第13回

第12回第14回

昭和16年/1941年上半期 昭和16年/1941年7月30日決定、8月1日発表／『文藝春秋』昭和16年/1941年9月号経緯掲載

選考委員　 佐藤春夫 49歳 宇野浩二 50歳 瀧井孝作 47歳 佐佐木茂索 46歳 室生犀星 51歳 小島政二郎 47歳 横光利一 43歳 川端康成 42歳 菊池寛 52歳 久米正雄 49歳 谷崎潤一郎 55歳 山本有三 54歳 選評総行数　 71 59 66 63 29 18 68 4 1 3     評 評 評 評 評 評 評 評 評 評 選評なし 選評なし 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 多田裕計　「長江デルタ」 102枚 28歳 評 △ 30 △ 24 □ 26 □ 44 △ 16 ■ 14 ◎ 58 ○ 2 ■ 1 ◎ 2         相野田敏之　「山彦」 71枚 24歳 評 ○ 23 □ 16 △ 8 △ 9 □ 5 ○ 1 ■ 3 ■ 3 ■ 1 ● 1         埴原一亟　「下職人」 66枚 33歳 評 ○ 2 ・ 2 △ 6 △ 1 ■ 2 ― 0 ■ 3 ○ 2 ― 0 ― 0         石原文雄　「断崖の村」 95枚 41歳 評 △ 2 ■ 5 ○ 6 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0         三木澄子　「手巾の歌」 89枚 (33歳) 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0         阿部光子　「猫柳」 63枚 28歳 評 ― 0 ― 0 △ 1 ― 0 ○ 5 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0         藤島まき　「あめつち」 72枚 31歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0         譲原昌子　「抒情歌」 79枚 29歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0         日向伸夫　『第八号転轍器』 301枚 (28歳) 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0                       欠席 欠席 欠席 電文回答 欠席 欠席 年齢/枚数の説明   見方・注意点

佐藤春夫49歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（座談会形式）　総行数71　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 △ 30 「（引用者注：「山彦」と）出来は同じくらいだと思う。」「テーマはいいけれども、神経がよく行き届いていない作品だと思う。」「ちょっと神経があらい。」 相野田敏之 24歳 全 ○ 23 「（引用者注：「長江デルタ」と）出来は同じくらいだと思う。」「古い。概念的に古いのだけれども、実際的にはそう古い感じではないと思う。」「気品という点からは、（引用者中略）欠点があっても推すナ。」「文学としては（引用者注：「長江デルタ」より）「山彦」のほうがいいという僕の考えは変らないのだ。」「ただ気違いを書いているというだけでなく、僕は人生を書いたものとして相当深みがあると思う。」 埴原一亟 33歳 全 ○ 2 「うまいという点では「下職人」が一番だと思う。」 石原文雄 41歳 全 △ 2 「一寸趣きのある作品だね。」 三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ― 0   藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0

他の選考委員 宇野浩二 瀧井孝作 佐佐木茂索 室生犀星 小島政二郎 横光利一 川端康成 菊池寛 久米正雄

宇野浩二50歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（座談会形式）　総行数59　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 △ 24 「文学的精神は高くないね。高くないというより、僕は低いと思うナ。」「（引用者注：今後この作家が）材料があって書いても、やはり作品はこの程度で、そういう芸術味のない作品じゃないかな。」 相野田敏之 24歳 全 □ 16 「僕は「山彦」に（引用者注：賞を）やって、「長江デルタ」を（引用者注：次点として文藝春秋に）載せるよ、」 埴原一亟 33歳 全 ・ 2   石原文雄 41歳 全 ■ 5 「ゴタゴタしているね。作中人物の名前がゴタゴタしている。」 三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ― 0   藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0     「今度の芥川賞は三篇（引用者注：「長江デルタ」「山彦」「下職人」）とも作風が変っているから、ちょっとむずかしいね。」

