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第149回
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Last Update[H28]2016/12/20

湊かなえ
Minato Kanae
生没年月日【注】 昭和48年/1973年1月☆日~
経歴 広島県尾道市因島生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。アパレルメーカー、青年海外協力隊、高校非常勤講師などを経て、平成19年/2007年に小説推理新人賞を受賞し作家デビュー。
受賞歴・候補歴
  • 第2回BS-i新人脚本賞[佳作](平成17年/2005年)《脚本》
  • 第35回創作ラジオドラマ大賞(平成19年/2007年)「答えは、昼間の月」《脚本》
  • 第29回小説推理新人賞(平成19年/2007年)「聖職者」
  • 第6回2009年本屋大賞(平成21年/2009年)『告白』
  • |候補| 第2回2009大学読書人大賞(平成21年/2009年)『告白』
  • 第3回広島文化賞新人賞(平成21年/2009年度)
  • |候補| 第63回日本推理作家協会賞[長編および連作短編集部門](平成22年/2010年)『贖罪』
  • |候補| 第4回2011大学読書人大賞(平成23年/2011年)『告白』
  • 第65回日本推理作家協会賞[短編部門](平成24年/2012年)「望郷、海の星」
  • |候補| 第26回山本周五郎賞(平成24年/2012年度)『母性』
  • |候補| 第149回直木賞(平成25年/2013年上期)『望郷』
  • |候補| 第28回山本周五郎賞(平成26年/2014年度)『絶唱』
  • |候補| 第37回吉川英治文学新人賞(平成27年/2015年度)『リバース』
  • 第29回山本周五郎賞(平成27年/2015年度)『ユートピア』
  • |候補| 第155回直木賞(平成28年/2016年上期)『ポイズンドーター・ホーリーマザー』
備考
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ぼせい
母性』(平成24年/2012年10月・新潮社刊)
書誌
>>平成27年/2015年7月・新潮社/新潮文庫『母性』
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他文学賞 山本周五郎賞 26回候補 一覧へ
候補者 湊かなえ 女40歳
選考委員 評価 行数 評言
石田衣良
男53歳
43 「湊さんが得意とする地方で暮らす偏屈な庶民のいやらしさ、卑小さはすごかったね。ぼくにはあいいうのは書けないので、素直に感服した。」「だけど小説の背骨になる母と娘の関係が弱かったんじゃないかな。(引用者中略)母性のとんでもない闇を見せられたという感覚は、ぼくもなかった。ぞっとするような具体的なエピソードが、ふたつみっつあるとぜんぜん評価は変わっていたかもしれない。」
角田光代
女46歳
70 「非常に強い牽引力がある。この作家の書く小説には、いつもかならずその力があって、弱まることがまったくない。」「母性というものはいったいなんであるのか。作者はこの小説を書くことで、その問いと真摯に向き合っている。あまりにも真摯に向き合ったせいで、語り手である母親「私」や、その娘の人物造形に、何かぶれがあるように感じられる。」「「私」や、その娘が、見えてこない。」
佐々木譲
男63歳
45 「わたしが推したのは、湊かなえさん『母性』である。」「淡々と語られる祖母、母、娘へと連なる「女系家族」のありようと、同時に西日本の農村の旧家を舞台にした嫁と姑との古典的な関係それ自体が、興味深くサスペンスフルである。」「女性選考委員おふたりからは、この作品にこのタイトルがふさわしいかと疑義が出された。(引用者中略)そのように主張されると、男性選考委員としては、おふたりを説得するための言葉もややトーンダウンさせざるを得ない。」
白石一文
男54歳
54 「母性という大きなテーマもそれなりに浮き彫りになっているが、何と言ってもこの作者の物語を仕組んでいくうまさというか、その巧みなずるさのようなものに私は感心した。」「母性を描くという視点では、たしかに甘さや足りなさもあるだろうし、引用されているリルケの詩が余計だとの指摘もその通りだ。だが、そうした欠点を補って余りある筆力を私はこの作者に感じた。」
唯川恵
女58歳
36 「読み進めてゆくと、予想する展開はことごとく覆され、これは狂気なのか正気なのか、意識的なのか無意識なのか、混乱し、気がつくと、すっかり湊さんの世界に引き込まれていた。」「「自分はきちんと母に愛されているか」「自分はきちんと娘を愛せているか」。作者に訴えたい強い思いがあるのが伝わって来る。けれども、その強い思いに引っ張られて、読ませるという面が少々弱くなってしまったようにも思う。」
