第92回

第91回第93回

昭和59年/1984年下半期 昭和60年/1985年1月17日決定発表／『文藝春秋』昭和60年/1985年3月号選評掲載

選考委員　 丹羽文雄 80歳 安岡章太郎 64歳 遠藤周作 61歳 三浦哲郎 53歳 吉行淳之介 60歳 開高健 54歳 丸谷才一 59歳 中村光夫 73歳 選評総行数　 24 31 33 31 28 31 30 24 評 評 評 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 木崎さと子　「青桐」 194枚 45歳 評 ◎ 24 ○ 13 ○ 30 ◎ 10 ○ 18 △ 8 ● 30 △ 7 土居良一　「青空の行方」 132枚 29歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 南木佳士　「木の家」 104枚 33歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 □ 11 ― 0 ― 0 ― 0 △ 4 李良枝　「刻」 240枚 29歳 評 ― 0 ○ 7 ○ 6 ■ 8 ○ 12 □ 7 ― 0 △ 3 高瀬千図　「夏の淵」 142枚 39歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 木辺弘児　「月の踏み跡」 115枚 53歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 △ 4 桐山襲　「風のクロニクル」 226枚 35歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 △ 3 ― 0 ― 0 ― 0 △ 4   欠席 書面回答             年齢/枚数の説明   見方・注意点

丹羽文雄80歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題木崎さと子さんと「青桐」　総行数24　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 木崎さと子 45歳 全 ◎ 24 「第八十四回の芥川賞候補作品の中で、木崎さと子さんの「裸足」を読んだとき、この人は必ず芥川賞をとる人だと思った。」「それから四篇ほど候補作品をよんできた。」「「青桐」は、いちばん心をこめた作品になっている。」「「青桐」をよんでいて、突如癌特有の臭いに接して、私は思わず息をのむ思いがした。」「小説の中の臭いを、私は嗅いだ。」「それだけでもこの小説はみごとだと思った。」 土居良一 29歳 全 ― 0   南木佳士 33歳 全 ― 0   李良枝 29歳 全 ― 0   高瀬千図 39歳 全 ― 0   木辺弘児 53歳 全 ― 0   桐山襲 35歳 全 ― 0	他の選考委員 安岡章太郎 遠藤周作 三浦哲郎 吉行淳之介 開高健 丸谷才一 中村光夫

安岡章太郎64歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題ひさびさの充実感　総行数31　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 木崎さと子 45歳 全 ○ 13 「「青桐」を読めば、大抵の人が、これまでの木崎さと子とは別人の印象を受けるのではないか。」「こんどの作品で彼女は初めて自身の内部に根づいた文体を獲得したとは言えるのでないか。」「いまは消滅してしまった地主という階級、その名残りをかろうじて保持していた一と握りの人たち、そういう人たちが消えて行くという“歴史”が、この作品の主題であるように、私には思われる。」 土居良一 29歳 全 ― 0   南木佳士 33歳 全 ― 0   李良枝 29歳 全 ○ 7 「一つの歴史を私は感じた。」「李氏は、そのこと（引用者注：在日朝鮮人という存在）を冷静な眼で観察しながら、振幅の激しい感情をこめて謳い上げており、在来の朝鮮人文学には見られなかった領域をひらいたものと言えよう。」 高瀬千図 39歳 全 ― 0   木辺弘児 53歳 全 ― 0   桐山襲 35歳 全 ― 0     「今回は、ひさしぶりで充実した候補作が並び、読む側として張り合いがあった。」

他の選考委員 丹羽文雄 遠藤周作 三浦哲郎 吉行淳之介 開高健 丸谷才一 中村光夫

遠藤周作61歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題好感が持てた作品　総行数33　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 木崎さと子 45歳 全 ○ 30 「他の候補作品より好感が持てた理由は三つある。」「ひとつは副人物の一人一人の描写が丁寧に書きこまれているということである。」「ふたつ目には彼女が非常に書きにくい人物をあえて中心においたことである。」「書きにくい人物をとに角ここまで書いた力を私はやはり認めたい。」「ただ、叔母がどうして自然という考えを自らの人生に受け入れたかはもう少し詳しく書いてほしかった。」 土居良一 29歳 全 ― 0   南木佳士 33歳 全 ― 0   李良枝 29歳 全 ○ 6 「荒けずりだが一気に読ませた」「必ずのびる作家である。」 高瀬千図 39歳 全 ― 0   木辺弘児 53歳 全 ― 0   桐山襲 35歳 全 ― 0	他の選考委員 丹羽文雄 安岡章太郎 三浦哲郎 吉行淳之介 開高健 丸谷才一 中村光夫

