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第150回
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Last Update[H28]2016/1/25

姫野カオルコ
Himeno Kaoruko
生没年月日【注】 昭和33年/1958年8月27日~
受賞年齢 55歳4ヵ月
経歴 滋賀県甲賀市生まれ。青山学院大学文学部日本文学科卒。大学在学中に作家デビュー。独特の視点・語り口でエッセイ・小説などを書き、人気作家に。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第117回直木賞(平成9年/1997年上期)『受難』
  • |候補| 第130回直木賞(平成15年/2003年下期)『ツ、イ、ラ、ク』
  • |候補| 第134回直木賞(平成17年/2005年下期)『ハルカ・エイティ』
  • |候補| 第143回直木賞(平成22年/2010年上期)『リアル・シンデレラ』
  • 第150回直木賞(平成25年/2013年下期)『昭和の犬』
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備考
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直木賞 第117回候補  一覧へ

じゅなん
受難』(平成9年/1997年4月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙・背 「The Sufferings」併記
印刷/発行年月日 発行 平成9年/1997年4月10日(第1刷)
発行者等 発行者 和田 宏 印刷所 凸版印刷 製本所 矢嶋製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装丁 原 研哉 装画 水谷嘉孝
総ページ数 219 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
41字
×17行
×1段
本文ページ 5~219
(計215頁)
測定枚数 344
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書誌
>>初出『オール讀物』平成7年/1995年6月号、平成8年/1996年4月号、9月号、12月号
>>平成14年/2002年3月・文藝春秋/文春文庫『受難』
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候補者 姫野カオルコ 女38歳
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子
女69歳
13 「読んでる限りは面白い。結婚できない女の妄想のかたちとして人面瘡があるわけだろうけれど、その寓意がいま一つ私には把握しきれない。何より美的でないしなあ。」
黒岩重吾
男73歳
4 「感性が空転している。ただ観念的な舞台劇にすれば味が出るのではないかと感じた。」
阿刀田高
男62歳
9 「寓意性に富んだ作品で、その寓意がわからないでもなかったが、いかにも軽い。」「加えて、私はこの作家の文章になじめないものを多々、感じてしまった。」
平岩弓枝
女65歳
4 「才能だけで人を感動させる作品を仕上げることは難しいと思う。」
渡辺淳一
男63歳
8 「主人公のマゾ的趣向に興味を抱いたが、それほど深まる気配がない。結局、小説というより、男女の文明批評として読んだが、それでも思いつき以上の、新鮮な刺戟は得られなかった。」
津本陽
男68歳
5 「寓意小説としておもしろく読めるが、思いつきが醗酵するまでに至らず、軽佻な筆はこびに終始している。」
井上ひさし
男62歳
31 「一見ばかばかしいような設定を通して、作者はじつはある種の哲学を論じているのである。評者は何度か吹き出して、充分に楽しませてもらったが、しかし文章が粗いのでよほど損をしている。」
五木寛之
男64歳
9 「四文字言葉が乱舞する放埓な作品に見えて、じつはすこぶる知的な構成をもつ古典的な小説である。私は大変おもしろく読んだが、そもそも直木賞になじまない作風で、むしろ芥川賞むきではないかと思った。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 乙女の祈り」「第二章 小夜曲」「第三章 エリーゼのために」「第四章 白鳥の湖」
時代設定 場所設定
[同時代]  千葉県~東京
登場人物
フランチェス子(修道院出身の独身女性)
古賀(フランチェス子に棲む人面瘡)
ノン子(フランチェス子の友人、経理)
ウィズ美(フランチェス子の友人、モデルクラブ所属)
クス(ウィズ美の彼、ミュージシャン)




『サイケ』(平成12年/2000年6月・集英社刊)
書誌
>>平成15年/2003年6月・集英社/集英社文庫『サイケ』
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収録作品
「イキドマリ」「オー、モーレツ!」「モーレツからナイーブへ」「お元気ですか、先生」「通りゃんせ」「少年ジャンプがぼくをだめにした」
 
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大衆選考会 124回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
はやしだおさむ 平成12年/2000年9月26日  楽しめる文学の独自の地平を切り開くのか、姫野カオルコだ。
 「物語」の面白さをきちんと残しながら、奇想天外な展開をもつ短編集「サイケ」を推薦する。筆力も確かだし。最近の「泣かせる作品」を上等とする風潮に異議を唱えたい。僕らは面白い小説が読みたいのだ。
