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選評なし

候補作

評価

行数

評価

行数

評価

行数

評価

行数

評価

行数

評価

行数

評価

行数

山本周五郎　「日本婦道記」

262枚

40歳

□

◎

○

◎

大林清　「華僑伝」

69枚

35歳

―

●

―

◎

岩下俊作　「西域記」

713枚

36歳

―

△

◎

△

久生十蘭　「真福寺事件」

56枚

41歳

―

●

―

●

渡辺啓助　「西北撮影隊」

109枚

42歳

―

○

―

・

立川賢　「幻の翼」

45枚

(36歳)

◎

―

・

辻勝三郎　「雪よりも白く」

47枚

27歳

◎

●

―

●

欠席
文書回答

欠席
電話回答

年齢/枚数の説明

見方・注意点

このページの選評出典：『オール讀物』平成14年/2002年12月号再録（初出：『文藝春秋』昭和18年/1943年9月号）
1行当たりの文字数：15字

選考委員

井伏鱒二

45歳×各候補作　

総行数18　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
山本周五郎	40歳	全	□	9	「練達の技によって書かれた作品である。厳然たる婦道を鼓吹する意欲が現われている。」
大林清	35歳	全	―	0
岩下俊作	36歳	全	―	0
久生十蘭	41歳	全	―	0
渡辺啓助	42歳	全	―	0
立川賢	(36歳)	全	◎	10	「佳作として選んだ。」「作者自身の身をもって生み出した素材を取扱っていて、その素材にはずみを持たしているところを頼もしく思ったわけである。」
辻勝三郎	27歳	全	◎	10	「佳作として選んだ。」「作者自身の身をもって生み出した素材を取扱っていて、その素材にはずみを持たしているところを頼もしく思ったわけである。」

他の選考委員

濱本浩

岩田豊雄

吉川英治

選考委員

濱本浩

52歳×各候補作　

総行数35　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
山本周五郎	40歳	全	◎	15	「この作者が、謙恭に、真摯に、今日の国家理念に確りと立脚して、至難の仕事に対した態度を尊く感じた。」
大林清	35歳	全	●	5	「構成の誤謬が気になり、氏が練達の作家だけに見過すことができなかった。」
岩下俊作	36歳	全	△	7	「長篇の最初の二三回で問題にするのは早計である。然しながら、氏の如き特質ある作家が酬いられない筈はない。」
久生十蘭	41歳	全	●	6	「今日の直木賞としては何となく物足りない気がしたのである。」
渡辺啓助	42歳	全	○	8	「山本周五郎氏の「名婦伝」と、渡辺啓助氏の「西北撮影隊」と何れを選ぶべきか思い惑った」
立川賢	(36歳)	全	―	0
辻勝三郎	27歳	全	●	4	「優美な作品であったが、その半面に戦場を表示する逞しさが欠けているのを遺憾に思った。」

他の選考委員

井伏鱒二

岩田豊雄

吉川英治

選考委員

岩田豊雄

50歳×各候補作　

総行数24　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
山本周五郎	40歳	全	○	10	「作者が日本婦道というものに堅固な把握をもち、そのために、いやらしい昂奮をせず、説得力をともなった情熱で書いている。」
大林清	35歳	全	―	0
岩下俊作	36歳	全	◎	14	「作品の素地に流るゝものは、よき意味の大衆文学精神なり、しかも、この作者の「富島松五郎伝」は画期的にして、その後あれだけの作品を書いたものはない、」
久生十蘭	41歳	全	―	0
渡辺啓助	42歳	全	―	0
立川賢	(36歳)	全	―	0
辻勝三郎	27歳	全	―	0

他の選考委員

井伏鱒二

濱本浩

吉川英治

選考委員

吉川英治

50歳×各候補作　

総行数81　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
山本周五郎	40歳	全	◎	21	「「名婦伝」の真面目な勉強を私は認めたい。決して新鮮なる描破や感激の盛り上るようなものを持っている作品ではないが、手がたいと云えるものである。」
大林清	35歳	全	◎	33	「華僑のユダヤ的徑路につぶさで、時局の変革に当ると押流されるまゝになって、それに作家としての精神的解決が与えられていないのは、何といっても欠点である。ただしこの作の筆触はどれよりも優れている。」
岩下俊作	36歳	全	△	3	「しばらくあずかる。これを直木賞でとりあげていゝか何うかも考えさせられる。」
久生十蘭	41歳	全	●	10	「現下の緊迫した読者層から見たとき何かしらつかみどころのない頼りなさを覚えるのではあるまいか。」
渡辺啓助	42歳	全	・	3	「掲載誌が締切までに届いて来ないので読めなかった。」
立川賢	(36歳)	全	・	3	「掲載誌が締切までに届いて来ないので読めなかった。」
辻勝三郎	27歳	全	●	19	「問題はやはり皇軍の一斑を書いているので、この人の真情としてはゆるし得るものとしても皇軍の兵をつらぬいてよいものかどうかという点に問題がありはしまいかと思う。」

