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第144回
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平成22年/2010年下半期
(平成23年/2011年1月17日決定発表/『オール讀物』平成23年/2011年3月号選評掲載)
選考委員  伊集院静
男60歳
林真理子
女56歳
阿刀田高
男76歳
宮部みゆき
女50歳
桐野夏生
女59歳
宮城谷昌光
男65歳
渡辺淳一
男77歳
浅田次郎
男59歳
北方謙三
男63歳
選評総行数  101 98 104 146 112 136 59 97 101
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
木内昇 『漂砂のうたう』
500
女43歳
37 18 36 29 25 30 12 29 24
道尾秀介 『月と蟹』
568
男35歳
34 28 25 20 21 33 16 17 19
犬飼六岐 『蛻』
552
男47歳
10 10 15 18 17 23 14 21 10
荻原浩 『砂の王国』
1445
男54歳
9 23 13 27 28 17 21 13 28
貴志祐介 『悪の教典』
1465
男52歳
11 18 16 54 21 15 20 10 13
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年3月号
1行当たりの文字数:12字


選考委員
伊集院静男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数101 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
37 「視点のたしかさと胆の座り方は作者の筆力とともに今後、受賞にかなう作品を生み出してくれるはずだ。木内さんにしかないものが明白にある。一点気になる点を挙げると、人間の行動を理屈でおさめて済ませるところが感じられた。」
道尾秀介
男35歳
34 「大人の私たちが忘れかけていたもの、喪失したものを少年、少女の視点で実にあざやかに呼び覚ませてくれた。」「これまで氏の少年を描いた一連の作品ではストーリーテールに依り過ぎて人間の葛藤・内実から筆が逸れがちだった。しかし本作品はそれを見事クリアーしている。作者の成長であろう。」「私はこの作品の表現に先鋭的なものを感じた。」
犬飼六岐
男47歳
10 「興味ある設定を探しあて、これに武士と町衆の間に立つ不気味な塀を感じ、これを描ききればと期待したが、設定に依り過ぎて登場人物の顔があらわれて来なかった。」
荻原浩
男54歳
9 「候補作の中で一番文章も安定し、ユーモアのセンスも卓越している。」「私はこれとほぼ類似した作品を他作家で読んでおり、本作に氏の独自性を見つけたかったができなかった。」
貴志祐介
男52歳
11 「氏の他作品を読んでいたのでこの作品で挑んだものを見つけたかった。私には模糊として霧の先が明確にならなかった。」
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他の選考委員
林真理子
阿刀田高
宮部みゆき
桐野夏生
宮城谷昌光
渡辺淳一
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
林真理子女56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二作受賞について 総行数98 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
18 「群を抜いてよかった。明治の二流どころの遊郭という設定もさることながら、抑制のきいた端整な文章が見事であった。」「しかし武家に育った前歴が、それほどわからないものかというところに多少ひっかかった。」
道尾秀介
男35歳
28 「作品的には決して評価が高くなかった。(引用者中略)少年のつくり上げる世界はもともと狭く、独得の価値観を持つものであろう。それでも大人の読者の心に響く普遍性を持たなくては、小説として成立しないはずだ。それでも私は最終的には、木内氏と道尾氏との二作受賞を推した。それは道尾氏が広範囲な読者を獲得し、現代の小説シーンに欠かせない人だと思っているからである。」
犬飼六岐
男47歳
10 「素材の面白さに頼り過ぎたかもしれない。藩主の楽しみのために、宿場町のミニチュア版が実在していたという事実から、小説が動き出していかないのである。」
荻原浩
男54歳
23 「不運であった。これとほとんど同じ設定の篠田節子さんの「仮想儀礼」が既に世に出ているからである。」「もし似たような作品が、それもすぐれたものが最近出版されていたら、作家はどうしたらいいのか、答えはひとつ。さらに上まわるものを書くしかないのである。」