 疾走する70年代を強く意識し、織り込んだ作品群には、様々な意匠が凝らされている。すこし純文学寄りかもしれん。
 とりわけ「少年ジャンプがぼくをダメにした」は、「少女期のトラウマ、恋愛体験のセキララな告白」を「中間小説的」に姫野カオルコがやるとこうなる、という絶品だ。ラスト3行は秀逸。
 娯楽+サムシングのあるこういう作家に賞をやらんとイカンよね。直木賞。
 かわいい名前にダマされてる人が多いのではないかな。
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とっきゅう とうかいどうせん はし
特急こだま 東海道線を 走る』(平成13年/2001年10月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成16年/2004年10月・文藝春秋/文春文庫『ちがうもん』に改題
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収録作品
「夏休み―九月になれば」「高柳さん」「みずうみのほとり」「永遠の処女」「特急こだま東海道線を走る」
 
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大衆選考会 126回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
Daniel Yang 平成13年/2001年12月25日 三種の神器(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)の世帯普及率が50%を超えた1960年代前半。日本の、どこにでもありそうな田舎町を未就学幼児の視点で綴った短編集。
子供たちには、出来る限りの愛情を注いであげたい。僕もそう思う。でも、子供だったころの自分は、単なる愛情の受取手だったのか。両親や近所のおばさん、おじさん、自分を取り巻く狭い世間の大人たちに対し、無力でありながらも、健気に子供=愛情を注がれる役割を演じる主人公に感銘を受けた。
特に表題作で語られる、大人(米屋の配達夫)との交歓が見事だった。
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直木賞 第130回候補  一覧へ
『ツ、イ、ラ、ク』(平成15年/2003年10月・角川書店刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成15年/2003年10月31日(初版)
発行者等 発行者 田口惠司 印刷所 旭印刷株式会社 製本所 牧製本印刷株式会社
発行所 株式会社角川書店(東京都) 形態 四六判 並製
装幀/装画等 装丁 角川書店装丁室
総ページ数 426 表記上の枚数  950枚 基本の文字組
(1ページ当り)
44字
×20行
×1段
本文ページ 5~421
(計417頁)
測定枚数 830
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書誌
>>書下ろし(第一章、第二章は『ダ・ヴィンチ』平成13年/2001年8月号~平成15年/2003年4月号「キンコン カンコン」を部分的に原案)
>>平成19年/2007年2月・角川書店/角川文庫、角川グループパブリッシング発売『ツ、イ、ラ、ク』
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候補者 姫野カオルコ 女45歳
選考委員 評価 行数 評言
北方謙三
男56歳
21 「小学生、中学生のころからの登場人物の性格が書き分けられていて、引きこまれた。ただ、成長してからのそれぞれの姿が、どこか繊細さを欠く。」「ありふれた日常の営為を捉える眼が、やや類型に流れたためではないかと感じた。」「力作であるが、もう少し刈り込みをして、二人の男女を際立たせて欲しかった、と惜しい思いで本を閉じた。」
五木寛之
男71歳
11 「才能を感じさせる作品だった。しかし、以前、直木賞候補になった『受難』の印象がつよかったせいか、こんどの作品に幾分、物足りなさをおぼえたことも事実である。」
田辺聖子
女75歳
11 「私はこの作も推したが、今回は惜しくも賞を逸した。野趣と生気ある方言が効果的、輝きにみちた青春小説であった。」「本年度の収穫の一つと私は確信する。」
林真理子
女49歳
18 「印象に残った。」「過剰なまでに毒を追い求めていく。前半はここまでしつこく長くなくてもよいと思うし、アフォリズムが時として決まらない時もある。けれども私はこの姫野さんのたくましいモチベーションに圧倒された。」
津本陽
男74歳
10 「巧みな筆運びに好感を持った。」「だが、登場人物が都合よく設定されていて、話のつくりかたが強引に思える点があるのは、一考を要するのではないか。」
阿刀田高
男69歳
17 「触手が動いた。ちょっと型やぶりの小説……。姿のいい小説ではない。しかし、到るところにパチパチと弾けるものがある。」「未完成ながら真実驚かされるサムシングを含んでいる。」
渡辺淳一
男70歳
4 「部分的に鋭く斬新なところはあるが、小説の構成という点で問題があり、」
平岩弓枝
女71歳
0  
宮城谷昌光
男58歳
6 「京極氏が立っている土俵にのぼる力をもっておらず、私は京極氏の不戦勝だ、とおもった。」
井上ひさし
男69歳
