第39回

第38回第40回

昭和33年/1958年上半期 昭和33年/1958年7月21日決定発表／『オール讀物』昭和33年/1958年10月号選評掲載

選考委員　 小島政二郎 64歳 源氏鶏太 46歳 木々高太郎 61歳 中山義秀 57歳 川口松太郎 58歳 吉川英治 65歳 村上元三 48歳 海音寺潮五郎 56歳 大佛次郎 60歳 選評総行数　 52 36 62 21 30 50 47 54   評 評 評 評 評 評 評 評 選評なし 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 山崎豊子　『花のれん』 459枚 33歳 評 ■ 19 ・ 3 ◎ 12 △ 4 ◎ 20 △ 12 ○ 13 □ 31     榛葉英治　『赤い雪』 475枚 45歳 評 △ 6 △ 6 □ 8 △ 6 ■ 4 △ 8 ○ 9 ○ 5     福本和也　「Ｋ7高地」 78枚 29歳 評 △ 4 ― 0 ○ 7 ― 0 ― 0 △ 3 ― 0 ― 0     草川俊　「黄色い運河」 159枚 43歳 評 ― 0 ◎ 9 ― 0 ― 0 □ 2 △ 3 ― 0 ― 0     田中敏樹　「切腹九人目」 63枚 54歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ◎ 4 △ 5 △ 4 ● 6 ― 0     棟田博　『生と死の間に』 754枚 48歳 評 ― 0 ◎ 14 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 7 ● 4 ― 0     水島多樓　「河太郎帰化」 78枚 47歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 △ 4 ― 0 ― 0     北川荘平　「水の壁」 144枚 27歳 評 ○ 8 ― 0 ○ 7 ― 0 □ 2 ○ 7 △ 3 □ 19     多岐川恭　『氷柱』 416枚 38歳 評 ― 0 ○ 8 □ 10 ― 0 ― 0 ■ 5 ― 0 ― 0                     欠席 年齢/枚数の説明   見方・注意点

小島政二郎64歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題感想　総行数52　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 山崎豊子 33歳 全 ■ 19 「この作では芸人カタギというものが、ちっとも書けていず、彼女の成功のイキサツが実にイージー・ゴーイングで、私にはシロウトくさく感じられた。」 榛葉英治 45歳 全 △ 6 「さすがに年期がはいっていると思った。」「もっとこれをテーマ小説にしたら、もっと簡潔で面白かったのではないかと思う。」 福本和也 29歳 全 △ 4 「面白かった。この次の機会までに、できるだけ沢山の作品を見せて頂きたい。」 草川俊 43歳 全 ― 0   田中敏樹 54歳 全 ― 0   棟田博 48歳 全 ― 0   水島多樓 47歳 全 ― 0   北川荘平 27歳 全 ○ 8 「文章もリズムを打って躍動していて、いかにもテーマ小説にふさわしい文体だ。」「第二作を期待する。」 多岐川恭 38歳 全 ― 0	他の選考委員 源氏鶏太 木々高太郎 中山義秀 川口松太郎 吉川英治 村上元三 海音寺潮五郎

源氏鶏太46歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題通らなかった三篇について　総行数36　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 山崎豊子 33歳 全 ・ 3   榛葉英治 45歳 全 △ 6 「かりに、「赤い雪」が選ばれなかったとしたら、私にとって、ひどく、後味の悪いものになったであろう。」 福本和也 29歳 全 ― 0   草川俊 43歳 全 ◎ 9 「構成その他に、多少の難があるが、重厚な味があって、しかも、登場人物が描きわけられていて、面白かった。」 田中敏樹 54歳 全 ― 0   棟田博 48歳 全 ◎ 14 「人間の運命が、戦時を中心にして、過去、現在、未来にわたり、文字通り、生と死の間に描かれていて、戦争文学というと、徒らに反戦的な作品の多い中で、異色の作と思った。」 水島多樓 47歳 全 ― 0   北川荘平 27歳 全 ― 0   多岐川恭 38歳 全 ○ 8 「推理小説としてでなく、普通の文学作品として読んで、悪くなかった。」

