井伏鱒二（いぶせますじ）-直木賞選考委員｜直木賞のすべて

直木賞のすべて

選評の概要

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Last Update●[R6]2024/9/8

	Ibuse Masuji
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	生没年月日【注】	明治31年/1898年2月15日～平成5年/1993年7月10日
	在任期間	第17回～第38回（通算15年・22回）
	在任年齢	45歳4ヶ月～59歳10ヶ月
	経歴	本名＝井伏満寿二。広島県深安郡加茂村（現・福山市）生まれ。早稲田大学仏文学科中退。
	受賞歴・候補歴	第6回直木賞（昭和12年/1937年下期）『ジョン万次郎漂流記』その他 \|候補\| 第3回毎日出版文化賞（昭和24年/1949年）『シビレ池のかも』第1回読売文学賞［小説賞］（昭和24年/1949年）「本日休診」その他第12回日本藝術院賞［文芸］（昭和30年/1955年度）小説『漂民宇三郎』など \|候補\| 第11回読売文学賞［小説賞］（昭和34年/1959年）『珍品堂主人』 \|候補\| 第6回新潮社文学賞（昭和34年/1959年）『珍品堂主人』 \|候補\| 第14回読売文学賞［研究・翻訳賞］（昭和37年/1962年）『ドリトル先生物語全集』《翻訳》第19回野間文芸賞（昭和41年/1966年）『黒い雨』 \|候補\| 第8回毎日芸術賞［文学部門］（昭和41年/1966年度）『黒い雨』 \|候補\| 第21回毎日出版文化賞（昭和42年/1967年）『黒い雨』文化功労者（昭和41年/1966年）文化勲章（昭和41年/1966年）第23回読売文学賞［随筆・紀行賞］（昭和46年/1971年）『早稲田の森』東京都名誉都民（平成2年/1990年） \|候補\| 第14回広島本大賞（令和6年/2024年）『広島風土記』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全15件
	処女作	「やんま」（大正8年/1919年）「たま虫を見る」（大正8年/1919年）「鯉」（大正15年/1926年）「山椒魚」（昭和4年/1929年）
	個人全集	『井伏鱒二全集』全12巻（昭和39年/1964年9月～昭和40年/1965年8月・筑摩書房刊）『井伏鱒二全集』全14巻（昭和49年/1974年3月～昭和50年/1975年7月・筑摩書房刊　増補版）『井伏鱒二全集』全28巻・別巻2（平成8年/1996年11月～平成12年/2000年3月・筑摩書房刊）
	直木賞候補歴	第6回受賞『ジョン万次郎漂流記』（昭和12年/1937年11月・河出書房／記録文学叢書）その他
	備考	ホームページをご覧の方より情報をご提供いただき、「ジョン万次郎漂流記」収録の角川文庫の刊行年月（昭和31年/1956年）を追加しました。貴重な情報ありがとうございます。 (2007.6.16記）

下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの（見方・注意点を参照）、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

第17回昭和18年/1943年上半期

選評の概要　総行数18　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　45歳
候補		評価	行数	評言
立川賢	(36歳)	◎	10	「佳作として選んだ。」「作者自身の身をもって生み出した素材を取扱っていて、その素材にはずみを持たしているところを頼もしく思ったわけである。」
辻勝三郎	27歳	◎	10	「佳作として選んだ。」「作者自身の身をもって生み出した素材を取扱っていて、その素材にはずみを持たしているところを頼もしく思ったわけである。」
選評出典：『オール讀物』平成14年/2002年12月号再録（初出：『文藝春秋』昭和18年/1943年9月号）

第18回昭和18年/1943年下半期

選評の概要　総行数12　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　45歳
候補		評価	行数	評言
森荘已池	36歳	◎	12	「二つとも穏健平明で、決して姑息なるところがない感じである。敢て大きく見せようとする加工の跡がなくて清潔であると思った。」
選評出典：『オール讀物』平成14年/2002年12月号再録（初出：『文藝春秋』昭和19年/1944年3月号）

第21回昭和24年/1949年上半期

選評の概要　総行数19　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　51歳
候補		評価	行数	評言
富田常雄	45歳	◎	19	「書きわけられた各人物の各性格が、自然に物語を生んで来ているではないか。素朴な人物、愚直な人物、極めて古風な老巧者など、よく淘汰して書きわけてある。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『文藝讀物』昭和24年/1949年9月号）

