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第12回
山本周五郎賞
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平成10年/1998年度
(平成11年/1999年5月13日決定発表/『小説新潮』平成11年/1999年7月号選評掲載)
選考委員  阿刀田高
男64歳
井上ひさし
男64歳
逢坂剛
男55歳
長部日出雄
男64歳
山田太一
男64歳
選評総行数  168 211 178 162 132
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
重松清 『エイジ』
男36歳
46 54 30 63 33
小野不由美 『屍鬼』
女38歳
36 65 54 36 28
山本文緒 『恋愛中毒』
女36歳
28 40 26 31 40
新井素子 『チグリスとユーフラテス』
女38歳
58 52 68 32 31
         
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説新潮』平成11年/1999年7月号
1行当たりの文字数:19字


選考委員
阿刀田高男64歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数168 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
重松清
男36歳
46 4.5点「今回は特に、今までと比べてユーモアが躍動していました。」「文章も、油断をするとこの世界はあざとくなるんだけれども、今の人でなくては書けない独特の表現力を持っている。」「非常に現代性のあるよい小説だなと感じ、楽しく、嬉しく読みました。」
小野不由美
女38歳
36 3点「私はこれからしばらくの間、ただ小説が長いということだけで、選考会では〇・五点引くという方針を採用しようと思っております。」「やはり小説としての基本的なルールに欠けるものがあるように思います。人物の造形も、みな一様ですしね。」「明らかに神の視点で書いてきていながら、最後にこれは室井の小説だったんだということになってしまうのは、ずいぶんむちゃな話ではないでしょうか。」
山本文緒
女36歳
28 4点「作品については面白く読んだんですが、その反面、ヒロインに好感を持てなかった。」「ただこの作家は、端倪すべからざる力量を持っていると思います。書いている世界は子供っぽいんだけれども、書いている作者その人はけっして子供じゃない。大人の目でじっとものを見ているのを強く感じますし、小説のテクニックもかなりのものです。」
新井素子
女38歳
58 3.5点「SF小説というのは、どんなに時空を超えて飛んでいっても、必ず現代のわれわれの文明とか生活に関わってくるものでなければならないと私は思っています。」「この作品にはその意図がはっきりと表れています。」「四章、これが一番長くて一番大事なところなんですが、この章に入った途端に少し崩れはじめる。」「作者が勝手につくった設計図にあてはめていくだけになってしまった。」
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他の選考委員
井上ひさし
逢坂剛
長部日出雄
山田太一
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選考委員
井上ひさし男64歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数211 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
重松清
男36歳
54 5点「この作品で重松さんは、ストーリーもさることながら、「ある時間」を書こうとして、それに見事に成功しています。」「サスペンスを読者と作っていくあたりは、なみの手際じゃない。感心しました。」「“今”を書いて破綻がない。一九九九年前後の東京郊外の記録としても、時間的腐食に堪えるでしょう。」
小野不由美
女38歳
65 3点「作者の馬力に脱帽します。けれども、読者側に立つと、大変読みにくい。一番困るのは、この物語に対する読者の興味と愛情が読み進むにつれてどんどん冷めてくることです。」「滑稽とおどろのギャップを埋めるために、屍鬼は人間に対して言い訳ばかりしている。」「これだけたくさん読んだのに、印象に残る人物が一人もいない。これは作者の敗北です。」
山本文緒
女36歳
40 4点「実は偶然、この人の処女作を読んでいるんですが、これがひどい(笑)。(引用者中略)その処女作とこの作品を比べると、まるで別人の観がある。」「この小説の手柄は、(引用者中略)定型をくつがえして、どうにもつまらない男と女の恋愛小説を成立させたことですね。」「作者はハーレクイン・ロマンスの反対を、そのパロディをやろうとしているわけです。それが見事に成功している。」
新井素子
女38歳
52 4.5点「三章までは非常に雑然としている小説なんですが、四章に入るとすべてがプラスに変わっていくという仕掛けがしてあって、見事だと思います。」「なによりすごいのは、これまでどんな宗教もどんな大哲学者も取り組んで答えが出せなかった、人生、世界、宇宙に意味があるのかという大問題に迫っていくところです。」「文体、文章に関しては、この人は本当にルーズだと思います。」
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他の選考委員
阿刀田高
逢坂剛
長部日出雄
山田太一
