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平成11年/1999年度
(平成12年/2000年5月16日決定発表/『小説新潮』平成12年/2000年7月号選評掲載)
選考委員  長部日出雄
男65歳
北原亞以子
女62歳
久世光彦
男65歳
花村萬月
男45歳
山田詠美
女41歳
選評総行数  232 113 185 182 132
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
岩井志麻子 『ぼっけえ、きょうてえ』
女35歳
68 24 51 50 28
江國香織 『神様のボート』
女36歳
69 68 56 65 39
貴志祐介 『青の炎』
男41歳
24 12 20 17 20
山本文緒 『落花流水』
女37歳
22 11 30 34 21
諸田玲子 『幽恋舟』
女46歳
49 23 26 19 18
         
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説新潮』平成12年/2000年7月号
1行当たりの文字数:19字


選考委員
長部日出雄男65歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数232 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
岩井志麻子
女35歳
68 5点「文章に韻律と旋律があります。昔の語りというのは、節とか拍子と一体化してたわけで、そのリズムとメロディーがちゃんと感じられるんですね。」「この人はほんとうに感性が豊かで、天性の小説家だというふうに思いましたね。」「この小説には、魂を浄めるカタルシスというものがあると思いました。」「これだけ全部出来のいい短篇集は、そう滅多にあるものじゃないと思います。」
江國香織
女36歳
69 4点「非常に現実感がなくて、至るところ、納得出来ないようなところがあって、私は二度読んだんですが、二度目のほうがはるかに面白く読めました。」「とても精緻に仕組まれた小説で、「あのひと」という草子の父親が、現実には一度も出てこない。」「観念的に思い描く姿が言葉だけで語られていくという小説でしかありえない世界で、それが最後に至って一挙にリアリティを帯びてくる。」「「ぼっけえ、きょうてえ」という本とおなじ回に出会ったのが不運だったと思いますね。」
貴志祐介
男41歳
24 3.5点「この完全殺人の計画がものすごく複雑なんですね。ペダンティックなぐらい詳しい知識を縦横に駆使して、ここまでやるとトリビアリズムになってしまう。」「文字通りのシミュレーション――模擬演習が煩瑣に過ぎて、頭のいい人の書いたリポートのような感じを受けました。」「でも、この人の将来性まで否定するつもりはありません。」
山本文緒
女37歳
22 3.5点「アクセルだけあって、ブレーキのない車の迷走という印象でした。」「もちろん迷走している車に乗っている間は、ハラハラしたり、景色が変わったりなんかして面白い。ですから全く退屈せずに読んだんですけれども、一体、何を一番書きたかったのかなと考えると、私にはピンとこなくて、三・五です。」
諸田玲子
女46歳
49 3.5点「この小説は、実にうまくいろんなことを辻褄合わせて、飯田藩のお家騒動とは、こんな話だったのかということを、よく分かるように書いてあるわけです。」「剣戟の場面にも一応の迫力がありますし、文章の切れ味もいいと思います。ですから、基本的な設定というところに気を遣ってもらえたら、もっとこの小説は面白くなったんじゃないかと思います。」
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他の選考委員
北原亞以子
久世光彦
花村萬月
山田詠美
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選考委員
北原亞以子女62歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数113 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
岩井志麻子
女35歳
24 4点「「ぼっけえ、きょうてえ」の最後があんまり好きではなかったのと、「密告函」で、肝心の女性二人のうち、お咲のほうは、その姿が私の場合は目の前に浮かび上がってこなかった。」「「あまぞわい」は私も五点をつけますが、その後の「依って件の如し」はちょっとどぎついと思いました。」「とてもいいと思うんですけど、岡山弁で得しているな、みたいなところが……。」