他の選考委員 佐藤春夫 瀧井孝作 佐佐木茂索 室生犀星 小島政二郎 横光利一 川端康成 菊池寛 久米正雄

瀧井孝作47歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（座談会形式）　総行数66　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 □ 26 「上海だの、南京、蘇州なんかの景色は非常にうまく書いてあるように思うね。」「上海にいる人らしいし、ああいう雑誌に出たのを、ここで芥川賞として取上げるのも、この際いいのじゃないかという気持は勿論あるのだね。」「今度は「長江デルタ」でどうですかね。」 相野田敏之 24歳 全 △ 8 「「山彦」もとるけれども、「長江デルタ」のほうをとりたいような気がするのだがね。」 埴原一亟 33歳 全 △ 6 「「下職人」も捨てられない。」「二つ（引用者注：「長江デルタ」と「山彦」）が争うとすれば、やはり「下職人」を僕はその中に加えて欲しいという感じがする。」 石原文雄 41歳 全 ○ 6 「僕が一番好きなのは、「断崖の村」」「だいたい村を見渡しているような――家みたいなものになるのだけれども……。」 三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 △ 1 「僕も丸つけて置いた。」 藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0     「候補者にはなるけれども、賞とするには足りない、今度は賞なしで、掲載するという程度でどうかね。」

他の選考委員 佐藤春夫 宇野浩二 佐佐木茂索 室生犀星 小島政二郎 横光利一 川端康成 菊池寛 久米正雄

佐佐木茂索46歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（座談会形式）　総行数63　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 □ 44 「たまたまこれは目についたのだから、芥川賞の委員会が一役買って出て顕彰してもいいと思う。」「肌が荒々しい。この点は欠点だけれども、しかし、その程度の荒々しさを持っていないと、この材料をじかに使うことはなかなか出来ないのじゃないか。」「投票みたいな形式になって、一票がものを言うということになれば、変な言い方だけれども昭和十六年に生きている日本人として「長江デルタ」に入れる。」 相野田敏之 24歳 全 △ 9 「人によっては、「山彦」はああいう気違いの世界を幾らうまく書いてもそれが何だと言うだろうし、それも必ずしも一言の下に退けるわけにもゆくまいと思う。」「一歩譲って、これだけ論じてガラリと変って（引用者注：授賞が）「山彦」になったって、必ずしも不服とは思わない。」 埴原一亟 33歳 全 △ 1 「「下職人」も（引用者注：文藝春秋に）載せていいと思うんです。」 石原文雄 41歳 全 ― 0   三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ― 0   藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0

他の選考委員 佐藤春夫 宇野浩二 瀧井孝作 室生犀星 小島政二郎 横光利一 川端康成 菊池寛 久米正雄

室生犀星51歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（座談会形式）　総行数29　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 △ 16 「上海のことを書くと膨れ上るけれども、人間のことは小さく書く、それで三つ（引用者注：「長江デルタ」「山彦」「下職人」）の中ではいいと思うのだけれども、飛びついていいと思うほどいいと思わんナ。」「（引用者注：選ぶとすれば）やはり時局的という言葉を使えば、「長江デルタ」だろうね。」 相野田敏之 24歳 全 □ 5 「いいと思うけれども書いてあることが芥川賞にはどうかと思うナ。」「（引用者注：時局的ということを別に考えれば、推すのは）そりゃ「山彦」だナ。」 埴原一亟 33歳 全 ■ 2 「一寸いいけれども、文章が非常に拙くて、息絶え絶えに書いているようなところがあるナ。」 石原文雄 41歳 全 ― 0   三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ○ 5 「後はすこし変だけれども、先のほうなら我慢できる。」「（引用者注：「長江デルタ」より）心理的にしっかりしていますよ。二段三段になっている、描写の構えが。」 藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0     「賞なしには賛成するナ。」

他の選考委員 佐藤春夫 宇野浩二 瀧井孝作 佐佐木茂索 小島政二郎 横光利一 川端康成 菊池寛 久米正雄

小島政二郎47歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（座談会形式）　総行数18　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 ■ 14 「未熟な点から言えば、（引用者注：「山彦」より）「長江デルタ」の方が未熟だと思う。」「少し悪口を言えば、ジャーナリスチックだと思う。風景描写にしても、何でも神経が通っていないと思う。」「昭和十六年でなければ全然問題にならんよ。」 相野田敏之 24歳 全 ○ 1 「（引用者注：この作者の発表作は）あれが初めてで、その後書いているのも相当うまい。」「俺もそう（引用者注：授賞は「山彦」に、文藝春秋に載せるのは「長江デルタ」に）だナ。」 埴原一亟 33歳 全 ― 0   石原文雄 41歳 全 ― 0   三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ― 0   藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0	他の選考委員 佐藤春夫 宇野浩二 瀧井孝作 佐佐木茂索 室生犀星 横光利一 川端康成 菊池寛 久米正雄

