生没年月日【注】 | 昭和26年/1951年12月16日~ | |
経歴 | 神奈川県横浜市生まれ。国学院大学経済学部卒。同大学博物館学研究助手、グラフィックデザイナー、編集者を経験。アフガニスタン国境に潜入などし、軍事評論『戦場は僕らのオモチャ箱』を刊行。ノンフィクション、小説、漫画原作、コンピュータゲームソフトなど幅広く活躍。 | |
受賞歴・候補歴 |
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「水阿弥陀仏」「放屁権介」「人造記」
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印刷/発行年月日 | 発行 平成2年/1990年11月5日(第1刷) | ||||
発行者等 | 発行者 小高民雄 印刷製本 図書印刷株式会社 | ||||
発行所 | 東京書籍株式会社(東京都) | 形態 | 四六判 上製 | ||
装幀/装画等 | illustration 門坂 流 book design スタジオ・ギヴ | ||||
総ページ数 | 286 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
44字 ×18行 ×1段 |
本文ページ |
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測定枚数 | 314枚 |
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書誌
平成5年/1993年11月・文藝春秋/文春文庫『人造記』所収
収録作品の書誌
水阿弥陀仏
初出『中央公論 増刊』昭和62年/1987年15号[12月]
平成15年/2003年1月・白泉社刊『東郷隆時代奇譚小説集』所収
放屁権介
初出『野性時代』昭和61年/1986年12月号
平成15年/2003年1月・白泉社刊『東郷隆時代奇譚小説集』所収
人造記
書き下ろし
平成15年/2003年1月・白泉社刊『東郷隆時代奇譚小説集』所収
他の収録作品
「上海魚水石」(『BRUTUS』昭和60年/1985年10月15日号)
「蟻通し」(『歴史読本 臨時増刊』平成1年/1989年9月号)
候補者 東郷隆 39歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
渡辺淳一 | 57歳 |
■ | 11 | 「歴史的怪奇小説という独特の世界に挑み、それなりに読ませる。だがときに資料の羅列や解説にとどまり、奇をてらうだけに終る危うさがある。せっかく怪奇ものを書くなら、そこから人間性の本質に迫る魔性のようなものを、引きずり出して欲しいものである。」 |
平岩弓枝 | 58歳 |
● | 5 | 「その作品を通じて、読者になにがいいたいのか、作者の心がどこにあるのかが曖昧なところで損をしたようです。」 |
陳舜臣 | 66歳 |
■ | 8 | 「秀作であるだけに、おそろしさの奥にかくされた人間性に、作者の筆がその直前でとまっているような、歯痒さがかんじられた。物語ることに夢中になりすぎたせいかもしれない。」 |
井上ひさし | 56歳 |
△ | 5 | 「薀蓄と諧謔味のある文章。」「一読して三嘆すべき立派な作品だった。」 |
田辺聖子 | 62歳 |
■ | 21 | 「作品集『人造記』の中で『上海魚水石』は候補に上っていないが、私はこれも面白く読んだ。いうならむしろ、『上海魚水石』がいちばんいいように思った。」「『上海魚水石』は文学的風韻にみちていた……。それに比してたとえば『人造記』という作品中、王朝末期のオハナシの中に、突如、「カレー」という語が不用意に飛び出してくる。(引用者中略)読者は作者のめくらましに酔いたいのに。」 |
五木寛之 | 58歳 |
○ | 7 | 「「水阿弥陀仏」が奇妙に印象に残った。ふと魯迅の「故事新編」の作風を連想したのは、この作家の才能にただならぬものを感じたからである。」 |
黒岩重吾 | 66歳 |
○ | 23 | 「票が入れば、受賞作として良い、と考えていたが、余り票が入らなかった。」「私は「水阿弥陀仏」を実に面白く読んだ。この面白さは理屈抜きだが、結構、足利義尚を通し権力をからかい、憐れんでいる。」「この一作なら良いが、「放屁権介」「人造記」となると作品の濃度が落ちて来る。」 |
山口瞳 | 64歳 |
― | 0 | |
藤沢周平 | 63歳 |
△ | 13 | 「勉強のあとが窺え、かつよくまとまった作品だった。中でも出来は「水阿弥陀仏」が一番かと思われた」「難を言えば資料に執着しすぎて小説的なのびを欠いた感じが気になったが、個性的な作家になりそうな可能性がみられる。」 |
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号 |
文量 |
短篇〔3篇〕 |
水阿弥陀仏 | |
章立て | |
「一」~「七」 | |
時代設定 | 場所設定 |
室町[長享年間] | 京都 |
登場人物 | |
●水阿弥(怪人) ●足利義尚(九代将軍) ●甘阿弥(義尚附きの茶坊主) |
放屁権介 | |
章立て | |
「一」~「四」「蛇足」 | |
時代設定 | 場所設定 |
江戸幕末~明治初期 | 大阪 |
登場人物 | |
●権介(曲屁芸人) ●内山彦次郎(西町奉行所筆頭) |
人造記 | |
章立て | |
「一」~「七」 | |
時代設定 | 場所設定 |
平安末期 | 高野山 |
登場人物 | |
●西行(出家人、隠遁者) ●西道(西行の弟子) ●覚蓮(人造の呪法を知る上人) |
「猫間(ねこま)」
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誌名 | 「別册文藝春秋」 | ||||
巻号 | 第197号 別表記197特別号 | ||||
印刷/発行年月日 | 発行 平成3年/1991年10月1日 | ||||
