、これを第一に推した。」
深田祐介
男50歳
12 「毎回、これだけ大人の読者を堪能させる作品を書き続けうる力量を評価すべきで、ラグビーの認定トライのような受賞があってもいいのではないかと思ったが、この作品(引用者中略)で受賞するのは作者にとって名誉ではないという発言があり、それが大方の意見を代表する形になった。」
  「七篇の甲乙はつけ難く、豊作貧乏の感がある。」
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他の選考委員
城山三郎
池波正太郎
水上勉
源氏鶏太
阿川弘之
村上元三
五木寛之
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選考委員
五木寛之男49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
つか氏を推す 総行数81 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明
男49歳
10 「池波正太郎氏に強く推された。私は池波さんの真情あふるる推挙ぶりに感動し、最初は〈蒲田行進曲〉と〈泪橋〉の二作授賞を主張しながら、最後に変節した。池波さんの批評眼を私は信用しているし、そういう一途な推されかたをする作家には必ず何かがあると思えたからである。」
つかこうへい
男33歳
37 「つか氏の作品は、私たちの無意識の世界の深いところに鋭く触れるものがある。」「私はこの物語りを遠い祭ばやしを聞くような気分で楽しみながら一気に読み通し、やがて数日たってからずしんと来るものを感じた。」「面白おかしく書きとばせば、それがおのずからなる批評の色合いをおびるという痛快な結果をもたらすので、そういう無意識の狩人を天才と呼んで不自然なわけがない。」
古川薫
男56歳
8 「すでに直木賞など必要としない堂々たる一国一城の主である。既成作家としての安定した作風が、新人賞である直木賞にかえってそぐわない印象をあたえるあたりが、何度も惜しいところで受賞を逸する一因かもしれない。」
西村望
男56歳
10 「前に候補作となった〈薄化粧〉が好きだったせいか、やや印象が薄かったように思う。」
海老沢泰久
男31歳
0  
村松友視
男41歳
20 「秀才の苦心作といった趣きだ。」「〈泪橋〉が〈蒲田行進曲〉より小説としていささかも劣るわけではない。私はこの作品の背景をなしている一帯に長く住んでいたことがあるためか、ことに興味ぶかく読んだ。」
深田祐介
男50歳
5 「今度の作品で受賞は本人自身も望まれないだろう。この後いくらでも力作、快作が期待できる作家だからである。」
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他の選考委員
城山三郎
池波正太郎
水上勉
源氏鶏太
阿川弘之
村上元三
山口瞳
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受賞者・作品
光岡明男49歳×各選考委員 
『機雷』
長篇 725
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎
男54歳
14 「戦争の非情さ、アメリカのこわさといったものも、にじみ出て、いろいろ教えられることが多い。」「やや観念的というか、ぐちや説教を感じさせるところがあり、リズムが生まれず、少々読みづらかった。」
池波正太郎
男58歳
21 「この小説がもつ力感を第一に買わざるを得なかった。」「構築のみごとさ。登場人物の描写もすぐれてい、戦争小説の範疇をこえた力作といえる。」
水上勉
男62歳
21 「すぐれていた。文章もしっかりしていて重厚である。」「だが、おもしろい小説といえるかどうか。」「作者が創りだした人間世界を求めるものには、調査の重みだけでは退屈するのだった。誠実でいい仕事だな、と思うがちょっと首をひねった理由はそれである。」
源氏鶏太
男69歳
12 「海軍将校の花々しい死をのぞみながら機雷に取っ組み、その志を得ず、戦後まで生き延びて、甦る機雷に関係しなければならなかった男の生きざまが見事に描かれている。その死生観も十分に理解出来る。」
阿川弘之
男61歳
7 「重厚だが専門用語その他海軍の描き方に首をかしげる箇所が多く、めでたく決定後も、すつきりしないものが残つた。」
村上元三
男71歳
12 「第一章が不要で、第二章以下に盛りこむべきであったろう。」「無駄を書きすぎているし、この作品はもう一ぺん整理してまとめたほうがよかったと思う。」
山口瞳
男55歳
6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
五木寛之
男49歳
10 「池波正太郎氏に強く推された。私は池波さんの真情あふるる推挙ぶりに感動し、最初は〈蒲田行進曲〉と〈泪橋〉の二作授賞を主張しながら、最後に変節した。池波さんの批評眼を私は信用しているし、そういう一途な推されかたをする作家には必ず何かがあると思えたからである。」
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他の候補作
つかこうへい
『蒲田行進曲』
古川薫
『暗殺の森』
西村望
『丑三つの村』
海老沢泰久
『F2グランプリ』
村松友視
「泪橋」
深田祐介
「バンコク喪服支店」
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受賞者・作品