横光利一43歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（座談会形式）　総行数68　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 ◎ 58 「支那の青年なんかに読ませれば、日支の提携というような点で実に貢献する所があるだろうと思う。」「「長江デルタ」というのは三角関係の象徴なんだ、恋愛ではない思想的な。」「あの小説は大胆ですよ。その大胆さを買うのです。」「今までのは、無理に「芸術」にさせているでしょう、これが初めてすこし考えるべき「文学」を持ち込んで来たという気がするのですナ。」 相野田敏之 24歳 全 ■ 3 「（引用者注：「下職人」と共に）うまいと思うのだけれども、ああいううまさは老大家がいればいいのじゃないかという気がするのです。」 埴原一亟 33歳 全 ■ 3 「（引用者注：「山彦」と共に）うまいと思うのだけれども、ああいううまさは老大家がいればいいのじゃないかという気がするのです。」 石原文雄 41歳 全 ― 0   三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ― 0   藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0

他の選考委員 佐藤春夫 宇野浩二 瀧井孝作 佐佐木茂索 室生犀星 小島政二郎 川端康成 菊池寛 久米正雄

川端康成42歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（電報回答）　総行数4　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 ○ 2 「「長江デルタ」或は「下職人」を推す、」「デルタの方将来性あり面白いかも知れぬ、」 相野田敏之 24歳 全 ■ 3 「少し躊躇する、いい所あれど、文章など未熟だし、終り悪い、今後の機会に見るべき作家と思う。」 埴原一亟 33歳 全 ○ 2 「「長江デルタ」或は「下職人」を推す、下職人の方確か」 石原文雄 41歳 全 ― 0   三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ― 0   藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0	他の選考委員 佐藤春夫 宇野浩二 瀧井孝作 佐佐木茂索 室生犀星 小島政二郎 横光利一 菊池寛 久米正雄

菊池寛52歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（電報回答）　総行数1　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 ■ 1 「デ　ルタモカンシンセヌ」（以下「話の屑籠」より）「題目は面白いが、中国人の姉妹が、十分によく描けているとは思えなかった。」 相野田敏之 24歳 全 ■ 1 「ヤマヒコモコマル」（以下「話の屑籠」より）「やはり一つの時代錯誤だ。時代の影響を受けて、しかも文芸の本質を失わないということが大切なのである。時代の影響を少しも受けないということは、文芸としても一つの欠点である。」 埴原一亟 33歳 全 ― 0   石原文雄 41歳 全 ― 0   三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ― 0   藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0     （以下「話の屑籠」より）「自分は樺太旅行のため、精読できながったが、「長江デルタ」も「山彦」も、両方とも、あまり感心しなかった。」

他の選考委員 佐藤春夫 宇野浩二 瀧井孝作 佐佐木茂索 室生犀星 小島政二郎 横光利一 川端康成 久米正雄

久米正雄49歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題（電報回答）　総行数3　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 多田裕計 28歳 全 ◎ 2 「テフコウデ　ルタヲゲンチブンガクノメバエトシテスイセンス」 相野田敏之 24歳 全 ● 1 「ヤマヒコハアマリニインサン」 埴原一亟 33歳 全 ― 0   石原文雄 41歳 全 ― 0   三木澄子 (33歳) 全 ― 0   阿部光子 28歳 全 ― 0   藤島まき 31歳 全 ― 0   譲原昌子 29歳 全 ― 0   日向伸夫 (28歳) 全 ― 0	他の選考委員 佐藤春夫 宇野浩二 瀧井孝作 佐佐木茂索 室生犀星 小島政二郎 横光利一 川端康成 菊池寛

