芥川賞のすべて・のようなもの
第172回
=受賞者=
安堂ホセ
鈴木結生
=候補者=
竹中優子
永方佑樹
乗代雄介
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Last Update
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[R7]2025/04/05
Nagae Y
u
ki
経歴
東京都生まれ。パリ第8大学大学院社会学部を経て慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻博士前期課程修了。
受賞歴・候補歴
第21回詩と思想新人賞(平成24年/2012年)『ものさびしの、ハナ』《詩》
第30回歴程新鋭賞(令和1年/2019年)『不在都市』《詩》
|候補|
第69回
H氏賞
(平成31年/2019年)『不在都市』《詩》
|候補|
第172回
芥川賞
(令和6年/2024年下期)「字滑り」
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文学賞の世界
▼
全
2
件
第
172
回候補
「
字滑
(
じすべ
)
り」
(『文學界』令和6年/2024年10月号)
媒体・作品情報
誌名
「文學界」
巻号
第78巻 第10号
別表記
10月号
印刷/発行年月日
発売
令和6年/2024年9月6日
発行
令和6年/2024年10月1日
発行者等
編集人
浅井茉莉子
発行人
花田朋子
印刷人
北島義斉
印刷所
大日本印刷
株式会社
DTP制作
株式会社
ローヤル企画
発行所
株式会社
文藝春秋
(東京都)
総ページ数
308
表記上の枚数
―
基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ
52~105
(計
54
頁)
測定枚数
175
枚
選評の概要
この回の全概要
見方・注意点
候補者
永方佑樹
(不明)
選考委員
評価
行数
評言
松浦寿輝
70歳
◎
27
「(引用者注:「二十四五」と共に)受賞作に推した。」「「字滑り体験のモニター」として三人の男女がリクルートされるという話の作りは相当強引だが、デジタル技術やAIの汎用化という現代的風俗と、古伝説が滞留する隠れ里の土俗性との唐突な衝突という趣向は面白い。その三人のうちの一人「アザミ」の身体が墨を含んだ文字と化し、官能的な山姥(ルビ:ヤマンバ)に食べられてゆくあたりの描写には迫力がある。」
島田雅彦
63歳
△
14
「失語、失認をキレのある詩的な言語で丹念に語るという離れ業に大いに興味をそそられた。ただ、このテーマにマニアックに拘泥し過ぎたためか、人間の発語に伴う身体性の考察がやや希薄になり、登場人物像が平板になった感がある。」
小川洋子
62歳
■
9
「アイデアが秀逸な分、安達ヶ原での場面の迫力不足が気になった。文字の裏側に潜む不穏な混沌に、もっと深く足を踏み入れてほしかった。」
奥泉光
68歳
■
10
「漢字、ひらがな、カタカナから構成される日本語が崩れていく幻想小説で、トポスが東京から安達ヶ原へ移る物語構成が摑みにくく、人物の造形に奥ゆきを欠いた点にも不満を覚えた。しかし細部の描写には出色のものがあり、作者の才気を感じさせた。」
山田詠美
65歳
◎
9
「しっかりとした言葉の土台の上に現代を乗せて物語は広がる。」「楽しい気分で面食らう表現がたびたびあって、そこが何とも色っぽい。初対面の作家の次作に期待して、この作品に丸を付けた。」
吉田修一
56歳
△
8
「一種の集団的発作のパンデミックという発想が心に残った。今回はそのせっかくの発想が書いているうちに掌から少しこぼれていった印象もあるが、この作者ならば、すぐに御する日もくると思う。」
平野啓一郎
49歳
●
15
「名詞に於ける記号と指示対象との紐帯(引用者中略)を触覚や味覚によってフェティッシュに再確認することで、言語全体の回復が企図されているが、一点の腐食からビルが倒壊することはあっても、その一点を修繕することで倒壊したビルが元通りになることがないように、成り立たない話ではないかと疑問に感じた。」
川上弘美
66歳
△
11
「発想が、とても興味深かったです。この小説こそが、「いかに書くか」の腕のみせどころ、と思いながら読んでいきましたが、「字滑り」自体についての焦点がぼやけてしまったのが残念でした。」
川上未映子
48歳
●
7
「局所的に起こる日本語の崩壊というアイデアは興味深いが、それを束ねるための物語展開と、前提になる字滑りそのものへの考察が不十分であるように思えた。」
選評出典:『文藝春秋』令和7年/2025年3月号
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