第87回

第86回第88回

昭和57年/1982年上半期 昭和57年/1982年7月15日決定発表／『オール讀物』昭和57年/1982年10月号選評掲載

選考委員　 源氏鶏太 70歳 水上勉 63歳 村上元三 72歳 山口瞳 55歳 池波正太郎 59歳 阿川弘之 61歳 五木寛之 49歳 城山三郎 54歳 選評総行数　 52 59 53 59 48 45 49   評 評 評 評 評 評 評 選評なし 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 深田祐介　『炎熱商人』 1569枚 51歳 評 ○ 13 ○ 31 ○ 6 □ 19 ◎ 20 □ 27 △ 17     村松友視　「時代屋の女房」 104枚 42歳 評 △ 7 ○ 13 ■ 7 ○ 28 ● 15 □ 10 ◎ 15     飯尾憲士　「自決」 528枚 55歳 評 ● 4 ■ 6 ● 10 ― 0 ■ 6 ― 0 ― 0     白石一郎　「島原大変」 179枚 50歳 評 ○ 7 ― 0 ● 7 ― 0 ■ 12 ― 0 ― 0     加堂秀三　『舞台女優』 377枚 42歳 評 □ 5 ― 0 ● 6 ― 0 ― 0 ― 0 △ 17     川本旗子　「翔んで翔んで」 76枚 (37歳) 評 ● 3 ― 0 ● 7 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0     胡桃沢耕史　『ぼくの小さな祖国』 491枚 57歳 評 ◎ 9 △ 7 ■ 7 ◎ 12 ― 0 △ 8 ― 0     山田正紀　「友達はどこにいる」等 139枚 32歳 評 □ 4 △ 2 ■ 3 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0                   欠席 年齢/枚数の説明   見方・注意点

源氏鶏太70歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題力量を買う　総行数52　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 深田祐介 51歳 全 ○ 13 「商社というものの凄じさもよく出ているし、（引用者中略）いろいろのエピソードをまじえながらここまでにまとめた力量は、大いに買われてよかろう。」 村松友視 42歳 全 △ 7 「よく筆をおさえて、一人の女と三人の男たちの生態を浮きぼりにしている。たしかにうまい小説であるが、それだけで終っているようなところもなくはない。」 飯尾憲士 55歳 全 ● 4 「力作には違いないが、ノンフィクションとして読むべきであろう。」 白石一郎 50歳 全 ○ 7 「私としては好きな作品であった。最後の一行がぜんたいをしめくくって、よく活きている。」 加堂秀三 42歳 全 □ 5 「私は、面白く読んだのだが、作者は舞台のことをよく知っていないとの、他の選考委員の言葉にしたがった。」 川本旗子 (37歳) 全 ● 3 「私にはそのよさがわからなかった。」 胡桃沢耕史 57歳 全 ◎ 9 「まことに痛快な一種の冒険小説である。」「三人の登場人物とその家系といったようなものが、ブラジル移民の悲惨な歴史を背景にあざやかに描かれていた。私は、この作品に高点をつけた。」 山田正紀 32歳 全 □ 4 「四つの短篇は、それぞれ気が利いていて、何か人生の深部に触れているような感銘を受けた。」

他の選考委員 水上勉 村上元三 山口瞳 池波正太郎 阿川弘之 五木寛之

水上勉63歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題感想　総行数59　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 深田祐介 51歳 全 ○ 31 「資料に頼らずあくまで小説にしあげるため、終始一貫、人間描写の姿勢を守る力量は天晴れだ。だがはじめの九十頁ぐらいはつらかった。登場人物が出揃うまでじっくり描写につきあわねばならぬ退屈さである。」「授賞に賛成したのは、わき目もふらず、外地に生きる日本人の世界を描くことに徹する深田さんの孤独作業に敬意を表したからである。」 村松友視 42歳 全 ○ 13 「ここには小説づくりの妙がある。登場人物も、そこらあたりにいる人々だが、作者の眼が凡庸でないから、生々している。」「むずかしい現代小説の、村松さんらしい工夫による開扉である。」「授賞に不服はない。」 飯尾憲士 55歳 全 ■ 6 「直木賞候補となったのが不幸である。別の文学賞で論じられる方が作者も納得されるだろう。執念ぶかい事実へのこだわりに敬意を表したい。」 白石一郎 50歳 全 ― 0   加堂秀三 42歳 全 ― 0   川本旗子 (37歳) 全 ― 0   胡桃沢耕史 57歳 全 △ 7 「筆のなめらかさと、手法の冒険には好感をもった」 山田正紀 32歳 全 △ 2 「才能を大いにみとめる。」