三浦哲郎53歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題感想　総行数31　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 木崎さと子 45歳 全 ◎ 10 「感心した。」「かなり難しい素材だが、作者は粘りづよい筆で主人公の気持の揺れを丹念に書き込んでいる。とりわけ、従姉の帰国後が冴えている。この賞に相応しい力量の持主だと思う。」 土居良一 29歳 全 ― 0   南木佳士 33歳 全 □ 11 「無理のない落ち着いた作風に好感を持った。導入部がすこし軽いかと思われたが、読み進めているうちに腰が沈み、足がしっくりと地についてきて、あぶなげがない。」「けれども、他の委員から、人の死をこう軽く扱われるのは困るという意見が出て、考えさせられた。」 李良枝 29歳 全 ■ 8 「私にとっては新しく興味深い発見もいくつかあったが、最後まで濃いもどかしさが拭い切れなかった。たとえばユーモラスな場面があっても、そこで笑っていいものかどうか、つまり作者が果してそのユーモアを意識して書いているのかどうかというもどかしさ。」 高瀬千図 39歳 全 ― 0   木辺弘児 53歳 全 ― 0   桐山襲 35歳 全 △ 3 「圧倒的な筆力が印象的であった。」

他の選考委員 丹羽文雄 安岡章太郎 遠藤周作 吉行淳之介 開高健 丸谷才一 中村光夫

吉行淳之介60歳×各候補作

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題「青桐」と「刻」　総行数28　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 木崎さと子 45歳 全 ○ 18 「「青桐」は充江というハイミスの片想いを中心にした心の動きに沿って読んでいくことをすすめる。そうしないといたずらに混乱を起すおそれがあるのだが、読む者の視点を移動させてしまいそうな要素がすぐに現れてくる。」「重い問題を作品の中に持ち込むには、余程の覚悟と計算が必要だが、ここでは提起された問題の内容自体がすでに曖昧である。」「私としては、（引用者注：「青桐」と「刻」の）二作受賞か、という判断があった。」 土居良一 29歳 全 ― 0   南木佳士 33歳 全 ― 0   李良枝 29歳 全 ○ 12 「荒けずりな部分やいまさらとおもえる実験的手法の部分もあったが、全体として新人らしい新鮮さがあった。過ぎてゆく一刻一刻の中に無理に閉じこめられる苦痛と、またべつの時には一刻を享受している感情の激変もよく書けていた。」「私としては、（引用者注：「青桐」と「刻」の）二作受賞か、という判断があった。」 高瀬千図 39歳 全 ― 0   木辺弘児 53歳 全 ― 0   桐山襲 35歳 全 ― 0

他の選考委員 丹羽文雄 安岡章太郎 遠藤周作 三浦哲郎 開高健 丸谷才一 中村光夫

開高健54歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題常識の勝利　総行数31　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 木崎さと子 45歳 全 △ 8 「いかにも古風だけれど着実で、こまかくて、しぶとくテーマに食いさがり、細部をよく噛みしめている。ケレンもハッタリもないが、常識の説得力がある。私としては以前の作品にあった煌めきを買いたいところだが、受賞後の作でそれを回復されることを期待したい。」 土居良一 29歳 全 ― 0   南木佳士 33歳 全 ― 0   李良枝 29歳 全 □ 7 「ぬかるみのように不定形の作品だが、やけくそがかった活力と、ところどころに素質としての鋭い感性が破片としてある。この活力がストーリーなりリズムなりに組みこまれるか、乗るかすると、この人はひょっとしたら……という気がする。」 高瀬千図 39歳 全 ― 0   木辺弘児 53歳 全 ― 0   桐山襲 35歳 全 ― 0     「新人にもとめるたった一つの条件としての、鮮烈の一言半句がどこにも見つからない。」「審査員として“義務”として読むのでなかったらチラと覗く気も起らないような作品ばかりで、うなだれるだけ。そっぽ向いて散歩に出かけたいだけ。」

