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第31回
吉川英治文学新人賞
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平成21年/2009年度
(平成22年/2010年3月5日決定発表)
選考委員  浅田次郎
男58歳
伊集院静
男60歳
大沢在昌
男53歳
高橋克彦
男62歳
宮部みゆき
女49歳
選評総行数  83 117 51 51 128
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
池井戸潤 『鉄の骨』
男46歳
6 19 9 6 60
冲方丁 『天地明察』
男33歳
12 19 9 26 62
辻村深月 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
女30歳
7 10 10 0 11
中路啓太 『己惚れの砦』
男(42歳)
27 11 7 0 0
平山夢明 『ダイナー』
男48歳
6 8 7 0 50
道尾秀介 『龍神の雨』
男34歳
25 6 8 0 0
         
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『群像』平成22年/2010年5月号
1行当たりの文字数:20字


選考委員
浅田次郎男58歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
意想外の結果 総行数83 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
池井戸潤
男46歳
6 「賛同ができなかった。読み物としてはたしかに面白く、内容も興味深いのだが、文学賞である限りは文学性を問うべきであるというのが、私の率直な主張である。」
冲方丁
男33歳
12 「成功か失敗かはともかく、華麗なる挑戦にはちがいない。しかし現代ふうの会話や文章表現が私にはなじめず、主人公を初めとする実在人物のキャラクターが、どうしても私の抱く彼らの印象と重ならなかった。また、資料は十分に読みこんでいるようだが、歴史好きなら誰もが首をかしげる箇所が多くあって、強く推すことはできなかった。」
辻村深月
女30歳
7 「創作と自己表現とが不分明である。しかし不分明ではなく未分化であるように思えるのは、作者のうちに秘められた才能のゆえであろうか。」
中路啓太
男(42歳)
27 「(引用者注:「龍神の雨」と共に)受賞作にふさわしいと信じた」「何よりもまずその豊富で正確な知識と、説明口調にならぬそれらの消化方法に感心した。」「氏の作品を見る限り卓越した学識とはうらはらに、独創的なストーリーを感じないのはたしかである。」「それでも私があえて推したのは、ルネサンスの壁を打ち破って反動する嘘つきの学者がいたら、何とすばらしいことかという夢を抱いたからである。」
平山夢明
男48歳
6 「面白く読めるということ以上の価値を発見できず、おそらくそれは作者が誰よりも知るところであろうが、だからと言って作家はその職責において、「あとがき」を「あとづけ」にしてはなるまい。」
道尾秀介
男34歳
25 「(引用者注:「己惚れの砦」と共に)受賞作にふさわしいと信じた」「人物と情景の描写にすぐれており、ひとつの事件を二視点から捉えてスリリングなストーリーに仕立て上げるという手法にも成功していた。」「作者の立場はすでに習作の時代ではなく、今後一部の限定的な読者に甘んずるか、さもなくば普遍的な読者を獲得するかという正念場にあると思われる。」
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他の選考委員
伊集院静
大沢在昌
高橋克彦
宮部みゆき
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選考委員
伊集院静男60歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
“作家の魂” 総行数117 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
池井戸潤
男46歳
19 「『鉄の骨』を推したのは作品の完成度の高さ、そして、構成、エンターテイメント性、そして何より氏でなくては描くことのできない独自の世界観が他の作品より抜きん出ていたことが理由であるが、もう一点、私が氏の作品を推した理由は、サラリーマンの経験の少ない私が読んでもこれほど面白いのだから、当事者であるサラリーマンの人たちはどんなにこころを躍らせ、勇気を与えられるだろうか、という点がある。」「現代を見つめる氏の目、その底にある正義と志を沈着に鳥瞰している作家の魂を感じる。」
冲方丁
男33歳
19 「作品の冒頭から主人公の渋川春海の魅力に魅せられた。」「何より素晴らしいのは全篇に流れるユーモアの感覚である。これは修練で体得できるものではない。氏の独自の才能であり、小説にむかうに当たっての精神のゆたかさに他ならない。読んでいて井上ひさしの一連の歴史小説がよみがえった。あらためて歴史小説の可能性を示した点も賞讃されるだろう。」
辻村深月
女30歳
