第15回

第14回第16回

昭和17年/1942年上半期 昭和17年/1942年8月1日決定発表／『文藝春秋』昭和17年/1942年9月号選評掲載

選考委員　 瀧井孝作 48歳 小島政二郎 48歳 室生犀星 53歳 横光利一 44歳 宇野浩二 51歳 川端康成 43歳 久米正雄 50歳 菊池寛 53歳 佐藤春夫 50歳 谷崎潤一郎 56歳 山本有三 55歳 佐佐木茂索 47歳 選評総行数　 43 62 7 8 75 14 47           評 評 評 評 評 評 評 選評なし 選評なし 選評なし 選評なし 選評なし 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 石塚友二　「松風」 52枚 35歳 評 △ 6 ◎ 23 △ 5 ◎ 8 ■ 12 ◎ 14 △ 15                     中島敦　「光と風と夢」 195枚 33歳 評 ■ 7 ■ 10 ◎ 1 ― 0 ● 11 ○ 14 △ 14                     波良健　「コンドラチエンコ将軍」 51枚 37歳 評 ■ 3 ● 4 ― 0 ― 0 △ 4 ― 0 ― 0                     藤島まき　「つながり」 58枚 32歳 評 △ 5 □ 4 ― 0 ― 0 ■ 4 ― 0 ― 0                     森田素夫　「冬の神」 42枚 30歳 評 △ 8 △ 6 ― 0 ― 0 ● 5 ― 0 ■ 13                     中野武彦　「訪問看護」 65枚 31歳 評 ■ 4 ■ 3 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 6                     西川満　「朱氏記」 33枚 34歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ● 4 ― 0 ― 0                     倉本兵衛　「雪と夜桜」 67枚 35歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ● 4 ― 0 ― 0                     永松元雄　「虚心」 79枚 （不明） 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ● 5 ― 0 ― 0                     本間立也　「浮浪の父」 39枚 (38歳) 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 4 ― 0 ― 0                     船山馨　「三月堂」 46枚 28歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ● 5 ― 0 ― 0                     若杉慧　「微塵世界」 231枚 38歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 6 ― 0 ― 0                     野村尚吾　「旅情の華」 139枚 30歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 5 ― 0 ― 0                     福村久　「星夜」 70枚 28歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 5 ― 0 ― 0                     田宮虎彦　「七つの荒海」 31枚 30歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 △ 4 ― 0 ― 0                     正治清英　「砲煙」 45枚 26歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ● 6 ― 0 ― 0                     金逸善　「断層」 ― （不明） 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ● 4 ― 0 ― 0                     青山光二　「師弟邂逅」 37枚 29歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 4 ― 0 ― 0                     広尾新一　「私の大学」 61枚 （不明） 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 4 ― 0 ― 0                     桜井造　「海峡植民地」 127枚 （不明） 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ・ 2 ― 0 ― 0                     森玉美雄　「おふくの家出」 68枚 32歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 6 ― 0 ― 0                                   欠席 欠席 欠席 欠席   年齢/枚数の説明   見方・注意点

瀧井孝作48歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数43　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 石塚友二 35歳 全 △ 6 「一応は好い作品だが、この作者はこれ一つだけしか出してないようで、これ一つ出してすぐ芥川賞ということもあるまいと思って、この一つはそれ程の優作でもないので、（引用者中略）こんどは候補者にあげなかった。」 中島敦 33歳 全 ■ 7 「一寸面白いと思ったが、反訳か何かに似た達者な粗らい文体が、創作ではないような感じもした。」「文學界二月号に「古譚」というのがあって、これも読んだが、これは衒学的なくさ味があってどうも好きにはなれなかった。」 波良健 37歳 全 ■ 3 「良い題材だが、十分に描きこなすには力が足りないかと思われた。」 藤島まき 32歳 全 △ 5 「こんど読んだ中では、一番読みごたえがあると思った。力があると思った。しかし文藝春秋に一度掲載されたのだから、芥川賞になって又再び掲載というわけにもいくまいと思われた。」 森田素夫 30歳 全 △ 8 「童話のような面白味の所もあって、異色のある作品だと思ったが、未熟な所もあって、稍物足らない気もした。しかしこの人は特色のある作者で、今後注目できる人だと思った。」 中野武彦 31歳 全 ■ 4 「一寸心のひかれる作品で、おとなしい所は好いが、力は弱いかと思った。」 西川満 34歳 全 ― 0   倉本兵衛 35歳 全 ― 0   永松元雄 （不明） 全 ― 0   本間立也 (38歳) 全 ― 0   船山馨 28歳 全 ― 0   若杉慧 38歳 全 ― 0   野村尚吾 30歳 全 ― 0   福村久 28歳 全 ― 0   田宮虎彦 30歳 全 ― 0   正治清英 26歳 全 ― 0   金逸善 （不明） 全 ― 0   青山光二 29歳 全 ― 0   広尾新一 （不明） 全 ― 0   桜井造 （不明） 全 ― 0   森玉美雄 32歳 全 ― 0     「こんどの芥川賞の予選に、ぼくらは、指定された作品を、凡そ三十篇読んだが、全部読んで、この中から候補者にあげてもよいようなのは、一人もなかった。」

