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第82回
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昭和54年/1979年下半期
(昭和55年/1980年1月17日決定発表/『オール讀物』昭和55年/1980年4月号選評掲載)
選考委員  新田次郎
男67歳
水上勉
男60歳
松本清張
男70歳
源氏鶏太
男67歳
城山三郎
男52歳
今日出海
男76歳
五木寛之
男47歳
村上元三
男69歳
司馬遼太郎
男56歳
選評総行数  70 66 59 49 53 37 60 54  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
高柳芳夫 『プラハからの道化たち』
553
男49歳
6 0 5 5 4 0 0 4    
阿久悠 『瀬戸内少年野球団』
610
男42歳
7 0 0 6 13 0 0 3    
つかこうへい 「ロマンス」等
151
男31歳
14 25 7 14 16 14 4 4    
深田祐介 『革命商人』
1094
男48歳
24 36 45 16 11 11 6 14    
中山千夏 「羽音」
147
女31歳
8 6 4 6 3 0 0 10    
岩川隆 「運」等
139
男46歳
14 0 0 9 7 0 0 8    
                欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和55年/1980年4月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員
新田次郎男67歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
予想はずれ 総行数70 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
高柳芳夫
男49歳
6 「面白かったが、事件の動機や人物の出し方、表現にややもの足りないものを感じた。」
阿久悠
男42歳
7 「一気に読ませる力があったが、生硬な部分がところどころ目についた。走り過ぎる傾向の筆を押えて次回の力作を期待する。」
つかこうへい
男31歳
14 「新鮮な作品だった。」「ショッキングな言動や描写が小説の流れの上で問題になるようにも、視点を変えて読むと効果的な文学的布石にも思われて、興味をそそられた。確かに私はこの作品に一種の感動のようなものを覚えていた。もう一歩のところで惜しいことをした。」
深田祐介
男48歳
24 「企業小説として文句のない出来栄えだった。」「これこそ直木賞だと予想していたが、いざこの作者に賞を与えるかどうかになると意外に多くの反対意見が出て、論争になり、やむなく決を採ったところ五対三で、直木賞は見送りとなった。私はこの作者が近いうち、更に勝れたものを書いて捲土重来、間違いないところを確信している。」
中山千夏
女31歳
8 「候補作六篇を通じてもっとも小説らしい小説だったし、特にこれというような大きな欠点はない上手な作品だったが、いささかマンネリズムに落ちこんだもの足りなさがあった。」
岩川隆
男46歳
14 「今尚、精神的には戦争は終っていないということを力強く物語っていて、説得力のある作品だった。三つの短篇とも、文中に遺書や日記などを挟んであったが、これはそれぞれの章の末尾にまとめた方が効果的だったと思う。」
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他の選考委員
水上勉
松本清張
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
五木寛之
村上元三
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選考委員
水上勉男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
心田の所産 総行数66 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
高柳芳夫
男49歳
0  
阿久悠
男42歳
0  
つかこうへい
男31歳
25 「受賞作をと迫られて、つかさんに手をあげたが、二票しかなかった。」「つかさんに執着したのは、独自性をかったのである。読んでいるうちにもの哀しくなっていく、そこがいい。」「重いところがないのが、気にはなる。しかし迫るもの苦しさは、やはりこの人の芸の力である。」
深田祐介
男48歳
36 「最後まで興味深く読んだ。」「思うに活躍する商社マンはそれぞれ個性を書きわけようとの配慮がなされているものの、類型的なのである。」「期待していくが強くうちでてこない。」「家をでるときは、これが受賞になってもよいが、と思ったものがくずれた。」
中山千夏
女31歳
6 「一番小説らしい小説創りをこころがけて、失敗している中山さんの前回作と今回作を思い、きらりとみせた作家の目が、結局、全候補作を通じて光っていた気もする。」
岩川隆
男46歳
0  
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他の選考委員
新田次郎
松本清張
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
五木寛之
村上元三
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選考委員
