第66回

第65回第67回

昭和46年/1971年下半期 昭和47年/1972年1月20日決定発表／『文藝春秋』昭和47年/1972年3月号選評掲載

選考委員　 井上靖 64歳 吉行淳之介 47歳 永井龍男 67歳 中村光夫 60歳 大岡昇平 62歳 安岡章太郎 51歳 瀧井孝作 77歳 丹羽文雄 67歳 舟橋聖一 67歳 川端康成 72歳 選評総行数　 28 32 21 29 24 31 33 27 38   評 評 評 評 評 評 評 評 評 選評なし 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 李恢成　「砧をうつ女」 65枚 36歳 評 ◎ 17 ■ 8 △ 3 ■ 10 □ 13 ◎ 19 ◎ 11 △ 7 △ 19     東峰夫　「オキナワの少年」 99枚 33歳 評 △ 9 ○ 7 △ 10 ■ 7 □ 6 △ 9 △ 5 ◎ 7 □ 16     後藤みな子　「刻を曳く」 136枚 35歳 評 ○ 8 △ 3 ― 0 ■ 4 ― 0 ― 0 ― 0 ● 6 ― 0     長谷川修　「まぼろしの風景画」 131枚 45歳 評 ― 0 ■ 3 △ 6 ■ 4 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0     高橋たか子　「共生空間」 75枚 39歳 評 ― 0 ■ 3 △ 4 △ 5 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0     加藤富夫　「玩具の兵隊」 101枚 43歳 評 ― 0 ○ 6 ○ 8 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ◎ 6 ― 0     秦恒平　「廬山」 65枚 36歳 評 ― 0 ■ 2 ◎ 6 ― 0 ― 0 ― 0 ○ 11 ― 0 ― 0     富岡多恵子　「イバラの燃える音」 70枚 36歳 評 ― 0 ■ 2 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 △ 5 ● 6 ○ 8     花輪莞爾　「触れられた闇」 69枚 36歳 評 ― 0 ■ 2 ― 0 △ 4 △ 6 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0     大久保操　「昨夜は鮮か」 75枚 36歳 評 ― 0 △ 3 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ● 6 ― 0                       欠席 年齢/枚数の説明   見方・注意点

井上靖64歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題「砧をうつ女」を推す　総行数28　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 ◎ 17 「感深く読んだ。」「私はこんどの、多少これまでとは異った資質を感じさせる作品が一番いいと思った。気負ったところがなく、らくに自分のペースで仕事をしており、作品全体に鳴っているようなもののあるのが感じられる。」「最後の銓衡で、私は（引用者中略）推した。」 東峰夫 33歳 全 △ 9 「しゃれた新鮮な感じの作品として評価されたが、私にはよく判らなかった。」「一番の問題は、読んでいて絶えず心象が定着しないもどかしさと焦らだちを覚えることだった。」「しかし、才能ある新人ということで、この作家の授賞にいささかも異存はない。」 後藤みな子 35歳 全 ○ 8 「感深く読んだ。」「長崎で原爆を受けた人たちの問題を正攻法で堂々と、しかも冷静正確な文章で描いている。すでに他の文学賞を受けているということもあって、銓衡においては最後まで残らなかったが、なみなみならぬ力作であることは否めない。」 長谷川修 45歳 全 ― 0   高橋たか子 39歳 全 ― 0   加藤富夫 43歳 全 ― 0   秦恒平 36歳 全 ― 0   富岡多恵子 36歳 全 ― 0   花輪莞爾 36歳 全 ― 0   大久保操 36歳 全 ― 0