10 「読み進めていくと登場人物が皆似かよっていて、主人公の失踪に対して、この一言が作品を象徴するという一文を私は見つけられなかった。ただ作者の才能は並々ならぬものがあるのは私はこれまで何度も感じている。」
中路啓太
男(42歳)
11 「最後まで受賞の可能性を残したほど委員の支持を得ていた。」「この数年でこれだけ旺盛に執筆し、独自の世界を作り上げている姿勢は頼もしい限りだ。氏の作品に通底する慈愛の精神に私は共感する。」
平山夢明
男48歳
8 「選考前にこの作品が他作品を押しのけて受賞する可能性があるのではと内心思っていた。それほど力のある作品だった。全篇を通じてお洒落なことに好感を抱いた。」
道尾秀介
男34歳
6 「二人の委員が受賞を強く推された。」「文学賞の選考には、その時々の趨勢がある。受賞作に比べると決め手に欠けるものがあったのかもしれない。」
  「今回の候補作は、それぞれの作品が大変に質が高く、内容も充実したものが揃っていた。」「やはり最初から各委員の推奨する作品が分かれた。」「私は自分の選考に迷いが生じたら、自分が小説家を志した時の初心にかえって、目の前のものを平等に見つめ直すことにしている。なぜ小説でなくてはならなかったのか。小説は何のために、誰のためにあるのか。」
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他の選考委員
浅田次郎
大沢在昌
高橋克彦
宮部みゆき
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選考委員
大沢在昌男53歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
苦慮の末 総行数51 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
池井戸潤
男46歳
9 「平明な文体でどこにでもいる平凡な人々の苦労と喜びを描いている。だがこの題材を一篇の物語としてしあげるには、作者はなみなみならない苦心を重ねた筈だ。これを機に、池井戸さんには「池井戸節」ともいわれるような仕事をしてほしい。きっと我が国のサラリーマン、サラリーウーマンの心強い応援歌となる。」
冲方丁
男33歳
9 「驚きと失望の両方を感じた。驚きは作者の筆力に対してであるが、中盤以降、小説から評伝へと明らかに空気がかわる。たとえば「素晴らしい閃きに満ちた考察を受け取る一方で、春海は、関の孤独を感じた。」などという地の文を読むと、もったいない、そこを物語として読ませてほしいと思うのだ。」
辻村深月
女30歳
10 「辻村さんは明らかに何かを見つけられた。」「もどかしいのは、もっと効率的にそれを読者につきつける書きかたがあったのではないか、と読後思えてしまうことだ。辻村さんにしか書けない物語であるからこそ、よけいにもったいない。」
中路啓太
男(42歳)
7 「どこか丹下左膳を思わせるような伝奇性と失われゆく武士道というテーマがかみあっていたとはいえず、残念だった。主人公物集女蔵人により魅力を与えられたら、物語をぐいぐいとひっぱっていけたにちがいない。」
平山夢明
男48歳
7 「平山夢明ワールドとしかいいようのない快作だ。読むことの楽しみに没頭できたという点では唯一であった。ただ(引用者中略)何でもありだ、と思わせてしまったとたん急速に色あせる寂しさを味わった。」
道尾秀介
男34歳
8 「私は道尾さんのためというよりは吉川英治文学新人賞のために、受賞を願ったが、味方が少なかった。候補作のみで選考はされるべきかもしれない。しかしこれまでのお仕事を考えるなら、今回は受賞してもおかしくなかったと思う。」
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他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
高橋克彦
宮部みゆき
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選考委員
高橋克彦男62歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
書かねばならぬこと 総行数51 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
池井戸潤
男46歳
6 「授賞に相応しい文句なしの面白さだった。私が気になったのは銀行があまり意味もなしに関わってくる場面だけで、力作の評価は動かない。」
冲方丁
男33歳
26 「私は冲方丁さんの『天地明察』に最高点をつけていたので満足を得た。」「細かな欠点や甘さが指摘されたが、私はなにより作者の「どうしても書かねばならぬ」強い思いに圧倒された。」「この作品を資料を基にした伝記小説として読むのはたぶん正しくなく、私は渋川春海の人生に感銘と興奮を覚えた作者が、その春海の「志」だけを受け継いで紡いだ新たな物語、と見ている。」「この物語は読者に自分の無限の可能性さえ信じさせる。」
辻村深月
女30歳
0  
中路啓太
男(42歳)
0  
平山夢明
男48歳
0  
道尾秀介
男34歳
0  
  「結果的には選考会開始直後の評価点の上位二人への授賞となったのだから順当と言えるのだが、そこに至るまでには例年の倍以上の激論が繰り広げられた。抜きん出ての上位ではなく、三位以下との差がわずか一点や二点でしかない。その上、どの作品にも必ずだれか一人が最高点の丸をつけている。」
