第21回

第20回第22回

昭和24年/1949年上半期 昭和24年/1949年7月2日決定発表／『文藝讀物』昭和24年/1949年9月号選評掲載

選考委員　 小島政二郎 55歳 久米正雄 57歳 大佛次郎 51歳 獅子文六 56歳 木々高太郎 52歳 井伏鱒二 51歳 川口松太郎 49歳 選評総行数　 160 99 28 18 44 19 21 評 評 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 富田常雄　「面」等 51枚 45歳 評 ◎ 74 ◎ 23 □ 7 ◎ 7 ○ 6 ◎ 19 ○ 15 徳川夢声　「九字を切る」他 33枚 55歳 評 ● 5 △ 10 ○ 16 ◎ 5 △ 6 ― 0 ● 5 藤原審爾　「秋津温泉」 185枚 28歳 評 ― 0 △ 15 ― 0 ― 0 △ 6 ― 0 ― 0 中村八朗　「桑門の街」 114枚 35歳 評 ○ 5 △ 5 ― 0 ― 0 △ 9 ― 0 ― 0 今日出海　「山中放浪」 198枚 45歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 菊岡久利　「怖るべき子供たち」 172枚 40歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 山田克郎　「海は紅」 77枚 38歳 評 ○ 5 □ 7 ― 0 ― 0 △ 9 ― 0 △ 2               年齢/枚数の説明   見方・注意点

小島政二郎55歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数160　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 富田常雄 45歳 全 ◎ 74 「第一回なるが故に特に、且つ直木賞の権威と方向の確立のために、私はどうしても富田常雄に授賞したかった。」「彼独自の素材を豊かに持ち、多彩富贍な空想力を与えられ、雄勁で迫真力を持った文章を己れのものとしている彼、富田常雄は既に第一流である。」 徳川夢声 55歳 全 ● 5 「私は反対した。もう一人選ぶなら、新らしい人にしたかった。」 藤原審爾 28歳 全 ― 0   中村八朗 35歳 全 ○ 5 「有力な候補作品だったが、次の機会を待っても遅くはないと思い、そうした。」 今日出海 45歳 全 ― 0   菊岡久利 40歳 全 ― 0   山田克郎 38歳 全 ○ 5 「有力な候補作品だったが、次の機会を待っても遅くはないと思い、そうした。」   「戦前の直木賞のように、「不在投票」も一票と数えることは遠慮して貰いたい。私は今度の委員会でそれを云い、みんなの賛成を得た。」

他の選考委員 久米正雄 大佛次郎 獅子文六 木々高太郎 井伏鱒二 川口松太郎

久米正雄57歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数99　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 富田常雄 45歳 全 ◎ 23 「幾分肉体的な戦後派なのも、適当な色気だと思った。」「戦時中に映画で当った「姿三四郎」のために、却って損をしたと考えられる此の作家の、現代物を再認識して欲しい。」 徳川夢声 55歳 全 △ 10 「委員の大部分は、徳川夢声君を推して居られるには、私も一種の感激を覚えた。」「二人に授賞させていゝならば、私はなにかもう少し、新らしい所を狙いたい気もした。」 藤原審爾 28歳 全 △ 15 「井伏君に推奨された藤原審爾君は（引用者中略）あの青っぽい抒情味は、謂わゞ文壇では川端山脈に属するもので、大衆文学かどうか。」 中村八朗 35歳 全 △ 5 「しっかりした書き振りは、信頼が置けると思った。が、此の一種の現地文学は、純文芸的に地味過ぎるとも思った。」 今日出海 45歳 全 ― 0   菊岡久利 40歳 全 ― 0   山田克郎 38歳 全 □ 7 「「海は紅」の抒情詩と、浪漫味に感心した。」   「一作のみの成果ではなく、長きに亘った業績を残した作家に、授賞しようと云う事になった。」

他の選考委員 小島政二郎 大佛次郎 獅子文六 木々高太郎 井伏鱒二 川口松太郎

大佛次郎51歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数28　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 富田常雄 45歳 全 □ 7 「もっと新らしい人に、この賞が欲しかった。しかし、大多数の主張が富田君のところにいったのだから、勿論、反対ではない。」 徳川夢声 55歳 全 ○ 16 「一部では徳川氏のは随筆文学であると云う人もあるが、そう云う意味でも僕は却って賛成する。」 藤原審爾 28歳 全 ― 0   中村八朗 35歳 全 ― 0   今日出海 45歳 全 ― 0   菊岡久利 40歳 全 ― 0   山田克郎 38歳 全 ― 0	他の選考委員 小島政二郎 久米正雄 獅子文六 木々高太郎 井伏鱒二 川口松太郎