他の選考委員 吉行淳之介 永井龍男 中村光夫 大岡昇平 安岡章太郎 瀧井孝作 丹羽文雄 舟橋聖一

吉行淳之介47歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題「少年」がポイント　総行数32　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 ■ 8 「授賞には、私は反対であったが、悪い作品というのではない。」「新しい文学の担い手の一人である筈の氏が、こういう傾向の作品で受賞しては、困るとおもったわけだ。李氏といえば新進作家の感じがあるので、おのずから要求がきびしくなってしまう。」 東峰夫 33歳 全 ○ 7 「私の推したのは、「オキナワの少年」と「玩具の兵隊」であった。」「おそらくずいぶんの努力の末にノンシャラン風の文体をつくり出したのは、手柄である。ただ、終りのところ、少年が家出先を無人島ときめたのは、あまりおもしろくない。この作品の成功は、主人公が少年であることが大きなポイントで、これからの作者は苦しむだろう。」 後藤みな子 35歳 全 △ 3 「原爆そのものでなく、その精神の後遺症とでもいうものを描いて、随所に興味深い部分があったが、いくつか疑問が残る。」 長谷川修 45歳 全 ■ 3 「長いキャリアの持主で、すでに作品発表の舞台に不自由しない人であるが、この作品は背丈が低い。」 高橋たか子 39歳 全 ■ 3 「才能が十分感じられたが、作品として見た場合不十分である。」 加藤富夫 43歳 全 ○ 6 「私の推したのは、「オキナワの少年」と「玩具の兵隊」であった。」「地味な才能の作者だが、ここにある一種苦いユーモアを評価した。」 秦恒平 36歳 全 ■ 2 「私には苦手の傾向であった。」 富岡多恵子 36歳 全 ■ 2 「才能が十分感じられたが、作品として見た場合不十分である。」 花輪莞爾 36歳 全 ■ 2 「才能が十分感じられたが、作品として見た場合不十分である。」 大久保操 36歳 全 △ 3 「才筆だがこの一作では私には分らない。あるいは直木賞向きの作品の書ける資質かともおもったが、それも分らない。」   「この一作という作品はなく、二作合わせて当選作が出るだろうとおもっていた。」

他の選考委員 井上靖 永井龍男 中村光夫 大岡昇平 安岡章太郎 瀧井孝作 丹羽文雄 舟橋聖一

永井龍男67歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題「廬山」を推す　総行数21　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 △ 3 「作者の心の広さに敬意を表する。」 東峰夫 33歳 全 △ 10 「（引用者注：「玩具の兵隊」と）作の出来上りは別として相似を感じた。」「（引用者注：「玩具の兵隊」に比べると）冒険へのスタートで筆を終えている」 後藤みな子 35歳 全 ― 0   長谷川修 45歳 全 △ 6 「各章のうち「ニシヤドッチ」「聖家族」「日本海の落日」がよく、俳句を挿入した始めの章で損をしている。」 高橋たか子 39歳 全 △ 4 「今度の十篇中、焦点へ焦点へと集中した作風では独自なものがあった。」 加藤富夫 43歳 全 ○ 8 「（引用者注：「オキナワの少年」と）作の出来上りは別として相似を感じた。」「（引用者注：「オキナワの少年」に比べると、冒険を）真向から描いた努力を買い、（引用者中略）泥臭さを私は支持した。」 秦恒平 36歳 全 ◎ 6 「「廬山」を推した。」「この作者の他作を読んでいる委員からも、積極的な支持はなかったので、大勢にしたがった。私は美しさに殉じた点を大きく買った。」 富岡多恵子 36歳 全 ― 0   花輪莞爾 36歳 全 ― 0   大久保操 36歳 全 ― 0

他の選考委員 井上靖 吉行淳之介 中村光夫 大岡昇平 安岡章太郎 瀧井孝作 丹羽文雄 舟橋聖一

中村光夫60歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題才能の使い方に遊び　総行数29　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 ■ 10 「欠点の多い作品と思われました。」「登場人物は鮮やかに描かれていますが、鮮やかすぎる作りものに似た印象をあたえるのは、氏の筆がひとのつけた条痕を行くスキーのように走りすぎるからでしょう。」「その結果、表現のたどたどしさが作者の精神の模索を象徴したような氏のこれまでの魅力が消えて、できすぎた失敗作ともいうべきものになっています。」 東峰夫 33歳 全 ■ 7 「欠点の多い作品と思われました。」「いくぶんわざとらしい文体で、少年の感受性を造型することに一応成功していますが、そこに描きだされる「オキナワ」は型にはまった沖縄で、そのためか、結末の主人公の脱出の意欲もただ話を面白くだけという印象しかあたえられません。」 後藤みな子 35歳 全 ■ 4 「部分的にすぐれた描写を持ちながら、全体の構想が（おそらく欲張りすぎて）破綻している」 長谷川修 45歳 全 ■ 4 「作者のまれに見る語り手の才能が、ひとりよがりな饒舌に堕しているのが惜しまれます。」 高橋たか子 39歳 全 △ 5 「読者の共感を阻む作者の人間観に問題がありますが、ともかく自分の世界を築こうとする、あるひたむきな意力が感じられ、（引用者中略）当選には遠い出来ですが、次作に期待したいと思います。」 加藤富夫 43歳 全 ― 0   秦恒平 36歳 全 ― 0   富岡多恵子 36歳 全 ― 0   花輪莞爾 36歳 全 △ 4 「意識して散文詩を書こうとする、発想の新しさがあります。（引用者中略）当選には遠い出来ですが、次作に期待したいと思います。」 大久保操 36歳 全 ― 0     「今回はどれも才人の作が集った代りに、深刻の表情をしながら才能の使いかたに、遊びのあるものが多く、作者の力倆は感じられても、まとまった感銘は与えられません。」