25 「全体の五分の四をすぎて、中学時代の美術教師の小山内先生の葬式の場面あたりから、ようやく傑作の光を放ちはじめる。」「けれども、そこへくるまでの文章に文学的ケレン味が氾濫し(引用者中略)読者には邪魔だったかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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大衆選考会 130回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ハイド 平成15年/2003年12月9日 いろいろな側面から楽しめる作品。恋愛小説としてストレートに読むも良し。目からうろこが落ちる少女論として読むも良し。随所に散りばめられた著者独特のアフォリズムを楽しむのも良し。愛と涙と笑いと教養満載のエンターティメント小説。
楊耽囁 平成15年/2003年12月24日 小学二年生から主人公らの成長を丁寧に描いた恋愛小説。
若い読者に配慮しながらも、激しい恋愛感情を描ききった力作。ラストで若さについて語った段は、人生の本質をついていると思う。
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文量
長篇
章立て
「第一章 予鈴」「第二章 本鈴」「第三章 授業」「第四章 弁当」「第五章 放課後」「第六章 下校」「第七章 道草」「第八章 家」
時代設定 場所設定
[現代]  長命市(関西の架空都市)~東京など
登場人物
森本隼子(縫製工場の娘)
河村礼二郎(長命中学に赴任してきた国語教師)
桐野龍(隼子の一年先輩、野球部副部長)
三ツ矢裕司(隼子の同級生、バレー部所属)
小山内(美術教師)
藤原マミ(隼子の友人、長命中学ベスト3のひとり)




直木賞 第134回候補  一覧へ
『ハルカ・エイティ』(平成17年/2005年10月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙・帯 「So happy life in case of HARUKA」併記
印刷/発行年月日 発行 平成17年/2005年10月15日(第1刷)
発行者等 発行者 白幡光明 印刷所 凸版印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 並製
装幀/装画等 装幀 関口信介 装画 村林タカノブ
総ページ数 468 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×20行
×1段
本文ページ 5~468
(計464頁)
測定枚数 890
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書誌
>>初出『オール讀物』平成16年/2004年5月号、9月号、12月号、平成17年/2005年3月号、5月号、8月号/単行本化にあたり全面改稿・加筆
>>平成20年/2008年10月・文藝春秋/文春文庫『ハルカ・エイティ』
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候補者 姫野カオルコ 女47歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男71歳
8 「戦後生まれの作者が、――よく調べて綴ったなあ――と感心したけれど、私たちの世代を感動させるには薄かった、と思う。」
平岩弓枝
女73歳
14 「才能は感じられるものの、完成度は今一つの感がある。」
五木寛之
男73歳
0  
渡辺淳一
男72歳
0  
林真理子
女51歳
14 「かなり肩すかしであった。作者の視点にこの高齢の女性と時代に対しての尊敬がない。高所からの茶化しや皮肉が生きていないのだ。」「彼女が性的な世界に導かれるシーンが全くない」「私も経験があるが、ここが身内の女性をモデルにした時の限界になってしまうのだろう。」
津本陽
男76歳
7 「作者にとっては得にならない小説であったと思う。充分に才気はあるのだが、第二次大戦前(原文傍点)から生きていた者が見れば、杜撰な叙述が多く眼についたからだ。」
北方謙三
男58歳
16 「現代から見るとすでに歴史小説の分野に入ると考えてよく、その配慮がどの程度なされたのか、首を傾げるところがあった。」「エイティのハルカさんの魅力が作り出されたに違いない、六十歳以降がほとんど書かれていないのも、大いに気になった。」
宮城谷昌光
男60歳
13 「文体は大切なもので、言語が無機質になることをふせぎ、観念の力を保存してくれる。」「「ハルカ・エイティ」の場合、言語に質感がとぼしく、その痩容を新鮮な観念がきれいに粧点しているともおもわれなかった。」
井上ひさし
男71歳
27 「とくに後半は年表に肉をつけたような筆の運びで、ずいぶん痩せている。なによりも彼女(引用者注:主人公のハルカ)が、彼女自身の運命とどのように渡り合って血と涙を流したのか、どんなことに喜び、そして笑ったのか、そういったことがうまく書き込まれていない。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号
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大衆選考会 134回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ハイド 平成17年/2005年12月16日 完成度高く、品がある小説。今回は過去の尖がった候補作(受難/ツ、イ、ラ、ク)とは傾向が違っているので受賞の期待が高い。
蝦蟇仙人 平成18年/2006年1月8日 『死神の精度』は,日本推理作家協会賞の短編部門賞を受賞していたとのこと…。でもこれが本命!『カディスの赤い星』の例もあるから…。うーん,それともこっちの「手つかずの作品」かなあ…。いずれにしても候補作の半分が文春。文春は1つは入るでしょう。どちらかはきまりだなあ…。
書癡 平成18年/2006年1月9日 候補者はそれぞれに個性があり、どれについても受賞の可能性ありと思われますが、