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選考委員
逢坂剛男55歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数178 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
重松清
男36歳
30 5点「(引用者注:過去の候補作は)小説は非常に巧みなんだけれど、後味が悪いんですよね。」「(引用者注:今回は)実にストレートで後味のよい小説でした。」「ほとんど文句のつけようがありません。」「最後のくだりでは、やっぱり泣かされました。これは、もちろん大人が読んでもいいけれど、ぜひ子供にも読ませたい作品ですね。」
小野不由美
女38歳
54 3.5点「致命的な欠点として、この小説はホラー小説らしいんですが、一向に怖くないんです。」「ワープロ時代の功罪のうち、罪のほうがここのところひどくなってきたんじゃないか、と思います。これは、その顕著な例ではないでしょうか。」「この小説は非常に視点が乱れていて、横滑りが甚だしい。(引用者中略)これが、感情移入できない最大のポイントだ、と思います。」
山本文緒
女36歳
26 4.5点「前半と後半の印象が、乖離しています。」「非常にサスペンスをもたせて、読者を引き込んでくれます。このへんのつくり方は、非常にうまい。」「文章は、読点の打ち方が無秩序で、字面は読みにくい感じがしますが、独特な饒舌体の文章で、逆にすらすら読めるという、不思議な効果もある。」
新井素子
女38歳
68 4点「結局SFというのは、いかに想像力を働かせるかで勝負が決まる、と思うんです。ところが、この小説に出てくる自動食料供給システムなどは、具体的なイメージが浮かんでこない。」「私は、この人の小説の忠実なる読者ではないんですが、瞥見したところでは、デビュー当時からこの文体は変わっていない、と思います。(引用者中略)今の若い人には受けると思うんだけど、果たしてあらゆる世代に通用するかというと、はなはだ疑問です。」
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他の選考委員
阿刀田高
井上ひさし
長部日出雄
山田太一
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選考委員
長部日出雄男64歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数162 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
重松清
男36歳
63 5点「非常に爽快な小説でした。」「一番最初の学級委員の選挙。この設定が実にうまい。」「会話がとてもリアリティがある。今の中学生の心理と感受性の複雑な襞というのが感じられる。」「人物の描き分けも、その性格の隅々まで明快です。単純な性格だからでなく、とても複雑なところまでよくわかる。」
小野不由美
女38歳
36 4点「私はこの小説に取柄があるとすれば長さだと思います(笑)。」「この作者はリフレインということを、方法的に意識していたと思うんです。」「同じメロディを何度も何度も繰り返していくことによって、なにか大型の弦楽器を弓で弾いているような、非常に沈痛で荘重な調子の響きが聴こえてくるように私は感じました。」
山本文緒
女36歳
31 4.5点「これは実に不自然な小説で、かつて自然主義というのがありましたけれども、その反対で不自然主義小説ですね(笑)。」「不自然ということはつまり謎ということです。釈然としないままその謎に惹きつけられて読まされてしまう。」「とにかくこの人は、小説家として大変に才能のある人だと感じました。」
新井素子
女38歳
32 3.5点「私は、第四章が一番面白かったです。」「成熟を拒否して、自分ほど不幸なものはないという自己憐憫――。この叫びが、今の若い人たちの中にある重要なポイントを象徴していると思いました。」「これがシュールレアリスムの絵画だとすると、ディテールがどれほど本当らしく書けているかが、全体の謎を保証するものになる。だから視覚的なディテールをもう少し重視してほしかった。」
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他の選考委員
阿刀田高
井上ひさし
逢坂剛
山田太一
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選考委員
山田太一男64歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数132 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
重松清
男36歳
33 5点「なんとかこの小説を人生肯定まできちんと持っていこうとしている。ニヒリズムで終わればリアリティはわりとたやすく手に入るけど、そうしないで頑張ったと思います。」「最後の、通り魔のタカやんが教室へ戻ってきた時に、写真週刊誌をまるくしてパンと叩いて「バカ野郎、わかれよ」ということころ。(引用者中略)実にうまく重松さんはジャンプしたし、その辺りは小説の白眉でもあります。」
小野不由美
女38歳
28 3.5点「省略がないということにとても疲れました。けれども神楽の夜の場面からラストまでは、充実していたと思います。」「ただ吸血鬼については、物語のスタートが民俗学風の味わいだったので、日本独特の吸血鬼が出てくるのかなと期待したんですが、読んでいくと結局ルーツは外国なんですね。」「もう一つ、バンパイアが生きていくために、必ずしも人を殺さなくてすむという設定はひっかかります。」
