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昭和63年/1988年度
(平成1年/1989年5月18日決定発表/『小説新潮』平成1年/1989年7月号選評掲載)
選考委員  井上ひさし
男54歳
田辺聖子
女61歳
野坂昭如
男58歳
藤沢周平
男61歳
山口瞳
男62歳
最終投票
選評総行数  166 172 134 165 146  
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
吉本ばなな 『TUGUMIつぐみ』
女24歳
41 52 45 50 50    
原尞 『そして夜は甦る』
男42歳
54 55 32 35 36    
佐藤正午 『個人教授』
男33歳
17 13 21 19 24    
久間十義 『聖マリア・らぷそでぃ』
男35歳
28 28 14 26 9    
永倉万治 『みんなアフリカ』
男41歳
30 26 16 34 21    
           
年齢の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『小説新潮』平成1年/1989年7月号
1行当たりの文字数:30字


選考委員
井上ひさし男54歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数166 (1行=30字)
候補 評価 行数 評言
吉本ばなな
女24歳
41 4.5点「少女漫画風とかいろいろ難点はありますが、そういう難点も全部含めて、売れる理由はコスモロジー、宇宙論なんです。一刻一刻が、二度と帰らない一刻一刻だということを、この作者は若いのによく分かっているんですね。」「宮沢賢治が持っている時間論がここにもあるんです。」
原尞
男42歳
54 4点「比喩がとても面白いですね。ユーモアがある。」「欠点は、舞台を東京にしたこと。東京の広さが、マイナスになったと思います。」「でも、処女作でこれだけいい文章の書ける人は珍しいんじゃないでしょうか。」「石原兄弟の影さえなければ、架空の世界で通してくれていれば、これで決まりという感じはしたんですが。」
佐藤正午
男33歳
17 3点「教授が最初に出てきた時は、さてどういうふうに面白くなるかと思ったのですが、基本的に乗りにくかったのは、作者が主人公を甘やかしすぎるところです。」「都合がよすぎるという印象が最後まで残りました。」
久間十義
男35歳
28 3点「まず、もうちょっと神話的文体を考えてほしかったですね。こういう話を書くためには、抽象度が低すぎる。」「後半、因果話になってしまうところも、イージーだという気がします。」「作者の構想力といいますか、狙いそのものは壮とすべきですが、残念ながらそれが空回りしてしまったように思います。」
永倉万治
男41歳
30 4点「作者は、恩讐を超えてというか、いろんな利害を背負った人間たちが同じ夢を見て、そっちへ歩き出す瞬間をよくつかまえています。」「三篇ともほのぼのとしていてとてもいいんですが、最後に読者の心臓をピンで止める、なにか強いものがほしいところです。」
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他の選考委員
田辺聖子
野坂昭如
藤沢周平
山口瞳
最終投票
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選考委員
田辺聖子女61歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数172 (1行=30字)
候補 評価 行数 評言
吉本ばなな
女24歳
52 4点「意外と文章も、小説の中の情景も、頭の中にいつまでも残っていたりして、確かにばななさんが売れる理由はあるなあと思うんです。」「これは嘘と虚構で出来上がった小説世界ですから、海千山千の百戦錬磨の大人たちの、強い視線に耐えられるかどうか、そこがちょっと心もとないんです。」「売れることが賞、という性質の文学がありますね。ばななさんは、多分それでしょう。」
原尞
男42歳
55 5点「日本語というのはかなり情緒的な言葉ですが、その日本語を使って、ここまで無機質な文体をちゃんとつくってらっしゃるというのは、面白いんじゃないでしょうか。」「ハードボイルドはずいぶん書き尽くされたと思われているのに、またここに新しい突破口を見つけたという感じで、これは原さんの才能だなという気がするんです。」
佐藤正午
男33歳
13 3点「書き出しはすごくうまいですね。」「竜頭蛇尾、だんだん尻つぼみになっていったという感じでした。」「一流の新聞社に勤める主人公の男の子を、なぜ休職という扱いにしたのかも分かりません。」
久間十義
男35歳