他の選考委員 小島政二郎 木々高太郎 中山義秀 川口松太郎 吉川英治 村上元三 海音寺潮五郎

木々高太郎61歳×各候補作

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題戦争小説は駄目か　総行数62　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 山崎豊子 33歳 全 ◎ 12 「最高点を出すつもりで出た。文章がしっかりしているし、人物もよくかけている。たゞ一つ気に入らぬことがあるとすれば一種の成功物語のように見える点である。」 榛葉英治 45歳 全 □ 8 「相当の作であるが、私は戦争小説は嫌いだ、という理由で、初めから点を入れなかった。」 福本和也 29歳 全 ○ 7 「私の比較的同情を持ったものは「Ｋ７高地」（福本和也）と「水の壁」（北川荘平）の二本であった。」「これは引き出して大いに書かせたい。」 草川俊 43歳 全 ― 0   田中敏樹 54歳 全 ― 0   棟田博 48歳 全 ― 0   水島多樓 47歳 全 ― 0   北川荘平 27歳 全 ○ 7 「私の比較的同情を持ったものは「Ｋ７高地」（福本和也）と「水の壁」（北川荘平）の二本であった。」「これは引き出して大いに書かせたい。」 多岐川恭 38歳 全 □ 10 「こゝ数年のうちには、探偵小説で賞に入る作品も出て来るという希望が、何となく持てた。」

他の選考委員 小島政二郎 源氏鶏太 中山義秀 川口松太郎 吉川英治 村上元三 海音寺潮五郎

中山義秀57歳×各候補作

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題選評　総行数21　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 山崎豊子 33歳 全 △ 4 「当選は、誰も異論のないところであろう。」「おそろしく達者だし、」 榛葉英治 45歳 全 △ 6 「当選は、誰も異論のないところであろう。」「いちばん濃い文学のあじわいが感じられた。」 福本和也 29歳 全 ― 0   草川俊 43歳 全 ― 0   田中敏樹 54歳 全 ◎ 4 「私は「切腹九人目」を推したが、誰も賛成する人がない。推す理由はと問われたから、構想が面白いと答えた。」 棟田博 48歳 全 ― 0   水島多樓 47歳 全 ― 0   北川荘平 27歳 全 ― 0   多岐川恭 38歳 全 ― 0	他の選考委員 小島政二郎 源氏鶏太 木々高太郎 川口松太郎 吉川英治 村上元三 海音寺潮五郎

川口松太郎58歳×各候補作

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題好い作品が多かった　総行数30　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 山崎豊子 33歳 全 ◎ 20 「今度の作品中では、どれよりも優れているような気がして自信を持って推薦し、委員の大半が賛成であったのも嬉しかった。」「良人に死なれる前後の描写に一ばん感心した。」 榛葉英治 45歳 全 ■ 4 「正直にいって私は推さなかったが、お馴染み作家だけに嬉しい。」 福本和也 29歳 全 ― 0   草川俊 43歳 全 □ 2 「選外作品では「水の壁」と「黄色い運河」が面白く、」 田中敏樹 54歳 全 △ 5 「中山義秀君がたった一人で最後まで推した事は田中敏樹君も記憶せられたい。義秀の熱意に応える意味でも好い作品を書いて欲しい。」 棟田博 48歳 全 ― 0   水島多樓 47歳 全 ― 0   北川荘平 27歳 全 □ 2 「選外作品では「水の壁」と「黄色い運河」が面白く、」 多岐川恭 38歳 全 ― 0