江國香織
女36歳
68 5点「この作品が一番素晴らしいと思いましたので、五点です。」「私も母子家庭に近いところで育ったので、母親と娘のべったりというかな、ある意味でいやらしい感じというのがよく出ていたと思います。」「肉体感のないところがよかったんですよ。「あのひと」が葉子の頭の中にしかいないというのが。」「これ、落ちちゃうのがもったいない。」
貴志祐介
男41歳
12 3.5点「私もこの主人公にまったく同情が出来ないので一点マイナス、さらに曾根という男が最初の殺人の対象になるわけですけれども、これが簡単に殺人へ走っている。」「マイナスしていったんですけれども、高校生の女の子が割合によく書けていると思いましたので、三・五で止めました。」
山本文緒
女37歳
11 3.5点「面白く読んでいたら、いきなりハッシシが出てきちゃんですよね。話がどんどん違う方向へ行ってしまうとか、(引用者中略)ただ、おしまいが近未来の老人ホームで、これが面白いといえば、面白かった。」
諸田玲子
女46歳
23 3点「はたして関所破りの女性を、役人である旗本が屋敷へ連れ帰るかどうか。」「仮に連れ帰ったとしても、「大罪を犯したわけではない」と言えるかどうか。」「他にもあるのですが、そういうところでひっかかっちゃって、読むのに苦労してしまったんですよ。」
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他の選考委員
長部日出雄
久世光彦
花村萬月
山田詠美
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選考委員
久世光彦男65歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数185 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
岩井志麻子
女35歳
51 4.5点「どんな作品の場合でも、その中に引き込まれていくのは気持ちがいいことなんで、そういう意味では、この五作の中では一番気持ちがよかった。」「岡山弁を抜きにしても、僕は大丈夫じゃないかと思います。」「五作の中では、日本語のリズムが一番あった文章じゃないかなと思いました。色気もありました。」「市川崑さんなんかが撮ったら、これは怖ろしくも美しい世界ができるような気がしますね。」
江國香織
女36歳
56 4.5点「相当好感をもちました。女の人じゃなきゃ書けない文章だなと思うし、僕らにとって新鮮な言葉が多かったし、いいリズムがあったと思います。」「やっぱり問題はラストシーンで、「あのひと」が出てきて、というのが幻想なのか現実なのか。」「ラストがこんな風に唐突で、しかも曖昧でなかったら、僕は五点だと思うんです。」「文章力は劣るところはないと思うけど、小説というのは、その上もうひとつ行かなきゃいけないんじゃないか。」
貴志祐介
男41歳
20 2点「読み終わったら、かつてこんなせつなくない殺人者がいただろうか、という一言に尽きると思います。」「文章が無神経過ぎるし、そういう表現を拾っていったら、百も二百もあるんじゃないか。」
山本文緒
女37歳
30 4点「時代が先に行くにしたがって、崩れていくという感じをどうしようもなかった。」「最後に、女三代がみんな集まったところの意味というか、当然あるべき一種の感動みたいなものが、まるでなかったのは大変残念でした。完成予想図はおありになったんだろうけども、そこへ行けなかった。つまり設計ミスだと思います。」
諸田玲子
女46歳
26 2.5点「なんかこれ、僕のほうの仕事で言えば、シナリオになる前のプロットみたいな気がしてならないんですね。」「このへんでちょっと布石をとか、そういうところが常套的で嫌なんです。」「魅力的な人間が一人もいない。」「とにかく、なんか破けていくような面白さが欲しかった。」
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他の選考委員
長部日出雄
北原亞以子
花村萬月
山田詠美
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選考委員