第22回昭和24年/1949年下半期

選評の概要　題四月二十三日記　総行数24　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　52歳
候補		評価	行数	評言
山田克郎	39歳	○	21	「山田氏の創作態度には真摯なところがあると見受け、また、「海の廃園」のロマン風の材料には一もく置いていた故に、（引用者中略）暫定的に賛成した。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『文藝讀物』昭和25年/1950年6月号）

第23回昭和25年/1950年上半期

選評の概要　題感想　総行数38　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　52歳
候補		評価	行数	評言
小山いと子	49歳	□	21	「私は初めのうちだけ微かに異存があるような口をきいた。」「緊縮を持たすという嬉しい加工努力が足りないのではないだろうか。」「しかし興味ふかい素材を見つけるのは才能だ。」
今日出海	46歳	△	17	「話術が巧妙を得て、主人公のわびしさを私は微笑のうちに感得した。同席の選者諸氏は、この作品も取りあげたい意向を見せていた。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『オール讀物』昭和25年/1950年11月号）

第24回昭和25年/1950年下半期

選評の概要　題選後評　総行数36　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　52歳
候補		評価	行数	評言
檀一雄	39歳	○	36	「本誌編輯部から届けられた「新大阪」連載の切抜で読んだ。（引用者中略）ここにある天空海闊ぶりは痛快であった。一種の高踏派だと思われる。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『オール讀物』昭和26年/1951年4月号）

第25回昭和26年/1951年上半期

選評の概要　題満場一致の授賞　総行数33　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　53歳
候補		評価	行数	評言
源氏鶏太	39歳	◎	33	「作品の題材に会社員だけを選ぶほどの余力を見せている。この余力でもって、反対に取材に趨異を見せてもらえるように私は希望したい。」
				「今回は殆んど満場一致で話がきまった。（引用者中略）詮衡時間、わずか一時間内外である。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『オール讀物』昭和26年/1951年10月号）

第26回昭和26年/1951年下半期

選評の概要　題感想　総行数54　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　53歳
候補		評価	行数	評言
久生十蘭	49歳	□	31	「私は、もうこの作家は直木賞を受けたい気持はないのではないかと発言した。すると大佛次郎氏が、いや、久生十蘭君は決してそんなつもりはないだろう、いつも試作々々と一作ごとに冒険のつもりで新境地を拓こうとつとめている、努力家だ、と参考意見を述べて私を啓蒙させた。」
柴田錬三郎	34歳	△	26	「この前の同氏の候補作品「デスマスク」と同じような形式である。私は不図それが気になったが、これも偶然のことであって今は問題にすべきではないと反省することができた。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『オール讀物』昭和27年/1952年4月号）

第27回昭和27年/1952年上半期

選評の概要　題入賞は当然　総行数38　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　54歳
候補		評価	行数	評言
藤原審爾	31歳	◎	38	「藤原君は女性の本能的な正体を書き現わすのが得意だと云われるが、一方また、がらりと面目の違った「藤十郎狸」のようなユーモラスな作品の開拓にも独創的なところを見せて来た。」「今日の入賞は当然だと思っている。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『オール讀物』昭和27年/1952年10月号）

第28回昭和27年/1952年下半期

選評の概要　題「叛乱」を推す　総行数20　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　54歳
候補		評価	行数	評言
立野信之	49歳	◎	20	「いやみのない労作だと思ったので私はこの作品を推した。」「終始一貫、気取りのない筆致も男らしい。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『オール讀物』昭和28年/1953年4月号）

第29回昭和28年/1953年上半期

選評の概要　題広範囲のアンケートを　総行数37　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　55歳
候補	評価	行数	評言
			「該当なしの発言に私は賛成した。」「アンケートの依嘱範囲は、文筆家だけに定めないで、ほかの職業の人にも拡げたらどうだろう。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年3月号再録（初出：『オール讀物』昭和28年/1953年10月号）

第30回昭和28年/1953年下半期

選評の概要　題選を終えて　総行数44　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　55歳
候補		評価	行数	評言
木山捷平	49歳	◎	10	「落ちつきのある作風で素朴なユーモア掬すべきものがあると思った。」
田宮虎彦	42歳	○	8	「巧妙に書けていると思った。」「もし（引用者注：木山授賞に）異論が出るとすれば、その場合は田宮君の作品を推すつもりで私は会に出席した。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年3月号再録（初出：『オール讀物』昭和29年/1954年4月号）