他の選考委員 小島政二郎 源氏鶏太 木々高太郎 中山義秀 吉川英治 村上元三 海音寺潮五郎

吉川英治65歳×各候補作

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題寸感　総行数50　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 山崎豊子 33歳 全 △ 12 「だいたい、うごかない或る位置をもっている。」「前作「のれん」を誰も読んでおり、それに比べての進歩がたいへん信頼をつよめていたのである。」 榛葉英治 45歳 全 △ 8 「これを跳躍台に、氏が従来の惜まれ惜まれて来たものを一ばい腰をすえて打出してもらえるなら大きな意味をなすものという期待が委員の誰からも言われていた。」 福本和也 29歳 全 △ 3 「黄色い運河」と「Ｋ７高地」いずれかなどの議論もかなり熱しておもしろかった。」 草川俊 43歳 全 △ 3 「黄色い運河」と「Ｋ７高地」いずれかなどの議論もかなり熱しておもしろかった。」 田中敏樹 54歳 全 △ 4 「「切腹九人目」を独り推してうごかなかった中山義秀新委員のたいどなど好ましかった。」 棟田博 48歳 全 ■ 7 「「赤い雪」を味わった口では、その素朴な兵隊記録のうちの長所も前者の文学化されたものには見劣るのをどうしようもない気がした。」 水島多樓 47歳 全 △ 4 「川口氏の好みそうなものと思っていたらやはりこれを採っておられた」 北川荘平 27歳 全 ○ 7 「見送られたのは私にしても心残りだった。」「私たちに印象づけたこの人の才筆はさらに今日の惜みを想起させる二作にきっと接しうる気がしている。」 多岐川恭 38歳 全 ■ 5 「おもしろいこと確かだが、エラリー・クイン風の構成や技巧も似て非という感が来てはおしまいになる。」

他の選考委員 小島政二郎 源氏鶏太 木々高太郎 中山義秀 川口松太郎 村上元三 海音寺潮五郎

村上元三48歳×各候補作

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題選者の慾　総行数47　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 山崎豊子 33歳 全 ○ 13 「一ばん有力な候補作品だろう、と思いながら銓衡委員会へ出席した。」「もう一作、読ませて貰ってからでもいいと思ったが、席上ではわたしも推したし、やはり票も多く集った。」 榛葉英治 45歳 全 ○ 9 「こんどの候補作品に多かった敗戦後の外地を扱ったものの中では、一ばんすぐれていると思う。」「「花のれん」とこれを併せて授賞作とわたしは言った。」 福本和也 29歳 全 ― 0   草川俊 43歳 全 ― 0   田中敏樹 54歳 全 ● 6 「こういう書き方をしているので一応は新しいものを感じさせるが、よく読むと、もう古い。」 棟田博 48歳 全 ● 4 「連載小説の為であろうか、読んでいるうちに、ときどき足踏みをさせられる気がした。」 水島多樓 47歳 全 ― 0   北川荘平 27歳 全 △ 3 「面白い材料を扱っているとは思うが、次作が候補になってからでもいいと考えた。」 多岐川恭 38歳 全 ― 0

他の選考委員 小島政二郎 源氏鶏太 木々高太郎 中山義秀 川口松太郎 吉川英治 海音寺潮五郎

海音寺潮五郎56歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題選評　総行数54　（1行=14字） 候補 評価 行数 評言 山崎豊子 33歳 全 □ 31 「材料を豊富に用意しておいて、速射砲的にポンポン撃ち出して行く手法が面白い。」「ただ女の幸福は男との愛情の中にあるというモチーフは古い。（引用者中略）なぜ事業に徹し切った女性として書かなかったのであろう。」 榛葉英治 45歳 全 ○ 5 「腕がしっかりしているという点では、これが一番だろう。」「受賞は遅すぎた感すらある。」 福本和也 29歳 全 ― 0   草川俊 43歳 全 ― 0   田中敏樹 54歳 全 ― 0   棟田博 48歳 全 ― 0   水島多樓 47歳 全 ― 0   北川荘平 27歳 全 □ 19 「われわれは時々巨大な権力の理不尽な圧力に苦しめられ、闘うにも訴えるにも法がなく、切なさと憤りに歯ぎしりするより外ないことがある。（引用者中略）この作品はそれを取りあつかっている。心を打たれずにはいない。」 多岐川恭 38歳 全 ― 0