28 3点「はじめに読んだ時は、シッチャカメッチャカで品は悪いんだけれど、力がすごく強くて、思いついたことを全部並べたててしまう文体が新選に見え、面白いと思ったんですね。」「ところが二へん目は、やっぱり読みづらくて困りました。」「少女たちが、親から逃げてくる、なぜ逃げてくるのか、なぜ集団生活をしているほうが面白いのか、そこのところを書き込まないと、骨格をなさないと思います。」
永倉万治
男41歳
26 5点「読んでいて、思わず笑ってしまいました。」「このごろ、大人の読める小説が殊に少ない気がしますから、この人は大事にして上げたいと思います。」「あんまり出来すぎているから魅力が薄れていくんじゃないですか。誰かが前に書いてる感じもあるし。」
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他の選考委員
井上ひさし
野坂昭如
藤沢周平
山口瞳
最終投票
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選考委員
野坂昭如男58歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数134 (1行=30字)
候補 評価 行数 評言
吉本ばなな
女24歳
45 2.5点「これが今の読者に合うんだったら、僕が選考委員として、いいの悪いの、論う筋のことではないと思う。」「けれども僕は、こんな作品、小説としてはほとんど認めません。」「得手勝手な自分の感傷世界を、都合よく構築しているだけではないかという感じがした」
原尞
男42歳
32 3点「とにかく、読むのに苦労しましたね。苦痛でした。」「各章のおしまいに、必ず気のきいたようなことを付け加えているのが、いかにも見え透いていてひっかかります。」「僕はほとんど評価しないというか、少なくともこの賞には価しないと思います。」
佐藤正午
男33歳
21 0点「全く存在感のない人間が、ふわふわしているだけです。」「仕掛けやら何やら全部ひっくるめて、僕にはこの小説は分からない。」
久間十義
男35歳
14 0点「いきいきしている人間は一人もいない。一体この人は、何を、こういう形を借りて言いたかったのか、そういうところがちっとも伝わってこない。」「調子がいいというか、お手軽というか、大体、小説が下手糞というか。」
永倉万治
男41歳
16 4点「コントの延長みたいなもので、人物もずいぶんご都合主義で、かくあるだろうと思われる連中が、思ったとおりに動いているだけの話だけれども、少なくともこの一冊だけは、読みやすく読んだんです。」「だけど僕、これも積極的には推さないですよ。」
  「今年は受賞作なし、僕ははじめからそう思っています。」
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他の選考委員
井上ひさし
田辺聖子
藤沢周平
山口瞳
最終投票
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選考委員
藤沢周平男61歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数165 (1行=30字)
候補 評価 行数 評言
吉本ばなな
女24歳
50 3.5点「この小説は、少女小説なんだろうと思いますね。」「そんなに新しい小説だとも私は思わなかった。」「語り手のまりあの視線、つぐみの行動を解釈する、周りの人間の反応を解釈する、そのまりあの視線がいつも甘すぎるんですね。」
原尞
男42歳
35 3.5点「とにかくこの作品は、チャンドラーに似すぎているんですね。」「たとえば逢坂剛さんが「百舌の叫ぶ夜」で出てきた時の、新鋭登場! といった感じ、これがないんですね。結局は無難にまとまっている作品、そういうふうに読みました。」
佐藤正午
男33歳
19 3点「この人、細部はわりにうまく書いているんですが、全体に何を書いているのかという、大状況みたいなものが芳しくないんですね。」「もっと刈り込んで主題をはっきりさせないと、賛成出来ない小説だと思いました。」
久間十義
男35歳
26 3.5点「主人公がカメラマンと女の子と三人で、マリアの部屋を訪ねていくあたりまでですが、(引用者中略)ブラックなユーモアというのかな、そういう感じの文章で、期待をもたせるところがありますね。」「ところが、その後は全く期待に反して、内容的な展開は何も出て来ない。」
永倉万治
男41歳
34 4点「二回目に読んでみますと、意外や意外、人間の体温みたいなものがこの「みんなアフリカ」という短篇にはあるようなんですね。」「現代風俗をちりばめた、軽い文章で書かれたものですが、ユーモアもありますしね。」「隠れている何か、たとえば可能性とか資質とか、そういうものがあまり感じられないんですね。」