貴志祐介
男52歳
18 「後半の荒っぽさにどうしてもついていけなくなった。」「B級ホラーを書きたいなら話は別であるが、貴志氏の狙いはそうではあるまい。このような主人公を設定したからには、いろいろ覚悟があったに違いないが、いささか空まわりしてしまった。」
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伊集院静
阿刀田高
宮部みゆき
桐野夏生
宮城谷昌光
渡辺淳一
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
阿刀田高男76歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
企みの深さ 総行数104 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
36 「周到な文章で綴られている。けれんもあるが、この冒険は、よりよい文章へと道を拓いていくだろう。」「圓朝の卓越した話芸が速記術の普及に乗って大衆に広がったのは史実であり、ヒロイン小野菊の末尾近くのせりふは、この先の展開を暗示して、おもしろい。作者の企みは深いのだ。」
道尾秀介
男35歳
25 「木目細かい、入念な筆運びにはなんの不足もない。ただ、あえて言えば、この作家のトリビアリズムと韜晦の傾向は(私にはそう感じられるのだが)小説のよりよい展開にとって本当に必要なことなのだろうか。」「文学観のちがいを感じないでもなかったが、つねに平均点を越える作品をたずさえて連続的にこの賞の候補となった実力には、やはり敬意を表すべきだろう。」
犬飼六岐
男47歳
15 「ユニークな史実を見つけ出し、それを舞台にして当然そこに起こるべき登場人物たちの違和感を丁寧に描いている。」「わるくない作品と思った。が、時代小説として私には『漂砂のうたう』に少し及ばない、と見えた。」
荻原浩
男54歳
13 「一編の力作であることは疑いない。しかし、いささかステレオ・タイプ。筋運びも結末も、――きっとこうなる――先が読めてしまい、楽しみが小さかった。」
貴志祐介
男52歳
16 「新しい小説なのかもしれないが、私には納得がいかなかった。」「彼(引用者注:主人公)をとりまく人々は普通に生きているはずであり、その周辺に現実感が生じないのは小説の世界ではなく、――これはゲームなのかなあ――と評価に困惑を覚えた。」
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伊集院静
林真理子
宮部みゆき
桐野夏生
宮城谷昌光
渡辺淳一
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
宮部みゆき女50歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
果断な挑戦 総行数146 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
29 「開化もので遊里ものという二段重ねの高いハードルに挑み、「あ、ここで飛び越えたな」という揺れを一切感じさせず、見事にクリアしている秀作です。実は私はこの二つの素材が苦手で、読み始めた時には不安だったのですが、すぐ引き込まれて夢中になりました。」
道尾秀介
男35歳
20 「大人の視点を排し、慎一(引用者注:少年)にすべてを託して複雑な人間関係と母親の恋愛を描くのは、大胆な挑戦でした。そのチャレンジングな姿勢が今回の御受賞を引き寄せたのだと思います。」
犬飼六岐
男47歳
18 「着眼点の面白さではピカ一でしたし、せっかくならもっとミステリーに徹して事件を錯綜させ、御町屋の見取り図を付けるくらいのところまでハジけちゃってもよかったのではないでしょうか。」
荻原浩
男54歳
27 「同一テーマの優れた先行作品がありますが、私はそのことは大きな問題ではないと思います。」「むしろ今回は、荻原さんが読者に優しいストーリーテラーであることが裏目に出た感を覚えました。読者が息苦しくならないようにと採用したのであろう部分的な三人称が、〈寒い、ひもじい、悔しい〉を出発点に始まった主人公の復活行を固唾を呑んで見守っている私には、少し冗長に感じられたのです。」
貴志祐介
男52歳
54 「B級ホラーのノリでこの大長編を書ききった豪腕と、単独犯による大量殺人という扱いにくい素材を恐れなかった勇気に、私は票を投じました。」「読者のなかには、「でもハスミンってカッコいいよね」と感じる人もいるはずです。一方で、そういう読み筋に驚いて眉をひそめる読者もいる。それがこの作品の勝利です。」