他の選考委員 井上靖 吉行淳之介 永井龍男 大岡昇平 安岡章太郎 瀧井孝作 丹羽文雄 舟橋聖一

大岡昇平62歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題一つの世界をもつ　総行数24　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 □ 13 「私は半票ぐらいの気持だった。一人の朝鮮の母親の生涯が、よく描かれているけれど、一人のすでに出来上った作家の、片手間仕事のような印象を私は受けた。」「「砧をうつ女」のような情感的なものでない作品を期待していた。しかしこれを推す委員がいれば、強いて反対する理由はなかった。」 東峰夫 33歳 全 □ 6 「占領時代の沖縄の世相が、逃げたい心を通して、納得できる。文学的に幼い部分もあるが、この作家はとにかく一つの世界を持っているのである。」 後藤みな子 35歳 全 ― 0   長谷川修 45歳 全 ― 0   高橋たか子 39歳 全 ― 0   加藤富夫 43歳 全 ― 0   秦恒平 36歳 全 ― 0   富岡多恵子 36歳 全 ― 0   花輪莞爾 36歳 全 △ 6 「日本文学の現状の中で、自分がどういう仕事をしているかについて、はっきりした意識を持っている点に独自性がある。」「こんどの作品は、成功した部分と全体との間にちぐはぐなところがある、と思った。」 大久保操 36歳 全 ― 0

他の選考委員 井上靖 吉行淳之介 永井龍男 中村光夫 安岡章太郎 瀧井孝作 丹羽文雄 舟橋聖一

安岡章太郎51歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題最良の「砧をうつ」　総行数31　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 ◎ 19 「「砧をうつ女」以外には、とくに推したいものはなかった。」「李恢成の作品は、（引用者中略）主要なものは大抵読んでいるが、こんどの「砧をうつ女」はその中でも最良の一つであろう。」「素直な抒情的な筆がよくのびている。」「母国の土だけでなく風俗も文化も失った憐れな女を、ひとごとならずわれわれに感じさせるところがある。」 東峰夫 33歳 全 △ 9 「たしかに私にも一応おもしろく読めたし、その軽快な筆致はかなり快適なものであった。しかし、（引用者中略）じつは少年の自由というのは本当の意味で自由なわけではなく、新鮮さもまた見掛け倒しのものに過ぎないようにも思われた。」「もう二、三作みてから賞になってもいいように思う。」 後藤みな子 35歳 全 ― 0   長谷川修 45歳 全 ― 0   高橋たか子 39歳 全 ― 0   加藤富夫 43歳 全 ― 0   秦恒平 36歳 全 ― 0   富岡多恵子 36歳 全 ― 0   花輪莞爾 36歳 全 ― 0   大久保操 36歳 全 ― 0     「芥川賞は、何も学校の入学試験ではないのだから、何度落選してもべつに恥ではなく、何度も候補に上る作家は何処かにそれだけの支持者がいるということなのだから、むしろ意を強くしていいのである。」