他の選考委員 源氏鶏太 村上元三 山口瞳 池波正太郎 阿川弘之 五木寛之

村上元三72歳×各候補作

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題ほっとした　総行数53　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 深田祐介 51歳 全 ○ 6 「三百頁ぐらいから面白くなった。しかしこれだけの大作を書き切った作者の努力は、直木賞に値するし、選ぶほうも、やれやれ、ほっとした思いになった。」 村松友視 42歳 全 ■ 7 「うまい文章で、こぢんまりとまとまっているが、直木賞の対象になるには弱いと思った。しかしこれから先、短篇や長篇にいろんな材料を書きわける才人だとは思うが、それを待ってもよかった。」 飯尾憲士 55歳 全 ● 10 「わたしはノンフィクションの部に入れたが、それにしても無駄を書きすぎる。」「読み終って残ったのは、ただ空しい徒労感だけであった。」 白石一郎 50歳 全 ● 7 「この作者のいつもの癖で、調べたことを残らず書き込んでいるのが、読んでいてわずらわしい。」 加堂秀三 42歳 全 ● 6 「この作品の主人公は舞台女優でなくてはならない、という必然性がない。そこらのオフィスの中ででもあるような平凡なストーリイで、作者は舞台をよく知らない。」 川本旗子 (37歳) 全 ● 7 「なぜ直木賞の候補になったのかわからない。文学少女がノートに書き散らした文章を読まされたような気がした。作者が実は男性だ、と選考会の席上で聞いて、なおさら気の抜けた思いがした。」 胡桃沢耕史 57歳 全 ■ 7 「導入部から中ほどまで面白くなるのか、と思っていたが、作者は終末近くから力が抜けている。この作者は、書きとばしすぎる悪い癖を直さなくてはいけない。」 山田正紀 32歳 全 ■ 3 「（引用者注：四作の中では）「ラスト・オーダー」だけがおとなの読物になっている。」

他の選考委員 源氏鶏太 水上勉 山口瞳 池波正太郎 阿川弘之 五木寛之

山口瞳55歳×各候補作

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題胡桃沢耕史さんを推す　総行数59　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 深田祐介 51歳 全 □ 19 「長いものを読むときは、一種の快感にひきずりこまれないと読み通すことが苦痛になるが、ついにその種の快感が得られなかった。」「商社マン、建築業者、フィリピンに関心のある人たちには、興味津々巻を措くあたわずという小説であろうから、そういう読者を限定する（その数は少くない）タイプの新しい小説だと思い、その点を評価した。むろん、実績のある作者の受賞に異議はない。」 村松友視 42歳 全 ○ 28 「ほとんど完璧に描かれていて注文のつけようがない。小道具となる猫の扱いも巧妙をきわめる。」「これだけで小説になるかという反論はあるだろうが、私には、戻ってくる若妻の、ぐるぐる回る銀色のパラソル、ピンクのＴシャツ、白いスカートが目に焼きついて離れない。」「村松さんの目は、果てしなく優しい。（引用者中略）私、村松の味方です。」 飯尾憲士 55歳 全 ― 0   白石一郎 50歳 全 ― 0   加堂秀三 42歳 全 ― 0   川本旗子 (37歳) 全 ― 0   胡桃沢耕史 57歳 全 ◎ 12 「スッキリした仕上りで、まことに面白く、Ｂ級アメリカ映画の傑作という趣きがあり、こういう分野の受賞があってしかるべきだと思い、強く推したが、残念ながら票が集まらなかった。それ以前に、大ヴェテランの衰えぬ創作意欲に感動していた。」 山田正紀 32歳 全 ― 0