  「(引用者注:受賞作を)出したい気持ちはあるんだけれど、全体としていかにも不作という感じが否めませんね。」
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他の選考委員
井上ひさし
田辺聖子
野坂昭如
山口瞳
最終投票
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選考委員
山口瞳男62歳×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数146 (1行=30字)
候補 評価 行数 評言
吉本ばなな
女24歳
50 3点「なかなか文章力があるとは思いました。」「私は、少女小説であってもいいと思うんです。けれど、どうしてもこのつぐみという女の子が、可愛いというふうにならないんですよ。」「でも、なんとなく、なかなかのもんだという印象はあるんです。」「小説とか文章というものは、これでいいというふうに、若い人たちが思ってしまうとつらいなという感じがあるんですよ。」
原尞
男42歳
36 3点「これはチャンドラーの真似だというんで、それを楽しみに読んだのですよ。だけど、あんまり感じなかった。」「ストーリーの点では、複雑にすれば力作になるとか、読者へのサービスになるとか、間違った考えがこの人にはあるんじゃないでしょうか。」
佐藤正午
男33歳
24 2点「主人公は四十万円のお手当てで、なんとか夫人の男妾みたいになるんだけれど、それに対する痛みとか、思い入れとかが全然感じられません。」「こういう作品は、どこかで笑えないといやなんですね、だけど僕、一か所も笑えませんでした。」
久間十義
男35歳
9 2点「筆力はあるんだけれど、この文章は小説の文章じゃない、という感じもあるんです。」「マリアの部屋というものを、作者は肯定しているのか否定しているのか、私にはよく分からないんですね。」
永倉万治
男41歳
21 3点「腕力のある、達者な作家だと思います。」「中間小説雑誌によく出てくる小説のなかでは、上物という感じがします。守備範囲もなかなか広い。しかし、ではこれが山本周五郎賞かというと、話は別です。」「僕は読めるのなかったな。こんなもんなんですかね。ジーンとこないよ、どれも。」
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他の選考委員
井上ひさし
田辺聖子
野坂昭如
藤沢周平
最終投票
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選考委員
最終投票×各候補作  年齢の説明
見方・注意点
総行数 (1行=30字)
候補 評価 行数 評言
吉本ばなな
女24歳
    3+3+2+2+3=13
原尞
男42歳
    1+2+3+3+1=10
佐藤正午
男33歳
     
久間十義
男35歳
     
永倉万治
男41歳
     
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他の選考委員
井上ひさし
田辺聖子
野坂昭如
藤沢周平
山口瞳
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受賞者・作品
吉本ばなな女24歳×各選考委員 
『TUGUMIつぐみ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男54歳
41 4.5点「少女漫画風とかいろいろ難点はありますが、そういう難点も全部含めて、売れる理由はコスモロジー、宇宙論なんです。一刻一刻が、二度と帰らない一刻一刻だということを、この作者は若いのによく分かっているんですね。」「宮沢賢治が持っている時間論がここにもあるんです。」
田辺聖子
女61歳
52 4点「意外と文章も、小説の中の情景も、頭の中にいつまでも残っていたりして、確かにばななさんが売れる理由はあるなあと思うんです。」「これは嘘と虚構で出来上がった小説世界ですから、海千山千の百戦錬磨の大人たちの、強い視線に耐えられるかどうか、そこがちょっと心もとないんです。」「売れることが賞、という性質の文学がありますね。ばななさんは、多分それでしょう。」
野坂昭如
男58歳
45 2.5点「これが今の読者に合うんだったら、僕が選考委員として、いいの悪いの、論う筋のことではないと思う。」「けれども僕は、こんな作品、小説としてはほとんど認めません。」「得手勝手な自分の感傷世界を、都合よく構築しているだけではないかという感じがした」
藤沢周平
男61歳
50 3.5点「この小説は、少女小説なんだろうと思いますね。」「そんなに新しい小説だとも私は思わなかった。」「語り手のまりあの視線、つぐみの行動を解釈する、周りの人間の反応を解釈する、そのまりあの視線がいつも甘すぎるんですね。」