山本文緒
女36歳
40 4.5点「小説を読む楽しさが、しっかりとありました。」「いい意味でも悪い意味でも、文章やスタイルに傾きすぎているところがある。」「例えば主人公の水無月という人の情念の部分に関わってきても、今までの軽快さが禍いして、重くなるべきところがどうも重くならない。共感できなくなってくるんです。」
新井素子
女38歳
31 4点「現実には今の若い人たちは、もっと雑多な曖昧さを悩んでいるわけでしょう。それがあんまりきれいに整理された問題になっているために、ここで語られる人生論は言葉にすぎないという味気なさを感じました。」「作品の中では筋道が立っているんだけれども、現実を振り返ってみると、なに言ってるのってことになってしまう。」
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他の選考委員
阿刀田高
井上ひさし
逢坂剛
長部日出雄
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受賞者・作品
重松清男36歳×各選考委員 
『エイジ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男64歳
46 4.5点「今回は特に、今までと比べてユーモアが躍動していました。」「文章も、油断をするとこの世界はあざとくなるんだけれども、今の人でなくては書けない独特の表現力を持っている。」「非常に現代性のあるよい小説だなと感じ、楽しく、嬉しく読みました。」
井上ひさし
男64歳
54 5点「この作品で重松さんは、ストーリーもさることながら、「ある時間」を書こうとして、それに見事に成功しています。」「サスペンスを読者と作っていくあたりは、なみの手際じゃない。感心しました。」「“今”を書いて破綻がない。一九九九年前後の東京郊外の記録としても、時間的腐食に堪えるでしょう。」
逢坂剛
男55歳
30 5点「(引用者注:過去の候補作は)小説は非常に巧みなんだけれど、後味が悪いんですよね。」「(引用者注:今回は)実にストレートで後味のよい小説でした。」「ほとんど文句のつけようがありません。」「最後のくだりでは、やっぱり泣かされました。これは、もちろん大人が読んでもいいけれど、ぜひ子供にも読ませたい作品ですね。」
長部日出雄
男64歳
63 5点「非常に爽快な小説でした。」「一番最初の学級委員の選挙。この設定が実にうまい。」「会話がとてもリアリティがある。今の中学生の心理と感受性の複雑な襞というのが感じられる。」「人物の描き分けも、その性格の隅々まで明快です。単純な性格だからでなく、とても複雑なところまでよくわかる。」
山田太一
男64歳
33 5点「なんとかこの小説を人生肯定まできちんと持っていこうとしている。ニヒリズムで終わればリアリティはわりとたやすく手に入るけど、そうしないで頑張ったと思います。」「最後の、通り魔のタカやんが教室へ戻ってきた時に、写真週刊誌をまるくしてパンと叩いて「バカ野郎、わかれよ」ということころ。(引用者中略)実にうまく重松さんはジャンプしたし、その辺りは小説の白眉でもあります。」
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他の候補作
小野不由美
『屍鬼』
山本文緒
『恋愛中毒』
新井素子
『チグリスとユーフラテス』
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候補者・作品
小野不由美女38歳×各選考委員 
『屍鬼』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男64歳
36 3点「私はこれからしばらくの間、ただ小説が長いということだけで、選考会では〇・五点引くという方針を採用しようと思っております。」「やはり小説としての基本的なルールに欠けるものがあるように思います。人物の造形も、みな一様ですしね。」「明らかに神の視点で書いてきていながら、最後にこれは室井の小説だったんだということになってしまうのは、ずいぶんむちゃな話ではないでしょうか。」
井上ひさし
男64歳
65 3点「作者の馬力に脱帽します。けれども、読者側に立つと、大変読みにくい。一番困るのは、この物語に対する読者の興味と愛情が読み進むにつれてどんどん冷めてくることです。」「滑稽とおどろのギャップを埋めるために、屍鬼は人間に対して言い訳ばかりしている。」「これだけたくさん読んだのに、印象に残る人物が一人もいない。これは作者の敗北です。」
逢坂剛
男55歳
54 3.5点「致命的な欠点として、この小説はホラー小説らしいんですが、一向に怖くないんです。」「ワープロ時代の功罪のうち、罪のほうがここのところひどくなってきたんじゃないか、と思います。これは、その顕著な例ではないでしょうか。」「この小説は非常に視点が乱れていて、横滑りが甚だしい。(引用者中略)これが、感情移入できない最大のポイントだ、と思います。」
長部日出雄
男64歳
36 4点「私はこの小説に取柄があるとすれば長さだと思います(笑)。」「この作者はリフレインということを、方法的に意識していたと思うんです。」「同じメロディを何度も何度も繰り返していくことによって、なにか大型の弦楽器を弓で弾いているような、非常に沈痛で荘重な調子の響きが聴こえてくるように私は感じました。」
山田太一
男64歳
28 3.5点「省略がないということにとても疲れました。けれども神楽の夜の場面からラストまでは、充実していたと思います。」「ただ吸血鬼については、物語のスタートが民俗学風の味わいだったので、日本独特の吸血鬼が出てくるのかなと期待したんですが、読んでいくと結局ルーツは外国なんですね。」「もう一つ、バンパイアが生きていくために、必ずしも人を殺さなくてすむという設定はひっかかります。」
