生没年月日【注】 | 昭和6年/1931年8月22日~平成30年/2018年9月17日 | |
経歴 | 本名=堀江和男。福岡県北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画科中退。浅草フランス座宣伝部、シナリオライター、映像ディレクターなどを経験。「享保貢象始末」でオール讀物新人賞受賞。 | |
受賞歴・候補歴 |
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『大久保長安――ナンバー2の栄光と悲惨の生涯』
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作品名 別表記 | 表紙・背・扉 副題有り 奥付 「大久保長安」のみ | ||||
印刷/発行年月日 | 発行 昭和62年/1987年7月30日(第1刷) | ||||
測定媒体発行年月日 | 発行 昭和62年/1987年12月21日(第3刷) | ||||
発行者等 | 発行者 加藤勝久 印刷所 株式会社廣済堂 製本所 黒柳製本株式会社 | ||||
発行所 | 株式会社講談社(東京都) | 形態 | 四六判 上製 | ||
装幀/装画等 | 装丁 安彦勝博 | ||||
総ページ数 | 393 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
25字 ×22行 ×2段 |
本文ページ | 7~391 (計385頁) |
測定枚数 | 1059枚 |
書誌
平成2年/1990年10月・講談社/講談社文庫『大久保長安』(上)(下)
候補者 堀和久 56歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
山口瞳 | 61歳 |
● | 9 | 「この作者の粘着力に敬意を表するが、いかにも小説としてのハナとかサワリに乏しい。大久保長安の何を書きたかったのか判然としない。」 |
黒岩重吾 | 63歳 |
― | 0 | |
村上元三 | 77歳 |
● | 23 | 「期待をしながら読み続けて、五日間かかった。そして最後に、がっかりした。」「肝腎のところが書かれていない。」「末尾に参考文献をずらりとならべるよりも、資料をどう消化したか、というほうが大切なのだと思う。」 |
陳舜臣 | 63歳 |
● | 7 | 「興味あるテーマをつかまえながら、資料を丹念に撒いたので冗漫になってしまった。小説として熟すには、思い切った刈りこみが必要であろう。」 |
藤沢周平 | 60歳 |
● | 10 | 「大作を破綻なくまとめた筆力は認められるものの、肝心の主人公の怪物ぶりが書けていなかった。列挙されている長安のもろもろの権力というものは、徳川あっての虚像に過ぎず、天下を狙う野望にむすびつくほどのものとは見做しがたいのである。」 |
平岩弓枝 | 55歳 |
● | 20 | 「大作であり労作だと思うのですが、はっきりいって資料の中から人間が起き上って来ないという印象を受けました。資料は多いほどよいが、いざ書く時には、その中のどれだけを捨てられるかが勝負だと、かつて、大先輩から教えられたことがあります。」 |
井上ひさし | 53歳 |
● | 8 | 「作者がみずから設定した「長安はなぜ家康にそむこうとしたか」という謎には、満足の行く答が与えられていない。」 |
田辺聖子 | 59歳 |
■ | 16 | 「大久保長安についてほとんど知ることがないので、まことに裨益された。」「しかし小説としてみたとき、第一に長安の人物像に魅力が感じられないのが、私には致命的に思われた。」「作者が食指を動かしたくなる興味と情熱の、よってくるところが解明されればよいのだが、それが事蹟の謎への解明にとどまったような所が残念であった。」 |
渡辺淳一 | 54歳 |
■ | 6 | 「これを書き下した努力は評価しなければならない。しかし資料がこなれず、長安そのものも魅力に欠けて、いささか退屈する。」 |
五木寛之 | 55歳 |
△ | 10 | 「さて、はたして自分がこれだけの大長篇をまとめあげる作家的粘着力があるか、と自問してみれば、あれこれあげつらう気力などおのずと消滅してしまう。」 |
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号 |
文量 | |
長篇 | |
章立て | |