山口瞳
男62歳
50 3点「なかなか文章力があるとは思いました。」「私は、少女小説であってもいいと思うんです。けれど、どうしてもこのつぐみという女の子が、可愛いというふうにならないんですよ。」「でも、なんとなく、なかなかのもんだという印象はあるんです。」「小説とか文章というものは、これでいいというふうに、若い人たちが思ってしまうとつらいなという感じがあるんですよ。」
最終投票     3+3+2+2+3=13
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他の候補作
原尞
『そして夜は甦る』
佐藤正午
『個人教授』
久間十義
『聖マリア・らぷそでぃ』
永倉万治
『みんなアフリカ』
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候補者・作品
原尞男42歳×各選考委員 
『そして夜は甦る』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男54歳
54 4点「比喩がとても面白いですね。ユーモアがある。」「欠点は、舞台を東京にしたこと。東京の広さが、マイナスになったと思います。」「でも、処女作でこれだけいい文章の書ける人は珍しいんじゃないでしょうか。」「石原兄弟の影さえなければ、架空の世界で通してくれていれば、これで決まりという感じはしたんですが。」
田辺聖子
女61歳
55 5点「日本語というのはかなり情緒的な言葉ですが、その日本語を使って、ここまで無機質な文体をちゃんとつくってらっしゃるというのは、面白いんじゃないでしょうか。」「ハードボイルドはずいぶん書き尽くされたと思われているのに、またここに新しい突破口を見つけたという感じで、これは原さんの才能だなという気がするんです。」
野坂昭如
男58歳
32 3点「とにかく、読むのに苦労しましたね。苦痛でした。」「各章のおしまいに、必ず気のきいたようなことを付け加えているのが、いかにも見え透いていてひっかかります。」「僕はほとんど評価しないというか、少なくともこの賞には価しないと思います。」
藤沢周平
男61歳
35 3.5点「とにかくこの作品は、チャンドラーに似すぎているんですね。」「たとえば逢坂剛さんが「百舌の叫ぶ夜」で出てきた時の、新鋭登場! といった感じ、これがないんですね。結局は無難にまとまっている作品、そういうふうに読みました。」
山口瞳
男62歳
36 3点「これはチャンドラーの真似だというんで、それを楽しみに読んだのですよ。だけど、あんまり感じなかった。」「ストーリーの点では、複雑にすれば力作になるとか、読者へのサービスになるとか、間違った考えがこの人にはあるんじゃないでしょうか。」
最終投票     1+2+3+3+1=10
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他の候補作
吉本ばなな
『TUGUMIつぐみ』
佐藤正午
『個人教授』
久間十義
『聖マリア・らぷそでぃ』
永倉万治
『みんなアフリカ』
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候補者・作品
佐藤正午男33歳×各選考委員 
『個人教授』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男54歳
17 3点「教授が最初に出てきた時は、さてどういうふうに面白くなるかと思ったのですが、基本的に乗りにくかったのは、作者が主人公を甘やかしすぎるところです。」「都合がよすぎるという印象が最後まで残りました。」
田辺聖子
女61歳
13 3点「書き出しはすごくうまいですね。」「竜頭蛇尾、だんだん尻つぼみになっていったという感じでした。」「一流の新聞社に勤める主人公の男の子を、なぜ休職という扱いにしたのかも分かりません。」
野坂昭如
男58歳
21 0点「全く存在感のない人間が、ふわふわしているだけです。」「仕掛けやら何やら全部ひっくるめて、僕にはこの小説は分からない。」
藤沢周平
男61歳
19 3点「この人、細部はわりにうまく書いているんですが、全体に何を書いているのかという、大状況みたいなものが芳しくないんですね。」「もっと刈り込んで主題をはっきりさせないと、賛成出来ない小説だと思いました。」
山口瞳
男62歳
24 2点「主人公は四十万円のお手当てで、なんとか夫人の男妾みたいになるんだけれど、それに対する痛みとか、思い入れとかが全然感じられません。」「こういう作品は、どこかで笑えないといやなんですね、だけど僕、一か所も笑えませんでした。」
最終投票      
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他の候補作
吉本ばなな