選評出典:『小説新潮』平成25年/2013年7月号
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直木賞 第149回候補  一覧へ

ぼうきょう
望郷』(平成25年/2013年1月・文藝春秋刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 平成25年/2013年1月30日(第1刷)
発行者等 発行者 村上和宏 印刷所 凸版印刷 製本所 加藤製本
発行所 株式会社文藝春秋(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 上楽 藍 写真 志水 隆 写真協力 淡路島観光協会
総ページ数 260 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×17行
×1段
本文ページ 5~260
(計256頁)
測定枚数 415
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書誌
>>平成28年/2016年1月・文藝春秋/文春文庫『望郷』
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収録作品の書誌
みかんの花
>>初出『オール・スイリ』平成22年/2010年12月「望郷、白綱島」
海の星
>>初出『オール讀物』平成23年/2011年4月号「望郷、海の星」
夢の国
>>初出『オール・スイリ2012』平成23年/2011年12月「望郷、夢の国」
雲の糸
>>初出『オール讀物』平成24年/2012年1月号「望郷、雲の糸」
石の十字架
>>初出『オール讀物』平成24年/2012年5月号「望郷、石の十字架」
光の航路
>>初出『オール讀物』平成24年/2012年10月号「望郷、光の航路」
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候補者 湊かなえ 女40歳
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男78歳
6 「犯罪やいじめなど、いまわしい事件に関わる登場人物の設定が……心理や現実性が入念さを欠き、感動を抱くことができなかった。」
伊集院静
男63歳
0  
林真理子
女59歳
10 「着想も面白く、売れっ子作家ならではのテンポのよさがある。しかしやや文章が幼いという印象を持った。」
浅田次郎
男61歳
14 「作者自身が創造を楽しみ、物語を紡ぎ出すことの歓びが、私には感じ取れなかった。もしや作者には内なる原罪主義のようなものがあって、うきうきと小説が書けぬのではなかろうか。この天性の文章には、明るい物語が似合うと思うのだが。」
宮部みゆき
女52歳
19 「(引用者注:「ジヴェルニーの食卓」とともに)敢えて高速サーブを打たず、スピードを抑えたセカンドサーブできちっとポイントをとったという点で、共通するものを感じました。でも私は、やっぱりお二人には、受け手である私たち読者がベースラインから一歩も動けず、惚れ惚れと見送るしかないようなファーストサーブでエースをとっていただきたいと思います。」
宮城谷昌光
男68歳
15 「(引用者注:「巨鯨の海」とともに)自分のなかで評価が浮沈した。」「湊氏の作品にある短絡は、いかにも作品世界を狭隘にしている。他の作品を凌駕するほどの迫力ももっていない。しかしこの人には倫理的な温かみのある信念があり、それにゆらぎがなければ、やがて多くの人の心を打つ規模の大きな作品が書けるのではないか。」
渡辺淳一
男79歳
0  
桐野夏生
女61歳
16 「小さな島の話だ。その息苦しい空間で起きる様々な出来事はリアリティがある。」「が、どの短編も似たような印象になるのは、新しい「感情」を発見していないからではないだろうか。同じような話でも、人間の気持ちはそれぞれ異なる。そのあたりがもう少し書き分けられていると面白くなる。」
北方謙三
男65歳
10 「深層があまり感じられない作品だった。計算された小説の面白さはあるが、それだけという感じも拭えない。」「計算外に飛び出したところで、人は生きるというのは、間違いなくあると思うのだが。」
選評出典:『オール讀物』平成25年/2013年9月号
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大衆選考会 149回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
Y.M.O. 平成25年/2013年7月17日 本命は『望郷』だと思います。文芸春秋が満を持して候補に選んだ自社出版作ですので、初ノミネートでの受賞もありかと・・・。
対抗が『夜の底は柔らかな幻』(恩田陸)。恩田さんも5回目のノミネートなので、受賞する資格は十分あります。
大穴が『巨鯨の海』。油が乗ってきた伊東潤さん、そろそろ受賞か?