獅子文六56歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題寸感　総行数18　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 富田常雄 45歳 全 ◎ 7 「今度の授賞は、まず立場がハッキリしてるので、賛成。人としても、賛成。」 徳川夢声 55歳 全 ◎ 5 「賞をやっても嬉しがるまいという人があったが、私は夢声大いに喜ぶことと考えている。」 藤原審爾 28歳 全 ― 0   中村八朗 35歳 全 ― 0   今日出海 45歳 全 ― 0   菊岡久利 40歳 全 ― 0   山田克郎 38歳 全 ― 0	他の選考委員 小島政二郎 久米正雄 大佛次郎 木々高太郎 井伏鱒二 川口松太郎

木々高太郎52歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題戦後第一回の直木賞　総行数44　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 富田常雄 45歳 全 ○ 6 「既に有名であり、沢山の仕事があり、偉らすぎるとの話も出た。然し、戦後の彼の短篇が新鮮な道を歩み出しているではないか、それにし度いと決定した。」 徳川夢声 55歳 全 △ 6 「二人出してもいゝではないかとの論も出たが、二三時間を超える検討によって、今年は一人と云うことになった。」 藤原審爾 28歳 全 △ 6 「二人出してもいゝではないかとの論も出たが、二三時間を超える検討によって、今年は一人と云うことになった。」 中村八朗 35歳 全 △ 9 「まだ数篇の作しか持たない、その一篇を委員がまわしよみをしたのがある。」 今日出海 45歳 全 ― 0   菊岡久利 40歳 全 ― 0   山田克郎 38歳 全 △ 9 「まだ数篇の作しか持たない、その一篇を委員がまわしよみをしたのがある。」   「もう押しも押されもしない作家で、日本の大衆文芸の野に新生面を拓き若しくは拓こうとしているもの――規準はまずそうきまった。」

他の選考委員 小島政二郎 久米正雄 大佛次郎 獅子文六 井伏鱒二 川口松太郎

井伏鱒二51歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数19　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 富田常雄 45歳 全 ◎ 19 「書きわけられた各人物の各性格が、自然に物語を生んで来ているではないか。素朴な人物、愚直な人物、極めて古風な老巧者など、よく淘汰して書きわけてある。」 徳川夢声 55歳 全 ― 0   藤原審爾 28歳 全 ― 0   中村八朗 35歳 全 ― 0   今日出海 45歳 全 ― 0   菊岡久利 40歳 全 ― 0   山田克郎 38歳 全 ― 0	他の選考委員 小島政二郎 久米正雄 大佛次郎 獅子文六 木々高太郎 川口松太郎

川口松太郎49歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数21　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 富田常雄 45歳 全 ○ 15 「富田常雄君に決めようという説が、全委員を通じての異論のない決定となった。」「何分にも戦後初の直木賞としての方針もあるというので、富田君に決定したわけである。」 徳川夢声 55歳 全 ● 5 「過去を通じての直木賞の在り方というものを考えたとき、やはり妥当でないような気がした。」 藤原審爾 28歳 全 ― 0   中村八朗 35歳 全 ― 0   今日出海 45歳 全 ― 0   菊岡久利 40歳 全 ― 0   山田克郎 38歳 全 △ 2 「他に山田克郎の「海は紅」などもあったが、」	他の選考委員 小島政二郎 久米正雄 大佛次郎 獅子文六 木々高太郎 井伏鱒二

富田常雄45歳×各選考委員　 「面」等 短篇2篇 51枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 55歳 全 ◎ 74 「第一回なるが故に特に、且つ直木賞の権威と方向の確立のために、私はどうしても富田常雄に授賞したかった。」「彼独自の素材を豊かに持ち、多彩富贍な空想力を与えられ、雄勁で迫真力を持った文章を己れのものとしている彼、富田常雄は既に第一流である。」 久米正雄 57歳 全 ◎ 23 「幾分肉体的な戦後派なのも、適当な色気だと思った。」「戦時中に映画で当った「姿三四郎」のために、却って損をしたと考えられる此の作家の、現代物を再認識して欲しい。」 大佛次郎 51歳 全 □ 7 「もっと新らしい人に、この賞が欲しかった。しかし、大多数の主張が富田君のところにいったのだから、勿論、反対ではない。」 獅子文六 56歳 全 ◎ 7 「今度の授賞は、まず立場がハッキリしてるので、賛成。人としても、賛成。」 木々高太郎 52歳 全 ○ 6 「既に有名であり、沢山の仕事があり、偉らすぎるとの話も出た。然し、戦後の彼の短篇が新鮮な道を歩み出しているではないか、それにし度いと決定した。」 井伏鱒二 51歳 全 ◎ 19 「書きわけられた各人物の各性格が、自然に物語を生んで来ているではないか。素朴な人物、愚直な人物、極めて古風な老巧者など、よく淘汰して書きわけてある。」 川口松太郎 49歳 全 ○ 15 「富田常雄君に決めようという説が、全委員を通じての異論のない決定となった。」「何分にも戦後初の直木賞としての方針もあるというので、富田君に決定したわけである。」

他の候補作 徳川夢声 「九字を切る」他 藤原審爾 「秋津温泉」 中村八朗 「桑門の街」 今日出海 「山中放浪」 菊岡久利 「怖るべき子供たち」 山田克郎 「海は紅」

