選評の概要
129. 130.131. 132. 133. 134. 135.
136. 137. 138. 139. 140.
141. 142. 143. 144. 145.
146. 147. 148. 149. 150.
151. 152. 153. 154. 155.
156. 157. 158. 159. 160.
161. 162. 163. 164. 165.
166. 167. 168. 169. 170.
171.
このページの情報は「直木賞のすべて」内の「受賞作家の群像 山田詠美」と同じものです。 | ||
生没年月日【注】 | 昭和34年/1959年2月8日~ | |
在任期間 | 第129回~(通算21.5年・43回) | |
在任年齢 | 44歳4ヶ月~ | |
経歴 | 本名=山田双葉(ヤマダ・フタバ)。東京都生まれ。明治大学文学部中退。 | |
受賞歴・候補歴 |
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サブサイトリンク | ||
処女作 | 「ベッドタイムアイズ」(『文藝』昭和60年/1985年12月号) | |
芥川賞候補歴 | 第94回候補 「ベッドタイムアイズ」(『文藝』昭和60年/1985年12月号) 第95回候補 「ジェシーの背骨」(『文藝』昭和61年/1986年夏季号[5月]) 第96回候補 「蝶々の纏足」(『文藝』昭和61年/1986年文藝賞特別号[12月]) |
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サイト内リンク | ▼小研究-記録(年少受賞) ▼直木賞受賞作全作読破への道Part2 |
下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。
選考委員 山田詠美 53歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
舞城王太郎 | 39歳 |
○ | 10 | 「この作者は、どうでも良さげなエピソードで、読み手の心をきゅっとつかむのが上手だなあ、といつも思う。そして、とってもモラリスト。主人公だけが使い方を知るおかしくって少し悲しい、魅力的なシャワーヘッドのカタログだ。」 |
75歳 |
● | 21 | 「正直、私には、ぴんと来ない作品で、何かジャンル違いのような印象は否めなかったし、漂うひとりうっとり感も気になった。選考の途中、前衛という言葉が出たが、その言葉を使うなら、私には昔の前衛に思える。洗練という言葉も出たが、私には、むしろ「トッポい」感じ。」 | |
選評出典:『文藝春秋』平成25年/2013年3月号 |
選考委員 山田詠美 54歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
鶴川健吉 | 31歳 |
◎ | 26 | 「新人の才能のひとつに、まだ誰もが手を付けていない世界を描くこと、というのがある。もちろん、そこに、文章力を始めとしたさまざまなものが付いて来なければお話にならないが、この作者は、私の考えるレベルをクリアしている。見たものを見たように、感じたことを感じただけ過不足なく書けるのは、りっぱ。」「受賞作に推した。」 |
33歳 |
△ | 10 | 「どうせなら、もっとサイコホラー寄りに徹して、小説にしか出来ない技を駆使して展開させていたら、映画を連想させることなどない、言葉による、そこはかとない恐怖に覆われた魅力が出たと思う。」 | |
選評出典:『文藝春秋』平成25年/2013年9月号 |
選考委員 山田詠美 54歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
30歳 |
○ | 33 | 「今回、一番、おもしろく読んだのがこれ。ファンタスティックな風景のあちこちに読み手を躓かせる硬い石が散らばっているみたい。転びそうになって、ふと現実に引き戻されるような隅に置けない仕掛け。それらによって、読者は、この作品世界を二重に楽しめる。」「(引用者注:「コルバトントリ」の世界と)ネガとポジのようにも感じられ、両方に心惹かれて、どちらにも丸を付けた。」 | |
山下澄人 | 47歳 |
○ | 16 | 「チャーミングな言葉の行きかう黄泉の国の物語として、私は読んだ。〈月の番をしているおじいさん〉を始めとしたいじらしい人々がいっぱいで胸に残る。」「(引用者注:「穴」の世界と)ネガとポジのようにも感じられ、両方に心惹かれて、どちらにも丸を付けた。」 |
選評出典:『文藝春秋』平成26年/2014年3月号 |
選考委員 山田詠美 55歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
高橋弘希 | 35歳 |
◎ | 16 | 「戦争をこれっぽっちも讃美することなく、そこに広がる情景を言葉の力だけで哀しく美しく描いた。うかつな箇所や欠点も多々あれど、久々に才能というものを感じて、この作品を推した。水木しげる氏へのオマージュめいた部分は気になったが。」 |
高尾長良 | 22歳 |
○ | 13 | 「あー、もう、こんなしち面倒臭いアプローチして……とうんざりしかけたが、どんどんおもしろくなって、止められなかったくらい。」「同時に、いくつかの場面がとてもセクシーだ。滝で放られた桃を齧るところとか。」 |
44歳 |
■ | 22 | 「主人公と関わり合うすべての男たちが、「男目線からのステレオタイプ」のように私には思える。その分、女たちの存在感はすごいが、その存在感が私には「作者のひいき目」のように感じられてしまうの。」「この作者は、あくまで女の味方のように、彼女を生まれ変わらせる。その静かな再生の気配に寄り添えるか、否か。私は残念ながら後者だった。」 | |