他の選考委員 丹羽文雄 安岡章太郎 遠藤周作 三浦哲郎 吉行淳之介 丸谷才一 中村光夫

丸谷才一59歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題作者の責任　総行数30　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 木崎さと子 45歳 全 ● 30 「わたしの好みに合わない。」「たとえば癌の話。」「乳癌になっても医者に見せることをしないで死んでゆく人はいるかもしれない。いるならいるでいっこう構わない。しかしこの作者は、そういう覚悟で生きる、あるいは死ぬ、その人と、きちんとつきあっているだろうか。はなはだ心もとない気がする。」「作者は筋を作る都合のため、この作中人物を医者にかからせないでいる。しかし小説家には、作中人物をこんなふうにあつかう権利はないはずだ。」 土居良一 29歳 全 ― 0   南木佳士 33歳 全 ― 0   李良枝 29歳 全 ― 0   高瀬千図 39歳 全 ― 0   木辺弘児 53歳 全 ― 0   桐山襲 35歳 全 ― 0	他の選考委員 丹羽文雄 安岡章太郎 遠藤周作 三浦哲郎 吉行淳之介 開高健 中村光夫

中村光夫73歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題選評　総行数24　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 木崎さと子 45歳 全 △ 7 「古風ながら筆力を十分にうかがわせる文体です。」「しかし、（引用者中略）作者の人間をみる眼の甘さが、よくも悪くもあるので、読後の感動が稀薄なのは、その為かと思われます。」 土居良一 29歳 全 ― 0   南木佳士 33歳 全 △ 4 「時代の産物として興味をひかれました」 李良枝 29歳 全 △ 3 「時代の産物として興味をひかれました」 高瀬千図 39歳 全 ― 0   木辺弘児 53歳 全 △ 4 「時代の産物として興味をひかれました」 桐山襲 35歳 全 △ 4 「戦後青年達の精神をゆすぶった様々な思想の嵐が、結局は小さな時代の渦がまいた砂嵐にすぎなかったのではないか、こういう皮肉な筆つかいで現代を描こうとしています。」   「今回の候補作は七篇でいつもより数は少ないが、読むのに苦労しました。」「各篇が長いのかというとそうでもなく、もっぱら内容の読みにくさからきていると思われます。」