花村萬月男45歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数182 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
岩井志麻子
女35歳
50 4.5点「「密告函」なんかでも、ちょっとした段落で、女の底意地の悪さをすごく巧みに表していて唸りました。ただ、一応ホラーの体裁をとっているせいか、どこかで聞いたような話ばかりなので、そういう意味ではわずかに減点です。」「おそらく、候補作の中で、これが一番抽んでているんじゃないかと思います。」「すごい正統派なんですよ。(引用者中略)ホラーの衣を剥ぎとると、岩井さんのほうが(引用者注:「神様のボート」より)オーソドックスで、最終的にはこっちのほうが強いかなとは思うんですけどね。」
江國香織
女36歳
65 4点「技術的にかなりのものだと思います。ただ読み始めた当初から、なんていうのかな、微妙な違和感をずっと感じてました。」「体臭のほとんど感じられない、現実感もない、それでいて奇妙にねじれた、生々しい変な話でした。」「そういう意味では、俺に嫌悪感を抱かせ続けた筆力はすごいものだと思います。」「俺、「神様のボート」、納得出来ねえとこがあるんですけど。すごい惹かれている部分もあるんです。」
貴志祐介
男41歳
17 1点「すぐに小賢しさが鼻についてしまい、鬱陶しかったです。殺人のディテールを忠実に書けば書くほど、本来の人を殺す情念というところから離れていく、皮肉な小説でしたね。」「何よりも作り過ぎだし、高校生を主人公にしておきながら、「一揖した」とか「秘匿した」とか、まず文章センスを疑いました。」
山本文緒
女37歳
34 3.8点「この人は、とても安定感があります。奇を衒わない、優れた表現が結構ありますよね。」「ところが、なぜか悪い癖があって、奇妙な落ちをつけるところがあるんですね。」「細かいことも気になって、だから、何でそんな盛り上げなくてもいいところで、無理やり盛り上げて破綻してしまうのか、惜しいと思いました。」
諸田玲子
女46歳
19 3点「文章が整理されてない翻訳物を読まされているような違和感をおぼえてつらかったです。」「それでも正直なことをいえば、俺が一番楽に読めたのは、これでした。」「ただし、自分が楽しくても、客観的に判断すると、これに高得点を与えると顰蹙を買うなと思ったので三点です。」
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他の選考委員
長部日出雄
北原亞以子
久世光彦
山田詠美
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選考委員
山田詠美女41歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数132 (1行=19字)
候補 評価 行数 評言
岩井志麻子
女35歳
28 5点「むしろ、すごく官能的な小説集だなと思いました。」「特に「あまぞわい」っていうのなんかは、なんてエロティックな小説なんだろうと思って、ちょっと感心したという感じです。」「これ以外は、山本賞として、私は推すことはできないと思っています。」「私、こんなに死体が死体であると普通に読めたのって初めてって感じなんですよね。」
江國香織
女36歳
39 3点「江國さんの文章は大好きで、いつも読んでいるんですが、彼女の中では、私はそんなにいいものとは思わないんです。なぜかというと、やっぱり一番最後の結末。」「なんで男の人が離れていったのか、それが本当にあったことなのか、ないことなのかというのを、はっきり書くべきだったと思うんですね。」「これ、最後、いらないと思いますけどね。「ドアがあいたとき」から。」
貴志祐介
男41歳
20 1点「この中で一番かわいそうな人って、最後に主人公に飛び込まれたトラックの運転手だと思うんですね。」「私は、殺される男より、母親の方が少年に憎まれるべきだと思う。」「この殺人者に同情しろって言われてるみたい。でも、そんなのやなこったっていう感じで、とても点数が上げられないというか、そういう感じでした。」
山本文緒
女37歳
21 3点「この人って、好感を持てない人を書かせるとものすごくうまいと思うんですけど、今回は、変に好感持てる人たちが出てきて、それがすごく失敗してしまったなという感じなんですけど。」「キャラクターに一貫性がないというか、全然違う作品として短篇集にしたほうがまだよかったんじゃないかという感じで、時代を追って書く必要は全くなかったと思います。」
諸田玲子
女46歳