他の選考委員 小島政二郎 源氏鶏太 木々高太郎 中山義秀 川口松太郎 吉川英治 村上元三

山崎豊子33歳×各選考委員　 『花のれん』 長篇 459枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 ■ 19 「この作では芸人カタギというものが、ちっとも書けていず、彼女の成功のイキサツが実にイージー・ゴーイングで、私にはシロウトくさく感じられた。」 源氏鶏太 46歳 全 ・ 3   木々高太郎 61歳 全 ◎ 12 「最高点を出すつもりで出た。文章がしっかりしているし、人物もよくかけている。たゞ一つ気に入らぬことがあるとすれば一種の成功物語のように見える点である。」 中山義秀 57歳 全 △ 4 「当選は、誰も異論のないところであろう。」「おそろしく達者だし、」 川口松太郎 58歳 全 ◎ 20 「今度の作品中では、どれよりも優れているような気がして自信を持って推薦し、委員の大半が賛成であったのも嬉しかった。」「良人に死なれる前後の描写に一ばん感心した。」 吉川英治 65歳 全 △ 12 「だいたい、うごかない或る位置をもっている。」「前作「のれん」を誰も読んでおり、それに比べての進歩がたいへん信頼をつよめていたのである。」 村上元三 48歳 全 ○ 13 「一ばん有力な候補作品だろう、と思いながら銓衡委員会へ出席した。」「もう一作、読ませて貰ってからでもいいと思ったが、席上ではわたしも推したし、やはり票も多く集った。」 海音寺潮五郎 56歳 全 □ 31 「材料を豊富に用意しておいて、速射砲的にポンポン撃ち出して行く手法が面白い。」「ただ女の幸福は男との愛情の中にあるというモチーフは古い。（引用者中略）なぜ事業に徹し切った女性として書かなかったのであろう。」

他の候補作 榛葉英治 『赤い雪』 福本和也 「Ｋ7高地」 草川俊 「黄色い運河」 田中敏樹 「切腹九人目」 棟田博 『生と死の間に』 水島多樓 「河太郎帰化」 北川荘平 「水の壁」 多岐川恭 『氷柱』

榛葉英治45歳×各選考委員　 『赤い雪』 長篇 475枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 △ 6 「さすがに年期がはいっていると思った。」「もっとこれをテーマ小説にしたら、もっと簡潔で面白かったのではないかと思う。」 源氏鶏太 46歳 全 △ 6 「かりに、「赤い雪」が選ばれなかったとしたら、私にとって、ひどく、後味の悪いものになったであろう。」 木々高太郎 61歳 全 □ 8 「相当の作であるが、私は戦争小説は嫌いだ、という理由で、初めから点を入れなかった。」 中山義秀 57歳 全 △ 6 「当選は、誰も異論のないところであろう。」「いちばん濃い文学のあじわいが感じられた。」 川口松太郎 58歳 全 ■ 4 「正直にいって私は推さなかったが、お馴染み作家だけに嬉しい。」 吉川英治 65歳 全 △ 8 「これを跳躍台に、氏が従来の惜まれ惜まれて来たものを一ばい腰をすえて打出してもらえるなら大きな意味をなすものという期待が委員の誰からも言われていた。」 村上元三 48歳 全 ○ 9 「こんどの候補作品に多かった敗戦後の外地を扱ったものの中では、一ばんすぐれていると思う。」「「花のれん」とこれを併せて授賞作とわたしは言った。」 海音寺潮五郎 56歳 全 ○ 5 「腕がしっかりしているという点では、これが一番だろう。」「受賞は遅すぎた感すらある。」

他の候補作 山崎豊子 『花のれん』 福本和也 「Ｋ7高地」 草川俊 「黄色い運河」 田中敏樹 「切腹九人目」 棟田博 『生と死の間に』 水島多樓 「河太郎帰化」 北川荘平 「水の壁」 多岐川恭 『氷柱』