他の選考委員 井上靖 吉行淳之介 永井龍男 中村光夫 大岡昇平 瀧井孝作 丹羽文雄 舟橋聖一

瀧井孝作77歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題李恢成と秦恒平　総行数33　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 ◎ 11 「叙情がよくまとまって居た。李恢成氏の作は、こんどで五回候補になったが、私はこれが一番よいと思った。李恢成氏の日本語は、初心なたどたどしい所が新鮮味であったが、この「砧をうつ女」は、またよい意味で、野放図になったと思った。」 東峰夫 33歳 全 △ 5 「方言もうまく使って、まあ読ませるが、少し他愛のない感じもした。――素質のある人なら、受賞すれば、更によい作が出来るから、私は、授賞に反対はしなかった。――」 後藤みな子 35歳 全 ― 0   長谷川修 45歳 全 ― 0   高橋たか子 39歳 全 ― 0   加藤富夫 43歳 全 ― 0   秦恒平 36歳 全 ○ 11 「この短篇のはじめの、古代の武人の姿も簡潔に描かれ、武人の孫の生い立ちも憐れ深く、武人の孫の八歳の幼年が出家の時に、一人で廬山の頂上目がけて這い上る所は粘ばり強くて、「廬山」の題も宜かった。」「泉鏡花と芥川龍之介と二人の作に似た凝った所があると私は見たが、こんどの「廬山」は、それに野生の強いものが出てきたと思った。」 富岡多恵子 36歳 全 △ 5 「宇野浩二の語り口に似た筆で、市井人の一断面を描いて、三人の養子を三人三様に描き分けた所も、ちょっと才筆と見た。しかし、線の細いハイカラな漫画みたいな感じかとも見た。」 花輪莞爾 36歳 全 ― 0   大久保操 36歳 全 ― 0

他の選考委員 井上靖 吉行淳之介 永井龍男 中村光夫 大岡昇平 安岡章太郎 丹羽文雄 舟橋聖一

丹羽文雄67歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題新鮮な感銘　総行数27　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 △ 7 「作品としてもうすこし整理をしてほしかった。」「欲をいえば、もらった作品でなしに、たとえば「伽倻子のために」「青丘の宿」「われら青春の途上にて」というような作品で堂々と受賞してもらいたかった。それだけが心残りであった。」 東峰夫 33歳 全 ◎ 7 「ひさしぶりに新鮮な感銘を受けた。沖縄の日常語を大胆に駆使しているので、目新しい感じを受けたのであったが、新鮮と形容するのでは語弊があるかも知れない。」「濃厚な風俗性が単なる読物に落ちていない点がよろしい。」「二篇（引用者注：「オキナワの少年」と「玩具の兵隊」）を推した」 後藤みな子 35歳 全 ● 6 「作者だけにわかっている題名で、客観性がない。（引用者中略）女流作家は凝りすぎで、主観的になりすぎる欠点があるようである。」 長谷川修 45歳 全 ― 0   高橋たか子 39歳 全 ― 0   加藤富夫 43歳 全 ◎ 6 「好短篇であった。好き嫌いはあるだろうが、作品としてはよくまとまっていた。私はこの作と「オキナワの少年」の二篇を推したが、投票の結果、〇・五点ちがいで、「砧をうつ女」に芥川賞を譲ることになった。」 秦恒平 36歳 全 ― 0   富岡多恵子 36歳 全 ● 6 「作者だけにわかっている題名で、客観性がない。（引用者中略）女流作家は凝りすぎで、主観的になりすぎる欠点があるようである。」 花輪莞爾 36歳 全 ― 0   大久保操 36歳 全 ● 6 「作者だけにわかっている題名で、客観性がない。（引用者中略）女流作家は凝りすぎで、主観的になりすぎる欠点があるようである。」   「それぞれ読みやすくて、いつもより三、四篇も多かったが、少しも苦にならなかった。が、十篇とも妙に小粒であった。それに題のつけ方が拙劣であった。」

他の選考委員 井上靖 吉行淳之介 永井龍男 中村光夫 大岡昇平 安岡章太郎 瀧井孝作 舟橋聖一

舟橋聖一67歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題授賞作二篇　総行数38　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 李恢成 36歳 全 △ 19 「好感の持てる佳篇であった。」「前回までの諸作と較べて、この作が頭抜けているとは思わないし、また特に悪いとも思わない。」「私はこの作の授賞に反対しなかった。」「これがこの作家の掘り当てた鉱脈だとは言えないが、ここまで手を変え品を変えて書いてきて、やっとこの人の憎めない人柄に直面したような気がする。」 東峰夫 33歳 全 □ 16 「好感の持てる佳篇であった。」「終末の無人島行きが取って付けたようで苦しいが、これは沖縄から日本への脱出としたほうが現実感（ルビ：リアリティ）がもっと出たのではないか。」「沖縄の風土の住みよさと住みにくさが、もう一つ書けていたら、この作を推しきれなかった委員たちの票数を加えることができたかもしれない。素直で新鮮で、しかもなかなか小味がきいている。」 後藤みな子 35歳 全 ― 0   長谷川修 45歳 全 ― 0   高橋たか子 39歳 全 ― 0   加藤富夫 43歳 全 ― 0   秦恒平 36歳 全 ― 0   富岡多恵子 36歳 全 ○ 8 「私はおもしろく読んだが、意外に支持者が少なかった。まず語り口がうまい。小説の評価で、語り口の出来、不出来は大きい筈。」「構成に無理があり、書かないほうがいい部分もあるが、天分のある人のようである。将来に待ちたい。」 花輪莞爾 36歳 全 ― 0   大久保操 36歳 全 ― 0     「毎年の例に較べて、楽に読めた。そのかわり読後感は淡く、魅力にも迫力にも乏しかった。」