他の選考委員

井伏鱒二

濱本浩

岩田豊雄

候補者・作品

山本周五郎

40歳×各選考委員　

「日本婦道記」

連作10篇 262枚

選考委員			評価	行数	評言
井伏鱒二	45歳	全	□	9	「練達の技によって書かれた作品である。厳然たる婦道を鼓吹する意欲が現われている。」
濱本浩	52歳	全	◎	15	「この作者が、謙恭に、真摯に、今日の国家理念に確りと立脚して、至難の仕事に対した態度を尊く感じた。」
岩田豊雄	50歳	全	○	10	「作者が日本婦道というものに堅固な把握をもち、そのために、いやらしい昂奮をせず、説得力をともなった情熱で書いている。」
吉川英治	50歳	全	◎	21	「「名婦伝」の真面目な勉強を私は認めたい。決して新鮮なる描破や感激の盛り上るようなものを持っている作品ではないが、手がたいと云えるものである。」

他の候補作

候補者・作品

大林清

35歳×各選考委員　

「華僑伝」

短篇 69枚

選考委員			評価	行数	評言
井伏鱒二	45歳	全	―	0
濱本浩	52歳	全	●	5	「構成の誤謬が気になり、氏が練達の作家だけに見過すことができなかった。」
岩田豊雄	50歳	全	―	0
吉川英治	50歳	全	◎	33	「華僑のユダヤ的徑路につぶさで、時局の変革に当ると押流されるまゝになって、それに作家としての精神的解決が与えられていないのは、何といっても欠点である。ただしこの作の筆触はどれよりも優れている。」

他の候補作

候補者・作品

岩下俊作

36歳×各選考委員　

「西域記」

長篇（一部） 713枚

選考委員			評価	行数	評言
井伏鱒二	45歳	全	―	0
濱本浩	52歳	全	△	7	「長篇の最初の二三回で問題にするのは早計である。然しながら、氏の如き特質ある作家が酬いられない筈はない。」
岩田豊雄	50歳	全	◎	14	「作品の素地に流るゝものは、よき意味の大衆文学精神なり、しかも、この作者の「富島松五郎伝」は画期的にして、その後あれだけの作品を書いたものはない、」
吉川英治	50歳	全	△	3	「しばらくあずかる。これを直木賞でとりあげていゝか何うかも考えさせられる。」

他の候補作

候補者・作品

久生十蘭

41歳×各選考委員　

「真福寺事件」

短篇 56枚

選考委員			評価	行数	評言
井伏鱒二	45歳	全	―	0
濱本浩	52歳	全	●	6	「今日の直木賞としては何となく物足りない気がしたのである。」
岩田豊雄	50歳	全	―	0
吉川英治	50歳	全	●	10	「現下の緊迫した読者層から見たとき何かしらつかみどころのない頼りなさを覚えるのではあるまいか。」

他の候補作

候補者・作品

渡辺啓助

42歳×各選考委員　

「西北撮影隊」

短篇 109枚

選考委員			評価	行数	評言
井伏鱒二	45歳	全	―	0
濱本浩	52歳	全	○	8	「山本周五郎氏の「名婦伝」と、渡辺啓助氏の「西北撮影隊」と何れを選ぶべきか思い惑った」
岩田豊雄	50歳	全	―	0
吉川英治	50歳	全	・	3	「掲載誌が締切までに届いて来ないので読めなかった。」

他の候補作

候補者・作品

立川賢

(36歳)×各選考委員　

「幻の翼」

短篇 45枚

選考委員			評価	行数	評言
井伏鱒二	45歳	全	◎	10	「佳作として選んだ。」「作者自身の身をもって生み出した素材を取扱っていて、その素材にはずみを持たしているところを頼もしく思ったわけである。」
濱本浩	52歳	全	―	0
岩田豊雄	50歳	全	―	0
吉川英治	50歳	全	・	3	「掲載誌が締切までに届いて来ないので読めなかった。」

他の候補作

候補者・作品

辻勝三郎

27歳×各選考委員　

「雪よりも白く」

短篇 47枚