第22回

第21回第23回

昭和24年/1949年下半期 昭和25年/1950年4月20日決定発表／『文藝讀物』昭和25年/1950年6月号選評掲載

選考委員　 井伏鱒二 52歳 獅子文六 56歳 木々高太郎 52歳 川口松太郎 50歳 久米正雄 58歳 大佛次郎 52歳 小島政二郎 56歳 選評総行数　 24 10 60 33 30 27 111 評 評 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 山田克郎　「海の廃園」 52枚 39歳 評 ○ 21 ― 0 ○ 29 □ 10 ◎ 30 ― 0 ◎ 77 今日出海　『山中放浪』 433枚 46歳 評 ― 0 ― 0 ■ 7 ◎ 5 ― 0 ◎ 9 ● 9 河内信　「甲子園の想出」 27枚 （不明） 評 ― 0 ○ 10 ■ 8 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 8 若尾徳平　「俘虜五〇七号」 55枚 32歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 小糸のぶ　「おもかげ」 25枚 44歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 △ 4 西川満　「地獄の谷底」 50枚 42歳 評 ― 0 ― 0 ■ 2 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 小泉譲　「死の盛粧」 103枚 36歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 大屋典一　「冬の旅」 69枚 33歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0   欠席   欠席 欠席 欠席   年齢/枚数の説明   見方・注意点

井伏鱒二52歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題四月二十三日記　総行数24　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 山田克郎 39歳 全 ○ 21 「山田氏の創作態度には真摯なところがあると見受け、また、「海の廃園」のロマン風の材料には一もく置いていた故に、（引用者中略）暫定的に賛成した。」 今日出海 46歳 全 ― 0   河内信 （不明） 全 ― 0   若尾徳平 32歳 全 ― 0   小糸のぶ 44歳 全 ― 0   西川満 42歳 全 ― 0   小泉譲 36歳 全 ― 0   大屋典一 33歳 全 ― 0	他の選考委員 獅子文六 木々高太郎 川口松太郎 久米正雄 大佛次郎 小島政二郎

獅子文六56歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題寸感　総行数10　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 山田克郎 39歳 全 ― 0   今日出海 46歳 全 ― 0   河内信 （不明） 全 ○ 10 「この作者が、あの作品（引用者注：「甲子園の想出」のこと）に劣らざるものを、二三発表していたら、面白いことになったと思い残念である。」 若尾徳平 32歳 全 ― 0   小糸のぶ 44歳 全 ― 0   西川満 42歳 全 ― 0   小泉譲 36歳 全 ― 0   大屋典一 33歳 全 ― 0     「家内の不幸と移転とに煩わされて、今度の審査は棄権を余儀なくされた」	他の選考委員 井伏鱒二 木々高太郎 川口松太郎 久米正雄 大佛次郎 小島政二郎

木々高太郎52歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題山田克郎の海　総行数60　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 山田克郎 39歳 全 ○ 29 「慾を言えば力が弱い。然し、ちっとも汚なくはない。同じ裸を描いても、醜悪を描いて興味をつろうとはしていない。将来、大きなロマンが出るだろう。」 今日出海 46歳 全 ■ 7 「小説もうまい。然し、これが大衆文学の本道たる大ロマンであろうか。――そんなわけで惜しくも破れた。」 河内信 （不明） 全 ■ 8 「この一篇が大衆文学の大きなロマンを望む新風とはすることが出来ない。この作者についてはもう少し見ていてやろう――と言うことになり、」 若尾徳平 32歳 全 ― 0   小糸のぶ 44歳 全 ― 0   西川満 42歳 全 ■ 2 「西川満も（引用者注：今日出海の場合と）同じくで、」 小泉譲 36歳 全 ― 0   大屋典一 33歳 全 ― 0	他の選考委員 井伏鱒二 獅子文六 川口松太郎 久米正雄 大佛次郎 小島政二郎

川口松太郎50歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題既成作家にも　総行数33　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 山田克郎 39歳 全 □ 10 「直木賞の趣旨が、どこまでも新人発見というところに重点をおくとすれば、（引用者中略）山田克郎君が最も有力者であり、」「前期で候補として挙げられた「海は紅」と思い合わせて先ず妥当な受賞だと思った。」 今日出海 46歳 全 ◎ 5 「今日出海君の「山中放浪」を推薦した。つまり今君の場合は、直木賞を重からしめるという趣旨には適当だと考えたからである。」 河内信 （不明） 全 ― 0   若尾徳平 32歳 全 ― 0   小糸のぶ 44歳 全 ― 0   西川満 42歳 全 ― 0   小泉譲 36歳 全 ― 0   大屋典一 33歳 全 ― 0     「今後の直木賞の在り方として僕の希望を述べれば、既成作家でも新鮮で、この賞に値する人があれば直木賞をやりたいと考える。」	他の選考委員 井伏鱒二 獅子文六 木々高太郎 久米正雄 大佛次郎 小島政二郎