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他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
宮部みゆき
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選考委員
宮部みゆき女49歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
気骨と明察 総行数128 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
池井戸潤
男46歳
60 「(引用者注:「天地明察」と共に)自身が所属する社会の階層、組織のなかで、精一杯の力を尽くして〈変革〉を志す、二人の若者を描いています。(引用者中略)格好いいヒーローではなく、ひょろひょろと頼りない二人の若者の頑張りに、私は深く感動しました。」「「今時、フツーのサラリーマンが主役の小説なんて」という漠然とした思い込みに流されず、淡々としかし骨太にこの路線の作品を書き続け、『鉄の骨』に至った池井戸さんの気骨に胸を打たれたということです。」
冲方丁
男33歳
62 「(引用者注:「鉄の骨」と共に)自身が所属する社会の階層、組織のなかで、精一杯の力を尽くして〈変革〉を志す、二人の若者を描いています。(引用者中略)格好いいヒーローではなく、ひょろひょろと頼りない二人の若者の頑張りに、私は深く感動しました。」「渋川春海という(洒落じゃなく)渋い人物に目をとめ、算術だ暦制だという高いハードルに臆せず、優しい好意と適度な客観性を保って、春海がやり遂げたことを正しく綴るにはどうすればいいかと考え抜いた冲方さんの努力に感じ入ったということです。」
辻村深月
女30歳
11 「豊かな社会で膿んでしまう母娘の関係や、「物書きはなぜ他人の不幸を書くのか」という作者にとっても切実な問題を、最後まで勇気を失わずに書ききった姿勢は立派です。いっそミステリーにしない方がよかったのではないかという評価もあり、それは私も迷うところだったのですが、果敢にトリプルアクセルに挑んだ辻村さんに、拍手を贈りたいと思います。」
中路啓太
男(42歳)
0  
平山夢明
男48歳
50 「平山さんにしか書けない傑作です。諦めた理由はただひとつ、三作授賞は許されないからでした。」「平山さんは〈人間らしさ〉を、美しいもの、善良なもの、正しいものだと決めつけていません。(引用者中略)それが真に姿を現すと、むしろ愚かで滑稽で歪んでいて、ぎょっとするようなものかもしれないよ? と、涼しい顔で考えている。」「炸裂のなかで初めて立ち現れるものは、どれほど異形であろうと確かに〈人間らしさ〉であり、だからそれが一瞬の無垢な輝きを放つと、私たちは魅了されてしまう。楽しかったよ、オオバカナコ!」
道尾秀介
男34歳
0  
  「(引用者注:三作授賞が許されないことについて)側聞するところ、この賞の予選を行う講談社の編集者諸氏は、毎年私を泣かせることを楽しみにしているとかで、ホントに辛いのです。」
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他の選考委員
浅田次郎
伊集院静
大沢在昌
高橋克彦
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受賞者・作品
池井戸潤男46歳×各選考委員 
『鉄の骨』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
6 「賛同ができなかった。読み物としてはたしかに面白く、内容も興味深いのだが、文学賞である限りは文学性を問うべきであるというのが、私の率直な主張である。」
伊集院静
男60歳
19 「『鉄の骨』を推したのは作品の完成度の高さ、そして、構成、エンターテイメント性、そして何より氏でなくては描くことのできない独自の世界観が他の作品より抜きん出ていたことが理由であるが、もう一点、私が氏の作品を推した理由は、サラリーマンの経験の少ない私が読んでもこれほど面白いのだから、当事者であるサラリーマンの人たちはどんなにこころを躍らせ、勇気を与えられるだろうか、という点がある。」「現代を見つめる氏の目、その底にある正義と志を沈着に鳥瞰している作家の魂を感じる。」
大沢在昌
男53歳
9 「平明な文体でどこにでもいる平凡な人々の苦労と喜びを描いている。だがこの題材を一篇の物語としてしあげるには、作者はなみなみならない苦心を重ねた筈だ。これを機に、池井戸さんには「池井戸節」ともいわれるような仕事をしてほしい。きっと我が国のサラリーマン、サラリーウーマンの心強い応援歌となる。」
高橋克彦
男62歳
6 「授賞に相応しい文句なしの面白さだった。私が気になったのは銀行があまり意味もなしに関わってくる場面だけで、力作の評価は動かない。」
宮部みゆき
女49歳
60 「(引用者注:「天地明察」と共に)自身が所属する社会の階層、組織のなかで、精一杯の力を尽くして〈変革〉を志す、二人の若者を描いています。(引用者中略)格好いいヒーローではなく、ひょろひょろと頼りない二人の若者の頑張りに、私は深く感動しました。」「「今時、フツーのサラリーマンが主役の小説なんて」という漠然とした思い込みに流されず、淡々としかし骨太にこの路線の作品を書き続け、『鉄の骨』に至った池井戸さんの気骨に胸を打たれたということです。」