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文量
連作短篇集〔6篇〕
みかんの花
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]~30年前  瀬戸内海・白綱島
登場人物
わたし(語り手、高校生の母親)
姉(わたしの3つ年上の姉、高校時代に出奔)
母(わたしの母親、認知症)
宮下邦和(姉の同級生、宮下土木の跡継ぎ)
海の星
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]~25年前  東京~瀬戸内海・白綱島
登場人物
私(語り手、浜崎洋平、白綱島出身)
母(佳子、私の母親)
真野幸作(私が釣り場で出会った男、漁師)
真野美咲(私の高校時代の同級生)
夢の国
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]~10数年前  東京~瀬戸内海・白綱島
登場人物
私(語り手、田山夢都子)
祖母(私の祖母、地主の嫁)
母(私の母親)
平川(私の高校時代の同級生)
雲の糸
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  瀬戸内海・白綱島
登場人物
僕(語り手、芸名・黒崎ヒロタカ、本名・磯貝宏高、歌手)
的場裕也(僕の昔の同級生、鉄工所の跡取り)
母さん(僕の母親、夫殺しで受刑)
石の十字架
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]~昔  瀬戸内海・白綱島
登場人物
わたし(語り手、千晶、関西K市出身)
吉本めぐみ(わたしの昔の友人)
志穂(わたしの娘、小学五年生)
光の航路
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]~20年前  瀬戸内海・白綱島
登場人物
僕(語り手、大崎航、小学校教師)
父(僕の父親、中学校教師)
畑野忠彦(僕の父親のかつての教え子)





ぜっしょう
絶唱』(平成27年/2015年1月・新潮社刊)
他文学賞 山本周五郎賞 28回候補 一覧へ
候補者 湊かなえ 女42歳
選考委員 評価 行数 評言
石田衣良
男55歳
62 「これだけの力作を毎年発表した湊さんの力量と思いの強さには感服するよ。」「厳しいことをいうなら、ぼくは題材に対する甘さがあったと思うね。震災をテーマにしたら、そこは素直に読んでくれるだろう。きっと共感が得られるはずだ。無意識のうちに題材の強さに寄りかかっていたんじゃないかな。不満なのは四人の主人公がみな善意の被害者だったという点だ。」
角田光代
女48歳
27 「読み終えてみるとバランスの悪さが印象として残る。あまりにもフィクション的な作品と、あまりにも生々しい声に満ちた作品とが、無理矢理いっしょに綴じられているように思えてしまうのだ。」「この作者は非常にデリケートに慎重に、二十年前の災害について書こうとしたはずだ。四作の連作ではなく、表題作を軸にしたひとつの流れにしたほうが、その意図が伝わったのではないか……とどうしても思ってしまう。」
佐々木譲
男65歳
36 「ストーリー・テリングの「巧さ」という点で、柚木さんの『ナイルパーチの女子会』の「迫力」と対をなすような作品だった。」「巧さが際立つだけではなく、最後の一篇では作者自身を思わせる女性の生々しい震災体験が、取材や勉強ではけっして描けないだけのディテールの物語として昇華されている。」「湊さんほどの実力でコンスタントに傑作を出し続ける作家に対して、この山本周五郎賞がいま「お預け」をした状態であることを申し訳なくも思う。」
白石一文
男56歳
85 「議論の過程で、私は『絶唱』も何とか受賞作とできないかと相当に粘った。」「『絶唱』や前々回の候補作となった『母性』には、従来の得意な領域からはみ出ようという強い意欲を感じる。湊さんという作家はいま、変異期ないし羽化の途上にあると私は見る。」「この人は、目の前の殻を打ち破れば、さらに大きな作家に成長していくに違いないという確かな予感がある。」
唯川恵
女60歳
29 「表題にもなっている最後の「絶唱」だが、これは四編の中で異彩を放っている。主人公が作者本人と重なってしまうせいもあるだろう。もちろん、ご自身もそれを覚悟で書かれたはずだ。緊迫感に満ちた素晴らしい一編には違いないが、それだけに、他の短編とのバランスが悪くなってしまった。」「自伝的小説を書く難しさを改めて考えさせられた。」「自伝的であるからこそ、常に冷静な視線を失わず、物語を展開してゆくテクニックが必要なのだろう。」
選評出典:『小説新潮』平成27年/2015年7月号
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大衆選考会 153回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
しょう 平成27年/2015年6月8日 取るかはワカラナイですが、この2つは候補には入りそうな気がします。(同時推薦=>伊東潤