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他の選考委員
伊集院静
林真理子
阿刀田高
桐野夏生
宮城谷昌光
渡辺淳一
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
桐野夏生女59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数112 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
25 「不思議な小説だ。」「登場人物の誰もが、水底の砂のように流れにたゆとうて動こうとはしない。その閉塞感はよく描けている。」「それ故か、定九郎程度の男にどうして、落語の世界、つまり虚構が表す自由、を伝えようとするのかがよくわからなかった。定九郎、花魁、ポン太、それぞれをもっと丁寧に描いていれば、物語全体がよい意味で撓み、力を孕んだであろう。」
道尾秀介
男35歳
21 「作者の凄みは、少年の愛と憎しみが、少年を取り巻くすべての人間に向けられていることだ。むしろ、「愛なき世界」の侘びしさでもある。そこが安易な既視感を排除する、太い縦糸となっている。しかし、三人の少年少女の「枠内」を描こうとするあまり、フレーム外の世界が乱暴に省かれたり、都合よく描かれているところが気になる。」
犬飼六岐
男47歳
17 「着眼点がよい。だが、偽宿場町に人が住む必然性を、物語の中にうまく創出できていないように感じた。」「史実を踏まえて書くのか、設定だけを借りて想像を遊ばせるのか。構想が中途半端に終わった感がある。」
荻原浩
男54歳
28 「素晴らしいと思ったのは、龍斎の造型と、教義を必要としない、という設定だ。」「しかしながら、この作品にはなぜか既視感が付き纏う。先行作品のあるなしではなく、新興宗教成功譚の枠から外れていないせいであろうか。その既視感が、喉越しの良さの原因かと思うと、もう少し噛みごたえが欲しい気がする。」
貴志祐介
男52歳
21 「文体もスピードも内容もトーンも、すべてをB級ホラーに徹しようというコンセプトに準じている」「できるようでできない力業であるし、好悪を超えて評価されるべき仕事だと思う。」「表現の自由が狭まりつつある現在、意義ある仕事だと思う。」
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他の選考委員
伊集院静
林真理子
阿刀田高
宮部みゆき
宮城谷昌光
渡辺淳一
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
宮城谷昌光男65歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
小説の進化 総行数136 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
30 「文章が有機的ではなく無機的であるがゆえに、ニュアンスがとぼしい。小説のニュアンスには、人が生きている色や様、あるいは人と人との関係の綾などがあらわれるものであるが、そこのところが単調である。」「二度とないその時、その時にしか生きられない人、という実態が、十全なかたちで読み手にとどかない。」
道尾秀介
男35歳
33 「今回の候補作品のなかで、文体への配慮がなされているものは、(引用者中略)『月と蟹』だけであるとみた。しかし、この作品は、極端にいえば、自問自答集である。」「描写のこまやかさが精彩をもたない。さらに子供たちが独自に作る世界も、ほんとうの独自性をもっておらず、おどろきがない。」「それはそれとして、道尾氏の小説が候補作品となる回数はふえた。そろそろ直木賞というステージを通過させてあげたい。」
犬飼六岐
男47歳
23 「江戸の尾張藩邸に宿場町を作って名古屋の町人を住まわせるという発想はおもしろい。だが、その発想をあざやかに活用するだけの明確な主題がない。町人たちがいやいや住んでいる感じがつたわってきて、読者がそこに住んでみたいとはおもわないであろう。作品が作品自体を否定する構造は、やはり魅力にとぼしい。」
荻原浩
男54歳
17 「新興宗教は儲かるにちがいない、とほとんどの人が考えているであろう。その想いを具現化して実態を明示した作者の努力は買える。」「登場人物が急にふえることによって、小説が内含している力が高まるどころが、かえって弱くなってしまった。構成上の瑕瑾である。文章も少々粗い。」
貴志祐介
男52歳
15 「殺す側に立って爽快感をおぼえるというものではないだけに、最後まで違和感をおぼえた。暴力、殺人、セックスという小説的要素がもてはやされたのは、半世紀もまえである。(引用者中略)もはや小説は、進化しないものなのか、と考えさせられた。」
