埴原一亟（はにはらいちじょう）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

第12回

Last Update●[R2]2020/4/12

	Hanihara Ichijo
	生没年月日【注】	明治40年/1907年10月5日～昭和54年/1979年12月31日
	経歴	山梨県北巨摩郡白州町生まれ。早稲田大学露文科中退。新日本文学会、文学無限同人から『文芸復興』同人となる。
	受賞歴・候補歴	\|候補\| 第12回芥川賞（昭和15年/1940年下期）「店員」 \|候補\| 第13回芥川賞（昭和16年/1941年上期）「下職人」 \|候補\| 第16回芥川賞（昭和17年/1942年下期）「翌檜」
	サブサイトリンク	同人雑誌評の記録▼全8件

第12回候補

媒体・作品情報

誌名	「早稻田文學」
巻号	第7巻第12号別表記12月号
印刷/発行年月日	印刷納本昭和15年/1940年11月12日　発行昭和15年/1940年12月1日
発行者等	編輯発行人野村尚吾　印刷人宮島富治（東京市）　印刷所宮島印刷所　編輯所早稻田文學社編輯部（東京市）
発行所	早稻田文學社（東京市）
総ページ数	166	表記上の枚数	編輯後記 70余枚	基本の文字組（1ページ当り）	54字 ×19行 ×1段
本文ページ	88～121 （計34頁）	測定枚数	73枚

上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字（主に正字など）

書誌

昭和43年/1968年7月・文芸復興社／文芸復興叢書『埴原一亟創作集』所収

選評の概要

候補者　埴原一亟　33歳
選考委員		評価	行数	評言
佐藤春夫	48歳	■	4	「決して凡作ではなくとも未だ一抹の自然主義臭味ともいうべきものなごりの慊焉たるもののあるのを免れないと感じた。」
横光利一	42歳	―	0
室生犀星	51歳	―	0
小島政二郎	46歳	△	4	「今度の候補作はみんな楽しく読めた。」
瀧井孝作	46歳	■	6	「描写は克明で手腕は十分ある人だと思った。」「稍古くさい弱い所があり小説になりすぎているかとも思った。」
川端康成	41歳	△	3	「仮りに、「平賀源内」を推さないとすると、「崖」、「鶏」、「店頭」などのうちの、いずれを選ぶべきか、私は迷う。」
宇野浩二	49歳	■	4	「面白い所を掴んでいて、しかも巧みなところはあるが、調子が低い。」
佐佐木茂索	46歳	・	2
選評出典：『芥川賞全集　第三巻』昭和57年/1982年4月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和16年/1941年3月号）

第13回候補

媒体・作品情報

誌名	「風俗叢書」別表記表紙「文藝綜合雜誌」併記
巻号	第2輯別表記4月版
印刷/発行年月日	印刷納本昭和16年/1941年3月15日　発行昭和16年/1941年3月20日
発行者等	編輯兼発行人山根豐　印刷人奈良直一　印刷所株式会社常磐印刷所（東京市）　編輯所風俗叢書編輯部（東京市）
発行所	株式会社三元社（東京市）
総ページ数	166	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	52字 ×19行 ×1段
本文ページ	2～32 （計31頁）	測定枚数	66枚

書誌

『オール讀物』昭和17年/1942年1月号再録

昭和43年/1968年7月・文芸復興社／文芸復興叢書『埴原一亟創作集』所収

令和2年/2020年4月・春陽堂書店刊『芥川賞候補傑作選　戦前・戦中編　1935-1944』所収

選評の概要

候補者　埴原一亟　33歳
選考委員		評価	行数	評言
佐藤春夫	49歳	○	2	「うまいという点では「下職人」が一番だと思う。」
宇野浩二	50歳	・	2
瀧井孝作	47歳	△	6	「「下職人」も捨てられない。」「二つ（引用者注：「長江デルタ」と「山彦」）が争うとすれば、やはり「下職人」を僕はその中に加えて欲しいという感じがする。」
佐佐木茂索	46歳	△	1	「「下職人」も（引用者注：文藝春秋に）載せていいと思うんです。」
室生犀星	51歳	■	2	「一寸いいけれども、文章が非常に拙くて、息絶え絶えに書いているようなところがあるナ。」
小島政二郎	47歳	―	0
横光利一	43歳	■	3	「（引用者注：「山彦」と共に）うまいと思うのだけれども、ああいううまさは老大家がいればいいのじゃないかという気がするのです。」
川端康成	42歳	○	2	「「長江デルタ」或は「下職人」を推す、下職人の方確か」
菊池寛	52歳	―	0
久米正雄	49歳	―	0
選評出典：『芥川賞全集　第三巻』昭和57年/1982年4月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和16年/1941年9月号）

第16回候補

媒体・作品情報

誌名	「早稻田文學」
巻号	第9巻第12号別表記12月号
作品名別表記	「翌檜」
印刷/発行年月日	印刷納本昭和17年/1942年11月12日　発行昭和17年/1942年12月1日
発行者等	編輯発行人齋木哲太ルビ有りさいきてつた　印刷人宮島富治（東京市）　印刷所宮島印刷所　編輯所早稻田文學社編輯部（東京市）　配給元日本出版配給株式会社（東京市）
発行所	早稻田文學社（東京市）
総ページ数	116	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×20行 ×2段
本文ページ	52～71 （計20頁）	測定枚数	50枚

上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字（主に正字など）

書誌

昭和18年/1943年8月・小山書店刊『日本小説代表作全集10　昭和17年・後半期』所収

昭和43年/1968年7月・文芸復興社／文芸復興叢書『埴原一亟創作集』所収

平成29年/2017年8月・夏葉社刊『埴原一亟　古本小説集』所収

選評の概要

候補者　埴原一亟　35歳
選考委員		評価	行数	評言
宇野浩二	51歳	■	4	「変った面白味はあるが、後味がわるくこの作家のものとしては、欠点があり過ぎる。」
佐佐木茂索	48歳	△	2	「捨て難いが、「連絡員」を措いてという訳にもゆくまい。」
久米正雄	51歳	―	0
川端康成	43歳	■	2	「認めるが、「翌檜」は前作の「塵埃」や「下職人」より弛み、低調である。」
瀧井孝作	48歳	△	3	「これまで佳作「塵埃」「店員」「下職人」など書き、入選したかったが、こんどの「翌檜」も、もう少し品の高い感じがあれば申分ないがと思った。」
佐藤春夫	50歳	―	0
横光利一	44歳	―	0
小島政二郎	49歳	■	3	「紙屑屋の立て場へ、珍本を掘り出しに行く生活の記録として面白い。但し赤三の性格が一向彷彿として来ない。」
室生犀星	53歳	―	0
菊池寛	54歳	―
選評出典：『芥川賞全集　第三巻』昭和57年/1982年4月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和18年/1943年3月号）