宇佐見りん（うさみりん）-芥川賞受賞作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

芥川賞のすべて・のようなもの

第164回

＝受賞者＝
宇佐見りん

シェアする

Last Update●[R7]2025/7/6

	Usami Rin
	生没年月日【注】	平成11年/1999年☆月☆日～
	経歴	静岡県生まれ。大学在学中の令和1年/2019年に「かか」で第56回文藝賞を受賞しデビュー。
	受賞歴・候補歴	第56回文藝賞（令和1年/2019年）「かか」第33回三島由紀夫賞（令和2年/2020年）『かか』 \|候補\| 第42回野間文芸新人賞（令和2年/2020年）『かか』第164回芥川賞（令和2年/2020年下期）「推し、燃ゆ」 \|第9位\| 第18回2021年本屋大賞（令和3年/2021年）『推し、燃ゆ』第7回沖縄書店大賞［小説部門］（令和3年/2021年）『推し、燃ゆ』第70回神奈川文化賞未来賞［文学］（令和3年/2021年） \|候補\| 第44回野間文芸新人賞（令和4年/2022年）『くるまの娘』 \|候補\| 第39回織田作之助賞（令和4年/2022年）『くるまの娘』 \|候補\| 第38回坪田譲治文学賞（令和4年/2022年度）『くるまの娘』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全12件

第164回受賞

「推(お)し、燃(も)ゆ」（『文藝』令和2年/2020年秋季号［8月］）

媒体・作品情報

誌名	「文藝」
巻号	第59巻第3号別表記秋
作品名別表記	目次・本文ルビ有り「お」「も」
印刷/発行年月日	発行令和2年/2020年8月1日
発行者等	編集人坂上陽子　発行人小野寺優　印刷人北島義斉　印刷所大日本印刷株式会社（東京都）
発行所	株式会社河出書房新社（東京都）
総ページ数	503	表記上の枚数	表紙・背・目次 150枚	基本の文字組（1ページ当り）	27字 ×23行 ×2段
本文ページ	8～54 （計47頁）	測定枚数	139枚

書誌

令和2年/2020年9月・河出書房新社刊『推し、燃ゆ』

『文藝春秋』令和3年/2021年3月号

令和5年/2023年7月・河出書房新社／河出文庫『推し、燃ゆ』

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　宇佐見りん　21歳
選考委員		評価	行数	評言
川上弘美	62歳	△	9	「必要にして充分な描写の力、」「（引用者注：「母影」「コンジュジ」と共に）どれも見るべきものが多くありました。みんな、うまいのです、ほんとうに。」
奥泉光	64歳	□	17	「本作の受賞に異存はなかった。欠落を抱えた主人公がアイドルを徹底して「推す」ことで自己の発見に至る物語――最後「推し」が芸能界を去ってしまい、アイドルとしては死んだ彼の「骨」を主人公が拾うまでの物語は、定型的ともいえるが、ひとりの人間の生の形を描ききったと、いささか古風な文句でもって評したくなった。」
松浦寿輝	66歳	□	52	「リズム感の良い文章を読み進めて、その救いの喪失が語られ、引退した「推し」の住むマンションを主人公が未練がましく見に行くあたりまで来て、不意にじわりと目頭が熱くなってしまった」「主人公の嗜好も生活感情も世界との違和感も、ごく特殊なものでありながら、宇佐見氏の的確な筆遣いによって、どこか人間性の普遍に届いているからだろう。」「受賞には何の異議もない。」
島田雅彦	59歳	○	20	「無意識から意識が立ち上がるその発語のスリリングな瞬間が連続しており、その躍動感に自分まで少女になったような錯覚を覚えた。不愉快な現実からの逃避として一括整理されがちな「追っかけ」の心理の解剖としても一級の資料的価値がある。」
小川洋子	58歳	◎	36	「本作に心を惹かれたのは、推しとの関係が単なる空想の世界に留まるのではなく、肉体の痛みとともに描かれている点だった。」「DVDの中で真幸は、大人になんかなりたくないピーターパンだった。その尖った靴の先で心臓を蹴り上げられた時、まず彼女の中に飛び込んできたのは、陶酔でも衝撃でも憧れでもなく、痛みだった。」「推しを通して自分の肉体を浄化しようともがく彼女の姿が、あまりにも切実だった。」
山田詠美	61歳	◎	11	「今回、出会った何人かの少女の中で、この〈あかりちゃん〉だけが、私にとって生きていた。確かな文学体験に裏打ちされた文章は、若い書き手にありがちな、雰囲気で誤魔化すところがみじんもない。」
平野啓一郎	45歳	○	22	「推した。「けざやか」という古語を何となく思い出したが、文体は既に熟達しており、年齢的にも目を見張る才能で、綿矢りさ・金原ひとみ両氏の同時受賞時を想起した。しかし、正直に言うと、寄る辺なき実存の依存先という主題は、今更と言っていいほど新味がなく、「推し」を使った現代的な更新は極めて巧みだが、それは、うまく書けて当然なのではないかという気もする。」
堀江敏幸	57歳	○	20	「バランスの崩れた身体を、最後の最後、自分の骨に見立てた綿棒をぶちまけ、それを拾いながら四つん這いで支えて先を生きようと決意する場面が鮮烈だ。鮮やかに決まりすぎていることに対する書き手のうしろめたさまで拾い上げたくなるような、得がたい結びだった。」
吉田修一	52歳	●	19	「残念ながら目新しさを感じないまま読み終えてしまった。文学の新人賞界隈でよく見かける少女というか、そもそも推しに依存して生きる人生の何がいけないのかが分からない。」
選評出典：『文藝春秋』令和3年/2021年3月号

シェアする

トップページ｜直木賞・芥川賞受賞作一覧｜受賞作・候補作一覧｜候補作家の群像｜選考委員の群像
選評の概要｜サイトマップ || 受賞作家の一覧へ｜前の回へ｜次の回へ