他の選考委員 小島政二郎 室生犀星 横光利一 宇野浩二 川端康成 久米正雄

小島政二郎48歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数62　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 石塚友二 35歳 全 ◎ 23 「面白かった。」「出来栄から云うと、やはり「松風」かな。」「これだけの作品がある以上、授賞なしとするには当らないと思った」「が、予選委員連が頑として応じないのだ。」「反対のおもなる説の一つは、一生一度の結婚体験を書いてこの程度の佳品をなすことは敢えて偉とするに足らないと云うにあった。私はそうは思わない。作品と作者との距離の正しい美しさには、そうは云い切れないものがあると思うのだ。」 中島敦 33歳 全 ■ 10 「伝記や手紙を素にして、これだけに纏め上げるのは大変な努力だったろうと思う。が、南洋の風物描写など、文字面だけで、現実の色彩も光線も我々の五感に迫って来ない。その点、私は退屈した。」 波良健 37歳 全 ● 4 「私は旅順へも行き、将軍の記念碑も見て来ているが、永井龍男が云う程感心しなかった。まあ一通り書けていると云う程度だと思った。」 藤島まき 32歳 全 □ 4 「ちゃんと性格も書き分けられているし、迫力もあるし、よく書けていると云う意味でなら、この作が第一かも知れない。」 森田素夫 30歳 全 △ 6 「面白かった。」「メルヘンだ。欲を云えばキリがないが、せめて真中に挟まれている人間の生活がもう少し旨く書けていれば、愛すべき――珍らしい作品として私は芥川賞に推しただろう。」 中野武彦 31歳 全 ■ 3 「いい題材だと思うが、いかにも筆触が荒く、このままでは粗材だと云う感じがした。そう云う意味で惜しいと思った。」 西川満 34歳 全 ― 0   倉本兵衛 35歳 全 ― 0   永松元雄 （不明） 全 ― 0   本間立也 (38歳) 全 ― 0   船山馨 28歳 全 ― 0   若杉慧 38歳 全 ― 0   野村尚吾 30歳 全 ― 0   福村久 28歳 全 ― 0   田宮虎彦 30歳 全 ― 0   正治清英 26歳 全 ― 0   金逸善 （不明） 全 ― 0   青山光二 29歳 全 ― 0   広尾新一 （不明） 全 ― 0   桜井造 （不明） 全 ― 0   森玉美雄 32歳 全 ― 0

他の選考委員 瀧井孝作 室生犀星 横光利一 宇野浩二 川端康成 久米正雄

室生犀星53歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数7　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 石塚友二 35歳 全 △ 5 「次席にした」「達者な作者であるがこういう作品には真実というものの俤を捉えることが甚だ困難であって、読んで面白かったが、それとは別に私のほしいものが見られなかった。」 中島敦 33歳 全 ◎ 1 「私は一票を投じた。」 波良健 37歳 全 ― 0   藤島まき 32歳 全 ― 0   森田素夫 30歳 全 ― 0   中野武彦 31歳 全 ― 0   西川満 34歳 全 ― 0   倉本兵衛 35歳 全 ― 0   永松元雄 （不明） 全 ― 0   本間立也 (38歳) 全 ― 0   船山馨 28歳 全 ― 0   若杉慧 38歳 全 ― 0   野村尚吾 30歳 全 ― 0   福村久 28歳 全 ― 0   田宮虎彦 30歳 全 ― 0   正治清英 26歳 全 ― 0   金逸善 （不明） 全 ― 0   青山光二 29歳 全 ― 0   広尾新一 （不明） 全 ― 0   桜井造 （不明） 全 ― 0   森玉美雄 32歳 全 ― 0     「授賞なしということになったが、授賞が得られなくとも、委員の問題となったのはこの二作品（引用者注：「松風」と「光と風と夢」）が主であった。」