福本和也29歳×各選考委員　 「Ｋ7高地」 短篇 78枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 △ 4 「面白かった。この次の機会までに、できるだけ沢山の作品を見せて頂きたい。」 源氏鶏太 46歳 全 ― 0   木々高太郎 61歳 全 ○ 7 「私の比較的同情を持ったものは「Ｋ７高地」（福本和也）と「水の壁」（北川荘平）の二本であった。」「これは引き出して大いに書かせたい。」 中山義秀 57歳 全 ― 0   川口松太郎 58歳 全 ― 0   吉川英治 65歳 全 △ 3 「黄色い運河」と「Ｋ７高地」いずれかなどの議論もかなり熱しておもしろかった。」 村上元三 48歳 全 ― 0   海音寺潮五郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山崎豊子 『花のれん』 榛葉英治 『赤い雪』 草川俊 「黄色い運河」 田中敏樹 「切腹九人目」 棟田博 『生と死の間に』 水島多樓 「河太郎帰化」 北川荘平 「水の壁」 多岐川恭 『氷柱』

草川俊43歳×各選考委員　 「黄色い運河」 中篇 159枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 ― 0   源氏鶏太 46歳 全 ◎ 9 「構成その他に、多少の難があるが、重厚な味があって、しかも、登場人物が描きわけられていて、面白かった。」 木々高太郎 61歳 全 ― 0   中山義秀 57歳 全 ― 0   川口松太郎 58歳 全 □ 2 「選外作品では「水の壁」と「黄色い運河」が面白く、」 吉川英治 65歳 全 △ 3 「黄色い運河」と「Ｋ７高地」いずれかなどの議論もかなり熱しておもしろかった。」 村上元三 48歳 全 ― 0   海音寺潮五郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山崎豊子 『花のれん』 榛葉英治 『赤い雪』 福本和也 「Ｋ7高地」 田中敏樹 「切腹九人目」 棟田博 『生と死の間に』 水島多樓 「河太郎帰化」 北川荘平 「水の壁」 多岐川恭 『氷柱』

田中敏樹54歳×各選考委員　 「切腹九人目」 短篇 63枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 ― 0   源氏鶏太 46歳 全 ― 0   木々高太郎 61歳 全 ― 0   中山義秀 57歳 全 ◎ 4 「私は「切腹九人目」を推したが、誰も賛成する人がない。推す理由はと問われたから、構想が面白いと答えた。」 川口松太郎 58歳 全 △ 5 「中山義秀君がたった一人で最後まで推した事は田中敏樹君も記憶せられたい。義秀の熱意に応える意味でも好い作品を書いて欲しい。」 吉川英治 65歳 全 △ 4 「「切腹九人目」を独り推してうごかなかった中山義秀新委員のたいどなど好ましかった。」 村上元三 48歳 全 ● 6 「こういう書き方をしているので一応は新しいものを感じさせるが、よく読むと、もう古い。」 海音寺潮五郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山崎豊子 『花のれん』 榛葉英治 『赤い雪』 福本和也 「Ｋ7高地」 草川俊 「黄色い運河」 棟田博 『生と死の間に』 水島多樓 「河太郎帰化」 北川荘平 「水の壁」 多岐川恭 『氷柱』

棟田博48歳×各選考委員　 『生と死の間に』 長篇 754枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 ― 0   源氏鶏太 46歳 全 ◎ 14 「人間の運命が、戦時を中心にして、過去、現在、未来にわたり、文字通り、生と死の間に描かれていて、戦争文学というと、徒らに反戦的な作品の多い中で、異色の作と思った。」 木々高太郎 61歳 全 ― 0   中山義秀 57歳 全 ― 0   川口松太郎 58歳 全 ― 0   吉川英治 65歳 全 ■ 7 「「赤い雪」を味わった口では、その素朴な兵隊記録のうちの長所も前者の文学化されたものには見劣るのをどうしようもない気がした。」 村上元三 48歳 全 ● 4 「連載小説の為であろうか、読んでいるうちに、ときどき足踏みをさせられる気がした。」 海音寺潮五郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山崎豊子 『花のれん』 榛葉英治 『赤い雪』 福本和也 「Ｋ7高地」 草川俊 「黄色い運河」 田中敏樹 「切腹九人目」 水島多樓 「河太郎帰化」 北川荘平 「水の壁」 多岐川恭 『氷柱』

