生没年月日【注】 | 大正15年/1926年2月3日~平成30年/2018年1月2日 | |
経歴 | 本名=長尾豊。旧満州・大連生まれ。山口県長門市(旧油谷町)出身。国学院大学史学科卒。大映での脚本見習を経て、盛岡市で高校教師を務める。同人誌『東北文脈』を発刊、地方風土に取材した小説を発表。 | |
受賞歴・候補歴 | ||
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「幽霊記―小説・佐々木喜善」
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誌名 | 「別册文藝春秋」 | ||||
巻号 | 第180記念特別号 | ||||
副題等 | 目次 「―小説・佐々木喜善」 本文 「――小説・佐々木喜善」 | ||||
印刷/発行年月日 | 発行 昭和62年/1987年7月1日 | ||||
発行者等 | 編集人 豊田健次 発行人 西永達夫 印刷人 鈴木和夫 印刷所 凸版印刷株式会社 | ||||
発行所 | 株式会社文藝春秋(東京都) | ||||
総ページ数 | 474 | 表記上の枚数 | ― | 基本の文字組 (1ページ当り) |
26字 ×24行 ×2段 |
本文ページ | 52~95 (計44頁) |
測定枚数 | 126枚 |
書誌
平成1年/1989年4月・文藝春秋刊『幇間記』所収
平成5年/1993年8月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館 第四巻 岩手』所収
平成22年/2010年7月・新人物往来社/新人物往来社文庫『幽霊記―小説『遠野物語』』所収
候補者 長尾宇迦 61歳 | ||||
選考委員 | 評価 | 行数 | 評言 | |
山口瞳 | 61歳 |
■ | 6 | 「短篇小説としての完成度で一番だったが、ハッとさせられるような場面がなく、文章もやや古臭い。」 |
黒岩重吾 | 63歳 |
● | 14 | 「二、三カ所ビビッドな描写はあるが、主人公の肉づけが足りない。こういう小説には主人公の鬼が描かれていなければ感動を受けない。」「また柳田国男も名前を出しているだけで肝腎の人間像が描かれていない。」 |
村上元三 | 77歳 |
● | 8 | 「いかにも世界がせまい。作者がその中で、じっと身を縮めている。これはもう読むほうの好き嫌いが、作品の評価以前で左右されてしまう。」 |
陳舜臣 | 63歳 |
● | 9 | 「紙数不足のようだ。佐々木喜善の著作の巻末解説のようなところと、佐々木喜善を主人公にした小説の部分とが融合していないかんじがする。」 |
藤沢周平 | 60歳 |
△ | 20 | 「文学的な好テーマをつかんだ作品だったと思う。」「しかしいまひとつ強力に推せなかったのは、小説的なふくらみということに不満があったからである。わるくない小説だが、そのよさは要するに良質の骨組みのよさではないかという感を拭えないのである。」 |
平岩弓枝 | 55歳 |
● | 5 | 「主人公がこうしたタイプの人間のパターンから脱け出していないことが気になりました。」 |
井上ひさし | 53歳 |
○ | 10 | 「(引用者注:「それぞれの終楽章」「オールド・ルーキー」「幽霊記」のうち)どれが受賞しても妥当であると考えた。」「熱気ある筆はときどき筆者をして、「これこそ小説だ」と叫ばしめた。」 |
田辺聖子 | 59歳 |
□ | 28 | 「うーん、と唸りたくなるような小説である。書き出しから読者は心をつかまれてしまう。」「作者はあふれる思いを伝えようとして言葉が思いに追いつかず、そのもどかしさが、いわば文学的吃音というべき一種の晦渋さをもたらす。」「どこか読者としてはもどかしい思いも残る。」「とまれ珍重すべきユニークな異才。」 |
渡辺淳一 | 54歳 |
■ | 13 | 「たしかな小説空間をもっているが、惜しむらくは主人公の佐々木喜善なる人物の描き方が手抜で、図式的でありすぎた。」「フィクションを書き込めなかった喜善の弱点らしいが、それに似た歯痒さを感じた。」 |
五木寛之 | 55歳 |
□ | 19 | 「ときとして作者自身が主人公の佐々木喜善に乗りうつったかの感さえあって、再読、三読するにしたがって切実な印象の深まる作品であった。」「行間のどこかに縄文文学の歯ぎしりがきこえる、というのはのめり込みすぎる読みかただろうか。」 |
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号 |
文量 | |
短篇 | |
章立て | |
「一」~「七」 | |
時代設定 | 場所設定 |
明治末期~昭和初期 | 東京~岩手県遠野~仙台 |
登場人物 | |
●佐々木喜善(遠野出身の作家) ●水野葉舟(幻想小説家) ●柳田国男(抒情詩人、民俗学者) ●マツノ(喜善の妻) ●但木豊子(民話蒐集者、寡婦) |