選評出典:『文藝春秋』平成27年/2015年3月号 |
選考委員 山田詠美 58歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
38歳 |
○ | 17 | 「まるで、きらきらと輝く接着剤のような言葉で小説をまとめ上げて行く。うまいなー。日浅のお父さん、相当息子を愛しているね。背徳的な意味で。」 | |
今村夏子 | 37歳 |
○ | 23 | 「高田かやの傑作コミックエッセイ「さよなら、カルト村。」を思い起こさせる可愛らしさと、そこはかとない恐ろしさを同時に感じずにはいられない。親を思う子供の純情の外側で、さまざまな不穏なものが蠢いている。」「ラストで父と母に両側から強く抱き締められた主人公は否定出来ない枷をはめられたようにも思える。今回は受賞を逃したが、この先も目の離せない作品を書き続ける人だと確信している。」 |
選評出典:『文藝春秋』平成29年/2017年9月号 |
選考委員 山田詠美 60歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
千葉雅也 | 41歳 |
○ | 20 | 「性愛にいちいち哲学を持ち出す面倒臭い男だなあ、と思うことも含めて、リアリティに満ちていると感心した。」「これは、セクシャルヒーリングを巡る普遍的な青春小説なのである。妙なことに北杜夫氏の「どくとるマンボウ青春記」を思い出した。青春は可愛い。」 |
31歳 |
□ | 19 | 「同じ場所に確実に存在する異った時の流れを交錯させるのは、この作者の真骨頂だろう。今回は、そこに、さまざまなドラマをはさみ込み厚みが出た。」「正直、毎回この一族の物語を読むたびに、また付き合うのか、と感じていたが、今回、また出会えた! と思えたのは収穫だった。」 | |
選評出典:『文藝春秋』令和2年/2020年3月号 |
選考委員 山田詠美 62歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
千葉雅也 | 42歳 |
◎ | 22 | 「昔から「哲学書を読む娼婦」は文学に愛されて来たが、「娼婦の振る舞いをする哲学者」は嫌われるらしいのだ。○を付けたのが私だけだったのは何とも残念」「テーマや描き方が古いという指摘もあったが、チャーミングなあばずれの行状に古いも新しいもあるものか。」 |
41歳 |
△ | 11 | 「小説でしか出来ないやり方で、死者への鎮魂を描こうとするのは、りっぱ。しかし、作者が「文学的」と信じている言い回しが読んでいて照れ笑いを誘う。」 | |
31歳 |
■ | 28 | 「〈男がいつでも好きな時に女を殴ったり、犯したり、殺したりできるんだ。オカスってどういう意味かって? そりゃ、無理やり子供を生ませるっちゅう意味さ。〉」「……ふう。もしもそこに真実が含まれていたとしても、私は、そう出来なかった男を捜し出して描くことが小説の仕事だと思っている。そして、こういう重要な一文の主語が「男」という普通名詞であってはならない。」 | |
選評出典:『文藝春秋』令和3年/2021年9月号 |
選考委員 山田詠美 63歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
山下紘加 | 28歳 |
◎ | 11 | 「これまでも老人介護の作品はいくつかあり、受賞もしているが、皆、ポップな方向に逃げている。しかし、これは、ガッツリ向い合っているところを評価して○を付けた。世界平和より、今、こちらを訴えたい人は多い。」 |
34歳 |
□ | 9 | 「私を含む多くの女性が天敵と恐れる「猛禽©瀧波ユカリさん」登場! 彼女のそら恐ろしさが、これでもか、と描かれる。思わず上手い! と唸った。でも、少しだけエッセイ漫画的既視感があるのが残念。」 | |
「今回、芥川賞候補者五人全員が女性、そして、直木賞受賞者も女性だったことで、ある種のメディアは「世相」とか「時代」とかに絡めて、あらかじめ報道内容を決めていたらしい。」「今回の女性候補者たちは「男女機会均等法枠」で選ばれたのではなく、小説作品の質が高いから最終的に残ったのである。小説の出来に「均等」なんてないよ! そこ、ヨロシク。」 | ||||
選評出典:『文藝春秋』令和4年/2022年9月号 |
選考委員 山田詠美 64歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
43歳 |
◎ | 20 | 「文学的に稀有なTPOに恵まれたのはもちろん、長いこと読み続け、そして書き続けて来た人だけが到達出来た傑作だと思う。文章(特に比喩)がソリッドで最高。このチャーミングな悪態をもっとずっと読んでいたかった。」 | |
石田夏穂 | 31歳 |
◎ | 13 | 「私は、この種の仕事に関してまるで無知なのだが、作業する現場、集中する作業員の手許までが、はっきりと見える気がした。正確な描写で現実にないものを正確に浮き彫りにしたと感心した。」 |
「このところ何度となく、「芥川賞選考会は、他のジャンルから出て来た候補者には授賞しないと決めたようだ」という当て推量めいた文言を目にしたのだが…いいえ、そんなこと全然ありません! 元来、この賞は、「若者」「よそ者」「バカ者」にたいそう優しい。でも、それだって、作品の出来次第……っていうか、はあ? いったい誰に向かってモノ言ってんの?って感じ。」 | ||||
選評出典:『文藝春秋』令和5年/2023年9月号 |