他の選考委員 井上靖 吉行淳之介 永井龍男 中村光夫 大岡昇平 安岡章太郎 瀧井孝作 丹羽文雄

李恢成36歳×各選考委員　 「砧をうつ女」 短篇 65枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ◎ 17 「感深く読んだ。」「私はこんどの、多少これまでとは異った資質を感じさせる作品が一番いいと思った。気負ったところがなく、らくに自分のペースで仕事をしており、作品全体に鳴っているようなもののあるのが感じられる。」「最後の銓衡で、私は（引用者中略）推した。」 吉行淳之介 47歳 全 ■ 8 「授賞には、私は反対であったが、悪い作品というのではない。」「新しい文学の担い手の一人である筈の氏が、こういう傾向の作品で受賞しては、困るとおもったわけだ。李氏といえば新進作家の感じがあるので、おのずから要求がきびしくなってしまう。」 永井龍男 67歳 全 △ 3 「作者の心の広さに敬意を表する。」 中村光夫 60歳 全 ■ 10 「欠点の多い作品と思われました。」「登場人物は鮮やかに描かれていますが、鮮やかすぎる作りものに似た印象をあたえるのは、氏の筆がひとのつけた条痕を行くスキーのように走りすぎるからでしょう。」「その結果、表現のたどたどしさが作者の精神の模索を象徴したような氏のこれまでの魅力が消えて、できすぎた失敗作ともいうべきものになっています。」 大岡昇平 62歳 全 □ 13 「私は半票ぐらいの気持だった。一人の朝鮮の母親の生涯が、よく描かれているけれど、一人のすでに出来上った作家の、片手間仕事のような印象を私は受けた。」「「砧をうつ女」のような情感的なものでない作品を期待していた。しかしこれを推す委員がいれば、強いて反対する理由はなかった。」 安岡章太郎 51歳 全 ◎ 19 「「砧をうつ女」以外には、とくに推したいものはなかった。」「李恢成の作品は、（引用者中略）主要なものは大抵読んでいるが、こんどの「砧をうつ女」はその中でも最良の一つであろう。」「素直な抒情的な筆がよくのびている。」「母国の土だけでなく風俗も文化も失った憐れな女を、ひとごとならずわれわれに感じさせるところがある。」 瀧井孝作 77歳 全 ◎ 11 「叙情がよくまとまって居た。李恢成氏の作は、こんどで五回候補になったが、私はこれが一番よいと思った。李恢成氏の日本語は、初心なたどたどしい所が新鮮味であったが、この「砧をうつ女」は、またよい意味で、野放図になったと思った。」 丹羽文雄 67歳 全 △ 7 「作品としてもうすこし整理をしてほしかった。」「欲をいえば、もらった作品でなしに、たとえば「伽倻子のために」「青丘の宿」「われら青春の途上にて」というような作品で堂々と受賞してもらいたかった。それだけが心残りであった。」 舟橋聖一 67歳 全 △ 19 「好感の持てる佳篇であった。」「前回までの諸作と較べて、この作が頭抜けているとは思わないし、また特に悪いとも思わない。」「私はこの作の授賞に反対しなかった。」「これがこの作家の掘り当てた鉱脈だとは言えないが、ここまで手を変え品を変えて書いてきて、やっとこの人の憎めない人柄に直面したような気がする。」

他の候補作 東峰夫 「オキナワの少年」 後藤みな子 「刻を曳く」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 高橋たか子 「共生空間」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 秦恒平 「廬山」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 花輪莞爾 「触れられた闇」 大久保操 「昨夜は鮮か」