他の選考委員 瀧井孝作 小島政二郎 横光利一 宇野浩二 川端康成 久米正雄

横光利一44歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数8　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 石塚友二 35歳 全 ◎ 8 「ある私の知人は、この作のために結婚の意志を固めてついに結婚した。私も年ごろで結婚に迷うものには、ぜひこの作を一読するように奨めている。小説としては多少の欠点もあるとはいえ、文学としてはこれほどの名文は近ごろ稀であり、美しさを内に包んだ含羞の趣き捨てがたいものがあった。」 中島敦 33歳 全 ― 0   波良健 37歳 全 ― 0   藤島まき 32歳 全 ― 0   森田素夫 30歳 全 ― 0   中野武彦 31歳 全 ― 0   西川満 34歳 全 ― 0   倉本兵衛 35歳 全 ― 0   永松元雄 （不明） 全 ― 0   本間立也 (38歳) 全 ― 0   船山馨 28歳 全 ― 0   若杉慧 38歳 全 ― 0   野村尚吾 30歳 全 ― 0   福村久 28歳 全 ― 0   田宮虎彦 30歳 全 ― 0   正治清英 26歳 全 ― 0   金逸善 （不明） 全 ― 0   青山光二 29歳 全 ― 0   広尾新一 （不明） 全 ― 0   桜井造 （不明） 全 ― 0   森玉美雄 32歳 全 ― 0

他の選考委員 瀧井孝作 小島政二郎 室生犀星 宇野浩二 川端康成 久米正雄

宇野浩二51歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数75　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 石塚友二 35歳 全 ■ 12 「感じはわるくないけれど、初めの三分の一以上が、ごたごたしている上に、無駄なところがあり、肝心の二人の主人公のちょっと風変りの生活は書き足りないところがあり、終りの方が、作中の主人公だけでなく、作者まで、いい気になっているところがある。」 中島敦 33歳 全 ● 11 「題材は変っているけれど、明らかに、冗漫であり、散漫であり、書き方も、安易で、粗雑である。」 波良健 37歳 全 △ 4 「題材のせいもあるが、面白い、好短篇であるけれど、候補作品として、推しかねた。」 藤島まき 32歳 全 ■ 4 「ちょっと上手な小説であるが、書き方がごたごたしている上に、一と口にいうと、ふるい。」 森田素夫 30歳 全 ● 5 「作者が断っているように、一種の童話であるが、童話らしくない部分が失敗しているので、やはり、失敗した作品である。」 中野武彦 31歳 全 ― 0   西川満 34歳 全 ● 4 「（引用者注：この）作者の小説は幾つか読んだが、いつも同工異曲で、この同工異曲の作品から抜けなければ、まず望みは持てない。」 倉本兵衛 35歳 全 ● 4 「身辺の題材をいつも書くようであるが、このままでは延びようがない。」 永松元雄 （不明） 全 ● 5 「今日の戦争を題材にしたものであるが、（引用者中略）腕がない。」 本間立也 (38歳) 全 ■ 4 「一と通り書けてはいるが、これでは、仮りに取っておきの題材としても、常識的で、はっきり云うと、つまらない。」 船山馨 28歳 全 ● 5 「一人よがりのところがあって、大事なものが欠けている。」 若杉慧 38歳 全 ■ 6 「特徴はあるが、作者がその特徴を、承知していて、わざとらしく出しているので、下賎な作品になった。」「このままで行けば、この作者の前途は安心できない。」 野村尚吾 30歳 全 ■ 5 「読みごたえはあり、感じもわるくないが、面白い題材でありながら、作者の腕が据わっていないので、作り物の観がある。この作者は、才能があるらしいから、この辺で手綱を締めなければ、油断が出来ない。」 福村久 28歳 全 ■ 5 「いくらか腕があるだけに、筆が走り過ぎているので、冗漫になり、散漫になって、平凡で、薄っぺらな作品になった。」 田宮虎彦 30歳 全 △ 4 「かなり面白いところがあるが、これだけでは、安心が出来ないところがある。」 正治清英 26歳 全 ● 6 「今日の戦争を題材にしたものであるが、（引用者中略）腕がない。」 金逸善 （不明） 全 ● 4 「例の（といいたい）帰還兵を主人公にしたものであるが、書き方も、書かれている事も、安易であり過ぎる。」 青山光二 29歳 全 ■ 4 「ちょっとは面白いが、凡作である。」 広尾新一 （不明） 全 ■ 4 「珍しく、ほがらかな、ほほ笑ましい感じのする作品であるけれど、やはり、この小説だけでは、安心が出来ない。」 桜井造 （不明） 全 ・ 2   森玉美雄 32歳 全 ■ 6 「妙な特徴があり、面白いところもあるが、この作者は、まだまだ、もっと、修業すべきであろう。」   「予選をしたとき、はっきり、候補に推す作品が全くなかった。」

