古谷田奈月（こやたなつき）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

芥川賞のすべて・のようなもの

第159回

＝受賞者＝
高橋弘希

＝候補者＝
古谷田奈月
北条裕子
町屋良平
松尾スズキ

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Last Update●[R7]2025/7/6

	Koyata Natsuki
	生没年月日【注】	昭和56年/1981年☆月☆日～
	経歴	千葉県我孫子市生まれ。平成25年/2013年「今年の贈り物」で第25回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。
	受賞歴・候補歴	\|候補\| 第110回文學界新人賞（平成22年/2010年上期）「夜の双子」 \|候補\| 第53回群像新人文学賞［小説部門］（平成22年/2010年）「テイク・マイ・セックス」第25回日本ファンタジーノベル大賞（平成25年/2013年）「星の民のクリスマス」（受賞時「今年の贈り物」） \|候補\| 第30回三島由紀夫賞（平成28年/2016年度）『リリース』第34回織田作之助賞（平成29年/2017年）『リリース』第31回三島由紀夫賞（平成29年/2017年度）「無限の玄」 \|候補\| 第159回芥川賞（平成30年/2018年上期）「風下の朱」第18回センス・オブ・ジェンダー賞［大賞］（平成29年/2017年度）『望むのは』 \|候補\| 第40回野間文芸新人賞（平成30年/2018年）『無限の玄／風下の朱』第41回野間文芸新人賞（令和1年/2019年）『神前酔狂宴』第8回渡辺淳一文学賞（令和4年/2022年度）『フィールダー』
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第159回候補

「風下(かざしも)の朱(あか)」（『早稲田文学』平成30年/2018年初夏号［4月］）

媒体・作品情報

誌名	「早稲田文学」別表記表紙「Waseda Bungaku Since 1891」併記
巻号	初夏号別表記第十次20号/通巻第1028号
印刷/発行年月日	発行平成30年/2018年4月26日
発行者等	発行者大藪泰（早稲田大学文学学術院長）　印刷所シナノ書籍印刷株式会社
発行所	早稲田文学会（東京都）　発売所株式会社筑摩書房（東京都）
総ページ数	407	表記上の枚数	表紙 92枚	基本の文字組（1ページ当り）	28字 ×25行 ×2段
本文ページ	5～34 （計30頁）	測定枚数	98枚

書誌

平成30年/2018年7月・筑摩書房刊『無限の玄／風下の朱』所収

平成31年/2019年4月・講談社刊『文学2019』所収

令和4年/2022年9月・筑摩書房／ちくま文庫『無限の玄／風下の朱』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　古谷田奈月　36歳
選考委員		評価	行数	評言
小川洋子	56歳	□	24	「（引用者注：「送り火」の）次に推した」「血も言葉も通わない、骨と記憶だけの化石になって、小さな女の子にきれいだと思ってもらいたい、と願う侑希美がいとおしかった。」「ただ、野球とソフトの対比があまりに鮮やかなため、作品自体も分かりやすい対立の枠組みに納まってしまった印象は残る。」
山田詠美	59歳	△	17	「印象的な表現を求め過ぎたのか、凝り過ぎて意味が解らなくなってしまったような一文がところどころにある。」「女の〈瘴気〉や〈ソフト臭さ〉を持ち出す侑希美さんの病み方が、興味深くも痛々しい。ソフトボールの上野由岐子投手に会うべきだと思う（余計なお世話ですが）。」
島田雅彦	57歳	■	12	「このジャンルの佳作といっていいと思うが、コスプレの域を突き抜け、スリリングな心理戦になっていたかというと、ちょっと物足りなかった。」
川上弘美	60歳	■	15	「人物や風景の描写、会話のやりとりをこんなに魅力的に書ける作者なのに、物語をはこんでゆく大きな何かを表現しようとする時に、なぜだか性急に短絡的になってしまった、そんな印象をもちました。」
宮本輝	71歳	■	11	「ソフトボールしかやったことのない主人公が初めて硬いボールをキャッチして、その感触を体で感じていくところは臨場感がある。しかし、スポーツ根性物に観念的な思弁を語らせる臭みは、この小説を幼くさせていると思う。」
高樹のぶ子	72歳	―	0
吉田修一	49歳	■	9	「スポーツとアスリートたちと来たら、普通は次に「汗」なのに「血」でくるのか！　とその才気に身震いした。ただ、この一作では弱い。この血が「汗」のようにきらきら輝きだすところまで読みたい。」
堀江敏幸	54歳	■	12	「期待と不安がないまぜになった結末まで崩れのない文で読ませる一方、それが型への意識をやや浮き立たせすぎることにもなっただろうか。」
奥泉光	62歳	■	9	「文章のセンスがよく、リアリズムとはやや異なる場所で、不思議に魅力ある小説世界が展開されていて面白く読んだ。が、野球をする身体と女性の身体の対比から浮かび上がる問題がいまひとつ捉えきれなかった。」
選評出典：『文藝春秋』平成30年/2018年9月号

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