東峰夫33歳×各選考委員　 「オキナワの少年」 短篇 99枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 △ 9 「しゃれた新鮮な感じの作品として評価されたが、私にはよく判らなかった。」「一番の問題は、読んでいて絶えず心象が定着しないもどかしさと焦らだちを覚えることだった。」「しかし、才能ある新人ということで、この作家の授賞にいささかも異存はない。」 吉行淳之介 47歳 全 ○ 7 「私の推したのは、「オキナワの少年」と「玩具の兵隊」であった。」「おそらくずいぶんの努力の末にノンシャラン風の文体をつくり出したのは、手柄である。ただ、終りのところ、少年が家出先を無人島ときめたのは、あまりおもしろくない。この作品の成功は、主人公が少年であることが大きなポイントで、これからの作者は苦しむだろう。」 永井龍男 67歳 全 △ 10 「（引用者注：「玩具の兵隊」と）作の出来上りは別として相似を感じた。」「（引用者注：「玩具の兵隊」に比べると）冒険へのスタートで筆を終えている」 中村光夫 60歳 全 ■ 7 「欠点の多い作品と思われました。」「いくぶんわざとらしい文体で、少年の感受性を造型することに一応成功していますが、そこに描きだされる「オキナワ」は型にはまった沖縄で、そのためか、結末の主人公の脱出の意欲もただ話を面白くだけという印象しかあたえられません。」 大岡昇平 62歳 全 □ 6 「占領時代の沖縄の世相が、逃げたい心を通して、納得できる。文学的に幼い部分もあるが、この作家はとにかく一つの世界を持っているのである。」 安岡章太郎 51歳 全 △ 9 「たしかに私にも一応おもしろく読めたし、その軽快な筆致はかなり快適なものであった。しかし、（引用者中略）じつは少年の自由というのは本当の意味で自由なわけではなく、新鮮さもまた見掛け倒しのものに過ぎないようにも思われた。」「もう二、三作みてから賞になってもいいように思う。」 瀧井孝作 77歳 全 △ 5 「方言もうまく使って、まあ読ませるが、少し他愛のない感じもした。――素質のある人なら、受賞すれば、更によい作が出来るから、私は、授賞に反対はしなかった。――」 丹羽文雄 67歳 全 ◎ 7 「ひさしぶりに新鮮な感銘を受けた。沖縄の日常語を大胆に駆使しているので、目新しい感じを受けたのであったが、新鮮と形容するのでは語弊があるかも知れない。」「濃厚な風俗性が単なる読物に落ちていない点がよろしい。」「二篇（引用者注：「オキナワの少年」と「玩具の兵隊」）を推した」 舟橋聖一 67歳 全 □ 16 「好感の持てる佳篇であった。」「終末の無人島行きが取って付けたようで苦しいが、これは沖縄から日本への脱出としたほうが現実感（ルビ：リアリティ）がもっと出たのではないか。」「沖縄の風土の住みよさと住みにくさが、もう一つ書けていたら、この作を推しきれなかった委員たちの票数を加えることができたかもしれない。素直で新鮮で、しかもなかなか小味がきいている。」

他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 後藤みな子 「刻を曳く」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 高橋たか子 「共生空間」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 秦恒平 「廬山」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 花輪莞爾 「触れられた闇」 大久保操 「昨夜は鮮か」

後藤みな子35歳×各選考委員　 「刻を曳く」 短篇 136枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ○ 8 「感深く読んだ。」「長崎で原爆を受けた人たちの問題を正攻法で堂々と、しかも冷静正確な文章で描いている。すでに他の文学賞を受けているということもあって、銓衡においては最後まで残らなかったが、なみなみならぬ力作であることは否めない。」 吉行淳之介 47歳 全 △ 3 「原爆そのものでなく、その精神の後遺症とでもいうものを描いて、随所に興味深い部分があったが、いくつか疑問が残る。」 永井龍男 67歳 全 ― 0   中村光夫 60歳 全 ■ 4 「部分的にすぐれた描写を持ちながら、全体の構想が（おそらく欲張りすぎて）破綻している」 大岡昇平 62歳 全 ― 0   安岡章太郎 51歳 全 ― 0   瀧井孝作 77歳 全 ― 0   丹羽文雄 67歳 全 ● 6 「作者だけにわかっている題名で、客観性がない。（引用者中略）女流作家は凝りすぎで、主観的になりすぎる欠点があるようである。」 舟橋聖一 67歳 全 ― 0