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『リバース』(平成27年/2015年5月・講談社刊)
他文学賞 吉川英治文学新人賞 37回候補 一覧へ
候補者 湊かなえ 女43歳
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男66歳
3 「多くの読者を持つ力量のある作家なので期待して読んだが、この作品を候補作にしたことに疑問を抱いた。」
大沢在昌
男59歳
9 「素材の小ささが最後まで気になった。」「主人公たちのもとに届く、「人殺しだ」という告発文にも首を傾げざるをえない。的はずれと思う人間もいるのではないか。」
恩田陸
女51歳
8 「いちばん気になったのは、描きたい感情を地の文ではなく、登場人物に台詞で説明させてしまっているところだった。主人公が知りたいはずの、広沢という人物があまりくっきりと浮かび上がってこなかったのも残念だった。」
京極夏彦
男52歳
0  
高橋克彦
男68歳
0  
選評出典:『小説現代』平成28年/2016年5月号
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『ユートピア』(平成27年/2015年11月・集英社刊)
書誌
>>初出『小説すばる』平成26年/2014年6月号、8月号、10月号、12月号、平成27年/2015年2月号、4月号、6月号、8月号/単行本化にあたり加筆修正
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他文学賞 山本周五郎賞 29受賞 一覧へ
候補者 湊かなえ 女43歳
選考委員 評価 行数 評言
石田衣良
男56歳
54 「ぼくも前半を読み終えたところで、この作品にマルをつけた。いよいよ本命がきたなと。」「べたりと貼りつく嫉妬やちいさな意地悪、好意の裏にある悪意を書かせると、湊さんは本邦一の腕前だね。」「ミステリーとしての整合性は、この作品の読みどころじゃないんだ。そこまでの過程のおもしろさのほうが重要だよ。」
角田光代
女49歳
67 「暗い予感に読み手をわくわくさせる作者の技は相変わらずみごとである。」「また作者は、異様な感情に変化する直前の、一瞬の輝くような瞬間もさりげなく書く。」「しかし終盤、私にはいくつかわからないことがあった。(引用者中略)作者があえて書かなかったのか、そうでないのかの判断が私にはつかなかった。その一点においてこの小説を受賞作として全面的に推すことがためらわれた。」
佐々木譲
男66歳
52 「大事なのは、この作品は広義のミステリーではあるが、様式的なクライム・ノベルではない点だろう。謎があり、事件が起こり、その一応の解決はみるが、解決それ自体は作品の主題ではない。」「本作に、イヤミス、という言葉を使った選考委員もいたが、わたしには読後感はまったく悪くはなかった。」
白石一文
男57歳
31 「(引用者注:「ガラパゴス」と共に)△とする方針で選考会に臨んだ。」「佐々木委員は湊氏に○をつけていた。」「一度目の候補作『母性』、前回の候補作『絶唱』と比較するならば物語の始末の付け方にも冒険心の度合いにおいても『ユートピア』は見劣りがするし、ことに最後の謎解きの部分は相当にひとりよがりと言わざるを得ない。」「当選作を出すとなれば、やはり湊氏の作品しかないだろうというのは五人の委員全員の一致するところであった。」
唯川恵
女61歳
37 「この小説にミステリー要素は必要だったのだろうか。最後をあのような形で終わらせた強引さが気になってならない。何度読み返しても、納得のいく着地ではなく、むしろ、小説全体の印象をぼやけさせてしまったように感じる。」「それでも、市井の人々の細やかな描き方は山本周五郎の作風に通じるものがあり、またこれまでの十分な実績から受賞にふさわしいと思えた。」
選評出典:『小説新潮』平成28年/2016年7月号
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直木賞 第155回候補  一覧へ
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(平成28年/2016年5月・光文社刊)
媒体・作品情報
作品名 別表記 表紙・背 「Poison Daughter, Holy Mother」併記
印刷/発行年月日 発行 平成28年/2016年5月20日(初版1刷)
発行者等 発行者 鈴木広和 組版 萩原印刷 印刷所 萩原印刷 製本所 ナショナル製本
発行所 株式会社光文社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 装幀 鈴木久美
総ページ数 245 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ 5~245
(計241頁)
測定枚数 398
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収録作品の書誌
マイディアレスト
>>初出『宝石 ザ ミステリー2』平成24年/2012年12月「蚤取り」