「まえがき」「第一章 出会い」「第二章 地方巧者への道」「第三章 武田家の滅亡」「第四章 長安、家康に心服」「第五章 徳川家総代官」「第六章 佐渡金山改革」「第七章 家康の老耄」「第八章 長安の野望」「第九章 君臣の暗闘」「第十章 政敵」「第十一章 起死回生の賭け」「第十二章 終焉」 | |
時代設定 | 場所設定 |
戦国~江戸初期[永禄年間~慶長年間] | 甲斐~摂津~江戸~佐渡~駿河など |
登場人物 | |
●大久保石見守長安(徳川家総代官、元・武田家猿楽衆見習・大蔵藤十郎) ●徳川家康(将軍、のち大御所) ●大久保藤十郎(長安の長男) ●下間頼竜(本願寺執事) ●勝(長安の妻、頼竜の娘) ●大久保忠隣(長安の寄親、徳川家老中首座) ●本多正純(大御所の側近) ●田辺太郎左衛門(武田家蔵前衆組頭、長安の師匠) ●お国太夫(傾き踊り) |
『春日局』(昭和63年/1988年5月・文藝春秋刊)媒体・作品情報
書誌 昭和63年/1988年10月・文藝春秋/文春文庫『春日局』
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『夢空幻――金座御金改役・後藤三右衛門の生涯』
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作品名 別表記 | 表紙・背・別丁扉 副題有り 奥付 「夢空幻」のみ 奥付 ルビ有り「むくうげん」 | ||||
印刷/発行年月日 | 発行 昭和63年/1988年11月15日(第1刷) | ||||
発行者等 | 発行者 加藤勝久 印刷所 株式会社廣済堂 製本所 黒柳製本株式会社 | ||||
発行所 | 株式会社講談社(東京都) | 形態 | 四六判 上製 | ||
装幀/装画等 | 装幀 安彦勝博 | ||||
総ページ数 | 324 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
45字 ×20行 ×1段 |
本文ページ | 7~322 (計316頁) |
測定枚数 | 640枚 |
書誌
書下ろし
平成6年/1994年8月・講談社/講談社文庫『夢空幻』
候補者 堀和久 57歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
田辺聖子 | 60歳 |
■ | 15 | 「主人公を編年体で描くのはこの小説の場合、如何なものか。」「しかし珍らしい素材で、いつものことながらこの作者の作品には情報がたっぷりある。ただそれが文学的感興や人生的共感へ盛り上がるには、ややパワー不足、という点が惜しい。」 |
黒岩重吾 | 64歳 |
● | 9 | 「今日的なテーマでもあり狙いは良い。だが数多い参考文献をよく咀嚼せずに詰め込み過ぎているため、小説の面白さが薄れてしまった。また登場人物が多過ぎるためか、重要な退仲の人間が描かれていない。」 |
陳舜臣 | 64歳 |
■ | 13 | 「これまで候補にのぼった氏の作品が史談ふうであったのにくらべて、ずっと小説ふうになっている。」「人間の長い一生は、思い切ってカットしなければ、輪郭がぼやけてしまう。この作品も事件の重なった後半が急ぎすぎて、羅列的になったうらみがある。」 |
村上元三 | 78歳 |
◎ | 17 | 「前回と同じ轍を踏んでいるのは惜しい。当時の幕閣の動きなど、よく書いてあるが、水野越前の改革令の脆さは、もっとていねいに描いてほしかった。」「わたしはこんどの候補作の中で、第一に推したが、わたし一人の票では、どうにもならなかった。」 |
藤沢周平 | 61歳 |
■ | 14 | 「後藤三右衛門という書きにくい人物をよく考証し、消化して小説にしていた。しかしそれが小説として成功しているかどうかはまた別で、私には隙間が多い作品のように感じられた。」 |
山口瞳 | 62歳 |
― | 0 | |
平岩弓枝 | 56歳 |
■ | 17 | 「こうした素材に取り組む場合、どのくらいの紙数を費して書くかによって当然、書き方が変って来るので、それを見きわめるのが作品を成功させる最初の条件ではないかと思う。その意味で、これは惜しい作品になった。」「材料次第では、もっと長篇にして良い作品だったのかも知れない。」 |
井上ひさし | 54歳 |
△ | 9 | 「時代小説に経済を持ち込んだ冒険精神によって長く読者に記憶されよう。」「「とにかく読み手を楽しませなければならぬ」という苛酷な条件の下で試みられた(引用者中略)冒険や実験に評者はまず脱帽し低頭する。」 |
五木寛之 | 56歳 |
■ | 10 | 「ひとかどの作品である。たくまざるユーモアもあって、異色の時代小説なのだが、なにかひとつ足りない気がする。それがなにかは、私にはわからない。小説とは、やさしそうでいて、やはりなかなか難しいものだ。」 |