他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 東峰夫 「オキナワの少年」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 高橋たか子 「共生空間」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 秦恒平 「廬山」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 花輪莞爾 「触れられた闇」 大久保操 「昨夜は鮮か」

長谷川修45歳×各選考委員　 「まぼろしの風景画」 短篇 131枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ― 0   吉行淳之介 47歳 全 ■ 3 「長いキャリアの持主で、すでに作品発表の舞台に不自由しない人であるが、この作品は背丈が低い。」 永井龍男 67歳 全 △ 6 「各章のうち「ニシヤドッチ」「聖家族」「日本海の落日」がよく、俳句を挿入した始めの章で損をしている。」 中村光夫 60歳 全 ■ 4 「作者のまれに見る語り手の才能が、ひとりよがりな饒舌に堕しているのが惜しまれます。」 大岡昇平 62歳 全 ― 0   安岡章太郎 51歳 全 ― 0   瀧井孝作 77歳 全 ― 0   丹羽文雄 67歳 全 ― 0   舟橋聖一 67歳 全 ― 0	他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 東峰夫 「オキナワの少年」 後藤みな子 「刻を曳く」 高橋たか子 「共生空間」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 秦恒平 「廬山」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 花輪莞爾 「触れられた闇」 大久保操 「昨夜は鮮か」

高橋たか子39歳×各選考委員　 「共生空間」 短篇 75枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ― 0   吉行淳之介 47歳 全 ■ 3 「才能が十分感じられたが、作品として見た場合不十分である。」 永井龍男 67歳 全 △ 4 「今度の十篇中、焦点へ焦点へと集中した作風では独自なものがあった。」 中村光夫 60歳 全 △ 5 「読者の共感を阻む作者の人間観に問題がありますが、ともかく自分の世界を築こうとする、あるひたむきな意力が感じられ、（引用者中略）当選には遠い出来ですが、次作に期待したいと思います。」 大岡昇平 62歳 全 ― 0   安岡章太郎 51歳 全 ― 0   瀧井孝作 77歳 全 ― 0   丹羽文雄 67歳 全 ― 0   舟橋聖一 67歳 全 ― 0	他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 東峰夫 「オキナワの少年」 後藤みな子 「刻を曳く」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 秦恒平 「廬山」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 花輪莞爾 「触れられた闇」 大久保操 「昨夜は鮮か」

加藤富夫43歳×各選考委員　 「玩具の兵隊」 短篇 101枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ― 0   吉行淳之介 47歳 全 ○ 6 「私の推したのは、「オキナワの少年」と「玩具の兵隊」であった。」「地味な才能の作者だが、ここにある一種苦いユーモアを評価した。」 永井龍男 67歳 全 ○ 8 「（引用者注：「オキナワの少年」と）作の出来上りは別として相似を感じた。」「（引用者注：「オキナワの少年」に比べると、冒険を）真向から描いた努力を買い、（引用者中略）泥臭さを私は支持した。」 中村光夫 60歳 全 ― 0   大岡昇平 62歳 全 ― 0   安岡章太郎 51歳 全 ― 0   瀧井孝作 77歳 全 ― 0   丹羽文雄 67歳 全 ◎ 6 「好短篇であった。好き嫌いはあるだろうが、作品としてはよくまとまっていた。私はこの作と「オキナワの少年」の二篇を推したが、投票の結果、〇・五点ちがいで、「砧をうつ女」に芥川賞を譲ることになった。」 舟橋聖一 67歳 全 ― 0

他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 東峰夫 「オキナワの少年」 後藤みな子 「刻を曳く」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 高橋たか子 「共生空間」 秦恒平 「廬山」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 花輪莞爾 「触れられた闇」 大久保操 「昨夜は鮮か」

秦恒平36歳×各選考委員　 「廬山」 短篇 65枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ― 0   吉行淳之介 47歳 全 ■ 2 「私には苦手の傾向であった。」 永井龍男 67歳 全 ◎ 6 「「廬山」を推した。」「この作者の他作を読んでいる委員からも、積極的な支持はなかったので、大勢にしたがった。私は美しさに殉じた点を大きく買った。」 中村光夫 60歳 全 ― 0   大岡昇平 62歳 全 ― 0   安岡章太郎 51歳 全 ― 0   瀧井孝作 77歳 全 ○ 11 「この短篇のはじめの、古代の武人の姿も簡潔に描かれ、武人の孫の生い立ちも憐れ深く、武人の孫の八歳の幼年が出家の時に、一人で廬山の頂上目がけて這い上る所は粘ばり強くて、「廬山」の題も宜かった。」「泉鏡花と芥川龍之介と二人の作に似た凝った所があると私は見たが、こんどの「廬山」は、それに野生の強いものが出てきたと思った。」 丹羽文雄 67歳 全 ― 0   舟橋聖一 67歳 全 ― 0