多田裕計28歳×各選考委員　 「長江デルタ」 短篇 102枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 △ 30 「（引用者注：「山彦」と）出来は同じくらいだと思う。」「テーマはいいけれども、神経がよく行き届いていない作品だと思う。」「ちょっと神経があらい。」 宇野浩二 50歳 全 △ 24 「文学的精神は高くないね。高くないというより、僕は低いと思うナ。」「（引用者注：今後この作家が）材料があって書いても、やはり作品はこの程度で、そういう芸術味のない作品じゃないかな。」 瀧井孝作 47歳 全 □ 26 「上海だの、南京、蘇州なんかの景色は非常にうまく書いてあるように思うね。」「上海にいる人らしいし、ああいう雑誌に出たのを、ここで芥川賞として取上げるのも、この際いいのじゃないかという気持は勿論あるのだね。」「今度は「長江デルタ」でどうですかね。」 佐佐木茂索 46歳 全 □ 44 「たまたまこれは目についたのだから、芥川賞の委員会が一役買って出て顕彰してもいいと思う。」「肌が荒々しい。この点は欠点だけれども、しかし、その程度の荒々しさを持っていないと、この材料をじかに使うことはなかなか出来ないのじゃないか。」「投票みたいな形式になって、一票がものを言うということになれば、変な言い方だけれども昭和十六年に生きている日本人として「長江デルタ」に入れる。」 室生犀星 51歳 全 △ 16 「上海のことを書くと膨れ上るけれども、人間のことは小さく書く、それで三つ（引用者注：「長江デルタ」「山彦」「下職人」）の中ではいいと思うのだけれども、飛びついていいと思うほどいいと思わんナ。」「（引用者注：選ぶとすれば）やはり時局的という言葉を使えば、「長江デルタ」だろうね。」 小島政二郎 47歳 全 ■ 14 「未熟な点から言えば、（引用者注：「山彦」より）「長江デルタ」の方が未熟だと思う。」「少し悪口を言えば、ジャーナリスチックだと思う。風景描写にしても、何でも神経が通っていないと思う。」「昭和十六年でなければ全然問題にならんよ。」 横光利一 43歳 全 ◎ 58 「支那の青年なんかに読ませれば、日支の提携というような点で実に貢献する所があるだろうと思う。」「「長江デルタ」というのは三角関係の象徴なんだ、恋愛ではない思想的な。」「あの小説は大胆ですよ。その大胆さを買うのです。」「今までのは、無理に「芸術」にさせているでしょう、これが初めてすこし考えるべき「文学」を持ち込んで来たという気がするのですナ。」 川端康成 42歳 全 ○ 2 「「長江デルタ」或は「下職人」を推す、」「デルタの方将来性あり面白いかも知れぬ、」 菊池寛 52歳 全 ■ 1 「デ　ルタモカンシンセヌ」（以下「話の屑籠」より）「題目は面白いが、中国人の姉妹が、十分によく描けているとは思えなかった。」 久米正雄 49歳 全 ◎ 2 「テフコウデ　ルタヲゲンチブンガクノメバエトシテスイセンス」

他の候補作 相野田敏之 「山彦」 埴原一亟 「下職人」 石原文雄 「断崖の村」 三木澄子 「手巾の歌」 阿部光子 「猫柳」 藤島まき 「あめつち」 譲原昌子 「抒情歌」 日向伸夫 『第八号転轍器』