  「私は、小説には文体があるべきだ、とおもっており、新しい小説には新しい文体が必要だ、と信じているひとりである。最近の直木賞候補作品では、文体への意識を感じさせるものが、じつにすくない。」
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他の選考委員
伊集院静
林真理子
阿刀田高
宮部みゆき
桐野夏生
渡辺淳一
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
渡辺淳一男77歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
バーチャルでゲーム的 総行数59 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
12 「根津の廓の内情はよく調べて書かれていて、そのかぎりでは読ませるが、そこからラストに絞り込まれた瞬間、作意が目立ちすぎて自然の感興を殺ぐ。」
道尾秀介
男35歳
16 「なんとも内攻的で独善的すぎる。」「もう少し視野を広げて、自分と同年齢に近い大人の内面へ肉薄するような小説を書けないものなのか。部分的に感性の鋭さがあったとしても、現実の人間への迫力は薄く、ご都合主義で軽すぎる。」
犬飼六岐
男47歳
14 「(引用者注:「砂の王国」「悪の教典」と共に)最近の直木賞候補作は一部の若者を意識しすぎて、ストーリーだけ追いかけて実体のない、バーチャルでゲーム的感覚で書かれたものが多すぎる。」
荻原浩
男54歳
21 「(引用者注:「悪の教典」と共に)頭でつくられすぎた小説」「(引用者注:「悪の教典」「蛻」と共に)最近の直木賞候補作は一部の若者を意識しすぎて、ストーリーだけ追いかけて実体のない、バーチャルでゲーム的感覚で書かれたものが多すぎる。」
貴志祐介
男52歳
20 「(引用者注:「砂の王国」と共に)頭でつくられすぎた小説」「(引用者注:「砂の王国」「蛻」と共に)最近の直木賞候補作は一部の若者を意識しすぎて、ストーリーだけ追いかけて実体のない、バーチャルでゲーム的感覚で書かれたものが多すぎる。」
  「はっきりいって、今回の候補作で積極的に推したいものはなかった。」「今回は二作受賞とはいえ、いずれも僅差で選ばれたものであり、単純に喜べないことを付記しておく。」
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他の選考委員
伊集院静
林真理子
阿刀田高
宮部みゆき
桐野夏生
宮城谷昌光
浅田次郎
北方謙三
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選考委員
浅田次郎男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
文学の多様化 総行数97 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
29 「開化物と遊里物という二つの複合は、すこぶる難度の高い設定と言えよう。しかし作者は、史料的説明をせず、最小限の登場人物を正確に描写して、みごとに一巻を物にした。ただし、ミステリー仕立てにしたというのは、いかがなものだろう。」
道尾秀介
男35歳
17 「ここ数作が同工異曲に思えて、辛い評価を与えた。登場人物の性格が道徳的教条的で毒がない。もしや伝統的な、少年時代を描く抒情小説を狙ったのかと思ったが、それにしては主人公の孤独感に迫るものがない。」「また、この作者の資質は、短篇において十全に発揮されるように思えた。」
犬飼六岐
男47歳
21 「どのように料理しようと面白くなるにちがいない設定を、甚だ平凡な連続殺人事件にしてしまい、あげくには人情話でしめくくってしまった。実にもったいない。視点をしきりに変える手法を用いているが、そのぶん人物像が希釈されてわかりづらくなるという欠点もあった。」
荻原浩
男54歳
13 「ことに前半におけるホームレスの主観と、人物造型は秀逸と言える。しかし、教団の成立と進化の経緯に紙数を費しているわりには、肝心の教義が曖昧であり、また類似作の存在なども取り沙汰されて、強く推すことができなかった。」
貴志祐介
男52歳
10 「モンスター・ティーチャーという発想が面白く、現実を忘れて物語に没頭させてくれる。しかし、これだけ多くの人間を殺しておきながら、悪の論理が不在であるという点で、少くとも文学的ではあるまい。」
  「今回の選考では、社会の多様化に応じて表現もまた多様化していると気付いた。むろん悪いことではないが、文学とは何かという議論をするべき時代になっていると思う。」
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他の選考委員
伊集院静
林真理子
阿刀田高
宮部みゆき
桐野夏生