他の選考委員 瀧井孝作 小島政二郎 室生犀星 横光利一 川端康成 久米正雄

川端康成43歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数14　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 石塚友二 35歳 全 ◎ 14 「（引用者注：「松風」と「光と風と夢」の）いずれかに、或いは二篇共に授賞したかった。」「発表の当時、反響が高く、相当の人々に読まれもしたので、一応世に出て認められた作品であるから、そういう意味では、作者と共に私も慰められるわけである。」「私は先ず「松風」を推し、」 中島敦 33歳 全 ○ 14 「（引用者注：「松風」と「光と風と夢」の）いずれかに、或いは二篇共に授賞したかった。」「発表の当時、反響が高く、相当の人々に読まれもしたので、一応世に出て認められた作品であるから、そういう意味では、作者と共に私も慰められるわけである。」「（引用者注：「松風」の）次とした。」 波良健 37歳 全 ― 0   藤島まき 32歳 全 ― 0   森田素夫 30歳 全 ― 0   中野武彦 31歳 全 ― 0   西川満 34歳 全 ― 0   倉本兵衛 35歳 全 ― 0   永松元雄 （不明） 全 ― 0   本間立也 (38歳) 全 ― 0   船山馨 28歳 全 ― 0   若杉慧 38歳 全 ― 0   野村尚吾 30歳 全 ― 0   福村久 28歳 全 ― 0   田宮虎彦 30歳 全 ― 0   正治清英 26歳 全 ― 0   金逸善 （不明） 全 ― 0   青山光二 29歳 全 ― 0   広尾新一 （不明） 全 ― 0   桜井造 （不明） 全 ― 0   森玉美雄 32歳 全 ― 0     「前にも賞を休んだ例はあるが、今度ほどそれを遺憾に思ったことはないようである。」「二篇（引用者注：「松風」と「光と風と夢」）が芥川賞に価いしないとは、私には信じられない。」