他の選考委員 源氏鶏太 水上勉 村上元三 池波正太郎 阿川弘之 五木寛之

池波正太郎59歳×各候補作

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題実績が評価された……。　総行数48　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 深田祐介 51歳 全 ◎ 20 「ちからの入った小説だが、東京の下町と江戸ッ子を売り物にする、歯が浮くような老女があらわれ、事々にブチこわしてしまうのは残念だった。」「そうした欠点はあったが、今回で六回目の候補という実績は、ことに直木賞の場合、みとめられなくてはなるまい。私は、この作一本にしぼった」 村松友視 42歳 全 ● 15 「才筆は、だれもみとめるところだが、舞台となる町すじの情景描写などが、いかに巧妙であっても、それだけで小説が成り立つものではない。」「詩情も臨場感も、私には授賞に価するものにおもえなかった。読後の印象は、まことに淡い。」 飯尾憲士 55歳 全 ■ 6 「私にはおもしろく読めたが、それはあくまでも材料のおもしろさ、ドキュメントとしての興味ゆえで、この作品は直木賞のものではない。」 白石一郎 50歳 全 ■ 12 「惜しいのは小鹿野一伯という主人公の医師の人間性が、しごく平凡であって魅力がなく〔島原大変〕の中に生きる男としてのリアクションが弱すぎた。いま、何としても時代小説作家を送り出したい気もちだが、これでは強く（原文傍点）推すことができない。」 加堂秀三 42歳 全 ― 0   川本旗子 (37歳) 全 ― 0   胡桃沢耕史 57歳 全 ― 0   山田正紀 32歳 全 ― 0

他の選考委員 源氏鶏太 水上勉 村上元三 山口瞳 阿川弘之 五木寛之

阿川弘之61歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題選評　総行数45　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 深田祐介 51歳 全 □ 27 「これまでの業績と併せて一本といふことで授賞に賛成した。ただし、受賞作「炎熱商人」自体には、不服が数々ある。」「文章は粗雑、ユーモアはわさびがきかず、ダレ場は単なるダレ場に終つてゐて、要するに細部への目配りが行き届いてゐない。」 村松友視 42歳 全 □ 10 「奇妙な味のある好短篇だが、無条件に脱帽といふほど感心したわけではないので、ちよつとためらつた。しかし、深田氏の長篇と対比するかたちで授賞と決り、それはまたそれでよかつたと思つてゐる。」 飯尾憲士 55歳 全 ― 0   白石一郎 50歳 全 ― 0   加堂秀三 42歳 全 ― 0   川本旗子 (37歳) 全 ― 0   胡桃沢耕史 57歳 全 △ 8 「精進ぶりは、（引用者中略）注目に値する。「ぼくの小さな祖国」は前作より劣ると見て採らなかつたけれど――。」 山田正紀 32歳 全 ― 0

他の選考委員 源氏鶏太 水上勉 村上元三 山口瞳 池波正太郎 五木寛之

五木寛之49歳×各候補作

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題村松氏を推す遠因　総行数49　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 深田祐介 51歳 全 △ 17 「なかにはこの作品は認めないが、この作家は認める、という微妙な発言などもあったとはいえ、深田氏の受賞に反対する選者はなかった。」「私個人としては、「日本悪妻に乾杯」の爽やかさ、視点こそちがえ、「革命商人」の重量感のほうが今回の候補作より印象に残っている。」 村松友視 42歳 全 ◎ 15 「一作受賞の場合は、と断って私が推した」「私はこの作家と、その作風が好きだし、この手の小説こそ実は小説の本道だろうとひそかに思ってきた。」「前に神吉拓郎氏が受賞をのがした時の残念さを含めて、強く支持したのだ。（引用者中略）私は村松さんの作風に、どこか神吉さんと一脈通ずるものを感じていたのである。」 飯尾憲士 55歳 全 ― 0   白石一郎 50歳 全 ― 0   加堂秀三 42歳 全 △ 17 「これでは氏の才能の百分の一もうかがい知ることは難しい。」「折角の機会に、と、残念で仕方がなかった。本当は私なんぞ逆立ちしても及ばない凄いものを持った作家なのである。」 川本旗子 (37歳) 全 ― 0   胡桃沢耕史 57歳 全 ― 0   山田正紀 32歳 全 ― 0