宮城谷昌光
渡辺淳一
北方謙三
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選考委員
北方謙三男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
結果としての二作 総行数101 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
木内昇
女43歳
24 「明治初期の根津遊郭を扱って、まず思い切りのよさを感じさせた。それに『自由』という概念が重ね合わされているが、そこを掴み切る力はいまひとつで、風潮が描かれているだけではないか、と私には思えた。」「ただ、全体としては出色の維新ものであり、受賞作とすることに強い異議があったわけではない。」
道尾秀介
男35歳
19 「煮つまってきた小説だが、子供の視点を動かさなかったところで、世界はあやうく均衡を保ち、凡百の少年小説から一頭地を抜けた。ただ、暗く、重く、歪みすぎてもいる。」「私は『月と蟹』に丸をつけて選考に臨み、結果として二作受賞ということになった。甘い選考だった、とは思っていない。」
犬飼六岐
男47歳
10 「逼塞状態に置かれた人間の心理に、極限まで追いつめられた切迫感と深さが見えない。設定に頼り、設定倒れで終ってしまった、としか感じられなかった。」
荻原浩
男54歳
28 「読んでいてずっと既視感がつきまとった。新興宗教を題材にした、難しさかもしれない。」「作者の充分な力量を認めた上で言うことだが、今回は小説へ到る過程が、直線的すぎたのではないだろうか。それでも世界を構築できてしまう達者さが、賞ということについては、私に微妙な危惧を抱かせる。」
貴志祐介
男52歳
13 「前半の、学校の支配の実態がないところは気になるが、殺人のシーンそのものには臨場感があり、面白かった。しかし、小説でありながら、小説でないものを読み続けている、という意識は最後まで拭い去ることができなかった。」
  「今回は大冊が多く、読むのにかなりのエネルギーを要した。長いものを長く感じたというのは、作品世界に引きこまれることがなかった、とも言えるのかもしれない。」
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他の選考委員
伊集院静
林真理子
阿刀田高
宮部みゆき
桐野夏生
宮城谷昌光
渡辺淳一
浅田次郎
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受賞者・作品
木内昇女43歳×各選考委員 
『漂砂のうたう』
長篇 500
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男60歳
37 「視点のたしかさと胆の座り方は作者の筆力とともに今後、受賞にかなう作品を生み出してくれるはずだ。木内さんにしかないものが明白にある。一点気になる点を挙げると、人間の行動を理屈でおさめて済ませるところが感じられた。」
林真理子
女56歳
18 「群を抜いてよかった。明治の二流どころの遊郭という設定もさることながら、抑制のきいた端整な文章が見事であった。」「しかし武家に育った前歴が、それほどわからないものかというところに多少ひっかかった。」
阿刀田高
男76歳
36 「周到な文章で綴られている。けれんもあるが、この冒険は、よりよい文章へと道を拓いていくだろう。」「圓朝の卓越した話芸が速記術の普及に乗って大衆に広がったのは史実であり、ヒロイン小野菊の末尾近くのせりふは、この先の展開を暗示して、おもしろい。作者の企みは深いのだ。」
宮部みゆき
女50歳
29 「開化もので遊里ものという二段重ねの高いハードルに挑み、「あ、ここで飛び越えたな」という揺れを一切感じさせず、見事にクリアしている秀作です。実は私はこの二つの素材が苦手で、読み始めた時には不安だったのですが、すぐ引き込まれて夢中になりました。」
桐野夏生
女59歳
25 「不思議な小説だ。」「登場人物の誰もが、水底の砂のように流れにたゆとうて動こうとはしない。その閉塞感はよく描けている。」「それ故か、定九郎程度の男にどうして、落語の世界、つまり虚構が表す自由、を伝えようとするのかがよくわからなかった。定九郎、花魁、ポン太、それぞれをもっと丁寧に描いていれば、物語全体がよい意味で撓み、力を孕んだであろう。」
宮城谷昌光
男65歳
30 「文章が有機的ではなく無機的であるがゆえに、ニュアンスがとぼしい。小説のニュアンスには、人が生きている色や様、あるいは人と人との関係の綾などがあらわれるものであるが、そこのところが単調である。」「二度とないその時、その時にしか生きられない人、という実態が、十全なかたちで読み手にとどかない。」
渡辺淳一
男77歳