他の選考委員 瀧井孝作 小島政二郎 室生犀星 横光利一 宇野浩二 久米正雄

久米正雄50歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

総行数47　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 石塚友二 35歳 全 △ 15 「心を牽かれた。」「素直で清らかに、又相当に深く沈んだ心境小説だった。吾々の作家修業時代には誰人も一度は通った道を、此の誠実なる作者は、新らしく通り抜けようとしていた。そしてその通り抜けようには、好意が持てたが、所々、うまく通り抜けようとして、厳しさが無くなった。」「今にして授賞せずんば、次の期をも併せ失うであろう、と言う奨励説もあり、私も充分それを考慮したが、結局、此の獅子を一度は谷底に落す事にした。」 中島敦 33歳 全 △ 14 「心を牽かれた。」「学究的な才気と、研究者の執拗とをタップリする程備えた作品で、どっちかと云えば、私などは圧倒され勝ちなものだった。正直なところ、素晴らしく辣腕で、力作なのは分ったが、いいのか悪いのか分らない気がした。只、誰が何と云おうと、賞讃すべきは、これだけの世界的規模を持った作品が、吾が南方研究者の手で、作られていると云う事。」 波良健 37歳 全 ― 0   藤島まき 32歳 全 ― 0   森田素夫 30歳 全 ■ 13 「心を牽かれた。」「氷雪に包まれた山中の湖畔を中心として、思うままに自然と人事との交錯を詩的に構図した好短篇」「詩的傾向に好意は持て、作者の力量は認められても、それが骨張って、渾然たる境地までは行っていない点が不満だった。」 中野武彦 31歳 全 ■ 6 「心を牽かれた。」「所謂材料的な作品で、手固くもあり、私には一応の感銘を以て読まれた。が、是も又所謂標準的な型の作品で、もう一息の練磨と完成が欲しかった。」 西川満 34歳 全 ― 0   倉本兵衛 35歳 全 ― 0   永松元雄 （不明） 全 ― 0   本間立也 (38歳) 全 ― 0   船山馨 28歳 全 ― 0   若杉慧 38歳 全 ― 0   野村尚吾 30歳 全 ― 0   福村久 28歳 全 ― 0   田宮虎彦 30歳 全 ― 0   正治清英 26歳 全 ― 0   金逸善 （不明） 全 ― 0   青山光二 29歳 全 ― 0   広尾新一 （不明） 全 ― 0   桜井造 （不明） 全 ― 0   森玉美雄 32歳 全 ― 0

他の選考委員 瀧井孝作 小島政二郎 室生犀星 横光利一 宇野浩二 川端康成

石塚友二35歳×各選考委員　 「松風」 短篇 52枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 △ 6 「一応は好い作品だが、この作者はこれ一つだけしか出してないようで、これ一つ出してすぐ芥川賞ということもあるまいと思って、この一つはそれ程の優作でもないので、（引用者中略）こんどは候補者にあげなかった。」 小島政二郎 48歳 全 ◎ 23 「面白かった。」「出来栄から云うと、やはり「松風」かな。」「これだけの作品がある以上、授賞なしとするには当らないと思った」「が、予選委員連が頑として応じないのだ。」「反対のおもなる説の一つは、一生一度の結婚体験を書いてこの程度の佳品をなすことは敢えて偉とするに足らないと云うにあった。私はそうは思わない。作品と作者との距離の正しい美しさには、そうは云い切れないものがあると思うのだ。」 室生犀星 53歳 全 △ 5 「次席にした」「達者な作者であるがこういう作品には真実というものの俤を捉えることが甚だ困難であって、読んで面白かったが、それとは別に私のほしいものが見られなかった。」 横光利一 44歳 全 ◎ 8 「ある私の知人は、この作のために結婚の意志を固めてついに結婚した。私も年ごろで結婚に迷うものには、ぜひこの作を一読するように奨めている。小説としては多少の欠点もあるとはいえ、文学としてはこれほどの名文は近ごろ稀であり、美しさを内に包んだ含羞の趣き捨てがたいものがあった。」 宇野浩二 51歳 全 ■ 12 「感じはわるくないけれど、初めの三分の一以上が、ごたごたしている上に、無駄なところがあり、肝心の二人の主人公のちょっと風変りの生活は書き足りないところがあり、終りの方が、作中の主人公だけでなく、作者まで、いい気になっているところがある。」 川端康成 43歳 全 ◎ 14 「（引用者注：「松風」と「光と風と夢」の）いずれかに、或いは二篇共に授賞したかった。」「発表の当時、反響が高く、相当の人々に読まれもしたので、一応世に出て認められた作品であるから、そういう意味では、作者と共に私も慰められるわけである。」「私は先ず「松風」を推し、」 久米正雄 50歳 全 △ 15 「心を牽かれた。」「素直で清らかに、又相当に深く沈んだ心境小説だった。吾々の作家修業時代には誰人も一度は通った道を、此の誠実なる作者は、新らしく通り抜けようとしていた。そしてその通り抜けようには、好意が持てたが、所々、うまく通り抜けようとして、厳しさが無くなった。」「今にして授賞せずんば、次の期をも併せ失うであろう、と言う奨励説もあり、私も充分それを考慮したが、結局、此の獅子を一度は谷底に落す事にした。」

