長谷川修（はせがわおさむ）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

芥川賞のすべて・のようなもの

第52回

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Last Update●[H26]2014/6/20

	Hasegawa Osamu
	生没年月日【注】	大正15年/1926年3月8日～昭和54年/1979年5月1日
	経歴	山口県下関市生まれ。京都大学工学部卒。宇部化成を経て病気療養後、高校の化学教師となる。昭和35年/1960年、再度の療養中より創作を始める。
	受賞歴・候補歴	第8回「東大新聞」五月祭賞［佳作］（昭和37年/1962年）「キリストの足」 \|候補\| 第10回同人雑誌賞（昭和38年/1963年）「キリストの足」 \|候補\| 第52回芥川賞（昭和39年/1964年下期）「真赤な兎」 \|候補\| 第54回芥川賞（昭和40年/1965年下期）「孤島の生活」 \|候補\| 第55回芥川賞（昭和41年/1966年上期）「哲学者の商法」山口県芸術文化振興奨励賞［創作部門］（昭和41年/1966年度） \|候補\| 第66回芥川賞（昭和46年/1971年下期）「まぼろしの風景画」 \|候補\| 第2回泉鏡花文学賞（昭和49年/1974年）『遥かなる旅へ』
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第52回候補

「真赤(まっか)な兎(うさぎ)」（『新潮』昭和39年/1964年11月号）

媒体・作品情報

誌名	「新潮」別表記表紙「THE SHINCHO」併記
巻号	第61巻第11号別表記11月号/715号
作品名別表記	「眞赤な兎」
印刷/発行年月日	発行昭和39年/1964年11月1日
発行者等	編輯者発行者齋藤十一　印刷者高橋武夫　印刷所大日本印刷株式会社（東京都）
発行所	株式会社新潮社（東京都）
総ページ数	260	表記上の枚数	目次 125枚	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×24行 ×2段
本文ページ	6～47 （計42頁）	測定枚数	127枚

書誌

昭和44年/1969年7月・新潮社刊『ふうてん学生の孤独』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　長谷川修　38歳
選考委員		評価	行数	評言
石川淳	65歳	―	0
瀧井孝作	70歳	■	3	「筆が踊りすぎて、中間小説の面白味だと思った。」
石川達三	59歳	―	0
井上靖	57歳	―	0
丹羽文雄	60歳	―	0
高見順	57歳	■	5	「非行少年群の姿をそのまま描いたもので、批判がほしいというわけではないけど、主人公の心理に、ドライに徹し切れない甘さもあって、一種のノン・フィクションめいた浅さからまぬがれない。」
中村光夫	53歳	●	5	「主人公の反抗がいかにも理詰めで、少年の肉体が感じられないだけでなく、結末が破綻しているのは、作者まで兎を赤く染めるという思いつきに溺れているせいでしょう。」
川端康成	65歳	■	8	「作者が今日的な意図を構想、手法に試みているだけに、その難点も露出しているようだ。」「「真赤な兎」の軽みはおもしろいが、結尾の殺人（？）その他、行き過ぎの損失がある。」
永井龍男	60歳	―	0
舟橋聖一	60歳	△	2	「（引用者注：私の心に残った四篇「母の状況」「さい果て」「炎」「トンネル」の）次が、長谷川修の「真赤な兎」で、これは多分望み薄だろうと思った。」
選評出典：『芥川賞全集　第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和40年/1965年3月号）

第54回候補

「孤島(ことう)の生活(せいかつ)」（『新潮』昭和40年/1965年8月号）

媒体・作品情報

誌名	「新潮」別表記表紙「THE SHINCHO^」併記
巻号	第62巻第8号別表記8月号/724号
印刷/発行年月日	発行昭和40年/1965年8月1日
発行者等	編集兼発行者齋藤十一　印刷者高橋武夫　印刷所大日本印刷株式会社（東京都）
発行所	株式会社新潮社（東京都）
総ページ数	260	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×24行 ×2段
本文ページ	86～117 （計32頁）	測定枚数	95枚