12 「根津の廓の内情はよく調べて書かれていて、そのかぎりでは読ませるが、そこからラストに絞り込まれた瞬間、作意が目立ちすぎて自然の感興を殺ぐ。」
浅田次郎
男59歳
29 「開化物と遊里物という二つの複合は、すこぶる難度の高い設定と言えよう。しかし作者は、史料的説明をせず、最小限の登場人物を正確に描写して、みごとに一巻を物にした。ただし、ミステリー仕立てにしたというのは、いかがなものだろう。」
北方謙三
男63歳
24 「明治初期の根津遊郭を扱って、まず思い切りのよさを感じさせた。それに『自由』という概念が重ね合わされているが、そこを掴み切る力はいまひとつで、風潮が描かれているだけではないか、と私には思えた。」「ただ、全体としては出色の維新ものであり、受賞作とすることに強い異議があったわけではない。」
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他の候補作
道尾秀介
『月と蟹』
犬飼六岐
『蛻』
荻原浩
『砂の王国』
貴志祐介
『悪の教典』
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受賞者・作品
道尾秀介男35歳×各選考委員 
『月と蟹』
長篇 568
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男60歳
34 「大人の私たちが忘れかけていたもの、喪失したものを少年、少女の視点で実にあざやかに呼び覚ませてくれた。」「これまで氏の少年を描いた一連の作品ではストーリーテールに依り過ぎて人間の葛藤・内実から筆が逸れがちだった。しかし本作品はそれを見事クリアーしている。作者の成長であろう。」「私はこの作品の表現に先鋭的なものを感じた。」
林真理子
女56歳
28 「作品的には決して評価が高くなかった。(引用者中略)少年のつくり上げる世界はもともと狭く、独得の価値観を持つものであろう。それでも大人の読者の心に響く普遍性を持たなくては、小説として成立しないはずだ。それでも私は最終的には、木内氏と道尾氏との二作受賞を推した。それは道尾氏が広範囲な読者を獲得し、現代の小説シーンに欠かせない人だと思っているからである。」
阿刀田高
男76歳
25 「木目細かい、入念な筆運びにはなんの不足もない。ただ、あえて言えば、この作家のトリビアリズムと韜晦の傾向は(私にはそう感じられるのだが)小説のよりよい展開にとって本当に必要なことなのだろうか。」「文学観のちがいを感じないでもなかったが、つねに平均点を越える作品をたずさえて連続的にこの賞の候補となった実力には、やはり敬意を表すべきだろう。」
宮部みゆき
女50歳
20 「大人の視点を排し、慎一(引用者注:少年)にすべてを託して複雑な人間関係と母親の恋愛を描くのは、大胆な挑戦でした。そのチャレンジングな姿勢が今回の御受賞を引き寄せたのだと思います。」
桐野夏生
女59歳
21 「作者の凄みは、少年の愛と憎しみが、少年を取り巻くすべての人間に向けられていることだ。むしろ、「愛なき世界」の侘びしさでもある。そこが安易な既視感を排除する、太い縦糸となっている。しかし、三人の少年少女の「枠内」を描こうとするあまり、フレーム外の世界が乱暴に省かれたり、都合よく描かれているところが気になる。」
宮城谷昌光
男65歳
33 「今回の候補作品のなかで、文体への配慮がなされているものは、(引用者中略)『月と蟹』だけであるとみた。しかし、この作品は、極端にいえば、自問自答集である。」「描写のこまやかさが精彩をもたない。さらに子供たちが独自に作る世界も、ほんとうの独自性をもっておらず、おどろきがない。」「それはそれとして、道尾氏の小説が候補作品となる回数はふえた。そろそろ直木賞というステージを通過させてあげたい。」
渡辺淳一
男77歳
16 「なんとも内攻的で独善的すぎる。」「もう少し視野を広げて、自分と同年齢に近い大人の内面へ肉薄するような小説を書けないものなのか。部分的に感性の鋭さがあったとしても、現実の人間への迫力は薄く、ご都合主義で軽すぎる。」
浅田次郎
男59歳
17 「ここ数作が同工異曲に思えて、辛い評価を与えた。登場人物の性格が道徳的教条的で毒がない。もしや伝統的な、少年時代を描く抒情小説を狙ったのかと思ったが、それにしては主人公の孤独感に迫るものがない。」「また、この作者の資質は、短篇において十全に発揮されるように思えた。」
北方謙三
男63歳
19 「煮つまってきた小説だが、子供の視点を動かさなかったところで、世界はあやうく均衡を保ち、凡百の少年小説から一頭地を抜けた。ただ、暗く、重く、歪みすぎてもいる。」「私は『月と蟹』に丸をつけて選考に臨み、結果として二作受賞ということになった。甘い選考だった、とは思っていない。」
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他の候補作