久米正雄58歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題苦節十年の技倆　総行数30　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 山田克郎 39歳 全 ◎ 30 「海の神秘と、多分のロマンチシズムと、抒情味を備えたこれらの作品は、大衆文学として、特殊の高位を持つばかりでなく純文学としても、その彫琢を誇りうるものだ。」 今日出海 46歳 全 ― 0   河内信 （不明） 全 ― 0   若尾徳平 32歳 全 ― 0   小糸のぶ 44歳 全 ― 0   西川満 42歳 全 ― 0   小泉譲 36歳 全 ― 0   大屋典一 33歳 全 ― 0	他の選考委員 井伏鱒二 獅子文六 木々高太郎 川口松太郎 大佛次郎 小島政二郎

大佛次郎52歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題山中放浪のこと　総行数27　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 山田克郎 39歳 全 ― 0   今日出海 46歳 全 ◎ 9 「戦争を潜って生れた作品として後生に残る小数のものゝ中にも重要な地位を占めると信じ、私はこれを推した。」 河内信 （不明） 全 ― 0   若尾徳平 32歳 全 ― 0   小糸のぶ 44歳 全 ― 0   西川満 42歳 全 ― 0   小泉譲 36歳 全 ― 0   大屋典一 33歳 全 ― 0     「外側の文学でも傑出したものがあったら直木賞を贈るべきだと考えて来た。新聞雑誌に現れる訪問記事、会見記の類いでも優れたものならいゝのである。」	他の選考委員 井伏鱒二 獅子文六 木々高太郎 川口松太郎 久米正雄 小島政二郎

小島政二郎56歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題選評　総行数111　（1行=15字） 候補 評価 行数 評言 山田克郎 39歳 全 ◎ 77 「この前のも、今度のも、方面こそ違え、いずれも海に生活する男女を取り扱ったもので、その意図と云うか、野心と云うか、いや私は野心と呼びたい、その野心が私には面白く、好意が持てた。」 今日出海 46歳 全 ● 9 「飽くまで新人に授賞したいのが私の希望だった。そう云う意味で、二三の委員が推した「山中放浪」に私は敢えて反対したのである。」 河内信 （不明） 全 ■ 8 「一作だけで授賞するのは、いろんな意味で時期尚早だと思い、私は控えた。」 若尾徳平 32歳 全 ― 0   小糸のぶ 44歳 全 △ 4 「私の記憶に残っているのは、小糸のぶ君の「おもかげ」」 西川満 42歳 全 ― 0   小泉譲 36歳 全 ― 0   大屋典一 33歳 全 ― 0	他の選考委員 井伏鱒二 獅子文六 木々高太郎 川口松太郎 久米正雄 大佛次郎

山田克郎39歳×各選考委員　 「海の廃園」 短篇 52枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 52歳 全 ○ 21 「山田氏の創作態度には真摯なところがあると見受け、また、「海の廃園」のロマン風の材料には一もく置いていた故に、（引用者中略）暫定的に賛成した。」 獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ○ 29 「慾を言えば力が弱い。然し、ちっとも汚なくはない。同じ裸を描いても、醜悪を描いて興味をつろうとはしていない。将来、大きなロマンが出るだろう。」 川口松太郎 50歳 全 □ 10 「直木賞の趣旨が、どこまでも新人発見というところに重点をおくとすれば、（引用者中略）山田克郎君が最も有力者であり、」「前期で候補として挙げられた「海は紅」と思い合わせて先ず妥当な受賞だと思った。」 久米正雄 58歳 全 ◎ 30 「海の神秘と、多分のロマンチシズムと、抒情味を備えたこれらの作品は、大衆文学として、特殊の高位を持つばかりでなく純文学としても、その彫琢を誇りうるものだ。」 大佛次郎 52歳 全 ― 0   小島政二郎 56歳 全 ◎ 77 「この前のも、今度のも、方面こそ違え、いずれも海に生活する男女を取り扱ったもので、その意図と云うか、野心と云うか、いや私は野心と呼びたい、その野心が私には面白く、好意が持てた。」

他の候補作 今日出海 『山中放浪』 河内信 「甲子園の想出」 若尾徳平 「俘虜五〇七号」 小糸のぶ 「おもかげ」 西川満 「地獄の谷底」 小泉譲 「死の盛粧」 大屋典一 「冬の旅」