他の選考委員 源氏鶏太 水上勉 村上元三 山口瞳 池波正太郎 阿川弘之

深田祐介51歳×各選考委員　 『炎熱商人』 長篇 1569枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 源氏鶏太 70歳 全 ○ 13 「商社というものの凄じさもよく出ているし、（引用者中略）いろいろのエピソードをまじえながらここまでにまとめた力量は、大いに買われてよかろう。」 水上勉 63歳 全 ○ 31 「資料に頼らずあくまで小説にしあげるため、終始一貫、人間描写の姿勢を守る力量は天晴れだ。だがはじめの九十頁ぐらいはつらかった。登場人物が出揃うまでじっくり描写につきあわねばならぬ退屈さである。」「授賞に賛成したのは、わき目もふらず、外地に生きる日本人の世界を描くことに徹する深田さんの孤独作業に敬意を表したからである。」 村上元三 72歳 全 ○ 6 「三百頁ぐらいから面白くなった。しかしこれだけの大作を書き切った作者の努力は、直木賞に値するし、選ぶほうも、やれやれ、ほっとした思いになった。」 山口瞳 55歳 全 □ 19 「長いものを読むときは、一種の快感にひきずりこまれないと読み通すことが苦痛になるが、ついにその種の快感が得られなかった。」「商社マン、建築業者、フィリピンに関心のある人たちには、興味津々巻を措くあたわずという小説であろうから、そういう読者を限定する（その数は少くない）タイプの新しい小説だと思い、その点を評価した。むろん、実績のある作者の受賞に異議はない。」 池波正太郎 59歳 全 ◎ 20 「ちからの入った小説だが、東京の下町と江戸ッ子を売り物にする、歯が浮くような老女があらわれ、事々にブチこわしてしまうのは残念だった。」「そうした欠点はあったが、今回で六回目の候補という実績は、ことに直木賞の場合、みとめられなくてはなるまい。私は、この作一本にしぼった」 阿川弘之 61歳 全 □ 27 「これまでの業績と併せて一本といふことで授賞に賛成した。ただし、受賞作「炎熱商人」自体には、不服が数々ある。」「文章は粗雑、ユーモアはわさびがきかず、ダレ場は単なるダレ場に終つてゐて、要するに細部への目配りが行き届いてゐない。」 五木寛之 49歳 全 △ 17 「なかにはこの作品は認めないが、この作家は認める、という微妙な発言などもあったとはいえ、深田氏の受賞に反対する選者はなかった。」「私個人としては、「日本悪妻に乾杯」の爽やかさ、視点こそちがえ、「革命商人」の重量感のほうが今回の候補作より印象に残っている。」

他の候補作 村松友視 「時代屋の女房」 飯尾憲士 「自決」 白石一郎 「島原大変」 加堂秀三 『舞台女優』 川本旗子 「翔んで翔んで」 胡桃沢耕史 『ぼくの小さな祖国』 山田正紀 「友達はどこにいる」等

村松友視42歳×各選考委員　 「時代屋の女房」 短篇 104枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 源氏鶏太 70歳 全 △ 7 「よく筆をおさえて、一人の女と三人の男たちの生態を浮きぼりにしている。たしかにうまい小説であるが、それだけで終っているようなところもなくはない。」 水上勉 63歳 全 ○ 13 「ここには小説づくりの妙がある。登場人物も、そこらあたりにいる人々だが、作者の眼が凡庸でないから、生々している。」「むずかしい現代小説の、村松さんらしい工夫による開扉である。」「授賞に不服はない。」 村上元三 72歳 全 ■ 7 「うまい文章で、こぢんまりとまとまっているが、直木賞の対象になるには弱いと思った。しかしこれから先、短篇や長篇にいろんな材料を書きわける才人だとは思うが、それを待ってもよかった。」 山口瞳 55歳 全 ○ 28 「ほとんど完璧に描かれていて注文のつけようがない。小道具となる猫の扱いも巧妙をきわめる。」「これだけで小説になるかという反論はあるだろうが、私には、戻ってくる若妻の、ぐるぐる回る銀色のパラソル、ピンクのＴシャツ、白いスカートが目に焼きついて離れない。」「村松さんの目は、果てしなく優しい。（引用者中略）私、村松の味方です。」 池波正太郎 59歳 全 ● 15 「才筆は、だれもみとめるところだが、舞台となる町すじの情景描写などが、いかに巧妙であっても、それだけで小説が成り立つものではない。」「詩情も臨場感も、私には授賞に価するものにおもえなかった。読後の印象は、まことに淡い。」 阿川弘之 61歳 全 □ 10 「奇妙な味のある好短篇だが、無条件に脱帽といふほど感心したわけではないので、ちよつとためらつた。しかし、深田氏の長篇と対比するかたちで授賞と決り、それはまたそれでよかつたと思つてゐる。」 五木寛之 49歳 全 ◎ 15 「一作受賞の場合は、と断って私が推した」「私はこの作家と、その作風が好きだし、この手の小説こそ実は小説の本道だろうとひそかに思ってきた。」「前に神吉拓郎氏が受賞をのがした時の残念さを含めて、強く支持したのだ。（引用者中略）私は村松さんの作風に、どこか神吉さんと一脈通ずるものを感じていたのである。」