木内昇
『漂砂のうたう』
犬飼六岐
『蛻』
荻原浩
『砂の王国』
貴志祐介
『悪の教典』
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候補者・作品
犬飼六岐男47歳×各選考委員 
『蛻』
長篇 552
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男60歳
10 「興味ある設定を探しあて、これに武士と町衆の間に立つ不気味な塀を感じ、これを描ききればと期待したが、設定に依り過ぎて登場人物の顔があらわれて来なかった。」
林真理子
女56歳
10 「素材の面白さに頼り過ぎたかもしれない。藩主の楽しみのために、宿場町のミニチュア版が実在していたという事実から、小説が動き出していかないのである。」
阿刀田高
男76歳
15 「ユニークな史実を見つけ出し、それを舞台にして当然そこに起こるべき登場人物たちの違和感を丁寧に描いている。」「わるくない作品と思った。が、時代小説として私には『漂砂のうたう』に少し及ばない、と見えた。」
宮部みゆき
女50歳
18 「着眼点の面白さではピカ一でしたし、せっかくならもっとミステリーに徹して事件を錯綜させ、御町屋の見取り図を付けるくらいのところまでハジけちゃってもよかったのではないでしょうか。」
桐野夏生
女59歳
17 「着眼点がよい。だが、偽宿場町に人が住む必然性を、物語の中にうまく創出できていないように感じた。」「史実を踏まえて書くのか、設定だけを借りて想像を遊ばせるのか。構想が中途半端に終わった感がある。」
宮城谷昌光
男65歳
23 「江戸の尾張藩邸に宿場町を作って名古屋の町人を住まわせるという発想はおもしろい。だが、その発想をあざやかに活用するだけの明確な主題がない。町人たちがいやいや住んでいる感じがつたわってきて、読者がそこに住んでみたいとはおもわないであろう。作品が作品自体を否定する構造は、やはり魅力にとぼしい。」
渡辺淳一
男77歳
14 「(引用者注:「砂の王国」「悪の教典」と共に)最近の直木賞候補作は一部の若者を意識しすぎて、ストーリーだけ追いかけて実体のない、バーチャルでゲーム的感覚で書かれたものが多すぎる。」
浅田次郎
男59歳
21 「どのように料理しようと面白くなるにちがいない設定を、甚だ平凡な連続殺人事件にしてしまい、あげくには人情話でしめくくってしまった。実にもったいない。視点をしきりに変える手法を用いているが、そのぶん人物像が希釈されてわかりづらくなるという欠点もあった。」
北方謙三
男63歳
10 「逼塞状態に置かれた人間の心理に、極限まで追いつめられた切迫感と深さが見えない。設定に頼り、設定倒れで終ってしまった、としか感じられなかった。」
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他の候補作
木内昇
『漂砂のうたう』
道尾秀介
『月と蟹』
荻原浩
『砂の王国』
貴志祐介
『悪の教典』
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候補者・作品
荻原浩男54歳×各選考委員 
『砂の王国』
長篇 1445
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男60歳
9 「候補作の中で一番文章も安定し、ユーモアのセンスも卓越している。」「私はこれとほぼ類似した作品を他作家で読んでおり、本作に氏の独自性を見つけたかったができなかった。」
林真理子
女56歳
23 「不運であった。これとほとんど同じ設定の篠田節子さんの「仮想儀礼」が既に世に出ているからである。」「もし似たような作品が、それもすぐれたものが最近出版されていたら、作家はどうしたらいいのか、答えはひとつ。さらに上まわるものを書くしかないのである。」
阿刀田高
男76歳
13 「一編の力作であることは疑いない。しかし、いささかステレオ・タイプ。筋運びも結末も、――きっとこうなる――先が読めてしまい、楽しみが小さかった。」
宮部みゆき
女50歳
27 「同一テーマの優れた先行作品がありますが、私はそのことは大きな問題ではないと思います。」「むしろ今回は、荻原さんが読者に優しいストーリーテラーであることが裏目に出た感を覚えました。読者が息苦しくならないようにと採用したのであろう部分的な三人称が、〈寒い、ひもじい、悔しい〉を出発点に始まった主人公の復活行を固唾を呑んで見守っている私には、少し冗長に感じられたのです。」
桐野夏生
女59歳
28 「素晴らしいと思ったのは、龍斎の造型と、教義を必要としない、という設定だ。」「しかしながら、この作品にはなぜか既視感が付き纏う。先行作品のあるなしではなく、新興宗教成功譚の枠から外れていないせいであろうか。その既視感が、喉越しの良さの原因かと思うと、もう少し噛みごたえが欲しい気がする。」