松本清張男70歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
才能の満開を 総行数59 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
高柳芳夫
男49歳
5 「意外性を強調するあまりに伏線の設定が不足で、プロットもあんがい平凡だった。」
阿久悠
男42歳
0  
つかこうへい
男31歳
7 「「ヒモのはなし」はもう少し文章の抑制と主人公の悲哀に詩情があれば一級の作品になったと思うが、この文体が若者の表現だといわれると私は沈黙のほかはない。」
深田祐介
男48歳
45 「もし選考委員の多数が受賞作として推すならそれに従うつもりで委員会に出た。」「積極的になれなかったのは、いくつかの欠点を見たからである。」「小説としてもう一つ眼前に浮き上ってくるものがない。それは多くの登場人物が類型的であることだ。」
中山千夏
女31歳
4 「今回の候補作の中で最も小説家らしい素質は中山千夏氏と思うが、もう少し重厚な作品を次に期待したい。」
岩川隆
男46歳
0  
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他の選考委員
新田次郎
水上勉
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
五木寛之
村上元三
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選考委員
源氏鶏太男67歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
感想 総行数49 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
高柳芳夫
男49歳
5 「複雑化するために多少の無理が感じられた。しかし、一応成功した作品であろう。」
阿久悠
男42歳
6 「軽妙な文章だし、登場人物がそれぞれ活き活きと描かれている。しかし、読みながら上質の少年小説でないかとの感じを捨て切れなかった。」
つかこうへい
男31歳
14 「「ヒモのはなし」は、笑わせるし、しんみりさせるし、描き方も天衣無縫で面白かった。ヒモにもプライドがあるということであろうか。こういう作品の評価はそれだけ難しいのかも知れない。」
深田祐介
男48歳
16 「力作である。」「文学的にも密度が高いし、それぞれの登場人物がよく描かれている。しかし、全く反対の意見が多く、私は、自分の説得力の不足を歯痒く思った。」
中山千夏
女31歳
6 「よくまとまっているし、文章もうまい。が、途中からネタが割れてくる。そのため読後感が浅いものになってしまったのが惜しまれる。」
岩川隆
男46歳
9 「三作のうち、「安来節」がいちばん面白かった。引用参考にしてある「世紀の遺書」が重要なポイントになっているのだが、大切なことであって、どこかそこだけ浮き上ったように感じさせるのは、もう一工夫があってよかったのでなかろうか。」
  「結局、授賞者なしと決ったのは、今でも残念に思っている。」
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他の選考委員
新田次郎
水上勉
松本清張
城山三郎
今日出海
五木寛之
村上元三
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選考委員
城山三郎男52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
不条理の美学 総行数53 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
高柳芳夫
男49歳
4 「スケールの大きな作品だが、設定に少々無理があったのではないだろうか。」
阿久悠
男42歳
13 「新鮮なイメージがちりばめられてあり、(引用者中略)奔放な構成と筆致で時代をうつしとろうとしている。童話のよさも活力もあるが、少々調子にのりすぎたところも。」
つかこうへい
男31歳
16 「三作品の中では、「ヒモのはなし」が、とびぬけておもしろかった。」「かつて、わたしは、「熱海殺人事件」という戯曲を読み芝居も見て、この作者のたたきつけるように荒々しいダイナミズム、不条理というかナンセンスの軽やかな美学といったものに感心したものだが、「ヒモのはなし」には、荒々しさに代って一種のペーソスがあり、この作者の大きな才能と将来性を感じさせた。」
深田祐介
男48歳
11 「政治と商戦がだぶり、登場人物である商社員たちの内部では、日本の戦中と戦後が重なり合う。」「いわゆる調べた小説、足で書いた小説だが、「サンチャゴのおばん」と呼ばれる脇役の女性など、いきいきと描かれていた。」
中山千夏
女31歳
3 「達者だが、登場人物が一種の役割を演じている感じが残り、」
岩川隆
男46歳
7 「重い十字架を背負って生きる人間たちの姿や心情をあざやかに描いて、しんみりさせられたが、実在の遺書を使うことに、問題が感じられた。」
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他の選考委員
新田次郎
水上勉
松本清張
源氏鶏太
今日出海
五木寛之
村上元三
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選考委員
今日出海男76歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