他の選考委員 丹羽文雄 安岡章太郎 遠藤周作 三浦哲郎 吉行淳之介 開高健 丸谷才一

木崎さと子45歳×各選考委員　 「青桐」 中篇 194枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 丹羽文雄 80歳 全 ◎ 24 「第八十四回の芥川賞候補作品の中で、木崎さと子さんの「裸足」を読んだとき、この人は必ず芥川賞をとる人だと思った。」「それから四篇ほど候補作品をよんできた。」「「青桐」は、いちばん心をこめた作品になっている。」「「青桐」をよんでいて、突如癌特有の臭いに接して、私は思わず息をのむ思いがした。」「小説の中の臭いを、私は嗅いだ。」「それだけでもこの小説はみごとだと思った。」 安岡章太郎 64歳 全 ○ 13 「「青桐」を読めば、大抵の人が、これまでの木崎さと子とは別人の印象を受けるのではないか。」「こんどの作品で彼女は初めて自身の内部に根づいた文体を獲得したとは言えるのでないか。」「いまは消滅してしまった地主という階級、その名残りをかろうじて保持していた一と握りの人たち、そういう人たちが消えて行くという“歴史”が、この作品の主題であるように、私には思われる。」 遠藤周作 61歳 全 ○ 30 「他の候補作品より好感が持てた理由は三つある。」「ひとつは副人物の一人一人の描写が丁寧に書きこまれているということである。」「ふたつ目には彼女が非常に書きにくい人物をあえて中心においたことである。」「書きにくい人物をとに角ここまで書いた力を私はやはり認めたい。」「ただ、叔母がどうして自然という考えを自らの人生に受け入れたかはもう少し詳しく書いてほしかった。」 三浦哲郎 53歳 全 ◎ 10 「感心した。」「かなり難しい素材だが、作者は粘りづよい筆で主人公の気持の揺れを丹念に書き込んでいる。とりわけ、従姉の帰国後が冴えている。この賞に相応しい力量の持主だと思う。」 吉行淳之介 60歳 全 ○ 18 「「青桐」は充江というハイミスの片想いを中心にした心の動きに沿って読んでいくことをすすめる。そうしないといたずらに混乱を起すおそれがあるのだが、読む者の視点を移動させてしまいそうな要素がすぐに現れてくる。」「重い問題を作品の中に持ち込むには、余程の覚悟と計算が必要だが、ここでは提起された問題の内容自体がすでに曖昧である。」「私としては、（引用者注：「青桐」と「刻」の）二作受賞か、という判断があった。」 開高健 54歳 全 △ 8 「いかにも古風だけれど着実で、こまかくて、しぶとくテーマに食いさがり、細部をよく噛みしめている。ケレンもハッタリもないが、常識の説得力がある。私としては以前の作品にあった煌めきを買いたいところだが、受賞後の作でそれを回復されることを期待したい。」 丸谷才一 59歳 全 ● 30 「わたしの好みに合わない。」「たとえば癌の話。」「乳癌になっても医者に見せることをしないで死んでゆく人はいるかもしれない。いるならいるでいっこう構わない。しかしこの作者は、そういう覚悟で生きる、あるいは死ぬ、その人と、きちんとつきあっているだろうか。はなはだ心もとない気がする。」「作者は筋を作る都合のため、この作中人物を医者にかからせないでいる。しかし小説家には、作中人物をこんなふうにあつかう権利はないはずだ。」 中村光夫 73歳 全 △ 7 「古風ながら筆力を十分にうかがわせる文体です。」「しかし、（引用者中略）作者の人間をみる眼の甘さが、よくも悪くもあるので、読後の感動が稀薄なのは、その為かと思われます。」

他の候補作 土居良一 「青空の行方」 南木佳士 「木の家」 李良枝 「刻」 高瀬千図 「夏の淵」 木辺弘児 「月の踏み跡」 桐山襲 「風のクロニクル」

土居良一29歳×各選考委員　 「青空の行方」 短篇 132枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 丹羽文雄 80歳 全 ― 0   安岡章太郎 64歳 全 ― 0   遠藤周作 61歳 全 ― 0   三浦哲郎 53歳 全 ― 0   吉行淳之介 60歳 全 ― 0   開高健 54歳 全 ― 0   丸谷才一 59歳 全 ― 0   中村光夫 73歳 全 ― 0	他の候補作 木崎さと子 「青桐」 南木佳士 「木の家」 李良枝 「刻」 高瀬千図 「夏の淵」 木辺弘児 「月の踏み跡」 桐山襲 「風のクロニクル」

南木佳士33歳×各選考委員　 「木の家」 短篇 104枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 丹羽文雄 80歳 全 ― 0   安岡章太郎 64歳 全 ― 0   遠藤周作 61歳 全 ― 0   三浦哲郎 53歳 全 □ 11 「無理のない落ち着いた作風に好感を持った。導入部がすこし軽いかと思われたが、読み進めているうちに腰が沈み、足がしっくりと地についてきて、あぶなげがない。」「けれども、他の委員から、人の死をこう軽く扱われるのは困るという意見が出て、考えさせられた。」 吉行淳之介 60歳 全 ― 0   開高健 54歳 全 ― 0   丸谷才一 59歳 全 ― 0   中村光夫 73歳 全 △ 4 「時代の産物として興味をひかれました」	他の候補作 木崎さと子 「青桐」 土居良一 「青空の行方」 李良枝 「刻」 高瀬千図 「夏の淵」 木辺弘児 「月の踏み跡」 桐山襲 「風のクロニクル」