他の候補作 深田祐介 『炎熱商人』 飯尾憲士 「自決」 白石一郎 「島原大変」 加堂秀三 『舞台女優』 川本旗子 「翔んで翔んで」 胡桃沢耕史 『ぼくの小さな祖国』 山田正紀 「友達はどこにいる」等

飯尾憲士55歳×各選考委員　 「自決」 長篇 528枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 源氏鶏太 70歳 全 ● 4 「力作には違いないが、ノンフィクションとして読むべきであろう。」 水上勉 63歳 全 ■ 6 「直木賞候補となったのが不幸である。別の文学賞で論じられる方が作者も納得されるだろう。執念ぶかい事実へのこだわりに敬意を表したい。」 村上元三 72歳 全 ● 10 「わたしはノンフィクションの部に入れたが、それにしても無駄を書きすぎる。」「読み終って残ったのは、ただ空しい徒労感だけであった。」 山口瞳 55歳 全 ― 0   池波正太郎 59歳 全 ■ 6 「私にはおもしろく読めたが、それはあくまでも材料のおもしろさ、ドキュメントとしての興味ゆえで、この作品は直木賞のものではない。」 阿川弘之 61歳 全 ― 0   五木寛之 49歳 全 ― 0	他の候補作 深田祐介 『炎熱商人』 村松友視 「時代屋の女房」 白石一郎 「島原大変」 加堂秀三 『舞台女優』 川本旗子 「翔んで翔んで」 胡桃沢耕史 『ぼくの小さな祖国』 山田正紀 「友達はどこにいる」等

白石一郎50歳×各選考委員　 「島原大変」 中篇 179枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 源氏鶏太 70歳 全 ○ 7 「私としては好きな作品であった。最後の一行がぜんたいをしめくくって、よく活きている。」 水上勉 63歳 全 ― 0   村上元三 72歳 全 ● 7 「この作者のいつもの癖で、調べたことを残らず書き込んでいるのが、読んでいてわずらわしい。」 山口瞳 55歳 全 ― 0   池波正太郎 59歳 全 ■ 12 「惜しいのは小鹿野一伯という主人公の医師の人間性が、しごく平凡であって魅力がなく〔島原大変〕の中に生きる男としてのリアクションが弱すぎた。いま、何としても時代小説作家を送り出したい気もちだが、これでは強く（原文傍点）推すことができない。」 阿川弘之 61歳 全 ― 0   五木寛之 49歳 全 ― 0	他の候補作 深田祐介 『炎熱商人』 村松友視 「時代屋の女房」 飯尾憲士 「自決」 加堂秀三 『舞台女優』 川本旗子 「翔んで翔んで」 胡桃沢耕史 『ぼくの小さな祖国』 山田正紀 「友達はどこにいる」等