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他の候補作
冲方丁
『天地明察』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
中路啓太
『己惚れの砦』
平山夢明
『ダイナー』
道尾秀介
『龍神の雨』
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受賞者・作品
冲方丁男33歳×各選考委員 
『天地明察』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
12 「成功か失敗かはともかく、華麗なる挑戦にはちがいない。しかし現代ふうの会話や文章表現が私にはなじめず、主人公を初めとする実在人物のキャラクターが、どうしても私の抱く彼らの印象と重ならなかった。また、資料は十分に読みこんでいるようだが、歴史好きなら誰もが首をかしげる箇所が多くあって、強く推すことはできなかった。」
伊集院静
男60歳
19 「作品の冒頭から主人公の渋川春海の魅力に魅せられた。」「何より素晴らしいのは全篇に流れるユーモアの感覚である。これは修練で体得できるものではない。氏の独自の才能であり、小説にむかうに当たっての精神のゆたかさに他ならない。読んでいて井上ひさしの一連の歴史小説がよみがえった。あらためて歴史小説の可能性を示した点も賞讃されるだろう。」
大沢在昌
男53歳
9 「驚きと失望の両方を感じた。驚きは作者の筆力に対してであるが、中盤以降、小説から評伝へと明らかに空気がかわる。たとえば「素晴らしい閃きに満ちた考察を受け取る一方で、春海は、関の孤独を感じた。」などという地の文を読むと、もったいない、そこを物語として読ませてほしいと思うのだ。」
高橋克彦
男62歳
26 「私は冲方丁さんの『天地明察』に最高点をつけていたので満足を得た。」「細かな欠点や甘さが指摘されたが、私はなにより作者の「どうしても書かねばならぬ」強い思いに圧倒された。」「この作品を資料を基にした伝記小説として読むのはたぶん正しくなく、私は渋川春海の人生に感銘と興奮を覚えた作者が、その春海の「志」だけを受け継いで紡いだ新たな物語、と見ている。」「この物語は読者に自分の無限の可能性さえ信じさせる。」
宮部みゆき
女49歳
62 「(引用者注:「鉄の骨」と共に)自身が所属する社会の階層、組織のなかで、精一杯の力を尽くして〈変革〉を志す、二人の若者を描いています。(引用者中略)格好いいヒーローではなく、ひょろひょろと頼りない二人の若者の頑張りに、私は深く感動しました。」「渋川春海という(洒落じゃなく)渋い人物に目をとめ、算術だ暦制だという高いハードルに臆せず、優しい好意と適度な客観性を保って、春海がやり遂げたことを正しく綴るにはどうすればいいかと考え抜いた冲方さんの努力に感じ入ったということです。」
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他の候補作
池井戸潤
『鉄の骨』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
中路啓太
『己惚れの砦』
平山夢明
『ダイナー』
道尾秀介
『龍神の雨』
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候補者・作品
辻村深月女30歳×各選考委員 
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
7 「創作と自己表現とが不分明である。しかし不分明ではなく未分化であるように思えるのは、作者のうちに秘められた才能のゆえであろうか。」
伊集院静
男60歳
10 「読み進めていくと登場人物が皆似かよっていて、主人公の失踪に対して、この一言が作品を象徴するという一文を私は見つけられなかった。ただ作者の才能は並々ならぬものがあるのは私はこれまで何度も感じている。」
大沢在昌
男53歳
10 「辻村さんは明らかに何かを見つけられた。」「もどかしいのは、もっと効率的にそれを読者につきつける書きかたがあったのではないか、と読後思えてしまうことだ。辻村さんにしか書けない物語であるからこそ、よけいにもったいない。」
高橋克彦
男62歳
0  
宮部みゆき
女49歳
11 「豊かな社会で膿んでしまう母娘の関係や、「物書きはなぜ他人の不幸を書くのか」という作者にとっても切実な問題を、最後まで勇気を失わずに書ききった姿勢は立派です。いっそミステリーにしない方がよかったのではないかという評価もあり、それは私も迷うところだったのですが、果敢にトリプルアクセルに挑んだ辻村さんに、拍手を贈りたいと思います。」
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他の候補作
池井戸潤
『鉄の骨』
冲方丁
『天地明察』
中路啓太
『己惚れの砦』
平山夢明
『ダイナー』
道尾秀介
『龍神の雨』
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候補者・作品
中路啓太男(42歳)×各選考委員 
『己惚れの砦』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