李良枝29歳×各選考委員　 「刻」 中篇 240枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 丹羽文雄 80歳 全 ― 0   安岡章太郎 64歳 全 ○ 7 「一つの歴史を私は感じた。」「李氏は、そのこと（引用者注：在日朝鮮人という存在）を冷静な眼で観察しながら、振幅の激しい感情をこめて謳い上げており、在来の朝鮮人文学には見られなかった領域をひらいたものと言えよう。」 遠藤周作 61歳 全 ○ 6 「荒けずりだが一気に読ませた」「必ずのびる作家である。」 三浦哲郎 53歳 全 ■ 8 「私にとっては新しく興味深い発見もいくつかあったが、最後まで濃いもどかしさが拭い切れなかった。たとえばユーモラスな場面があっても、そこで笑っていいものかどうか、つまり作者が果してそのユーモアを意識して書いているのかどうかというもどかしさ。」 吉行淳之介 60歳 全 ○ 12 「荒けずりな部分やいまさらとおもえる実験的手法の部分もあったが、全体として新人らしい新鮮さがあった。過ぎてゆく一刻一刻の中に無理に閉じこめられる苦痛と、またべつの時には一刻を享受している感情の激変もよく書けていた。」「私としては、（引用者注：「青桐」と「刻」の）二作受賞か、という判断があった。」 開高健 54歳 全 □ 7 「ぬかるみのように不定形の作品だが、やけくそがかった活力と、ところどころに素質としての鋭い感性が破片としてある。この活力がストーリーなりリズムなりに組みこまれるか、乗るかすると、この人はひょっとしたら……という気がする。」 丸谷才一 59歳 全 ― 0   中村光夫 73歳 全 △ 3 「時代の産物として興味をひかれました」

他の候補作 木崎さと子 「青桐」 土居良一 「青空の行方」 南木佳士 「木の家」 高瀬千図 「夏の淵」 木辺弘児 「月の踏み跡」 桐山襲 「風のクロニクル」

高瀬千図39歳×各選考委員　 「夏の淵」 短篇 142枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 丹羽文雄 80歳 全 ― 0   安岡章太郎 64歳 全 ― 0   遠藤周作 61歳 全 ― 0   三浦哲郎 53歳 全 ― 0   吉行淳之介 60歳 全 ― 0   開高健 54歳 全 ― 0   丸谷才一 59歳 全 ― 0   中村光夫 73歳 全 ― 0	他の候補作 木崎さと子 「青桐」 土居良一 「青空の行方」 南木佳士 「木の家」 李良枝 「刻」 木辺弘児 「月の踏み跡」 桐山襲 「風のクロニクル」

木辺弘児53歳×各選考委員　 「月の踏み跡」 短篇 115枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 丹羽文雄 80歳 全 ― 0   安岡章太郎 64歳 全 ― 0   遠藤周作 61歳 全 ― 0   三浦哲郎 53歳 全 ― 0   吉行淳之介 60歳 全 ― 0   開高健 54歳 全 ― 0   丸谷才一 59歳 全 ― 0   中村光夫 73歳 全 △ 4 「時代の産物として興味をひかれました」	他の候補作 木崎さと子 「青桐」 土居良一 「青空の行方」 南木佳士 「木の家」 李良枝 「刻」 高瀬千図 「夏の淵」 桐山襲 「風のクロニクル」

桐山襲35歳×各選考委員　 「風のクロニクル」 中篇 226枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 丹羽文雄 80歳 全 ― 0   安岡章太郎 64歳 全 ― 0   遠藤周作 61歳 全 ― 0   三浦哲郎 53歳 全 △ 3 「圧倒的な筆力が印象的であった。」 吉行淳之介 60歳 全 ― 0   開高健 54歳 全 ― 0   丸谷才一 59歳 全 ― 0   中村光夫 73歳 全 △ 4 「戦後青年達の精神をゆすぶった様々な思想の嵐が、結局は小さな時代の渦がまいた砂嵐にすぎなかったのではないか、こういう皮肉な筆つかいで現代を描こうとしています。」	他の候補作 木崎さと子 「青桐」 土居良一 「青空の行方」 南木佳士 「木の家」 李良枝 「刻」 高瀬千図 「夏の淵」 木辺弘児 「月の踏み跡」