つかこうへい男33歳×各選考委員 
『蒲田行進曲』
中篇 272
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎
男54歳
14 「テンポがよく、間がよく、イキがよく、いかにも人間が生きている感じがあった。」「だめな男対だめな男の関係が、お互いを生かし合っていて、おもしろく、その底にこの作者独特の破壊力を感じさせる。」
池波正太郎
男58歳
10 「笑いながら読みすすみつつ、長年、芝居の世界にいた私は、むしろ鋭いリアリティに迫力を感じた。後半は、先を読まれてしまってペースが落ちる。」
水上勉
男62歳
25 「私はさきに、「ひも」を強力に推して破れていたので、この作品が最後までのこったのはうれしかった。どちらかといえば、「ひも」の方が密度も濃かったと思う。「蒲田」は「ひも」のように会話が追いこまれてなくて改行の多いせいか、つかさんの語りのオリみたいなものが散ってしまう気分である。」
源氏鶏太
男69歳
8 「何んとも面白くてうら悲しい小説であった。」「作者の才能を感じさせる。難をいえば、すこし軽い。尤も、この軽さは、作者の狙いであったようにも思える。」
阿川弘之
男61歳
6 「軽妙だが読み了へての印象が薄く、(引用者中略)めでたく決定後も、すつきりしないものが残つた。」
村上元三
男71歳
5 「前半の章だけが面白かった。会話はお手のものでうまいし、軽く読めるが、後半もヤスの話で進めるべきではなかったろうか。」
山口瞳
男55歳
10 「ともかく面白い作品で、何度も笑ったり唸ったりした。銀ちゃんがいい。」「いまの若者の受身の姿勢がマゾヒズムに拡大され、一種の恍惚境を造りだす作者の手腕に感動した。」
五木寛之
男49歳
37 「つか氏の作品は、私たちの無意識の世界の深いところに鋭く触れるものがある。」「私はこの物語りを遠い祭ばやしを聞くような気分で楽しみながら一気に読み通し、やがて数日たってからずしんと来るものを感じた。」「面白おかしく書きとばせば、それがおのずからなる批評の色合いをおびるという痛快な結果をもたらすので、そういう無意識の狩人を天才と呼んで不自然なわけがない。」
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他の候補作
光岡明
『機雷』
古川薫
『暗殺の森』
西村望
『丑三つの村』
海老沢泰久
『F2グランプリ』
村松友視
「泪橋」
深田祐介
「バンコク喪服支店」
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候補者・作品
古川薫男56歳×各選考委員 
『暗殺の森』
長篇 384
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎
男54歳
7 「一本調子な小説ではなく、怨念を二重にだぶらせて進行させ、構成にも工夫があるように思われたが、それだけに、いまひとつすっきりしない仕立て上りになったことが惜しまれる。」
池波正太郎
男58歳
0  
水上勉
男62歳
0  
源氏鶏太
男69歳
7 「よく調べて書いてあるが、その描き方がすこし雑然としていて、途中から煩わしくなって来た。古川氏の過去の候補作品に比較してもやや落ちる。」
阿川弘之
男61歳
0  
村上元三
男71歳
14 「主人公の野見庄太郎がこれほど苦労をして取材をしたり、古文書を漁ってまとめた「中山忠光卿殺害顛末」が棺の中で灰になってしまった、となると、作者がこの一作の中で調べたことが、嘘になってしまう。」「高い広い視野から見てほしかった。」
山口瞳
男55歳
6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
五木寛之
男49歳
8 「すでに直木賞など必要としない堂々たる一国一城の主である。既成作家としての安定した作風が、新人賞である直木賞にかえってそぐわない印象をあたえるあたりが、何度も惜しいところで受賞を逸する一因かもしれない。」
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他の候補作
光岡明
『機雷』
つかこうへい
『蒲田行進曲』
西村望
『丑三つの村』
海老沢泰久
『F2グランプリ』
村松友視
「泪橋」
深田祐介
「バンコク喪服支店」
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候補者・作品
西村望男56歳×各選考委員 
『丑三つの村』
長篇 537
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎
男54歳
0  
池波正太郎
男58歳
0  
水上勉
男62歳
0  
源氏鶏太
男69歳
4 「まことに厭な話であるが、そこに不思議な魅力がある。文章もうまいと思った。」
阿川弘之
男61歳
0  
村上元三
男71歳
4 「読後感も悪いし、主人公がよく描かれていない。ただ人を殺して廻る小説では、賞の対象にはならない。」
山口瞳
男55歳
5 「私の好きな作家で、粘着力のある文章が光っているが、他の作家の書いている事件を扱ったので損をした。」
五木寛之
男49歳
10 「前に候補作となった〈薄化粧〉が好きだったせいか、やや印象が薄かったように思う。」
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他の候補作
光岡明
『機雷』
つかこうへい
『蒲田行進曲』
古川薫
『暗殺の森』
海老沢泰久