まずは姫野さんが有力ではないでしょうか。前候補作の『ツ、イ、ラ、ク』は直木賞へもう少しだったと感じました。今期の書評もよかった。(後文=>東野圭吾
吉蛇 平成18年/2006年1月15日 今回は本当にどれも可能性ありかと思いますが、こんなところじゃないでしょうか。(同時推薦=>伊坂幸太郎
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文量
長篇
章立て
「第一章 ハルカ80」「第二章 少女」「第三章 女学生」「第四章 花嫁」「第五章 姑」「第六章 若奥様」「第七章 母」「第八章 女教師」「第九章 人妻」「第十章 娘」「第十一章 娘・その二」「第十二章 恋人」
時代設定 場所設定
大正~1970年代~[同時代]  大阪~滋賀~東京など
登場人物
小野ハルカ(旧姓・持丸、元・幼稚園園長)
小野大介(ハルカの夫、軍人から戦後に起業)
時子(ハルカの妹)
緑川由里子(ハルカの小学校時代の同級生)
日向子(子爵令嬢)
氷室昭一(ハルカの勤務先に出入りする書店員)




直木賞 第143回候補  一覧へ
『リアル・シンデレラ』(平成22年/2010年3月・光文社刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成22年/2010年3月25日(初版1刷)
発行者等 発行者 駒井 稔 印刷所 萩原印刷 製本所 ナショナル製本
発行所 株式会社光文社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 オフィスキントン 装画 Paul Delvaux "Chrysis" (c) Paul Delvaux Foundation, St Idesbald, Belgium info@delvauxmuseum.com
総ページ数 413 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×17行
×1段
本文ページ 8~411
(計404頁)
測定枚数 659
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書誌
>>初出『小説宝石』平成18年/2006年12月号、平成19年/2007年1月号、3月号~6月号、平成20年/2008年1月号、2月号、5月号、7月号/単行本化にあたり構想を練り直し書き下ろし
>>平成24年/2012年6月・光文社/光文社文庫『リアル・シンデレラ』
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候補者 姫野カオルコ 女51歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
13 「姫野カオルコ氏は天才である。」「次なる一行が想像できず、しかし顧みればきちんと調和している。驚きの連続である。いわば凡俗の理解を超えているのだが、結果としての美しさ面白さは多くの読者を得て然りであろう。」
阿刀田高
男75歳
14 「今回の候補作の中で、一番秘めた力量を思った。ただし完成度に弱点が目立ち、取材ノート、あるいは小説を書く前の詳細な覚え書、そんな感触がないでもない。」
北方謙三
男62歳
20 「異才の作と呼ぶべきだろうか。」「倉島泉の放つある神聖さを帯びた光は、シンデレラから離れるというより、異次元のものに昇華された世界を、作りあげたように見える。シンデレラとはなんだったのかと、考えざるを得ない。タイトルさえ、作品と乖離しているように、思えてきてしまうのである。」
林真理子
女56歳
6 「疑いもなく大変な才能の持ち主であるが、いかんせん今回は長過ぎた。聖と俗とがうまくからんでこないのが残念であった。」
宮城谷昌光
男65歳
26 「(引用者注:「小さいおうち」とともに)過去を描写する上で、作者以外に作中に話者を立てたという点で、構成は似ている。(引用者中略)私の印象ではただ単にリアリティが遠ざかっただけで、予想もしなかった大きな何かを与えられたとはおもわれなかった。」「小説世界にある人と物を、読む側に立って、手で触れたという実感がなかった。」
宮部みゆき
女49歳
120 「(引用者注:「天地明察」とともに)丸をつけて、選考会に臨みました。」「私はキリスト教の「聖人伝」として読みました。倉島泉という黒い子羊が聖人になるまでの物語です。」「読後、自分のなかに溜まっていた自分ではどうすることもできない澱が、いくばくかでもこの作品によって浄化された気がして、静かに涙しました。姫野さん、支持しきれなくてごめんなさい。でも、この小説を書いてくれてありがとう。本を閉じたとき、多くの読者がそう呟くに違いない秀作です。」
渡辺淳一
男76歳
0  
選評出典:『オール讀物』平成22年/2010年9月号
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大衆選考会 143回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
koga 平成22年/2010年6月23日 読後の余韻が長く、いろいろ考えさせられる作品。
もの悲しいのにじわじわと暖かくなる稀有な体験。
やん 平成22年/2010年7月3日 「良いと思った事をする」主人公は、一見地味な普通の人なのですが、実はカントが定義した「自由意志」を実践している道徳を極めた聖人である事に気づきます。読者は「彼女を幸せだったのか」と考えさせることによって、人の幸せとは何か? 美徳とは何かを否応なく考える事になります。まさに日本文学の奇蹟の金字塔でした。
LEONORE 平成22年/2010年7月4日 『泉ちゃん』を語る複数の人々の証言を借りて構成される本作は、新たな幸福論!