宮城谷昌光
男65歳
17 「新興宗教は儲かるにちがいない、とほとんどの人が考えているであろう。その想いを具現化して実態を明示した作者の努力は買える。」「登場人物が急にふえることによって、小説が内含している力が高まるどころが、かえって弱くなってしまった。構成上の瑕瑾である。文章も少々粗い。」
渡辺淳一
男77歳
21 「(引用者注:「悪の教典」と共に)頭でつくられすぎた小説」「(引用者注:「悪の教典」「蛻」と共に)最近の直木賞候補作は一部の若者を意識しすぎて、ストーリーだけ追いかけて実体のない、バーチャルでゲーム的感覚で書かれたものが多すぎる。」
浅田次郎
男59歳
13 「ことに前半におけるホームレスの主観と、人物造型は秀逸と言える。しかし、教団の成立と進化の経緯に紙数を費しているわりには、肝心の教義が曖昧であり、また類似作の存在なども取り沙汰されて、強く推すことができなかった。」
北方謙三
男63歳
28 「読んでいてずっと既視感がつきまとった。新興宗教を題材にした、難しさかもしれない。」「作者の充分な力量を認めた上で言うことだが、今回は小説へ到る過程が、直線的すぎたのではないだろうか。それでも世界を構築できてしまう達者さが、賞ということについては、私に微妙な危惧を抱かせる。」
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他の候補作
木内昇
『漂砂のうたう』
道尾秀介
『月と蟹』
犬飼六岐
『蛻』
貴志祐介
『悪の教典』
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候補者・作品
貴志祐介男52歳×各選考委員 
『悪の教典』
長篇 1465
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男60歳
11 「氏の他作品を読んでいたのでこの作品で挑んだものを見つけたかった。私には模糊として霧の先が明確にならなかった。」
林真理子
女56歳
18 「後半の荒っぽさにどうしてもついていけなくなった。」「B級ホラーを書きたいなら話は別であるが、貴志氏の狙いはそうではあるまい。このような主人公を設定したからには、いろいろ覚悟があったに違いないが、いささか空まわりしてしまった。」
阿刀田高
男76歳
16 「新しい小説なのかもしれないが、私には納得がいかなかった。」「彼(引用者注:主人公)をとりまく人々は普通に生きているはずであり、その周辺に現実感が生じないのは小説の世界ではなく、――これはゲームなのかなあ――と評価に困惑を覚えた。」
宮部みゆき
女50歳
54 「B級ホラーのノリでこの大長編を書ききった豪腕と、単独犯による大量殺人という扱いにくい素材を恐れなかった勇気に、私は票を投じました。」「読者のなかには、「でもハスミンってカッコいいよね」と感じる人もいるはずです。一方で、そういう読み筋に驚いて眉をひそめる読者もいる。それがこの作品の勝利です。」
桐野夏生
女59歳
21 「文体もスピードも内容もトーンも、すべてをB級ホラーに徹しようというコンセプトに準じている」「できるようでできない力業であるし、好悪を超えて評価されるべき仕事だと思う。」「表現の自由が狭まりつつある現在、意義ある仕事だと思う。」
宮城谷昌光
男65歳
15 「殺す側に立って爽快感をおぼえるというものではないだけに、最後まで違和感をおぼえた。暴力、殺人、セックスという小説的要素がもてはやされたのは、半世紀もまえである。(引用者中略)もはや小説は、進化しないものなのか、と考えさせられた。」
渡辺淳一
男77歳
20 「(引用者注:「砂の王国」と共に)頭でつくられすぎた小説」「(引用者注:「砂の王国」「蛻」と共に)最近の直木賞候補作は一部の若者を意識しすぎて、ストーリーだけ追いかけて実体のない、バーチャルでゲーム的感覚で書かれたものが多すぎる。」
浅田次郎
男59歳
10 「モンスター・ティーチャーという発想が面白く、現実を忘れて物語に没頭させてくれる。しかし、これだけ多くの人間を殺しておきながら、悪の論理が不在であるという点で、少くとも文学的ではあるまい。」
北方謙三
男63歳
13 「前半の、学校の支配の実態がないところは気になるが、殺人のシーンそのものには臨場感があり、面白かった。しかし、小説でありながら、小説でないものを読み続けている、という意識は最後まで拭い去ることができなかった。」
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他の候補作
木内昇
『漂砂のうたう』
道尾秀介
『月と蟹』
犬飼六岐
『蛻』
荻原浩
『砂の王国』
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