相野田敏之24歳×各選考委員　 「山彦」 短篇 71枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 ○ 23 「（引用者注：「長江デルタ」と）出来は同じくらいだと思う。」「古い。概念的に古いのだけれども、実際的にはそう古い感じではないと思う。」「気品という点からは、（引用者中略）欠点があっても推すナ。」「文学としては（引用者注：「長江デルタ」より）「山彦」のほうがいいという僕の考えは変らないのだ。」「ただ気違いを書いているというだけでなく、僕は人生を書いたものとして相当深みがあると思う。」 宇野浩二 50歳 全 □ 16 「僕は「山彦」に（引用者注：賞を）やって、「長江デルタ」を（引用者注：次点として文藝春秋に）載せるよ、」 瀧井孝作 47歳 全 △ 8 「「山彦」もとるけれども、「長江デルタ」のほうをとりたいような気がするのだがね。」 佐佐木茂索 46歳 全 △ 9 「人によっては、「山彦」はああいう気違いの世界を幾らうまく書いてもそれが何だと言うだろうし、それも必ずしも一言の下に退けるわけにもゆくまいと思う。」「一歩譲って、これだけ論じてガラリと変って（引用者注：授賞が）「山彦」になったって、必ずしも不服とは思わない。」 室生犀星 51歳 全 □ 5 「いいと思うけれども書いてあることが芥川賞にはどうかと思うナ。」「（引用者注：時局的ということを別に考えれば、推すのは）そりゃ「山彦」だナ。」 小島政二郎 47歳 全 ○ 1 「（引用者注：この作者の発表作は）あれが初めてで、その後書いているのも相当うまい。」「俺もそう（引用者注：授賞は「山彦」に、文藝春秋に載せるのは「長江デルタ」に）だナ。」 横光利一 43歳 全 ■ 3 「（引用者注：「下職人」と共に）うまいと思うのだけれども、ああいううまさは老大家がいればいいのじゃないかという気がするのです。」 川端康成 42歳 全 ■ 3 「少し躊躇する、いい所あれど、文章など未熟だし、終り悪い、今後の機会に見るべき作家と思う。」 菊池寛 52歳 全 ■ 1 「ヤマヒコモコマル」（以下「話の屑籠」より）「やはり一つの時代錯誤だ。時代の影響を受けて、しかも文芸の本質を失わないということが大切なのである。時代の影響を少しも受けないということは、文芸としても一つの欠点である。」 久米正雄 49歳 全 ● 1 「ヤマヒコハアマリニインサン」

他の候補作 多田裕計 「長江デルタ」 埴原一亟 「下職人」 石原文雄 「断崖の村」 三木澄子 「手巾の歌」 阿部光子 「猫柳」 藤島まき 「あめつち」 譲原昌子 「抒情歌」 日向伸夫 『第八号転轍器』

埴原一亟33歳×各選考委員　 「下職人」 短篇 66枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 ○ 2 「うまいという点では「下職人」が一番だと思う。」 宇野浩二 50歳 全 ・ 2   瀧井孝作 47歳 全 △ 6 「「下職人」も捨てられない。」「二つ（引用者注：「長江デルタ」と「山彦」）が争うとすれば、やはり「下職人」を僕はその中に加えて欲しいという感じがする。」 佐佐木茂索 46歳 全 △ 1 「「下職人」も（引用者注：文藝春秋に）載せていいと思うんです。」 室生犀星 51歳 全 ■ 2 「一寸いいけれども、文章が非常に拙くて、息絶え絶えに書いているようなところがあるナ。」 小島政二郎 47歳 全 ― 0   横光利一 43歳 全 ■ 3 「（引用者注：「山彦」と共に）うまいと思うのだけれども、ああいううまさは老大家がいればいいのじゃないかという気がするのです。」 川端康成 42歳 全 ○ 2 「「長江デルタ」或は「下職人」を推す、下職人の方確か」 菊池寛 52歳 全 ― 0   久米正雄 49歳 全 ― 0

他の候補作 多田裕計 「長江デルタ」 相野田敏之 「山彦」 石原文雄 「断崖の村」 三木澄子 「手巾の歌」 阿部光子 「猫柳」 藤島まき 「あめつち」 譲原昌子 「抒情歌」 日向伸夫 『第八号転轍器』

石原文雄41歳×各選考委員　 「断崖の村」 短篇 95枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 △ 2 「一寸趣きのある作品だね。」 宇野浩二 50歳 全 ■ 5 「ゴタゴタしているね。作中人物の名前がゴタゴタしている。」 瀧井孝作 47歳 全 ○ 6 「僕が一番好きなのは、「断崖の村」」「だいたい村を見渡しているような――家みたいなものになるのだけれども……。」 佐佐木茂索 46歳 全 ― 0   室生犀星 51歳 全 ― 0   小島政二郎 47歳 全 ― 0   横光利一 43歳 全 ― 0   川端康成 42歳 全 ― 0   菊池寛 52歳 全 ― 0   久米正雄 49歳 全 ― 0	他の候補作 多田裕計 「長江デルタ」 相野田敏之 「山彦」 埴原一亟 「下職人」 三木澄子 「手巾の歌」 阿部光子 「猫柳」 藤島まき 「あめつち」 譲原昌子 「抒情歌」 日向伸夫 『第八号転轍器』