18 1.5点「一番読み進められなかったのが、実はこれなんです。ちっとも盛り上がらなくて、退屈でしたね。」「こんな鈍くて頼りにならない男に、どうしちゃったんだ、この女の子って、そういう感じがずーっとつきまとってて。なんていうか、入り込めないなと思って、」
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他の選考委員
長部日出雄
北原亞以子
久世光彦
花村萬月
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受賞者・作品
岩井志麻子女35歳×各選考委員 
『ぼっけえ、きょうてえ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男65歳
68 5点「文章に韻律と旋律があります。昔の語りというのは、節とか拍子と一体化してたわけで、そのリズムとメロディーがちゃんと感じられるんですね。」「この人はほんとうに感性が豊かで、天性の小説家だというふうに思いましたね。」「この小説には、魂を浄めるカタルシスというものがあると思いました。」「これだけ全部出来のいい短篇集は、そう滅多にあるものじゃないと思います。」
北原亞以子
女62歳
24 4点「「ぼっけえ、きょうてえ」の最後があんまり好きではなかったのと、「密告函」で、肝心の女性二人のうち、お咲のほうは、その姿が私の場合は目の前に浮かび上がってこなかった。」「「あまぞわい」は私も五点をつけますが、その後の「依って件の如し」はちょっとどぎついと思いました。」「とてもいいと思うんですけど、岡山弁で得しているな、みたいなところが……。」
久世光彦
男65歳
51 4.5点「どんな作品の場合でも、その中に引き込まれていくのは気持ちがいいことなんで、そういう意味では、この五作の中では一番気持ちがよかった。」「岡山弁を抜きにしても、僕は大丈夫じゃないかと思います。」「五作の中では、日本語のリズムが一番あった文章じゃないかなと思いました。色気もありました。」「市川崑さんなんかが撮ったら、これは怖ろしくも美しい世界ができるような気がしますね。」
花村萬月
男45歳
50 4.5点「「密告函」なんかでも、ちょっとした段落で、女の底意地の悪さをすごく巧みに表していて唸りました。ただ、一応ホラーの体裁をとっているせいか、どこかで聞いたような話ばかりなので、そういう意味ではわずかに減点です。」「おそらく、候補作の中で、これが一番抽んでているんじゃないかと思います。」「すごい正統派なんですよ。(引用者中略)ホラーの衣を剥ぎとると、岩井さんのほうが(引用者注:「神様のボート」より)オーソドックスで、最終的にはこっちのほうが強いかなとは思うんですけどね。」
山田詠美
女41歳
28 5点「むしろ、すごく官能的な小説集だなと思いました。」「特に「あまぞわい」っていうのなんかは、なんてエロティックな小説なんだろうと思って、ちょっと感心したという感じです。」「これ以外は、山本賞として、私は推すことはできないと思っています。」「私、こんなに死体が死体であると普通に読めたのって初めてって感じなんですよね。」
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他の候補作
江國香織
『神様のボート』
貴志祐介
『青の炎』
山本文緒
『落花流水』
諸田玲子
『幽恋舟』
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候補者・作品
江國香織女36歳×各選考委員 
『神様のボート』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男65歳
69 4点「非常に現実感がなくて、至るところ、納得出来ないようなところがあって、私は二度読んだんですが、二度目のほうがはるかに面白く読めました。」「とても精緻に仕組まれた小説で、「あのひと」という草子の父親が、現実には一度も出てこない。」「観念的に思い描く姿が言葉だけで語られていくという小説でしかありえない世界で、それが最後に至って一挙にリアリティを帯びてくる。」「「ぼっけえ、きょうてえ」という本とおなじ回に出会ったのが不運だったと思いますね。」
北原亞以子
女62歳
68 5点「この作品が一番素晴らしいと思いましたので、五点です。」「私も母子家庭に近いところで育ったので、母親と娘のべったりというかな、ある意味でいやらしい感じというのがよく出ていたと思います。」「肉体感のないところがよかったんですよ。「あのひと」が葉子の頭の中にしかいないというのが。」「これ、落ちちゃうのがもったいない。」