水島多樓47歳×各選考委員　 「河太郎帰化」 短篇 78枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 ― 0   源氏鶏太 46歳 全 ― 0   木々高太郎 61歳 全 ― 0   中山義秀 57歳 全 ― 0   川口松太郎 58歳 全 ― 0   吉川英治 65歳 全 △ 4 「川口氏の好みそうなものと思っていたらやはりこれを採っておられた」 村上元三 48歳 全 ― 0   海音寺潮五郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山崎豊子 『花のれん』 榛葉英治 『赤い雪』 福本和也 「Ｋ7高地」 草川俊 「黄色い運河」 田中敏樹 「切腹九人目」 棟田博 『生と死の間に』 北川荘平 「水の壁」 多岐川恭 『氷柱』

北川荘平27歳×各選考委員　 「水の壁」 短篇 144枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 ○ 8 「文章もリズムを打って躍動していて、いかにもテーマ小説にふさわしい文体だ。」「第二作を期待する。」 源氏鶏太 46歳 全 ― 0   木々高太郎 61歳 全 ○ 7 「私の比較的同情を持ったものは「Ｋ７高地」（福本和也）と「水の壁」（北川荘平）の二本であった。」「これは引き出して大いに書かせたい。」 中山義秀 57歳 全 ― 0   川口松太郎 58歳 全 □ 2 「選外作品では「水の壁」と「黄色い運河」が面白く、」 吉川英治 65歳 全 ○ 7 「見送られたのは私にしても心残りだった。」「私たちに印象づけたこの人の才筆はさらに今日の惜みを想起させる二作にきっと接しうる気がしている。」 村上元三 48歳 全 △ 3 「面白い材料を扱っているとは思うが、次作が候補になってからでもいいと考えた。」 海音寺潮五郎 56歳 全 □ 19 「われわれは時々巨大な権力の理不尽な圧力に苦しめられ、闘うにも訴えるにも法がなく、切なさと憤りに歯ぎしりするより外ないことがある。（引用者中略）この作品はそれを取りあつかっている。心を打たれずにはいない。」

他の候補作 山崎豊子 『花のれん』 榛葉英治 『赤い雪』 福本和也 「Ｋ7高地」 草川俊 「黄色い運河」 田中敏樹 「切腹九人目」 棟田博 『生と死の間に』 水島多樓 「河太郎帰化」 多岐川恭 『氷柱』

多岐川恭38歳×各選考委員　 『氷柱』 長篇 416枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 小島政二郎 64歳 全 ― 0   源氏鶏太 46歳 全 ○ 8 「推理小説としてでなく、普通の文学作品として読んで、悪くなかった。」 木々高太郎 61歳 全 □ 10 「こゝ数年のうちには、探偵小説で賞に入る作品も出て来るという希望が、何となく持てた。」 中山義秀 57歳 全 ― 0   川口松太郎 58歳 全 ― 0   吉川英治 65歳 全 ■ 5 「おもしろいこと確かだが、エラリー・クイン風の構成や技巧も似て非という感が来てはおしまいになる。」 村上元三 48歳 全 ― 0   海音寺潮五郎 56歳 全 ― 0	他の候補作 山崎豊子 『花のれん』 榛葉英治 『赤い雪』 福本和也 「Ｋ7高地」 草川俊 「黄色い運河」 田中敏樹 「切腹九人目」 棟田博 『生と死の間に』 水島多樓 「河太郎帰化」 北川荘平 「水の壁」