徳川夢声55歳×各選考委員　 「九字を切る」他 短篇 33枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 55歳 全 ● 5 「私は反対した。もう一人選ぶなら、新らしい人にしたかった。」 久米正雄 57歳 全 △ 10 「委員の大部分は、徳川夢声君を推して居られるには、私も一種の感激を覚えた。」「二人に授賞させていゝならば、私はなにかもう少し、新らしい所を狙いたい気もした。」 大佛次郎 51歳 全 ○ 16 「一部では徳川氏のは随筆文学であると云う人もあるが、そう云う意味でも僕は却って賛成する。」 獅子文六 56歳 全 ◎ 5 「賞をやっても嬉しがるまいという人があったが、私は夢声大いに喜ぶことと考えている。」 木々高太郎 52歳 全 △ 6 「二人出してもいゝではないかとの論も出たが、二三時間を超える検討によって、今年は一人と云うことになった。」 井伏鱒二 51歳 全 ― 0   川口松太郎 49歳 全 ● 5 「過去を通じての直木賞の在り方というものを考えたとき、やはり妥当でないような気がした。」

他の候補作 富田常雄 「面」等 藤原審爾 「秋津温泉」 中村八朗 「桑門の街」 今日出海 「山中放浪」 菊岡久利 「怖るべき子供たち」 山田克郎 「海は紅」

藤原審爾28歳×各選考委員　 「秋津温泉」 中篇 185枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 55歳 全 ― 0   久米正雄 57歳 全 △ 15 「井伏君に推奨された藤原審爾君は（引用者中略）あの青っぽい抒情味は、謂わゞ文壇では川端山脈に属するもので、大衆文学かどうか。」 大佛次郎 51歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 △ 6 「二人出してもいゝではないかとの論も出たが、二三時間を超える検討によって、今年は一人と云うことになった。」 井伏鱒二 51歳 全 ― 0   川口松太郎 49歳 全 ― 0	他の候補作 富田常雄 「面」等 徳川夢声 「九字を切る」他 中村八朗 「桑門の街」 今日出海 「山中放浪」 菊岡久利 「怖るべき子供たち」 山田克郎 「海は紅」

中村八朗35歳×各選考委員　 「桑門の街」 短篇 114枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 55歳 全 ○ 5 「有力な候補作品だったが、次の機会を待っても遅くはないと思い、そうした。」 久米正雄 57歳 全 △ 5 「しっかりした書き振りは、信頼が置けると思った。が、此の一種の現地文学は、純文芸的に地味過ぎるとも思った。」 大佛次郎 51歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 △ 9 「まだ数篇の作しか持たない、その一篇を委員がまわしよみをしたのがある。」 井伏鱒二 51歳 全 ― 0   川口松太郎 49歳 全 ― 0	他の候補作 富田常雄 「面」等 徳川夢声 「九字を切る」他 藤原審爾 「秋津温泉」 今日出海 「山中放浪」 菊岡久利 「怖るべき子供たち」 山田克郎 「海は紅」

今日出海45歳×各選考委員　 「山中放浪」 中篇 198枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 55歳 全 ― 0   久米正雄 57歳 全 ― 0   大佛次郎 51歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ― 0   井伏鱒二 51歳 全 ― 0   川口松太郎 49歳 全 ― 0	他の候補作 富田常雄 「面」等 徳川夢声 「九字を切る」他 藤原審爾 「秋津温泉」 中村八朗 「桑門の街」 菊岡久利 「怖るべき子供たち」 山田克郎 「海は紅」

菊岡久利40歳×各選考委員　 「怖るべき子供たち」 中篇 172枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 55歳 全 ― 0   久米正雄 57歳 全 ― 0   大佛次郎 51歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ― 0   井伏鱒二 51歳 全 ― 0   川口松太郎 49歳 全 ― 0	他の候補作 富田常雄 「面」等 徳川夢声 「九字を切る」他 藤原審爾 「秋津温泉」 中村八朗 「桑門の街」 今日出海 「山中放浪」 山田克郎 「海は紅」

山田克郎38歳×各選考委員　 「海は紅」 短篇 77枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 55歳 全 ○ 5 「有力な候補作品だったが、次の機会を待っても遅くはないと思い、そうした。」 久米正雄 57歳 全 □ 7 「「海は紅」の抒情詩と、浪漫味に感心した。」 大佛次郎 51歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 △ 9 「まだ数篇の作しか持たない、その一篇を委員がまわしよみをしたのがある。」 井伏鱒二 51歳 全 ― 0   川口松太郎 49歳 全 △ 2 「他に山田克郎の「海は紅」などもあったが、」	他の候補作 富田常雄 「面」等 徳川夢声 「九字を切る」他 藤原審爾 「秋津温泉」 中村八朗 「桑門の街」 今日出海 「山中放浪」 菊岡久利 「怖るべき子供たち」