久世光彦
男65歳
56 4.5点「相当好感をもちました。女の人じゃなきゃ書けない文章だなと思うし、僕らにとって新鮮な言葉が多かったし、いいリズムがあったと思います。」「やっぱり問題はラストシーンで、「あのひと」が出てきて、というのが幻想なのか現実なのか。」「ラストがこんな風に唐突で、しかも曖昧でなかったら、僕は五点だと思うんです。」「文章力は劣るところはないと思うけど、小説というのは、その上もうひとつ行かなきゃいけないんじゃないか。」
花村萬月
男45歳
65 4点「技術的にかなりのものだと思います。ただ読み始めた当初から、なんていうのかな、微妙な違和感をずっと感じてました。」「体臭のほとんど感じられない、現実感もない、それでいて奇妙にねじれた、生々しい変な話でした。」「そういう意味では、俺に嫌悪感を抱かせ続けた筆力はすごいものだと思います。」「俺、「神様のボート」、納得出来ねえとこがあるんですけど。すごい惹かれている部分もあるんです。」
山田詠美
女41歳
39 3点「江國さんの文章は大好きで、いつも読んでいるんですが、彼女の中では、私はそんなにいいものとは思わないんです。なぜかというと、やっぱり一番最後の結末。」「なんで男の人が離れていったのか、それが本当にあったことなのか、ないことなのかというのを、はっきり書くべきだったと思うんですね。」「これ、最後、いらないと思いますけどね。「ドアがあいたとき」から。」
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他の候補作
岩井志麻子
『ぼっけえ、きょうてえ』
貴志祐介
『青の炎』
山本文緒
『落花流水』
諸田玲子
『幽恋舟』
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候補者・作品
貴志祐介男41歳×各選考委員 
『青の炎』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男65歳
24 3.5点「この完全殺人の計画がものすごく複雑なんですね。ペダンティックなぐらい詳しい知識を縦横に駆使して、ここまでやるとトリビアリズムになってしまう。」「文字通りのシミュレーション――模擬演習が煩瑣に過ぎて、頭のいい人の書いたリポートのような感じを受けました。」「でも、この人の将来性まで否定するつもりはありません。」
北原亞以子
女62歳
12 3.5点「私もこの主人公にまったく同情が出来ないので一点マイナス、さらに曾根という男が最初の殺人の対象になるわけですけれども、これが簡単に殺人へ走っている。」「マイナスしていったんですけれども、高校生の女の子が割合によく書けていると思いましたので、三・五で止めました。」
久世光彦
男65歳
20 2点「読み終わったら、かつてこんなせつなくない殺人者がいただろうか、という一言に尽きると思います。」「文章が無神経過ぎるし、そういう表現を拾っていったら、百も二百もあるんじゃないか。」
花村萬月
男45歳
17 1点「すぐに小賢しさが鼻についてしまい、鬱陶しかったです。殺人のディテールを忠実に書けば書くほど、本来の人を殺す情念というところから離れていく、皮肉な小説でしたね。」「何よりも作り過ぎだし、高校生を主人公にしておきながら、「一揖した」とか「秘匿した」とか、まず文章センスを疑いました。」
山田詠美
女41歳
20 1点「この中で一番かわいそうな人って、最後に主人公に飛び込まれたトラックの運転手だと思うんですね。」「私は、殺される男より、母親の方が少年に憎まれるべきだと思う。」「この殺人者に同情しろって言われてるみたい。でも、そんなのやなこったっていう感じで、とても点数が上げられないというか、そういう感じでした。」
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他の候補作
岩井志麻子
『ぼっけえ、きょうてえ』
江國香織
『神様のボート』
山本文緒
『落花流水』
諸田玲子
『幽恋舟』
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候補者・作品
山本文緒女37歳×各選考委員 
『落花流水』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男65歳
