児玉雨子（こだまあめこ）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

芥川賞のすべて・のようなもの

第169回

＝受賞者＝
市川沙央

＝候補者＝
石田夏穂
児玉雨子
千葉雅也
乗代雄介

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Last Update●[R5]2023/9/21

	Kodama Ameko
	生没年月日【注】	平成5年/1993年☆月☆日～
	経歴	神奈川県横浜市出身。明治大学文学部卒、同大学院文学研究科修了。アイドル、声優、テレビアニメ主題歌などの作詞を手がけながら、文筆活動も行う。
	受賞歴・候補歴	\|候補\| 第169回芥川賞（令和5年/2023年上期）「##NAME##」
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全2件

第169回候補

「##NAME(ネーム)##」（『文藝』令和5年/2023年夏季号［5月］）

媒体・作品情報

誌名	「文藝」
巻号	第62巻第2号別表記夏
印刷/発行年月日	発行令和5年/2023年5月1日
発行者等	編集人坂上陽子　発行人小野寺優　印刷人北島義斉　印刷所大日本印刷株式会社（東京都）
発行所	株式会社河出書房新社（東京都）
総ページ数	551	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	29字 ×25行 ×2段
本文ページ	320～377 （計58頁）	測定枚数	198枚

書誌

令和5年/2023年7月・河出書房新社刊『##NAME##』

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　児玉雨子　29歳
選考委員		評価	行数	評言
松浦寿輝	69歳	◎	36	「候補作五篇のうち、（引用者中略）もっとも心惹かれた。」「児童ポルノや漫画の二次創作といったきわものめいた主題に依りながら、思春期から青春期に向かってどう離陸するかという意外に古風な成長物語の、新鮮な一変奏が篤実に追求されていると感じた。ただ、聡明な作者によって隅々まで知的に造形されているぶん、宇佐美りん「推し、燃ゆ」にあったような無意識的な欲動の奔騰の魅力は乏しいかもしれない。」「○（引用者中略）――という判断で選考会に臨んだ。」
小川洋子	61歳	■	13	「上手い小説である。」「ただ読み終えた時、虐待された子どもの問題をこんなふうに破綻なくまとめてしまっていいのだろうか、という不安がよぎった。」
奥泉光	67歳	△	9	「「ジュニアアイドル」である、あるいはかつてそうであった「私」を主人公に捉えた一篇で、その活動が児童ポルノとして消費される構造を描きながら、少女らの思いに寄り添う作者の姿勢には共感でき、力量を感じた。」
平野啓一郎	48歳	△	15	「アイドル活動に偽装した児童ポルノの被害者を主人公とし、その成長と共に芽生える当事者意識を、巧みな時間構成で描いている。」「「水の底のように冷房が効いた」などのいい加減な比喩が多出する点は残念だった。編集者の仕事も問いたい。」
吉田修一	54歳	■	10	「現代社会の恥部を描いた佳作であるが、文章やエピソードをもっと大胆に刈り込んだ方がさらにこの美点が生きてくると思う。」
島田雅彦	62歳	△	14	「一方的に性的対象として見られ、児童ポルノの領域に引き摺り込まれる酷薄な世界から自分を解放することができるのか？　同じ境遇の少女たちの共感が得られることはいうまでもないが、もう一歩踏み込めば、復讐劇になるのだが。」
山田詠美	64歳	△	15	「読んでいてとても楽しめた。ところが、新しいものに、これほど彩られたこの小説、何だか古い感じがするのである。この「古さ」は、本来、「普遍」に通じるもので、それはまた「不変」を勝ち得ることも出来る。そこに行くスキルを磨くには、紋切り型の言い回しを止めること。」
川上弘美	65歳	△	10	「うまい小説だなあ、と思いました。表現しようとしていることが過不足なく表現されている。」
堀江敏幸	59歳	△	15	「愛称や芸名を代入しても埋められない気持ちの空白に読み手を誘い込むリズムがいい。そのリズムが時々乱れるのは、大事な語り手の名を「雪がれる」という受け身で紐付けたせいかもしれない。」
選評出典：『文藝春秋』令和5年/2023年9月号

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