『F2グランプリ』
村松友視
「泪橋」
深田祐介
「バンコク喪服支店」
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候補者・作品
海老沢泰久男31歳×各選考委員 
『F2グランプリ』
長篇 456
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎
男54歳
10 「達者な作品である。」「緊迫感もあり、人生のにがみを感じさせるところもあるが、一方ではアメリカ映画のセリフのようなものもあって、鈴鹿の風のにおい土のにおいといったものが稀薄な気がした。」
池波正太郎
男58歳
5 「いかにも若々しい精悍さでダイナミックなマシーン小説を書いた海老沢泰久氏へも今後に大きな期待がよせられたようである。」
水上勉
男62歳
0  
源氏鶏太
男69歳
7 「読んでいて愉しかったが、文学的香気がいささか欠けているように思った。」
阿川弘之
男61歳
7 「素材にふさはしいスピード感あり、構成もがつしりしてゐて面白かつたけれど、要らざる洒落気があちこち眼につき、積極的には推しかねた。」
村上元三
男71歳
4 「レースの場面だけが面白くて、終末も予想した通りになったし、小説としての構成は月並であった。」
山口瞳
男55歳
7 「彼はハードなタッチの翻訳調という独特の文体を持っていて、そのおおらかで決して小味にならない仕事ぶりとあわせて、常に大物感が漾っている。」
五木寛之
男49歳
0  
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他の候補作
光岡明
『機雷』
つかこうへい
『蒲田行進曲』
古川薫
『暗殺の森』
西村望
『丑三つの村』
村松友視
「泪橋」
深田祐介
「バンコク喪服支店」
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候補者・作品
村松友視男41歳×各選考委員 
「泪橋」
中篇 156
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎
男54歳
7 「小道具大道具を巧みに使いこなして、銅版画のような世界をつくり上げている。そのうまさが少し鼻につくような気がしたのは、どうしてであろうか。」
池波正太郎
男58歳
0  
水上勉
男62歳
11 「小説つくりの才は抜群でも、どこか弱い。」「いろいろ持ちこみすぎたためか、主題が散った。惜しい作品である。だがこの人はいつか申し分のない傑作を見せてくれよう。」
源氏鶏太
男69歳
7 「うまい小説である。」「人生の一断面を見せられる思いで読んだが、推すには今一つ何かが不足しているような気がした。」
阿川弘之
男61歳
0  
村上元三
男71歳
3 「うまいが、小味で、読み終っても何も手応えはなかった。」
山口瞳
男55歳
10 「第一京浜国道立会川附近の埃っぽい感じと羽田埋立地水路の索漠とが完璧に描かれているうえに話の転結が面白く、上々の風俗小説となっている。」「前回と較べて格段の進歩があるところから将来性を買って、これを第一に推した。」
五木寛之
男49歳
20 「秀才の苦心作といった趣きだ。」「〈泪橋〉が〈蒲田行進曲〉より小説としていささかも劣るわけではない。私はこの作品の背景をなしている一帯に長く住んでいたことがあるためか、ことに興味ぶかく読んだ。」
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他の候補作
光岡明
『機雷』
つかこうへい
『蒲田行進曲』
古川薫
『暗殺の森』
西村望
『丑三つの村』
海老沢泰久
『F2グランプリ』
深田祐介
「バンコク喪服支店」
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候補者・作品
深田祐介男50歳×各選考委員 
「バンコク喪服支店」
中篇 128
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎
男54歳
0  
池波正太郎
男58歳
0  
水上勉
男62歳
6 「深田さんのものとしては落ちた。「革命商人」の重厚な面白さに比して軽いのだった。深田さんもこんな作品が授賞では困られるだろう。」
源氏鶏太
男69歳
6 「ユウモア小説としてもあまり成功しているとは思われなかった。深田氏には他にもっといい作品がある筈である。」
阿川弘之
男61歳
0  
村上元三
男71歳
5 「当然もう受賞していい実力を持った人だが、今回この作品が候補になったのは作者にとって不運だった。」
山口瞳
男55歳
12 「毎回、これだけ大人の読者を堪能させる作品を書き続けうる力量を評価すべきで、ラグビーの認定トライのような受賞があってもいいのではないかと思ったが、この作品(引用者中略)で受賞するのは作者にとって名誉ではないという発言があり、それが大方の意見を代表する形になった。」
五木寛之
男49歳
5 「今度の作品で受賞は本人自身も望まれないだろう。この後いくらでも力作、快作が期待できる作家だからである。」
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他の候補作
光岡明
『機雷』
つかこうへい
『蒲田行進曲』
古川薫
『暗殺の森』
西村望
『丑三つの村』
海老沢泰久
『F2グランプリ』
村松友視
「泪橋」
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