ベストフレンド
>>初出『宝石 ザ ミステリー3』平成25年/2013年12月
罪深き女
>>初出『宝石 ザ ミステリー2014夏』平成26年/2014年8月
優しい人
>>初出『宝石 ザ ミステリー2014冬』平成26年/2014年12月
ポイズンドーター
>>初出『宝石 ザ ミステリー2016』平成27年/2015年12月「ポイズン・ドーター」
ホーリーマザー
>>書下ろし
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候補者 湊かなえ 女43歳
選考委員 評価 行数 評言
北方謙三
男68歳
14 「全体に人物造形が細かい割りには、平板で過剰であるという印象を持った。たとえばこれを役者が演じるとしたら、情念が滲み出し、表情が刻々と動き、平板さは消えるのではないか、と考えてしまった。」
宮部みゆき
女55歳
29 「私は湊さんの作品で、(引用者中略)登場人物に共感して、「わかるわかる」と呻ることの方が多い。今回の『ポイズンドーター・ホーリーマザー』もそうでした。ただ、「わかる」にプラスするサムシングがなかったことが残念。」
浅田次郎
男64歳
14 「母と娘の相克をテーマに据えた連作集と読んだ。その点はとても文学的で、なおかつ普遍的でもあるのだが、短篇連作とするには、当然起こりうる暗鬱さを読者に負担させない工夫が必要だったのではなかろうか。」
東野圭吾
男58歳
23 「一定の水準に達していると思うが、そのレベルで留まっている印象だ。」「ストーリーのために作られた人間が、やや単純化されすぎていると感じた。人間の心の闇とは、もっと深く複雑ではないだろうか。」
宮城谷昌光
男71歳
13 「自意識の極度の高ぶりが招く事件は、最後に客観が与えられて、急激に冷やされる。そういう書きかたは、氏の自家薬籠中のものになったようではあるが、氏の作品に発展を期待していた私にとっては、ものたりなかった。」
高村薫
女63歳
17 「不特定多数に向かって主人公が自身の悪意や感情を吐露してみせるブログの世界、もしくは一人芝居の台詞に留まっているように感じられた。」「また、Aの独白からBの独白に移行することで白を黒にする手法の多用は、読者を白けさせるだけだろう。」
伊集院静
男66歳
6 「彼女本来の力量が、私には見えなかった。彼女らしい候補作があるのではと思う。」
桐野夏生
女64歳
9 「トラックを同じペースでぐるぐる周回している気がする。どこかでスパートをかけてほしいと願いながら読んだが、残念ながら抜け出すことはできなかったようだ。」
林真理子
女62歳
25 「後味の悪い小説というのは必ずしも悪いものではないが、心理の流れが納得出来ないものでは困る。」「まず思うことがストーリーの瑕瑾で文学の本質からはずれるものばかりだったのは残念である。」
選評出典:『オール讀物』平成28年/2016年9月号
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文量
短篇集〔6篇〕
マイディアレスト
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
私(語り手、淑子、無職で実家暮らし)
有紗(私の6歳下の妹、妊婦)
母(私と有紗の母親)
スカーレット(私の飼い猫)
ベストフレンド
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京など
登場人物
私(語り手、漣涼香、宅配便事務所の受付、毎朝テレビ脚本新人賞優秀賞受賞)
大豆生田薫子(新人脚本家、脚本新人賞最優秀賞受賞)
郷賢(毎朝テレビドラマ制作部プロデューサー)
直下未来(脚本新人賞優秀賞受賞)
罪深き女
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
私(語り手、天野幸奈)
黒田正幸(私と同じアパートに住んでいた少年)
母(私の母、保険外交員)
優しい人
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京など
登場人物
樋口明日実(殺人事件の被疑者)
奥山友彦(殺人事件の被害者、防犯グッズを扱う企業の会社員)
徳山淳哉(明日実の高校時代の同級生で恋人、証券会社勤務)
ポイズンドーター
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京~ある町
登場人物
私(語り手、藤吉弓香、女優)
あの人(弓香の母親)
野上理穂(旧姓・前川、弓香の学生時代の友人)
江川マリア(弓香の中学時代の同級生)
ホーリーマザー
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある町
登場人物
わたし(語り手、野上理穂、主婦)
義母(わたしの夫の母親、託児サービス所代表)
藤吉弓香(女優、理穂の学生時代の同級生)
藤吉佳香(弓香の母親、学校の事務員)




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