『TUGUMIつぐみ』
原尞
『そして夜は甦る』
久間十義
『聖マリア・らぷそでぃ』
永倉万治
『みんなアフリカ』
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候補者・作品
久間十義男35歳×各選考委員 
『聖マリア・らぷそでぃ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男54歳
28 3点「まず、もうちょっと神話的文体を考えてほしかったですね。こういう話を書くためには、抽象度が低すぎる。」「後半、因果話になってしまうところも、イージーだという気がします。」「作者の構想力といいますか、狙いそのものは壮とすべきですが、残念ながらそれが空回りしてしまったように思います。」
田辺聖子
女61歳
28 3点「はじめに読んだ時は、シッチャカメッチャカで品は悪いんだけれど、力がすごく強くて、思いついたことを全部並べたててしまう文体が新選に見え、面白いと思ったんですね。」「ところが二へん目は、やっぱり読みづらくて困りました。」「少女たちが、親から逃げてくる、なぜ逃げてくるのか、なぜ集団生活をしているほうが面白いのか、そこのところを書き込まないと、骨格をなさないと思います。」
野坂昭如
男58歳
14 0点「いきいきしている人間は一人もいない。一体この人は、何を、こういう形を借りて言いたかったのか、そういうところがちっとも伝わってこない。」「調子がいいというか、お手軽というか、大体、小説が下手糞というか。」
藤沢周平
男61歳
26 3.5点「主人公がカメラマンと女の子と三人で、マリアの部屋を訪ねていくあたりまでですが、(引用者中略)ブラックなユーモアというのかな、そういう感じの文章で、期待をもたせるところがありますね。」「ところが、その後は全く期待に反して、内容的な展開は何も出て来ない。」
山口瞳
男62歳
9 2点「筆力はあるんだけれど、この文章は小説の文章じゃない、という感じもあるんです。」「マリアの部屋というものを、作者は肯定しているのか否定しているのか、私にはよく分からないんですね。」
最終投票      
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他の候補作
吉本ばなな
『TUGUMIつぐみ』
原尞
『そして夜は甦る』
佐藤正午
『個人教授』
永倉万治
『みんなアフリカ』
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候補者・作品
永倉万治男41歳×各選考委員 
『みんなアフリカ』
年齢の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし
男54歳
30 4点「作者は、恩讐を超えてというか、いろんな利害を背負った人間たちが同じ夢を見て、そっちへ歩き出す瞬間をよくつかまえています。」「三篇ともほのぼのとしていてとてもいいんですが、最後に読者の心臓をピンで止める、なにか強いものがほしいところです。」
田辺聖子
女61歳
26 5点「読んでいて、思わず笑ってしまいました。」「このごろ、大人の読める小説が殊に少ない気がしますから、この人は大事にして上げたいと思います。」「あんまり出来すぎているから魅力が薄れていくんじゃないですか。誰かが前に書いてる感じもあるし。」
野坂昭如
男58歳
16 4点「コントの延長みたいなもので、人物もずいぶんご都合主義で、かくあるだろうと思われる連中が、思ったとおりに動いているだけの話だけれども、少なくともこの一冊だけは、読みやすく読んだんです。」「だけど僕、これも積極的には推さないですよ。」
藤沢周平
男61歳
34 4点「二回目に読んでみますと、意外や意外、人間の体温みたいなものがこの「みんなアフリカ」という短篇にはあるようなんですね。」「現代風俗をちりばめた、軽い文章で書かれたものですが、ユーモアもありますしね。」「隠れている何か、たとえば可能性とか資質とか、そういうものがあまり感じられないんですね。」
山口瞳
男62歳
21 3点「腕力のある、達者な作家だと思います。」「中間小説雑誌によく出てくる小説のなかでは、上物という感じがします。守備範囲もなかなか広い。しかし、ではこれが山本周五郎賞かというと、話は別です。」「僕は読めるのなかったな。こんなもんなんですかね。ジーンとこないよ、どれも。」
最終投票      
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他の候補作
吉本ばなな
『TUGUMIつぐみ』
原尞
『そして夜は甦る』
佐藤正午
『個人教授』
久間十義
『聖マリア・らぷそでぃ』
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