何か欲しかった 総行数37 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
高柳芳夫
男49歳
0  
阿久悠
男42歳
0  
つかこうへい
男31歳
14 「特異の世界を持っており、殊に「ヒモのはなし」は面白く読んだ。」「題材の特異さに、もう一つ踏み込んだものがあってもいいという望蜀の歎も漏らしたくなる」「作者が才能を濫費するか、吝嗇になるか、そんな境い目にあるように見えてならなかった。次作品を読みたい。」
深田祐介
男48歳
11 「作者の体験と調べた努力にも敬意を表するのだが、チリの革命と日本商人の活躍もよく描いていると思いながら、慾をいえば、人の世の浮き沈みを見据えている作者のというよりは作家としての眼が欲しかった。」
中山千夏
女31歳
0  
岩川隆
男46歳
0  
  「量的には例年になく多く、且つ力作揃いだった。」「粒が揃えば、余程何らかの点で秀れていなければその中から一二篇を選び出しにくいのは当然であり、甲論乙駁が生ずるのも不思議はない。」
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他の選考委員
新田次郎
水上勉
松本清張
源氏鶏太
城山三郎
五木寛之
村上元三
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選考委員
五木寛之男47歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
直木賞の現実 総行数60 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
高柳芳夫
男49歳
0  
阿久悠
男42歳
0  
つかこうへい
男31歳
4 「最終的に私は、つかこうへい氏の作品を受賞作に推したが、各委員の賛意を得ることができなかった。」
深田祐介
男48歳
6 「「革命商人」というタイトルよりも、むしろ「反革命商人」とすべきではなかったか、というのが私の感想である。」
中山千夏
女31歳
0  
岩川隆
男46歳
0  
  「直木賞がジャーナリズムの興味をひくために、芸能界に関係のある知名人を候補に集めたというような見方も、一部にはあるらしいが、そんなことはどうでもいいことだ。」「今後とも主催者側のますます大胆溌剌たる遺賢の発掘を望む。」「また訳知り顔の解説家の中には、直木賞の決定に主催団体およぶ文藝春秋社の意向が大きく反映するかのごとき説を述べられたりする向きもあるが、これも全くのナンセンスである。」「そんな無言の誘導や圧力を感じたら、私なぞ即座に選考委員をやめさせて頂く。」
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他の選考委員
新田次郎
水上勉
松本清張
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
村上元三
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選考委員
村上元三男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
作品本位 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
高柳芳夫
男49歳
4 「わたしという主人公の行動が日本人の体質にはない異常さに感じられて、ついて行けなかった。」
阿久悠
男42歳
3 「直木賞の対象にするには平板で、どうということもない。」
つかこうへい
男31歳
4 「作者が芝居を書いているせいか、せりふのうまさだけが浮きあがって、読後の感銘は大そう弱かった。」
深田祐介
男48歳
14 「この作者が「日本悪妻に乾杯」のときに見せたのびのびした筆致は、どこへ行ってしまったのだろうか。文章は固いし、調べた資料をすっかりそそぎこみ、読んでいてわずらわしさを感じる。いろいろ欠点のある作品を直木賞にすべきではない、と考える。」
中山千夏
女31歳
10 「候補作品六作のうち、内容が一ばん陳腐であった。こういう材料は、いろんな作家が今まで書いているし、鶴という女性が敏夫になぜ傾いて行ったのか、そこのところがわからない。」
岩川隆
男46歳
8 「作中に引用される戦犯の遺書の部分だけが、強烈な印象を与える。これが実話ではなく、フィクションの中に実在した戦犯の遺書を参考にしたとすると、作者の態度に割り切れないものを感じる。」
  「今回は該当作なし、残念だな、と思いながら選考会場へ出かけた。」「直木賞の候補作品は、作者が世間的に著名だろうと無名だろうと、そんなことは選考になんの関係もない。」
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他の選考委員
新田次郎
水上勉
松本清張
源氏鶏太
城山三郎
今日出海
五木寛之
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候補者・作品
高柳芳夫男49歳×各選考委員 
『プラハからの道化たち』
長篇 553
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
新田次郎
男67歳
6 「面白かったが、事件の動機や人物の出し方、表現にややもの足りないものを感じた。」
水上勉
男60歳
0  
松本清張
男70歳
5 「意外性を強調するあまりに伏線の設定が不足で、プロットもあんがい平凡だった。」
源氏鶏太
男67歳