他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 東峰夫 「オキナワの少年」 後藤みな子 「刻を曳く」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 高橋たか子 「共生空間」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 花輪莞爾 「触れられた闇」 大久保操 「昨夜は鮮か」

富岡多恵子36歳×各選考委員　 「イバラの燃える音」 短篇 70枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ― 0   吉行淳之介 47歳 全 ■ 2 「才能が十分感じられたが、作品として見た場合不十分である。」 永井龍男 67歳 全 ― 0   中村光夫 60歳 全 ― 0   大岡昇平 62歳 全 ― 0   安岡章太郎 51歳 全 ― 0   瀧井孝作 77歳 全 △ 5 「宇野浩二の語り口に似た筆で、市井人の一断面を描いて、三人の養子を三人三様に描き分けた所も、ちょっと才筆と見た。しかし、線の細いハイカラな漫画みたいな感じかとも見た。」 丹羽文雄 67歳 全 ● 6 「作者だけにわかっている題名で、客観性がない。（引用者中略）女流作家は凝りすぎで、主観的になりすぎる欠点があるようである。」 舟橋聖一 67歳 全 ○ 8 「私はおもしろく読んだが、意外に支持者が少なかった。まず語り口がうまい。小説の評価で、語り口の出来、不出来は大きい筈。」「構成に無理があり、書かないほうがいい部分もあるが、天分のある人のようである。将来に待ちたい。」

他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 東峰夫 「オキナワの少年」 後藤みな子 「刻を曳く」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 高橋たか子 「共生空間」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 秦恒平 「廬山」 花輪莞爾 「触れられた闇」 大久保操 「昨夜は鮮か」

花輪莞爾36歳×各選考委員　 「触れられた闇」 短篇 69枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ― 0   吉行淳之介 47歳 全 ■ 2 「才能が十分感じられたが、作品として見た場合不十分である。」 永井龍男 67歳 全 ― 0   中村光夫 60歳 全 △ 4 「意識して散文詩を書こうとする、発想の新しさがあります。（引用者中略）当選には遠い出来ですが、次作に期待したいと思います。」 大岡昇平 62歳 全 △ 6 「日本文学の現状の中で、自分がどういう仕事をしているかについて、はっきりした意識を持っている点に独自性がある。」「こんどの作品は、成功した部分と全体との間にちぐはぐなところがある、と思った。」 安岡章太郎 51歳 全 ― 0   瀧井孝作 77歳 全 ― 0   丹羽文雄 67歳 全 ― 0   舟橋聖一 67歳 全 ― 0	他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 東峰夫 「オキナワの少年」 後藤みな子 「刻を曳く」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 高橋たか子 「共生空間」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 秦恒平 「廬山」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 大久保操 「昨夜は鮮か」

大久保操36歳×各選考委員　 「昨夜は鮮か」 短篇 75枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井上靖 64歳 全 ― 0   吉行淳之介 47歳 全 △ 3 「才筆だがこの一作では私には分らない。あるいは直木賞向きの作品の書ける資質かともおもったが、それも分らない。」 永井龍男 67歳 全 ― 0   中村光夫 60歳 全 ― 0   大岡昇平 62歳 全 ― 0   安岡章太郎 51歳 全 ― 0   瀧井孝作 77歳 全 ― 0   丹羽文雄 67歳 全 ● 6 「作者だけにわかっている題名で、客観性がない。（引用者中略）女流作家は凝りすぎで、主観的になりすぎる欠点があるようである。」 舟橋聖一 67歳 全 ― 0	他の候補作 李恢成 「砧をうつ女」 東峰夫 「オキナワの少年」 後藤みな子 「刻を曳く」 長谷川修 「まぼろしの風景画」 高橋たか子 「共生空間」 加藤富夫 「玩具の兵隊」 秦恒平 「廬山」 富岡多恵子 「イバラの燃える音」 花輪莞爾 「触れられた闇」