第31回昭和29年/1954年上半期

選評の概要　総行数42　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　56歳
候補		評価	行数	評言
有馬頼義	36歳	◎	30	「ことに女を操る手練には一貫したセオリーがあるかのごとく、その傾向に属する場面を譬えばきめだまのようにそのつど話の区切りに持って行き、感傷的に流れることを避けている。」
南條範夫	45歳	◎	26	「「水妖記」の主人公である河童は、痛み易く傷つき易い神経を持ち、もともと胎生のものでありながら卵生の動物のように純情であり、自己批判の精神を失っていない点に風趣を覚えさせられた。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年3月号再録（初出：『オール讀物』昭和29年/1954年10月号）

第32回昭和29年/1954年下半期

選評の概要　題感想　総行数40　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　56歳
候補		評価	行数	評言
梅崎春生	39歳	○	21	「従来の佳作でもそうであったように逞しい観察力がうかがわれる。「ボロ家の春秋」の方はねっとりとして技巧のあとが目につくと思ったので、もし梅崎氏のものが対象にあげられたら「猫と蟻と犬」を推すつもりでいた。」
戸川幸夫	42歳	○	19	「羨むべき想像力の所産、または詩情ゆたかな経験談だと読後に思った。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年3月号再録（初出：『オール讀物』昭和30年/1955年4月号）

第33回昭和30年/1955年上半期

選評の概要　題感想　総行数27　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　57歳
候補	評価	行数	評言
			「特にどの作品を推したいという気は起らなかった。」「大衆小説として選ぶ上は、鑑賞眼に信の置ける文筆家以外の人たちの回答も参考にしたらどうか。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年3月号再録（初出：『オール讀物』昭和30年/1955年10月号）

第34回昭和30年/1955年下半期

選評の概要　題感想　総行数35　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　57歳
候補		評価	行数	評言
新田次郎	43歳	○	16	「謙虚だが、のびのびと素直に書かれている。この素朴に興味を持つ読者には愛読するに適う作品に違いない。」
今官一	46歳	○	17	「真面目に書かれているという点では遜色がない。」
邱永漢	31歳	□	8	「やはりどぎついが材料が面白く「濁水渓」に比べると長足の進歩である。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年3月号再録（初出：『オール讀物』昭和31年/1956年4月号）

第35回昭和31年/1956年上半期

選評の概要　題選評　総行数32　（1行=15字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　58歳
候補		評価	行数	評言
南條範夫	47歳	□	19	「大衆の読物として通用するのは無難だが、この作者としては画期的な出来栄えのものではあるまいと云った。」「両氏の日頃の実績と思いあわせて授賞に賛成した。」
今官一	46歳	□	17	「素材は面白いが手軽に組立てられているようなところがあると云った。」「両氏の日頃の実績と思いあわせて授賞に賛成した。」
				「是非とも推したいと思う作品が見つからなかった。」
選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年3月号再録（初出：『オール讀物』昭和31年/1956年10月号）

第36回昭和31年/1956年下半期

選評の概要　題報告　総行数32　（1行=14字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　58歳
候補		評価	行数	評言
村松喬	39歳	◎	13	「なかんづくビルマ人を巧妙に書いている。思うに、これだけ人間を書けるとすれば将来性ある新人に違いない。」
木山捷平	52歳	◎	15	「文藝春秋に出たとき可成りの反響を呼んだ。」「衆目というものを一応は尊重したい。事実また、大きな動乱を泰然として書きこなしている手腕は相当なものだと思う。」
今東光	58歳	△	3	「今東光氏はいつだって嚢中の錐ではないかと思った。」
穂積驚	44歳	―	0
選評出典：『オール讀物』昭和32年/1957年4月号

第37回昭和32年/1957年上半期

選評の概要　題感想　総行数24　（1行=14字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　59歳
候補		評価	行数	評言
佐藤明子	25歳	◎	11	「キリシタン会士の報告書のスタイルを取入れた武将伝だが、大がかりな抑揚が少くて適宜な節度も情緒も感じられ好感が持てた。」
江崎誠致	35歳	○	7	「才人の才筆だが、自己批判が、（敗残兵として戦争それ自体に対する疑いもこめて）強くにじみ出ていないと思ったので半票を入れた。」
選評出典：『オール讀物』昭和32年/1957年10月号

第38回昭和32年/1957年下半期

選評の概要　題感想　総行数20　（1行=14字）

この回の全概要　見方・注意点

選考委員　井伏鱒二　59歳
候補	評価	行数	評言
			「私の読んだ限りの作品から感じたことは、当夜発表された会議の決定と、ほぼ一致していた」
選評出典：『オール讀物』昭和33年/1958年4月号

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