発行者等 | 編集人 高橋一清 発行人 豊田健次 印刷人 藤田弘道 印刷所 凸版印刷株式会社 | ||||
発行所 | 株式会社文藝春秋(東京都) | ||||
総ページ数 | 494 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
26字 ×25行 ×2段 |
本文ページ | 182~207 (計26頁) |
測定枚数 | 81枚 |
書誌
平成15年/2003年1月・白泉社刊『東郷隆時代奇譚小説集』所収
候補者 東郷隆 40歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
陳舜臣 | 67歳 |
● | 10 | 「大長篇の序章のようにかんじられた。読後の「完結感」がゆるい。登場人物が読者にとって、熟知の史上の人物なので、勝手に読者の脳中でうごくせいかもしれない。」 |
平岩弓枝 | 59歳 |
● | 4 | 「この中篇が候補作になったことが、東郷さんにはお気の毒だったという印象を受けた。」 |
五木寛之 | 59歳 |
△ | 14 | 「老成した文章は、この主人公を描くにふさわしい落着きがある。細部にも配慮がゆきとどいた小説だし、義仲の純情ぶりもすこぶるおもしろい。」「政治にかかわりあうまいと心をくだく男たちが小説の主人公となるのが、現代というものだろうか。」 |
田辺聖子 | 63歳 |
● | 9 | 「東郷氏のお作品の玄妙はもっと自由奔放な世界にありそう。これは少し渋くまとまりすぎ、細部のデコレーションを楽しむにとどまった。そのため、主人公の印象が稀薄なのは惜しい。」 |
黒岩重吾 | 67歳 |
△ | 10 | 「私が思ったよりも点が入らなかった。木曾冠者義仲が都に入ってからの公家の狼狽ぶりや、義仲の野性味と情などがよく描けている。主人公も面白いが、この人物を活かすには、作品にもっとうねりがなければならない。」 |
渡辺淳一 | 58歳 |
― | 0 | |
井上ひさし | 57歳 |
■ | 13 | 「細部がほんとうにおもしろい。ただ、その細部が集積されて一編の小説に編み上げる際の戦略にいささかの誤算が見られるようだ。なんだかおとなしいのだ。もとよりそのおとなしさがこの『猫間』の魅力でもあるのだけれど。」 |
山口瞳 | 65歳 |
― | 0 | |
藤沢周平 | 64歳 |
■ | 8 | 「骨法正しい短篇で、歴史上のエピソードをひっくり返してみせた手腕があざやかだった。ただ前半が説明過多で、そのせいか話が小柄にすぎて授賞を云々するには不足に思われた。」 |
選評出典:『オール讀物』平成4年/1992年3月号 |
文量 | |
短篇 | |
章立て | |
「1」~「6」 | |
時代設定 | 場所設定 |
平安末期[寿永] | 京 |
登場人物 | |
●前治部卿光隆(従三位、綽名・ねこま) ●後白河院(政事の中心人物) ●志(光隆に仕える雑色) ●木曾冠者義仲(正体不明の武者) |
『打てや叩けや――源平物怪合戦』(平成4年/1992年6月・新潮社刊)媒体・作品情報
書誌 初出『週刊新潮』平成3年/1991年4月~12月/単行本化にあたり加筆推敲
平成19年/2007年7月・光文社/光文社時代小説文庫『打てや叩けや 源平物怪合戦』
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『大砲松』(平成5年/1993年12月・講談社刊)
書誌 平成8年/1996年9月・講談社/講談社文庫『大砲松』
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『終りみだれぬ』(平成6年/1994年5月・文藝春秋刊)媒体・作品情報
書誌 平成10年/1998年6月・文藝春秋/文春文庫『終りみだれぬ』 収録作品の書誌 絵師合戦
初出『オール讀物』平成4年/1992年4月号
開眼
初出『オール讀物』平成3年/1991年10月号/単行本収録にあたり加筆
鼓
書き下ろし
熊谷往生
初出『オール讀物』平成5年/1993年4月号「功名」
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「そは何者」(『別冊文藝春秋』211号[平成7年/1995年4月])媒体・作品情報
書誌 平成9年/1997年5月・文藝春秋刊『そは何者』所収
平成24年/2012年9月・静山社/静山社文庫『そは何者』所収
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『そは何者』(平成9年/1997年5月・文藝春秋刊)
書誌 平成24年/2012年9月・静山社/静山社文庫『そは何者』 収録作品 「飾磨屋の客」「予兆」「そは何者」「学生」「疽」「湯の宿」「蘇堤の犬」「楽屋」
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『洛中の露――金森宗和覚え書』(平成10年/1998年1月・新潮社刊)媒体・作品情報
書誌 平成22年/2010年8月・文藝春秋/文春文庫『洛中の露』 収録作品の書誌 弥助
初出『小説新潮』平成4年/1992年2月号
茶筅
初出『別冊歴史読本・時代小説』平成5年/1993年夏号[6月]「梅雪入道の死」
讃岐簾
初出『小説新潮』平成5年/1993年8月号
鉄線蓮
初出『小説新潮』平成5年/1993年2月号
共筒
初出『小説新潮』平成6年/1994年2月号
白昼夢
初出『小説新潮』平成6年/1994年7月号
灰天目
初出『小説新潮』平成9年/1997年2月号「きれいさび」
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『定吉七番の復活』(平成25年/2013年1月・講談社刊)
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