選評の概要
66. 67. 68. 69. 70.71. 72. 73. 74. 75.
76. 77. 78. 79. 80.
81. 82. 83. 84. 85.
86. 87. 88. 89. 90.
91. 92. 93. 94. 95.
96.
生没年月日【注】 | 大正9年/1920年5月30日~平成25年/2013年1月26日 | |
在任期間 | 第66回~第96回(通算15.5年・31回) | |
在任年齢 | 51歳7ヶ月~66歳7ヶ月 | |
経歴 | 高知県高知市生まれ。慶應義塾大学文学部卒。大学在学中に応召、満洲での軍隊経験をもつ。昭和23年/1948年頃から創作を始め、『三田文学』に発表。 | |
受賞歴・候補歴 |
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個人全集 | 『安岡章太郎全集』全7巻(昭和46年/1971年1月~7月・講談社刊) 『安岡章太郎集』全10巻(昭和61年/1986年11月~昭和63年/1988年5月・岩波書店刊) |
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芥川賞候補歴 | 第25回候補 「ガラスの靴」(『三田文學』昭和26年/1951年6月号) 第27回候補 「宿題」(『文學界』昭和27年/1952年2月号) 第28回候補 「愛玩」(『文學界』昭和27年/1952年11月号) 第29回受賞 「悪い仲間」(『群像』昭和28年/1953年6月号) 第29回受賞 「陰気な愉しみ」(『新潮』昭和28年/1953年4月号) |
下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。
選考委員 安岡章太郎 54歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
日野啓三 | 45歳 |
◎ | 31 | 「最もすぐれていた。」「「浮ぶ部屋」は、それ(引用者注:「此岸の家」)と一連の作品である。しかし、これを独立した短篇小説として読んでも、勿論読めるものだ。ただ、文学賞の対象として取り上げる場合、こういうかたちで発表された作品は、いつも何かと面倒なことになりがちなものであろう。」「しかし、(引用者中略)これをおいて他の作品を推す気には、私はまったくなれなかった。」 |
選評出典:『芥川賞全集 第十巻』昭和57年/1982年11月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和49年/1974年9月号) |
選考委員 安岡章太郎 63歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
梅原稜子 | 41歳 |
○ | 5 | 「(引用者注:女流の作品の)なかでは、(引用者中略)短篇小説らしくまとまっていて、私は一応この作品を推してみたが、なにぶん文章に魅力がなく、欠点が無いということが、トリエが無いということになって、」 |
47歳 |
△ | 13 | 「小説らしい小説として読める作品であった。」「この作者は七、八年前に新潮新人賞をとった頃からみると、着実に成長しているようだ。」「杢二のような男は、おそらく戦前にもいたし、戦争中にもいて、決して珍しいタイプであるとは思えない。」「けだし、こうした人物が小説の主人公となって登場してくるのは、それだけ現代が無気力で、何をやろうにも力の入れどころのないような、無抵抗無感覚の時代になっているからであろう。」 | |
37歳 |
● | 5 | 「この作品は、私としてはやはり積極的に推す気にはなれない。最初の「その細き道」の素直さを憶い返して貰いたい。」 | |
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和59年/1984年3月号) |
選考委員 安岡章太郎 64歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
45歳 |
○ | 13 | 「「青桐」を読めば、大抵の人が、これまでの木崎さと子とは別人の印象を受けるのではないか。」「こんどの作品で彼女は初めて自身の内部に根づいた文体を獲得したとは言えるのでないか。」「いまは消滅してしまった地主という階級、その名残りをかろうじて保持していた一と握りの人たち、そういう人たちが消えて行くという“歴史”が、この作品の主題であるように、私には思われる。」 | |
李良枝 | 29歳 |
○ | 7 | 「一つの歴史を私は感じた。」「李氏は、そのこと(引用者注:在日朝鮮人という存在)を冷静な眼で観察しながら、振幅の激しい感情をこめて謳い上げており、在来の朝鮮人文学には見られなかった領域をひらいたものと言えよう。」 |
「今回は、ひさしぶりで充実した候補作が並び、読む側として張り合いがあった。」 | ||||
選評出典:『芥川賞全集 第十三巻』平成1年/1989年2月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和60年/1985年3月号) |
選考委員 安岡章太郎 66歳 | ||||
候補 | 評価 | 行数 | 評言 | |
藤本恵子 | 35歳 |
○ | 24 | 「戦後の農地解放で小作人から小さいながら自作農になった農民の、明るくて悲惨な生活が、日常的な筆致でよく描かれて入る。読みながら私は、普仏戦争前後のフランス庶民、モーパッサンの短編に出てくるような人物を連想した。」「文章は近頃の新人の例にもれず、冗漫に過ぎるが、少女マンガめいたこのリズムを失えば、作者は何も書けなくなるかもしれない。そのへんがムツかしいところだ。」 |
「該当作ナシときまったが、今回の作品がとくに水準が低かったとは思えない。」 | ||||
選評出典:『芥川賞全集 第十四巻』平成1年/1989年5月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和61年/1986年9月号) |