5 「複雑化するために多少の無理が感じられた。しかし、一応成功した作品であろう。」
城山三郎
男52歳
4 「スケールの大きな作品だが、設定に少々無理があったのではないだろうか。」
今日出海
男76歳
0  
五木寛之
男47歳
0  
村上元三
男69歳
4 「わたしという主人公の行動が日本人の体質にはない異常さに感じられて、ついて行けなかった。」
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他の候補作
阿久悠
『瀬戸内少年野球団』
つかこうへい
「ロマンス」等
深田祐介
『革命商人』
中山千夏
「羽音」
岩川隆
「運」等
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候補者・作品
阿久悠男42歳×各選考委員 
『瀬戸内少年野球団』
長篇 610
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
新田次郎
男67歳
7 「一気に読ませる力があったが、生硬な部分がところどころ目についた。走り過ぎる傾向の筆を押えて次回の力作を期待する。」
水上勉
男60歳
0  
松本清張
男70歳
0  
源氏鶏太
男67歳
6 「軽妙な文章だし、登場人物がそれぞれ活き活きと描かれている。しかし、読みながら上質の少年小説でないかとの感じを捨て切れなかった。」
城山三郎
男52歳
13 「新鮮なイメージがちりばめられてあり、(引用者中略)奔放な構成と筆致で時代をうつしとろうとしている。童話のよさも活力もあるが、少々調子にのりすぎたところも。」
今日出海
男76歳
0  
五木寛之
男47歳
0  
村上元三
男69歳
3 「直木賞の対象にするには平板で、どうということもない。」
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他の候補作
高柳芳夫
『プラハからの道化たち』
つかこうへい
「ロマンス」等
深田祐介
『革命商人』
中山千夏
「羽音」
岩川隆
「運」等
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候補者・作品
つかこうへい男31歳×各選考委員 
「ロマンス」等
短篇集(一部)3篇 151
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
新田次郎
男67歳
14 「新鮮な作品だった。」「ショッキングな言動や描写が小説の流れの上で問題になるようにも、視点を変えて読むと効果的な文学的布石にも思われて、興味をそそられた。確かに私はこの作品に一種の感動のようなものを覚えていた。もう一歩のところで惜しいことをした。」
水上勉
男60歳
25 「受賞作をと迫られて、つかさんに手をあげたが、二票しかなかった。」「つかさんに執着したのは、独自性をかったのである。読んでいるうちにもの哀しくなっていく、そこがいい。」「重いところがないのが、気にはなる。しかし迫るもの苦しさは、やはりこの人の芸の力である。」
松本清張
男70歳
7 「「ヒモのはなし」はもう少し文章の抑制と主人公の悲哀に詩情があれば一級の作品になったと思うが、この文体が若者の表現だといわれると私は沈黙のほかはない。」
源氏鶏太
男67歳
14 「「ヒモのはなし」は、笑わせるし、しんみりさせるし、描き方も天衣無縫で面白かった。ヒモにもプライドがあるということであろうか。こういう作品の評価はそれだけ難しいのかも知れない。」
城山三郎
男52歳
16 「三作品の中では、「ヒモのはなし」が、とびぬけておもしろかった。」「かつて、わたしは、「熱海殺人事件」という戯曲を読み芝居も見て、この作者のたたきつけるように荒々しいダイナミズム、不条理というかナンセンスの軽やかな美学といったものに感心したものだが、「ヒモのはなし」には、荒々しさに代って一種のペーソスがあり、この作者の大きな才能と将来性を感じさせた。」
今日出海
男76歳
14 「特異の世界を持っており、殊に「ヒモのはなし」は面白く読んだ。」「題材の特異さに、もう一つ踏み込んだものがあってもいいという望蜀の歎も漏らしたくなる」「作者が才能を濫費するか、吝嗇になるか、そんな境い目にあるように見えてならなかった。次作品を読みたい。」
五木寛之
男47歳
4 「最終的に私は、つかこうへい氏の作品を受賞作に推したが、各委員の賛意を得ることができなかった。」
村上元三
男69歳
4 「作者が芝居を書いているせいか、せりふのうまさだけが浮きあがって、読後の感銘は大そう弱かった。」
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他の候補作
高柳芳夫
『プラハからの道化たち』
阿久悠
『瀬戸内少年野球団』
深田祐介
『革命商人』
中山千夏
「羽音」
岩川隆
「運」等
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候補者・作品
深田祐介男48歳×各選考委員 
『革命商人』
長篇 1094
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
新田次郎
男67歳
24 「企業小説として文句のない出来栄えだった。」「これこそ直木賞だと予想していたが、いざこの作者に賞を与えるかどうかになると意外に多くの反対意見が出て、論争になり、やむなく決を採ったところ五対三で、直木賞は見送りとなった。私はこの作者が近いうち、更に勝れたものを書いて捲土重来、間違いないところを確信している。」
水上勉
男60歳