渡辺淳一 | 55歳 |
― | 0 | |
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号 |
文量 | |
長篇 | |
章立て | |
「第一章 おぞいもん」「第二章 大いなる夢」「第三章 遊学」「第四章 金座」「第五章 御改鋳」「第六章 栄耀栄華」「第七章 色即是空」「第八章 天保改革」「第九章 幻影」 | |
時代設定 | 場所設定 |
江戸後期[享和年間~弘化年間] | 飯田~京都~江戸 |
登場人物 | |
●林奥輔(元結問屋「若松屋」三男、のち金座・後藤三右衛門) ●田中退仲(奥輔の師匠、薬種商「北国屋」二男) ●綾(「若松屋」で働く娘) ●お春(後藤家長女、のち阿愛と改名、奥輔の妻) ●水野忠邦(和泉守のち越前守、老中) |
『死にとうない――仙厓和尚伝』
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副題等 | 表紙・背 「仙厓和尚伝」 扉・奥付 「―仙厓和尚伝―」 | ||||
印刷/発行年月日 | 発行 平成2年/1990年9月30日(第1刷) | ||||
発行者等 | 発行者 菅 英志 印刷所 大日本印刷 製本所 小高製本 | ||||
発行所 | 新人物往来社(東京都) | 形態 | 四六判 上製 | ||
装幀/装画等 | 装幀 安彦勝博 | ||||
総ページ数 | 272 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
43字 ×18行 ×1段 |
本文ページ | 5~272 (計268頁) |
測定枚数 | 472枚 |
書誌
初出『別冊歴史読本』平成2年/1990年2月特別増刊号/単行本化にあたり加筆推敲
平成8年/1996年4月・新潮社/新潮文庫『死にとうない』
平成22年/2010年6月・新人物往来社/新人物文庫『死にとうない』
候補者 堀和久 59歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
渡辺淳一 | 57歳 |
△ | 9 | 「四度目の候補で、その努力には頭が下るが、初めと最後の章がいささか陳腐で、いま一歩およばなかった。しかし中半(引用者中略)は力強く、氏の候補作のなかでも今回のが最も充実していた。」 |
平岩弓枝 | 58歳 |
● | 3 | 「宗教家の伝記というのは難かしいものだと思いました。」 |
陳舜臣 | 66歳 |
■ | 11 | 「大久保長安や春日局のころにくらべると、格段によくなっている。この作品では悲壮感過剰のところが浮いてくる。宗教者は小説化するのが難しい対象で、それに挑戦した意気は壮とするに足るが、どうやら壁が高すぎたようだ。」 |
井上ひさし | 56歳 |
△ | 5 | 「主題の大きさと速度感のある文章。」「一読して三嘆すべき立派な作品だった。」 |
田辺聖子 | 62歳 |
■ | 9 | 「堀氏の従前の候補作の中ではもっとも共感できた力作、修行時代の主人公の顔は力強いイメージであった。が、名僧とうたわれてからの落差が大きすぎて混乱する。前後にもうひと工夫あったほうがよかったろうか。」 |
五木寛之 | 58歳 |
■ | 8 | 「宗教家を魅力的に描くことは剣豪をいきいきと描くことよりも何十倍もむずかしいことを痛感させられた。」 |
黒岩重吾 | 66歳 |
― | 0 | |
山口瞳 | 64歳 |
― | 0 | |
藤沢周平 | 63歳 |
○ | 33 | 「第二章に入ると内容、表現ともに一変して引きしまり、緊張感みなぎる小説になる。圧巻は主人公である失意の修行僧が悟りをもとめて旅に出る部分」「この小説は第一章と最終章が不出来で損をしているが、概ね受賞の水準に達していて、堀さんの進境を窺わせる作品だった。」 |
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号 |
文量 | |
長篇 | |
章立て | |
「第一章 虚白院」「第二章 東輝庵」「第三章 行雲流水」「第四章 投身」「第五章 聖福寺」「第六章 教外別伝」「第七章 虚白院」 | |
時代設定 | 場所設定 |
江戸後期[明和年間~天保年間] | 筑前博多~武州永田~奥州路~越後等 |
登場人物 | |
●仙厓義梵(臨済宗聖福寺の元住職) ●月船禅慧(東輝庵の大法師) ●物先海旭(奥州出身の僧) ●誠拙鉄樗(円覚寺の僧) ●湛元等夷(義梵の後継者) ●空印円虚(義梵の師) |