三木澄子(33歳)×各選考委員　 「手巾の歌」 短篇 89枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 ― 0   宇野浩二 50歳 全 ― 0   瀧井孝作 47歳 全 ― 0   佐佐木茂索 46歳 全 ― 0   室生犀星 51歳 全 ― 0   小島政二郎 47歳 全 ― 0   横光利一 43歳 全 ― 0   川端康成 42歳 全 ― 0   菊池寛 52歳 全 ― 0   久米正雄 49歳 全 ― 0	他の候補作 多田裕計 「長江デルタ」 相野田敏之 「山彦」 埴原一亟 「下職人」 石原文雄 「断崖の村」 阿部光子 「猫柳」 藤島まき 「あめつち」 譲原昌子 「抒情歌」 日向伸夫 『第八号転轍器』

阿部光子28歳×各選考委員　 「猫柳」 短篇 63枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 ― 0   宇野浩二 50歳 全 ― 0   瀧井孝作 47歳 全 △ 1 「僕も丸つけて置いた。」 佐佐木茂索 46歳 全 ― 0   室生犀星 51歳 全 ○ 5 「後はすこし変だけれども、先のほうなら我慢できる。」「（引用者注：「長江デルタ」より）心理的にしっかりしていますよ。二段三段になっている、描写の構えが。」 小島政二郎 47歳 全 ― 0   横光利一 43歳 全 ― 0   川端康成 42歳 全 ― 0   菊池寛 52歳 全 ― 0   久米正雄 49歳 全 ― 0	他の候補作 多田裕計 「長江デルタ」 相野田敏之 「山彦」 埴原一亟 「下職人」 石原文雄 「断崖の村」 三木澄子 「手巾の歌」 藤島まき 「あめつち」 譲原昌子 「抒情歌」 日向伸夫 『第八号転轍器』

藤島まき31歳×各選考委員　 「あめつち」 短篇 72枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 ― 0   宇野浩二 50歳 全 ― 0   瀧井孝作 47歳 全 ― 0   佐佐木茂索 46歳 全 ― 0   室生犀星 51歳 全 ― 0   小島政二郎 47歳 全 ― 0   横光利一 43歳 全 ― 0   川端康成 42歳 全 ― 0   菊池寛 52歳 全 ― 0   久米正雄 49歳 全 ― 0	他の候補作 多田裕計 「長江デルタ」 相野田敏之 「山彦」 埴原一亟 「下職人」 石原文雄 「断崖の村」 三木澄子 「手巾の歌」 阿部光子 「猫柳」 譲原昌子 「抒情歌」 日向伸夫 『第八号転轍器』

譲原昌子29歳×各選考委員　 「抒情歌」 短篇 79枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 ― 0   宇野浩二 50歳 全 ― 0   瀧井孝作 47歳 全 ― 0   佐佐木茂索 46歳 全 ― 0   室生犀星 51歳 全 ― 0   小島政二郎 47歳 全 ― 0   横光利一 43歳 全 ― 0   川端康成 42歳 全 ― 0   菊池寛 52歳 全 ― 0   久米正雄 49歳 全 ― 0	他の候補作 多田裕計 「長江デルタ」 相野田敏之 「山彦」 埴原一亟 「下職人」 石原文雄 「断崖の村」 三木澄子 「手巾の歌」 阿部光子 「猫柳」 藤島まき 「あめつち」 日向伸夫 『第八号転轍器』

日向伸夫(28歳)×各選考委員　 『第八号転轍器』 短篇集6篇 301枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 佐藤春夫 49歳 全 ― 0   宇野浩二 50歳 全 ― 0   瀧井孝作 47歳 全 ― 0   佐佐木茂索 46歳 全 ― 0   室生犀星 51歳 全 ― 0   小島政二郎 47歳 全 ― 0   横光利一 43歳 全 ― 0   川端康成 42歳 全 ― 0   菊池寛 52歳 全 ― 0   久米正雄 49歳 全 ― 0	他の候補作 多田裕計 「長江デルタ」 相野田敏之 「山彦」 埴原一亟 「下職人」 石原文雄 「断崖の村」 三木澄子 「手巾の歌」 阿部光子 「猫柳」 藤島まき 「あめつち」 譲原昌子 「抒情歌」