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選評なし

候補作

評価

行数

評価

行数

評価

行数

評価

行数

評価

行数

評価

行数

評価

行数

源氏鶏太　「英語屋さん」他

36枚

39歳

◎

○

◎

○

◎

□

柴田錬三郎　「デスマスク」

129枚

34歳

●

―

◎

松本清張　「西郷札」

81枚

41歳

△

―

△

○

峰雪栄　「秋寒」

36枚

34歳

―

■

―

立野信之　「公爵近衛文麿」

1072枚

47歳

―

△

欠席

年齢/枚数の説明

見方・注意点

このページの選評出典：『オール讀物』平成15年/2003年1月号再録（初出：『オール讀物』昭和26年/1951年10月号）
1行当たりの文字数：15字

選考委員

大佛次郎

53歳×各候補作　

題源氏鶏太を推す　総行数48　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
源氏鶏太	39歳	全	◎	41	「私は文学的で重苦しいものよりも、この種類のフェザー級の文学とでも称すべきものを、もっと世間が市民権を強く認めてよいのだと信じている。」「源氏鶏太君の手柄は、何と言ってもサラリーマンの世界を、小説界に押出したことである。」
柴田錬三郎	34歳	全	●	2	「直木賞には私は疑問とした。」
松本清張	41歳	全	△	6	「骨格のしっかりしたもので、推賞に値する。しかし、この一篇だけでは手腕を知ることが出来ない。」
峰雪栄	34歳	全	―	0
立野信之	47歳	全	―	0

他の選考委員

選考委員

川口松太郎

51歳×各候補作　

題飽まで新人を　総行数24　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
源氏鶏太	39歳	全	○	15	「源氏君の作品は味だけなので、ペーソスには富んでいるが、大衆小説の本道からは少し外れたところに位しているように思う。（引用者中略）あの味に濃度の高いストオリイを配し得たら、本格的作家の地位は易々たるものだ。」
柴田錬三郎	34歳	全	―	0
松本清張	41歳	全	―	0
峰雪栄	34歳	全	―	0
立野信之	47歳	全	―	0
					「新人がいないと、大家の中でよい仕事をした人に授賞しようという案も出る。然し、僕は反対だ。」

他の選考委員

選考委員

井伏鱒二

53歳×各候補作　

題満場一致の授賞　総行数33　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
源氏鶏太	39歳	全	◎	33	「作品の題材に会社員だけを選ぶほどの余力を見せている。この余力でもって、反対に取材に趨異を見せてもらえるように私は希望したい。」
柴田錬三郎	34歳	全	―	0
松本清張	41歳	全	―	0
峰雪栄	34歳	全	―	0
立野信之	47歳	全	―	0
					「今回は殆んど満場一致で話がきまった。（引用者中略）詮衡時間、わずか一時間内外である。」

他の選考委員

選考委員

久米正雄

59歳×各候補作　

題十年努力の一線　総行数76　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
源氏鶏太	39歳	全	○	59	「凡作を敢て推奨するようだが、此辺が直木賞たる所以で、此の十年勤続と精進の後を改めて読者と作家とに、噛みしめて貰って、大衆文学の今後に、一ト先ず一線を劃して置くことに、意義があると思う。」「一年先を見て、期を待とうと吾々が感じて、その期待通りに平凡だが素直に努力したのは、私が経験した限りでは氏が初めて」
柴田錬三郎	34歳	全	―	0
松本清張	41歳	全	―	0
峰雪栄	34歳	全	―	0
立野信之	47歳	全	―	0
					「今期の直木賞の候補には、私は敢て異を立てて、村松梢風君の文学者の伝記小説に、並々でない敬意を感じ、（引用者中略）其ジャーナリズムに仕えた労だけでも、謝したいと思った、」

他の選考委員

選考委員

小島政二郎

57歳×各候補作　

題源氏鶏太君とペーソス　総行数55　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
源氏鶏太	39歳	全	◎	21	「源氏君の作は、当然底にペーソスがあることによって生きる作柄であるが、これまでの作にはありそうでなかった。（引用者中略）それが、「英語屋さん」で源氏君は掘り当ててくれた。」
柴田錬三郎	34歳	全	―	0
松本清張	41歳	全	△	7	「面白く読んだ。構想に、もっと濃淡を附けた方がいゝと思う。」
峰雪栄	34歳	全	■	27	「少しの誇張もなく、日常語の尋常さで完全に語られている。私は感心した。こんないゝ作家が、どうして芥川賞に選ばれなかったのだろうかと怪しんだ。そう云えばこの作も、直木賞の作品ではない。」
立野信之	47歳	全	―	0