泉ちゃんだけでなく、証言者それぞれの幸福論も相まって、作品の深みを増幅している。
平成22年/2010年7月13日 清廉
ラーラ 平成22年/2010年7月14日 読むと心がきれいになります。
Y.M.O 平成22年/2010年7月14日 過去の実績と傾向から推測すると、本命馬は姫野カオルコ『リアル・シンデレラ』だと思います。
対抗馬が道尾秀介『光媒の花』で、穴馬は中島京子『小さいおうち』ではないでしょうか。
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文量
長篇
章立て
「プロローグ」「1 父・柾吉」「2 照恍寺の先生/お姉さん先生」「3 はとこ同士の碩夫と真佐子」「4 高校でいっしょだった南条(旧姓・花岡)玲香」「5 快復堂の横内兄弟」「6 お坊っちゃまの潤一/園児の康子」「7 ベイエリア発足時からの矢作とNとK」「8 結婚した横内亨」「9 母・登代」「10 入れ替わったような小西奈美」「11 新米の滝沢宏/小六の康子と小五の健/先輩」「12 奈美と仄かな縁のあった二人の男」「13 雇われた小口耕介」「14 女子高校生になった康子/飲んだ小口/泊まった矢作」「15 小口耕介とぽちゃぽちゃした女」「16 馬車」
時代設定 場所設定
1950年~1985年~[同時代]  東京~諏訪~塩尻~松本など
登場人物
筆者(語り手、編集プロダクション勤務の女性)
倉島泉(料理屋〈たから〉に生れた娘)
深芳(泉の妹)
登代(泉の母親)
片桐華子(松本の御大尽の奥様)
横内亨(〈快復堂〉三男、鍼灸師、泉の夫)
奈美(蒲田の喫茶店バイト、のち〈たから〉女将)
小口耕介(奈美の知合い、のち〈たから〉手伝い)
矢作俊作(編集プロダクション社長)




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しょうわ いぬ
昭和の 犬』(平成25年/2013年9月・幻冬舎刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成25年/2013年9月10日(第1刷)
発行者等 発行者 見城 徹 印刷・製本所 中央精版印刷株式会社
発行所 株式会社幻冬舎(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 オフィスキントン 写真 gettyimages (c) Rhonda Venezia 2013, (c)R.Nelson 2013 イラスト 野ばら社『略画』より
総ページ数 307 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
40字
×17行
×1段
本文ページ 5~307
(計303頁)
測定枚数 461
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書誌
>>初出『パピルス』36号[平成23年/2011年6月]「あのころ、トンナンシャアペー」
>>同37号[平成23年/2011年8月]「ワシントン広場の子供の時計」
>>同38号[平成23年/2011年10月]「町で一番の美女(血統書付)」
>>同39号[平成23年/2011年12月]「九官鳥と鼠」
>>同40号[平成24年/2012年2月]「赤いソーセージ」
>>同41号[平成24年/2012年4月]「ありがとう」
>>同42号[平成24年/2012年6月]「私のようにチャラチャラした名前の犬」
>>同43号[平成24年/2012年8月]「犬のライセンス」
>>同44号[平成24年/2012年10月]「男子高校生を逆ナンする話」
>>上記を単行本化にあたり再構成し書きなおし
>>『オール讀物』平成26年/2014年3月臨時増刊号「ララミー牧場」「宇宙家族ロビンソン」
>>平成27年/2015年12月・幻冬舎/幻冬舎文庫『昭和の犬』
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候補者 姫野カオルコ 女55歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男62歳