22 3.5点「アクセルだけあって、ブレーキのない車の迷走という印象でした。」「もちろん迷走している車に乗っている間は、ハラハラしたり、景色が変わったりなんかして面白い。ですから全く退屈せずに読んだんですけれども、一体、何を一番書きたかったのかなと考えると、私にはピンとこなくて、三・五です。」
北原亞以子
女62歳
11 3.5点「面白く読んでいたら、いきなりハッシシが出てきちゃんですよね。話がどんどん違う方向へ行ってしまうとか、(引用者中略)ただ、おしまいが近未来の老人ホームで、これが面白いといえば、面白かった。」
久世光彦
男65歳
30 4点「時代が先に行くにしたがって、崩れていくという感じをどうしようもなかった。」「最後に、女三代がみんな集まったところの意味というか、当然あるべき一種の感動みたいなものが、まるでなかったのは大変残念でした。完成予想図はおありになったんだろうけども、そこへ行けなかった。つまり設計ミスだと思います。」
花村萬月
男45歳
34 3.8点「この人は、とても安定感があります。奇を衒わない、優れた表現が結構ありますよね。」「ところが、なぜか悪い癖があって、奇妙な落ちをつけるところがあるんですね。」「細かいことも気になって、だから、何でそんな盛り上げなくてもいいところで、無理やり盛り上げて破綻してしまうのか、惜しいと思いました。」
山田詠美
女41歳
21 3点「この人って、好感を持てない人を書かせるとものすごくうまいと思うんですけど、今回は、変に好感持てる人たちが出てきて、それがすごく失敗してしまったなという感じなんですけど。」「キャラクターに一貫性がないというか、全然違う作品として短篇集にしたほうがまだよかったんじゃないかという感じで、時代を追って書く必要は全くなかったと思います。」
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他の候補作
岩井志麻子
『ぼっけえ、きょうてえ』
江國香織
『神様のボート』
貴志祐介
『青の炎』
諸田玲子
『幽恋舟』
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候補者・作品
諸田玲子女46歳×各選考委員 
『幽恋舟』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄
男65歳
49 3.5点「この小説は、実にうまくいろんなことを辻褄合わせて、飯田藩のお家騒動とは、こんな話だったのかということを、よく分かるように書いてあるわけです。」「剣戟の場面にも一応の迫力がありますし、文章の切れ味もいいと思います。ですから、基本的な設定というところに気を遣ってもらえたら、もっとこの小説は面白くなったんじゃないかと思います。」
北原亞以子
女62歳
23 3点「はたして関所破りの女性を、役人である旗本が屋敷へ連れ帰るかどうか。」「仮に連れ帰ったとしても、「大罪を犯したわけではない」と言えるかどうか。」「他にもあるのですが、そういうところでひっかかっちゃって、読むのに苦労してしまったんですよ。」
久世光彦
男65歳
26 2.5点「なんかこれ、僕のほうの仕事で言えば、シナリオになる前のプロットみたいな気がしてならないんですね。」「このへんでちょっと布石をとか、そういうところが常套的で嫌なんです。」「魅力的な人間が一人もいない。」「とにかく、なんか破けていくような面白さが欲しかった。」
花村萬月
男45歳
19 3点「文章が整理されてない翻訳物を読まされているような違和感をおぼえてつらかったです。」「それでも正直なことをいえば、俺が一番楽に読めたのは、これでした。」「ただし、自分が楽しくても、客観的に判断すると、これに高得点を与えると顰蹙を買うなと思ったので三点です。」
山田詠美
女41歳
18 1.5点「一番読み進められなかったのが、実はこれなんです。ちっとも盛り上がらなくて、退屈でしたね。」「こんな鈍くて頼りにならない男に、どうしちゃったんだ、この女の子って、そういう感じがずーっとつきまとってて。なんていうか、入り込めないなと思って、」
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他の候補作
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『ぼっけえ、きょうてえ』
江國香織
『神様のボート』
貴志祐介
『青の炎』
山本文緒
『落花流水』
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