加堂秀三42歳×各選考委員　 『舞台女優』 長篇 377枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 源氏鶏太 70歳 全 □ 5 「私は、面白く読んだのだが、作者は舞台のことをよく知っていないとの、他の選考委員の言葉にしたがった。」 水上勉 63歳 全 ― 0   村上元三 72歳 全 ● 6 「この作品の主人公は舞台女優でなくてはならない、という必然性がない。そこらのオフィスの中ででもあるような平凡なストーリイで、作者は舞台をよく知らない。」 山口瞳 55歳 全 ― 0   池波正太郎 59歳 全 ― 0   阿川弘之 61歳 全 ― 0   五木寛之 49歳 全 △ 17 「これでは氏の才能の百分の一もうかがい知ることは難しい。」「折角の機会に、と、残念で仕方がなかった。本当は私なんぞ逆立ちしても及ばない凄いものを持った作家なのである。」	他の候補作 深田祐介 『炎熱商人』 村松友視 「時代屋の女房」 飯尾憲士 「自決」 白石一郎 「島原大変」 川本旗子 「翔んで翔んで」 胡桃沢耕史 『ぼくの小さな祖国』 山田正紀 「友達はどこにいる」等

川本旗子(37歳)×各選考委員　 「翔んで翔んで」 短篇 76枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 源氏鶏太 70歳 全 ● 3 「私にはそのよさがわからなかった。」 水上勉 63歳 全 ― 0   村上元三 72歳 全 ● 7 「なぜ直木賞の候補になったのかわからない。文学少女がノートに書き散らした文章を読まされたような気がした。作者が実は男性だ、と選考会の席上で聞いて、なおさら気の抜けた思いがした。」 山口瞳 55歳 全 ― 0   池波正太郎 59歳 全 ― 0   阿川弘之 61歳 全 ― 0   五木寛之 49歳 全 ― 0	他の候補作 深田祐介 『炎熱商人』 村松友視 「時代屋の女房」 飯尾憲士 「自決」 白石一郎 「島原大変」 加堂秀三 『舞台女優』 胡桃沢耕史 『ぼくの小さな祖国』 山田正紀 「友達はどこにいる」等

胡桃沢耕史57歳×各選考委員　 『ぼくの小さな祖国』 長篇 491枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 源氏鶏太 70歳 全 ◎ 9 「まことに痛快な一種の冒険小説である。」「三人の登場人物とその家系といったようなものが、ブラジル移民の悲惨な歴史を背景にあざやかに描かれていた。私は、この作品に高点をつけた。」 水上勉 63歳 全 △ 7 「筆のなめらかさと、手法の冒険には好感をもった」 村上元三 72歳 全 ■ 7 「導入部から中ほどまで面白くなるのか、と思っていたが、作者は終末近くから力が抜けている。この作者は、書きとばしすぎる悪い癖を直さなくてはいけない。」 山口瞳 55歳 全 ◎ 12 「スッキリした仕上りで、まことに面白く、Ｂ級アメリカ映画の傑作という趣きがあり、こういう分野の受賞があってしかるべきだと思い、強く推したが、残念ながら票が集まらなかった。それ以前に、大ヴェテランの衰えぬ創作意欲に感動していた。」 池波正太郎 59歳 全 ― 0   阿川弘之 61歳 全 △ 8 「精進ぶりは、（引用者中略）注目に値する。「ぼくの小さな祖国」は前作より劣ると見て採らなかつたけれど――。」 五木寛之 49歳 全 ― 0

他の候補作 深田祐介 『炎熱商人』 村松友視 「時代屋の女房」 飯尾憲士 「自決」 白石一郎 「島原大変」 加堂秀三 『舞台女優』 川本旗子 「翔んで翔んで」 山田正紀 「友達はどこにいる」等

山田正紀32歳×各選考委員　 「友達はどこにいる」等 短篇集（一部）4篇 139枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 源氏鶏太 70歳 全 □ 4 「四つの短篇は、それぞれ気が利いていて、何か人生の深部に触れているような感銘を受けた。」 水上勉 63歳 全 △ 2 「才能を大いにみとめる。」 村上元三 72歳 全 ■ 3 「（引用者注：四作の中では）「ラスト・オーダー」だけがおとなの読物になっている。」 山口瞳 55歳 全 ― 0   池波正太郎 59歳 全 ― 0   阿川弘之 61歳 全 ― 0   五木寛之 49歳 全 ― 0	他の候補作 深田祐介 『炎熱商人』 村松友視 「時代屋の女房」 飯尾憲士 「自決」 白石一郎 「島原大変」 加堂秀三 『舞台女優』 川本旗子 「翔んで翔んで」 胡桃沢耕史 『ぼくの小さな祖国』