年森瑛（としもりあきら）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

芥川賞のすべて・のようなもの

第167回

＝受賞者＝
高瀬隼子

＝候補者＝
小砂川チト
鈴木涼美
年森　瑛
山下紘加

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Last Update●[R5]2023/6/20

	Toshimori Akira
	生没年月日【注】	平成6年/1994年☆月☆日～
	経歴	神奈川県横浜市生まれ。法政大学文学部卒。令和4年/2022年に「Ｎ／Ａ」で第127回文學界新人賞を受賞。
	受賞歴・候補歴	第127回文學界新人賞（令和4年/2022年）「Ｎ／Ａ」 \|候補\| 第167回芥川賞（令和4年/2022年上期）「Ｎ／Ａ」 \|候補\| 第36回三島由紀夫賞（令和4年/2022年度）『Ｎ／Ａ』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全5件

第167回候補

「Ｎ(エヌ)／Ａ(エー)」（『文學界』令和4年/2022年5月号）

媒体・作品情報

誌名	「文學界」
巻号	第76巻第5号別表記5月号
作品名別表記	表紙・目次「エヌ」「エー」
印刷/発行年月日	発売令和4年/2022年4月7日　発行令和4年/2022年5月1日
発行者等	編集人丹羽健介　発行人大川繁樹　印刷人北島義斉　印刷所大日本印刷株式会社　ＤＴＰ制作株式会社ローヤル企画
発行所	株式会社文藝春秋（東京都）
総ページ数	376	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	27字 ×23行 ×2段
本文ページ	9～49 （計41頁）	測定枚数	124枚

書誌

令和4年/2022年6月・文藝春秋刊『Ｎ／Ａ』

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　年森瑛　27歳
選考委員		評価	行数	評言
山田詠美	63歳	△	15	「大切に一文を重ねて行っているのが解る。でも、時々出現する御丁寧で大仰な比喩が興を削ぐ。」「それらを一度全部取ってみたら、いっきに洗練されると思う。小説における洗練とは野蛮さに磨きをかけることだ。」
島田雅彦	61歳	△	18	「月経を忌避し、偏食を続ける高校生まどかは（引用者中略）他人との接触の仕方に悩むあまり、一種のコミュ障に陥り、紋切り型への恐怖を募らせるその迷走ぶりが「乱暴に」描写される。生身の自分に理想的行動ができるアプリをダウンロードしようとするが、どうしても齟齬が生じてしまう実態は、「多様な生き方」の曖昧さを浮き彫りにする。」
小川洋子	60歳	■	9	「まどかは、実に賢い子だ。」「しかし作者が、彼女の分析を的確に言葉に置き換えてしまっている点が、むしろ弱点のような気がした。」
松浦寿輝	68歳	△	11	「「摂食障害」（引用者中略）「ＳＮＳ」「ＬＧＢＴＱ」という現代的トピック三つを並べた、あざとい三題噺のような物語で、題名の付けかたをはじめ、作者の才走りように感心しないでもない。」
吉田修一	53歳	■	11	「何か新しい人間たちがこの作品の中では生きているという感触もあった。」「ただ、その感触がまだどうしても弱い。」
平野啓一郎	47歳	△	11	「性自認に於ける“本当の自分”という意識が、そのフレームを食み出して、主体そのものの本質主義にまで拡張される様をアイロニカルに描いている。佳作だった。」
奥泉光	66歳	■	11	「快作であるが、小説中の鍵語であり、物語の推進力たるべき「かけがえのない他人」がいまひとつ焦点を結ばぬ憾みが残った。」
川上弘美	64歳	○	20	「（引用者注：「おいしいごはんが食べられますように」と共に）○をつけました。」「ある規格におさめられてしまうことを拒否している語り手、という存在は、多くの小説にあらわれてきましたが、この小説の語り手は、言葉の表層だけではなく、そこに本当に存在している人間としての実感をこめて、何かを拒否しているように感じられたのです。語り手が、作者のたくらみを表現するだけの道具にはとどまらず、自立している。」
堀江敏幸	58歳	■	15	「語り手に一種の改心をもたらすのは否定的に扱った相手から示される下心なしの反応なのだが、そこへ持っていくための最後をややしつらえすぎたかもしれない。」
選評出典：『文藝春秋』令和4年/2022年9月号

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