12 「姫野カオルコ氏は(引用者中略)まこと頑迷に孤高に天賦の才を磨き続けた結果、ついに「昭和の犬」という傑作を書き上げた。読後おそらくすべての人が感ずるにちがいない、青空を見上げるような清潔感は、作者の品性そのものであろうと思う。かくも独自の手法を貫いて、なおかつこうした普遍の感動を喚起せしめることは奇跡と言ってもよい。」
阿刀田高
男79歳
15 「読み進むにつれ確かな手応えがあり、まぎれもない大人の、成熟した小説へと変わっていく。」「私にとってはまさにリアルタイムで生きた記憶であり、それゆえに、――あまり思い入れを深くして読んでは客観性を失うぞ――自戒しながらページを送った。すでに何度もこの賞の候補になった作家の筆力を、手だれの技を感じ取った。」
伊集院静
男63歳
17 「私は最初、この作品を読んだ時、きわめて私小説的に展開していく作法が果して一般の読者に迎えられるだろうかと懸念したが、さにあらず、作者は見事に普遍を捉えていた。これほどセンスの良い現代小説の書き手がいたことに驚いた。何よりも小説に品性があった。」
北方謙三
男66歳
7 「作者の力量を、ようやく賞が迎え入れることができた、という作品になった。」「犬を通して昭和の家族や地域社会を描きあげるもので、セピア色の下に豊かな彩りが満ちていると思った。戦争の影を引き摺る昭和という時代も、ある光があり、悪くなかったのだと、しみじみ思える出来になっていたと思う。」
桐野夏生
女62歳
11 「昭和という時代の「翳り」がうまく描かれている。」「イクの周囲に対する距離感と、それを語る作者の立ち位置が絶妙で、一編の映画を見ているような気がした。本作は、『恋歌』と並び、最初から頭ひとつ抜きん出ていた。」
高村薫
女60歳
9 「この作者らしい世界との距離の取り方が、「パースペクティブに語る」という一つの技法に結実し、一つの小説世界に結実した。」「不幸も悲しみも滑稽も不条理もそこでは中和され、穏やかな光が差す。評者は本作を受賞作に推した。」
林真理子
女59歳
19 「記者会見にジャージ姿で応じている姫野カオルコさんを見ていて目頭が熱くなった。」「若い売れっ子の女性作家としてマスコミをにぎわせていた頃の、また別の姿を知っていたからだ。「昭和の犬」に出てくるイクと姫野さんとの姿が重なる。」「この小説は犬を媒体とした戦後史であり、人間賛歌でもある。過去の幸福は、現在の不幸を凌駕していくという力強い宣言でもあるのだ。」
東野圭吾
男55歳
12 「この作品の魅力を言葉で表現するのは、とても難しい。特に何かを訴えているわけではない。生きていくということ、あるいは生きてきたということを、力を抜き、感傷的にならずに、淡々と描いている。それだけで読者に快感を与えてしまうのだから大したものだ。」
宮城谷昌光
男68歳
12 「作中人物の立ち位置がよい。そういう人の立たせかたをすると、物も動物も生きてくる。」「しかしながら、この小説には落としどころが決められており、そこへのながれがあきらかになるにつれて、人と動物と物がもっていた圭角が失われていったような気がする。俗ないいかたをすれば、もっととげとげしくてよかったのではないか。」「(引用者注:「恋歌」と共に)作品には、力がある。それは認めざるをえない。」
宮部みゆき
女53歳
5 「(引用者注:「恋歌」と共に)文句なしの満票でしたし、ここの紙幅には限りがありますから、私は今回、受賞作への評は控えさせていただきます。」
選評出典:『オール讀物』平成26年/2014年3月臨時増刊号
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文量
長篇
章立て
「ララミー牧場」「逃亡者」「宇宙家族ロビンソン」「インベーダー」「鬼警部アイアンサイド」「バイオニック・ジェミー」「ペチコート作戦」「ブラザーズ&シスターズ」
時代設定 場所設定
昭和30年代~昭和60年代、平成19年頃  滋賀県香良市[架空]~東京など
登場人物
柏木イク(昭和33年/1958年生まれの女)
柏木鼎(イクの父親、教師)
柏木優子(イクの母親、養護学校勤務)
大河内慶子・祥子(大河内医院の娘姉妹)
有馬殿店主(軽食屋のおやじ)
布川悠司・珠子(フカワ歯科クリニックの医師と妻)
初音清香(賃貸住宅の大家、未亡人)




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