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他の候補作
重松清
『エイジ』
山本文緒
『恋愛中毒』
新井素子
『チグリスとユーフラテス』
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候補者・作品
山本文緒女36歳×各選考委員 
『恋愛中毒』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男64歳
28 4点「作品については面白く読んだんですが、その反面、ヒロインに好感を持てなかった。」「ただこの作家は、端倪すべからざる力量を持っていると思います。書いている世界は子供っぽいんだけれども、書いている作者その人はけっして子供じゃない。大人の目でじっとものを見ているのを強く感じますし、小説のテクニックもかなりのものです。」
井上ひさし
男64歳
40 4点「実は偶然、この人の処女作を読んでいるんですが、これがひどい(笑)。(引用者中略)その処女作とこの作品を比べると、まるで別人の観がある。」「この小説の手柄は、(引用者中略)定型をくつがえして、どうにもつまらない男と女の恋愛小説を成立させたことですね。」「作者はハーレクイン・ロマンスの反対を、そのパロディをやろうとしているわけです。それが見事に成功している。」
逢坂剛
男55歳
26 4.5点「前半と後半の印象が、乖離しています。」「非常にサスペンスをもたせて、読者を引き込んでくれます。このへんのつくり方は、非常にうまい。」「文章は、読点の打ち方が無秩序で、字面は読みにくい感じがしますが、独特な饒舌体の文章で、逆にすらすら読めるという、不思議な効果もある。」
長部日出雄
男64歳
31 4.5点「これは実に不自然な小説で、かつて自然主義というのがありましたけれども、その反対で不自然主義小説ですね(笑)。」「不自然ということはつまり謎ということです。釈然としないままその謎に惹きつけられて読まされてしまう。」「とにかくこの人は、小説家として大変に才能のある人だと感じました。」
山田太一
男64歳
40 4.5点「小説を読む楽しさが、しっかりとありました。」「いい意味でも悪い意味でも、文章やスタイルに傾きすぎているところがある。」「例えば主人公の水無月という人の情念の部分に関わってきても、今までの軽快さが禍いして、重くなるべきところがどうも重くならない。共感できなくなってくるんです。」
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他の候補作
重松清
『エイジ』
小野不由美
『屍鬼』
新井素子
『チグリスとユーフラテス』
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候補者・作品
新井素子女38歳×各選考委員 
『チグリスとユーフラテス』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高
男64歳
58 3.5点「SF小説というのは、どんなに時空を超えて飛んでいっても、必ず現代のわれわれの文明とか生活に関わってくるものでなければならないと私は思っています。」「この作品にはその意図がはっきりと表れています。」「四章、これが一番長くて一番大事なところなんですが、この章に入った途端に少し崩れはじめる。」「作者が勝手につくった設計図にあてはめていくだけになってしまった。」
井上ひさし
男64歳
52 4.5点「三章までは非常に雑然としている小説なんですが、四章に入るとすべてがプラスに変わっていくという仕掛けがしてあって、見事だと思います。」「なによりすごいのは、これまでどんな宗教もどんな大哲学者も取り組んで答えが出せなかった、人生、世界、宇宙に意味があるのかという大問題に迫っていくところです。」「文体、文章に関しては、この人は本当にルーズだと思います。」
逢坂剛
男55歳
68 4点「結局SFというのは、いかに想像力を働かせるかで勝負が決まる、と思うんです。ところが、この小説に出てくる自動食料供給システムなどは、具体的なイメージが浮かんでこない。」「私は、この人の小説の忠実なる読者ではないんですが、瞥見したところでは、デビュー当時からこの文体は変わっていない、と思います。(引用者中略)今の若い人には受けると思うんだけど、果たしてあらゆる世代に通用するかというと、はなはだ疑問です。」
長部日出雄
男64歳
32 3.5点「私は、第四章が一番面白かったです。」「成熟を拒否して、自分ほど不幸なものはないという自己憐憫――。この叫びが、今の若い人たちの中にある重要なポイントを象徴していると思いました。」「これがシュールレアリスムの絵画だとすると、ディテールがどれほど本当らしく書けているかが、全体の謎を保証するものになる。だから視覚的なディテールをもう少し重視してほしかった。」
山田太一
男64歳
31 4点「現実には今の若い人たちは、もっと雑多な曖昧さを悩んでいるわけでしょう。それがあんまりきれいに整理された問題になっているために、ここで語られる人生論は言葉にすぎないという味気なさを感じました。」「作品の中では筋道が立っているんだけれども、現実を振り返ってみると、なに言ってるのってことになってしまう。」
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小野不由美
『屍鬼』
山本文緒
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