書誌

昭和44年/1969年7月・新潮社刊『ふうてん学生の孤独』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　長谷川修　39歳
選考委員		評価	行数	評言
瀧井孝作	71歳	■	5	「筆がいささか冗漫、野放図な明るさが新味で、読ませるが、考えさせられる何かはないようだ。」
石川達三	60歳	●	4	「最後まで残ったかたちになったが、私はこの作品は採らない。文明社会から逸脱しようとする願いは誰にも有るが、その願望はこの程度の浅い幻想では共感を呼ばない。」
川端康成	66歳	■	2	「明るい楽しみであろうが、物足りないと言うべきか。」
丹羽文雄	61歳	◎	7	「奔放な、野放図なくらいの態度に私は心をうたれた。これを当選作として敢えて推したが、私自身の中の反撥心がそうさせたものであった。この小説には、夢がある。」「（引用者注：日本の文学は）絶望や虚無はお好きだが、人間が生きていく上には、もっと他の要素も大切であることが、この小説で教えられた。」
石川淳	66歳	―	0
井上靖	58歳	■	3	「自由でのびのびした筆はいいが、この前の兎を染める作品の方がこの作者の才気が自然に出ていたと思う。」
中村光夫	54歳	△	3	「個性のはっきりした作品」「奔放な才気は、将来を期待させます。」
舟橋聖一	61歳	■	10	「前々回の「真赤な兎」のほうがすぐれている。」「冒険小説風の構想は面白いが、（引用者中略）通俗的な譬喩の表現が時々出てくるのには、閉口した。作者はそれをリアルのつもりでいるのか、それともロマンチックのつもりでいるのか。が、それはそのどちらでもなく、只うすぎたない。」
永井龍男	61歳	○	7	「作者は、（引用者中略）相当な才人である。」「私は最後まで残した。」「軽さを指摘する人が多かったが、今後もこの作家はこの軽さを生かす処に道があると思う。」
選評出典：『芥川賞全集　第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和41年/1966年3月号）

第55回候補

「哲学者(てつがくしゃ)の商法(しょうほう)」（『文學界』昭和41年/1966年5月号）

媒体・作品情報

誌名	「文學界」別表記表紙「文藝春秋編集」併記
巻号	第20巻第5号別表記5月号
印刷/発行年月日	印刷昭和41年/1966年4月20日　発行昭和41年/1966年5月1日
発行者等	編集兼発行人杉村友一　印刷人高橋武夫　印刷所大日本印刷株式会社
発行所	文藝春秋新社（東京都）
総ページ数	230	表記上の枚数	目次 110枚	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×24行 ×2段
本文ページ	120～154 （計35頁）	測定枚数	106枚

書誌

昭和47年/1972年2月・新潮社刊『まぼろしの風景画』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　長谷川修　40歳
選考委員		評価	行数	評言
石川達三	61歳	―	0
大岡昇平	57歳	―	0
瀧井孝作	72歳	●	3	「ふざけた作だ。この人の前作「真赤な兎」「孤島の生活」などは、まだよかったが。」
丹羽文雄	61歳	△	5	「ストーリーテラーとしての才能にめぐまれているが、今回の「哲学者の商法」は、単にその線にとどまっている。」「このままの才能で終わるのは残念である。」
三島由紀夫	41歳	△	4	「興味を持ったが、これは戦争不適格者が、同時に戦後生活不適格者であって、しかも哲学者で、しかも蛇捕りの名人で、というアイロニカルな設定が面白かったから」
石川淳	67歳	―	0
中村光夫	55歳	―	0
永井龍男	62歳	―	0
井上靖	59歳	△	4	「書こうとしているものがはっきりしていて、候補作のレベルには達していると思った。」
川端康成	67歳	―	0
舟橋聖一	61歳	●	2	「前作、または前々作に劣るとされた。」
選評出典：『芥川賞全集　第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和41年/1966年9月号）

第66回候補

「まぼろしの風景画(ふうけいが)」（『新潮』昭和46年/1971年8月号）

媒体・作品情報

誌名	「新潮」別表記表紙「THE SHINCHO^」併記
巻号	第68巻第9号別表記8月号/797号
印刷/発行年月日	発行昭和46年/1971年8月1日
発行者等	編集兼発行者酒井健次郎　印刷者高橋武夫　印刷所大日本印刷株式会社（東京都）
発行所	株式会社新潮社（東京都）
総ページ数	260	表記上の枚数	目次 140枚	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×24行 ×2段
本文ページ	39～82 （計44頁）	測定枚数	131枚

書誌

昭和47年/1972年2月・新潮社刊『まぼろしの風景画』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　長谷川修　45歳
選考委員		評価	行数	評言
井上靖	64歳	―	0
吉行淳之介	47歳	■	3	「長いキャリアの持主で、すでに作品発表の舞台に不自由しない人であるが、この作品は背丈が低い。」
永井龍男	67歳	△	6	「各章のうち「ニシヤドッチ」「聖家族」「日本海の落日」がよく、俳句を挿入した始めの章で損をしている。」
中村光夫	60歳	■	4	「作者のまれに見る語り手の才能が、ひとりよがりな饒舌に堕しているのが惜しまれます。」
大岡昇平	62歳	―	0
安岡章太郎	51歳	―	0
瀧井孝作	77歳	―	0
丹羽文雄	67歳	―	0
舟橋聖一	67歳	―	0
選評出典：『芥川賞全集　第九巻』昭和57年/1982年10月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和47年/1972年3月号）

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