他の選考委員

選考委員

木々高太郎

54歳×各候補作　

題賞の範囲の問題　総行数100　（1行=15字）

候補			評価	行数	評言
源氏鶏太	39歳	全	□	42	「直木賞を貰う十分な資格があることは認める。然し、これだけでは困る。何か、もうひとつあった方がよい。」
柴田錬三郎	34歳	全	◎	20	「怪奇的のものを強く注目すると、直木賞に入れて、賞の声価を恥かしめぬと主張したのである。」「ところが、これに圧倒的な否定を投げたのが小島政二郎で、「デスマスクは虚構の露呈されたものだ。（引用者中略）」という。」
松本清張	41歳	全	○	17	「この人はこの一篇だけ見ても十分に前途を期待することが出来る。「オール讀物」でも、書かせてみて、育ててやって欲しい人の一人である。」
峰雪栄	34歳	全	―	0
立野信之	47歳	全	△	7	「最後に残った問題は、直木賞授賞の範囲を、「近代作家伝」ぐらいまで拡げるかという問題である。（引用者中略）同じ意味で、今度の立野信之「近衛文麿」も、問題にならなかったと思っている。」

他の選考委員

受賞者・作品

源氏鶏太

39歳×各選考委員　

「英語屋さん」他

短篇 36枚

選考委員			評価	行数	評言
大佛次郎	53歳	全	◎	41	「私は文学的で重苦しいものよりも、この種類のフェザー級の文学とでも称すべきものを、もっと世間が市民権を強く認めてよいのだと信じている。」「源氏鶏太君の手柄は、何と言ってもサラリーマンの世界を、小説界に押出したことである。」
川口松太郎	51歳	全	○	15	「源氏君の作品は味だけなので、ペーソスには富んでいるが、大衆小説の本道からは少し外れたところに位しているように思う。（引用者中略）あの味に濃度の高いストオリイを配し得たら、本格的作家の地位は易々たるものだ。」
井伏鱒二	53歳	全	◎	33	「作品の題材に会社員だけを選ぶほどの余力を見せている。この余力でもって、反対に取材に趨異を見せてもらえるように私は希望したい。」
久米正雄	59歳	全	○	59	「凡作を敢て推奨するようだが、此辺が直木賞たる所以で、此の十年勤続と精進の後を改めて読者と作家とに、噛みしめて貰って、大衆文学の今後に、一ト先ず一線を劃して置くことに、意義があると思う。」「一年先を見て、期を待とうと吾々が感じて、その期待通りに平凡だが素直に努力したのは、私が経験した限りでは氏が初めて」
小島政二郎	57歳	全	◎	21	「源氏君の作は、当然底にペーソスがあることによって生きる作柄であるが、これまでの作にはありそうでなかった。（引用者中略）それが、「英語屋さん」で源氏君は掘り当ててくれた。」
木々高太郎	54歳	全	□	42	「直木賞を貰う十分な資格があることは認める。然し、これだけでは困る。何か、もうひとつあった方がよい。」

他の候補作

候補者・作品

柴田錬三郎

34歳×各選考委員　

「デスマスク」

短篇 129枚

選考委員			評価	行数	評言
大佛次郎	53歳	全	●	2	「直木賞には私は疑問とした。」
川口松太郎	51歳	全	―	0
井伏鱒二	53歳	全	―	0
久米正雄	59歳	全	―	0
小島政二郎	57歳	全	―	0
木々高太郎	54歳	全	◎	20	「怪奇的のものを強く注目すると、直木賞に入れて、賞の声価を恥かしめぬと主張したのである。」「ところが、これに圧倒的な否定を投げたのが小島政二郎で、「デスマスクは虚構の露呈されたものだ。（引用者中略）」という。」

他の候補作

候補者・作品

松本清張

41歳×各選考委員　

「西郷札」

短篇 81枚

選考委員			評価	行数	評言
大佛次郎	53歳	全	△	6	「骨格のしっかりしたもので、推賞に値する。しかし、この一篇だけでは手腕を知ることが出来ない。」
川口松太郎	51歳	全	―	0
井伏鱒二	53歳	全	―	0
久米正雄	59歳	全	―	0
小島政二郎	57歳	全	△	7	「面白く読んだ。構想に、もっと濃淡を附けた方がいゝと思う。」
木々高太郎	54歳	全	○	17	「この人はこの一篇だけ見ても十分に前途を期待することが出来る。「オール讀物」でも、書かせてみて、育ててやって欲しい人の一人である。」

他の候補作

候補者・作品

峰雪栄

34歳×各選考委員　

「秋寒」

短篇 36枚

選考委員			評価	行数	評言
大佛次郎	53歳	全	―	0
川口松太郎	51歳	全	―	0
井伏鱒二	53歳	全	―	0
久米正雄	59歳	全	―	0
小島政二郎	57歳	全	■	27	「少しの誇張もなく、日常語の尋常さで完全に語られている。私は感心した。こんないゝ作家が、どうして芥川賞に選ばれなかったのだろうかと怪しんだ。そう云えばこの作も、直木賞の作品ではない。」
木々高太郎	54歳	全	―	0

他の候補作

候補者・作品

立野信之

47歳×各選考委員　

「公爵近衛文麿」

長篇 1072枚