36 「最後まで興味深く読んだ。」「思うに活躍する商社マンはそれぞれ個性を書きわけようとの配慮がなされているものの、類型的なのである。」「期待していくが強くうちでてこない。」「家をでるときは、これが受賞になってもよいが、と思ったものがくずれた。」
松本清張
男70歳
45 「もし選考委員の多数が受賞作として推すならそれに従うつもりで委員会に出た。」「積極的になれなかったのは、いくつかの欠点を見たからである。」「小説としてもう一つ眼前に浮き上ってくるものがない。それは多くの登場人物が類型的であることだ。」
源氏鶏太
男67歳
16 「力作である。」「文学的にも密度が高いし、それぞれの登場人物がよく描かれている。しかし、全く反対の意見が多く、私は、自分の説得力の不足を歯痒く思った。」
城山三郎
男52歳
11 「政治と商戦がだぶり、登場人物である商社員たちの内部では、日本の戦中と戦後が重なり合う。」「いわゆる調べた小説、足で書いた小説だが、「サンチャゴのおばん」と呼ばれる脇役の女性など、いきいきと描かれていた。」
今日出海
男76歳
11 「作者の体験と調べた努力にも敬意を表するのだが、チリの革命と日本商人の活躍もよく描いていると思いながら、慾をいえば、人の世の浮き沈みを見据えている作者のというよりは作家としての眼が欲しかった。」
五木寛之
男47歳
6 「「革命商人」というタイトルよりも、むしろ「反革命商人」とすべきではなかったか、というのが私の感想である。」
村上元三
男69歳
14 「この作者が「日本悪妻に乾杯」のときに見せたのびのびした筆致は、どこへ行ってしまったのだろうか。文章は固いし、調べた資料をすっかりそそぎこみ、読んでいてわずらわしさを感じる。いろいろ欠点のある作品を直木賞にすべきではない、と考える。」
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他の候補作
高柳芳夫
『プラハからの道化たち』
阿久悠
『瀬戸内少年野球団』
つかこうへい
「ロマンス」等
中山千夏
「羽音」
岩川隆
「運」等
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候補者・作品
中山千夏女31歳×各選考委員 
「羽音」
短篇 147
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
新田次郎
男67歳
8 「候補作六篇を通じてもっとも小説らしい小説だったし、特にこれというような大きな欠点はない上手な作品だったが、いささかマンネリズムに落ちこんだもの足りなさがあった。」
水上勉
男60歳
6 「一番小説らしい小説創りをこころがけて、失敗している中山さんの前回作と今回作を思い、きらりとみせた作家の目が、結局、全候補作を通じて光っていた気もする。」
松本清張
男70歳
4 「今回の候補作の中で最も小説家らしい素質は中山千夏氏と思うが、もう少し重厚な作品を次に期待したい。」
源氏鶏太
男67歳
6 「よくまとまっているし、文章もうまい。が、途中からネタが割れてくる。そのため読後感が浅いものになってしまったのが惜しまれる。」
城山三郎
男52歳
3 「達者だが、登場人物が一種の役割を演じている感じが残り、」
今日出海
男76歳
0  
五木寛之
男47歳
0  
村上元三
男69歳
10 「候補作品六作のうち、内容が一ばん陳腐であった。こういう材料は、いろんな作家が今まで書いているし、鶴という女性が敏夫になぜ傾いて行ったのか、そこのところがわからない。」
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他の候補作
高柳芳夫
『プラハからの道化たち』
阿久悠
『瀬戸内少年野球団』
つかこうへい
「ロマンス」等
深田祐介
『革命商人』
岩川隆
「運」等
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候補者・作品
岩川隆男46歳×各選考委員 
「運」等
短篇集(一部)3篇 139
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
新田次郎
男67歳
14 「今尚、精神的には戦争は終っていないということを力強く物語っていて、説得力のある作品だった。三つの短篇とも、文中に遺書や日記などを挟んであったが、これはそれぞれの章の末尾にまとめた方が効果的だったと思う。」
水上勉
男60歳
0  
松本清張
男70歳
0  
源氏鶏太
男67歳
9 「三作のうち、「安来節」がいちばん面白かった。引用参考にしてある「世紀の遺書」が重要なポイントになっているのだが、大切なことであって、どこかそこだけ浮き上ったように感じさせるのは、もう一工夫があってよかったのでなかろうか。」
城山三郎
男52歳
7 「重い十字架を背負って生きる人間たちの姿や心情をあざやかに描いて、しんみりさせられたが、実在の遺書を使うことに、問題が感じられた。」
今日出海
男76歳
0  
五木寛之
男47歳
0  
村上元三
男69歳
8 「作中に引用される戦犯の遺書の部分だけが、強烈な印象を与える。これが実話ではなく、フィクションの中に実在した戦犯の遺書を参考にしたとすると、作者の態度に割り切れないものを感じる。」
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他の候補作
高柳芳夫
『プラハからの道化たち』
阿久悠
『瀬戸内少年野球団』
つかこうへい
「ロマンス」等
深田祐介
『革命商人』
中山千夏
「羽音」
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