27 「(引用者注:「龍神の雨」と共に)受賞作にふさわしいと信じた」「何よりもまずその豊富で正確な知識と、説明口調にならぬそれらの消化方法に感心した。」「氏の作品を見る限り卓越した学識とはうらはらに、独創的なストーリーを感じないのはたしかである。」「それでも私があえて推したのは、ルネサンスの壁を打ち破って反動する嘘つきの学者がいたら、何とすばらしいことかという夢を抱いたからである。」
伊集院静
男60歳
11 「最後まで受賞の可能性を残したほど委員の支持を得ていた。」「この数年でこれだけ旺盛に執筆し、独自の世界を作り上げている姿勢は頼もしい限りだ。氏の作品に通底する慈愛の精神に私は共感する。」
大沢在昌
男53歳
7 「どこか丹下左膳を思わせるような伝奇性と失われゆく武士道というテーマがかみあっていたとはいえず、残念だった。主人公物集女蔵人により魅力を与えられたら、物語をぐいぐいとひっぱっていけたにちがいない。」
高橋克彦
男62歳
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宮部みゆき
女49歳
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他の候補作
池井戸潤
『鉄の骨』
冲方丁
『天地明察』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
平山夢明
『ダイナー』
道尾秀介
『龍神の雨』
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候補者・作品
平山夢明男48歳×各選考委員 
『ダイナー』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
6 「面白く読めるということ以上の価値を発見できず、おそらくそれは作者が誰よりも知るところであろうが、だからと言って作家はその職責において、「あとがき」を「あとづけ」にしてはなるまい。」
伊集院静
男60歳
8 「選考前にこの作品が他作品を押しのけて受賞する可能性があるのではと内心思っていた。それほど力のある作品だった。全篇を通じてお洒落なことに好感を抱いた。」
大沢在昌
男53歳
7 「平山夢明ワールドとしかいいようのない快作だ。読むことの楽しみに没頭できたという点では唯一であった。ただ(引用者中略)何でもありだ、と思わせてしまったとたん急速に色あせる寂しさを味わった。」
高橋克彦
男62歳
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宮部みゆき
女49歳
50 「平山さんにしか書けない傑作です。諦めた理由はただひとつ、三作授賞は許されないからでした。」「平山さんは〈人間らしさ〉を、美しいもの、善良なもの、正しいものだと決めつけていません。(引用者中略)それが真に姿を現すと、むしろ愚かで滑稽で歪んでいて、ぎょっとするようなものかもしれないよ? と、涼しい顔で考えている。」「炸裂のなかで初めて立ち現れるものは、どれほど異形であろうと確かに〈人間らしさ〉であり、だからそれが一瞬の無垢な輝きを放つと、私たちは魅了されてしまう。楽しかったよ、オオバカナコ!」
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『鉄の骨』
冲方丁
『天地明察』
辻村深月
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
中路啓太
『己惚れの砦』
道尾秀介
『龍神の雨』
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候補者・作品
道尾秀介男34歳×各選考委員 
『龍神の雨』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男58歳
25 「(引用者注:「己惚れの砦」と共に)受賞作にふさわしいと信じた」「人物と情景の描写にすぐれており、ひとつの事件を二視点から捉えてスリリングなストーリーに仕立て上げるという手法にも成功していた。」「作者の立場はすでに習作の時代ではなく、今後一部の限定的な読者に甘んずるか、さもなくば普遍的な読者を獲得するかという正念場にあると思われる。」
伊集院静
男60歳
6 「二人の委員が受賞を強く推された。」「文学賞の選考には、その時々の趨勢がある。受賞作に比べると決め手に欠けるものがあったのかもしれない。」
大沢在昌
男53歳
8 「私は道尾さんのためというよりは吉川英治文学新人賞のために、受賞を願ったが、味方が少なかった。候補作のみで選考はされるべきかもしれない。しかしこれまでのお仕事を考えるなら、今回は受賞してもおかしくなかったと思う。」
高橋克彦
男62歳
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宮部みゆき
女49歳
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他の候補作
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『鉄の骨』
冲方丁
『天地明察』
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