今日出海46歳×各選考委員　 『山中放浪』 長篇 433枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 52歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ■ 7 「小説もうまい。然し、これが大衆文学の本道たる大ロマンであろうか。――そんなわけで惜しくも破れた。」 川口松太郎 50歳 全 ◎ 5 「今日出海君の「山中放浪」を推薦した。つまり今君の場合は、直木賞を重からしめるという趣旨には適当だと考えたからである。」 久米正雄 58歳 全 ― 0   大佛次郎 52歳 全 ◎ 9 「戦争を潜って生れた作品として後生に残る小数のものゝ中にも重要な地位を占めると信じ、私はこれを推した。」 小島政二郎 56歳 全 ● 9 「飽くまで新人に授賞したいのが私の希望だった。そう云う意味で、二三の委員が推した「山中放浪」に私は敢えて反対したのである。」	他の候補作 山田克郎 「海の廃園」 河内信 「甲子園の想出」 若尾徳平 「俘虜五〇七号」 小糸のぶ 「おもかげ」 西川満 「地獄の谷底」 小泉譲 「死の盛粧」 大屋典一 「冬の旅」

河内信（不明）×各選考委員　 「甲子園の想出」 短篇 27枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 52歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ○ 10 「この作者が、あの作品（引用者注：「甲子園の想出」のこと）に劣らざるものを、二三発表していたら、面白いことになったと思い残念である。」 木々高太郎 52歳 全 ■ 8 「この一篇が大衆文学の大きなロマンを望む新風とはすることが出来ない。この作者についてはもう少し見ていてやろう――と言うことになり、」 川口松太郎 50歳 全 ― 0   久米正雄 58歳 全 ― 0   大佛次郎 52歳 全 ― 0   小島政二郎 56歳 全 ■ 8 「一作だけで授賞するのは、いろんな意味で時期尚早だと思い、私は控えた。」	他の候補作 山田克郎 「海の廃園」 今日出海 『山中放浪』 若尾徳平 「俘虜五〇七号」 小糸のぶ 「おもかげ」 西川満 「地獄の谷底」 小泉譲 「死の盛粧」 大屋典一 「冬の旅」

若尾徳平32歳×各選考委員　 「俘虜五〇七号」 短篇 55枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 52歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ― 0   川口松太郎 50歳 全 ― 0   久米正雄 58歳 全 ― 0   大佛次郎 52歳 全 ― 0   小島政二郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山田克郎 「海の廃園」 今日出海 『山中放浪』 河内信 「甲子園の想出」 小糸のぶ 「おもかげ」 西川満 「地獄の谷底」 小泉譲 「死の盛粧」 大屋典一 「冬の旅」

小糸のぶ44歳×各選考委員　 「おもかげ」 短篇 25枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 52歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ― 0   川口松太郎 50歳 全 ― 0   久米正雄 58歳 全 ― 0   大佛次郎 52歳 全 ― 0   小島政二郎 56歳 全 △ 4 「私の記憶に残っているのは、小糸のぶ君の「おもかげ」」	他の候補作 山田克郎 「海の廃園」 今日出海 『山中放浪』 河内信 「甲子園の想出」 若尾徳平 「俘虜五〇七号」 西川満 「地獄の谷底」 小泉譲 「死の盛粧」 大屋典一 「冬の旅」

西川満42歳×各選考委員　 「地獄の谷底」 短篇 50枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 52歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ■ 2 「西川満も（引用者注：今日出海の場合と）同じくで、」 川口松太郎 50歳 全 ― 0   久米正雄 58歳 全 ― 0   大佛次郎 52歳 全 ― 0   小島政二郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山田克郎 「海の廃園」 今日出海 『山中放浪』 河内信 「甲子園の想出」 若尾徳平 「俘虜五〇七号」 小糸のぶ 「おもかげ」 小泉譲 「死の盛粧」 大屋典一 「冬の旅」

小泉譲36歳×各選考委員　 「死の盛粧」 短篇 103枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 52歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ― 0   川口松太郎 50歳 全 ― 0   久米正雄 58歳 全 ― 0   大佛次郎 52歳 全 ― 0   小島政二郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山田克郎 「海の廃園」 今日出海 『山中放浪』 河内信 「甲子園の想出」 若尾徳平 「俘虜五〇七号」 小糸のぶ 「おもかげ」 西川満 「地獄の谷底」 大屋典一 「冬の旅」

大屋典一33歳×各選考委員　 「冬の旅」 短篇 69枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 井伏鱒二 52歳 全 ― 0   獅子文六 56歳 全 ― 0   木々高太郎 52歳 全 ― 0   川口松太郎 50歳 全 ― 0   久米正雄 58歳 全 ― 0   大佛次郎 52歳 全 ― 0   小島政二郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山田克郎 「海の廃園」 今日出海 『山中放浪』 河内信 「甲子園の想出」 若尾徳平 「俘虜五〇七号」 小糸のぶ 「おもかげ」 西川満 「地獄の谷底」 小泉譲 「死の盛粧」