他の候補作 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

中島敦33歳×各選考委員　 「光と風と夢」 中篇 195枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ■ 7 「一寸面白いと思ったが、反訳か何かに似た達者な粗らい文体が、創作ではないような感じもした。」「文學界二月号に「古譚」というのがあって、これも読んだが、これは衒学的なくさ味があってどうも好きにはなれなかった。」 小島政二郎 48歳 全 ■ 10 「伝記や手紙を素にして、これだけに纏め上げるのは大変な努力だったろうと思う。が、南洋の風物描写など、文字面だけで、現実の色彩も光線も我々の五感に迫って来ない。その点、私は退屈した。」 室生犀星 53歳 全 ◎ 1 「私は一票を投じた。」 横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ● 11 「題材は変っているけれど、明らかに、冗漫であり、散漫であり、書き方も、安易で、粗雑である。」 川端康成 43歳 全 ○ 14 「（引用者注：「松風」と「光と風と夢」の）いずれかに、或いは二篇共に授賞したかった。」「発表の当時、反響が高く、相当の人々に読まれもしたので、一応世に出て認められた作品であるから、そういう意味では、作者と共に私も慰められるわけである。」「（引用者注：「松風」の）次とした。」 久米正雄 50歳 全 △ 14 「心を牽かれた。」「学究的な才気と、研究者の執拗とをタップリする程備えた作品で、どっちかと云えば、私などは圧倒され勝ちなものだった。正直なところ、素晴らしく辣腕で、力作なのは分ったが、いいのか悪いのか分らない気がした。只、誰が何と云おうと、賞讃すべきは、これだけの世界的規模を持った作品が、吾が南方研究者の手で、作られていると云う事。」

他の候補作 石塚友二 「松風」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

波良健37歳×各選考委員　 「コンドラチエンコ将軍」 短篇 51枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ■ 3 「良い題材だが、十分に描きこなすには力が足りないかと思われた。」 小島政二郎 48歳 全 ● 4 「私は旅順へも行き、将軍の記念碑も見て来ているが、永井龍男が云う程感心しなかった。まあ一通り書けていると云う程度だと思った。」 室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 △ 4 「題材のせいもあるが、面白い、好短篇であるけれど、候補作品として、推しかねた。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

藤島まき32歳×各選考委員　 「つながり」 短篇 58枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 △ 5 「こんど読んだ中では、一番読みごたえがあると思った。力があると思った。しかし文藝春秋に一度掲載されたのだから、芥川賞になって又再び掲載というわけにもいくまいと思われた。」 小島政二郎 48歳 全 □ 4 「ちゃんと性格も書き分けられているし、迫力もあるし、よく書けていると云う意味でなら、この作が第一かも知れない。」 室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ■ 4 「ちょっと上手な小説であるが、書き方がごたごたしている上に、一と口にいうと、ふるい。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

森田素夫30歳×各選考委員　 「冬の神」 短篇 42枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 △ 8 「童話のような面白味の所もあって、異色のある作品だと思ったが、未熟な所もあって、稍物足らない気もした。しかしこの人は特色のある作者で、今後注目できる人だと思った。」 小島政二郎 48歳 全 △ 6 「面白かった。」「メルヘンだ。欲を云えばキリがないが、せめて真中に挟まれている人間の生活がもう少し旨く書けていれば、愛すべき――珍らしい作品として私は芥川賞に推しただろう。」 室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ● 5 「作者が断っているように、一種の童話であるが、童話らしくない部分が失敗しているので、やはり、失敗した作品である。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ■ 13 「心を牽かれた。」「氷雪に包まれた山中の湖畔を中心として、思うままに自然と人事との交錯を詩的に構図した好短篇」「詩的傾向に好意は持て、作者の力量は認められても、それが骨張って、渾然たる境地までは行っていない点が不満だった。」

他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

中野武彦31歳×各選考委員　 「訪問看護」 短篇 65枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ■ 4 「一寸心のひかれる作品で、おとなしい所は好いが、力は弱いかと思った。」 小島政二郎 48歳 全 ■ 3 「いい題材だと思うが、いかにも筆触が荒く、このままでは粗材だと云う感じがした。そう云う意味で惜しいと思った。」 室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ― 0   川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ■ 6 「心を牽かれた。」「所謂材料的な作品で、手固くもあり、私には一応の感銘を以て読まれた。が、是も又所謂標準的な型の作品で、もう一息の練磨と完成が欲しかった。」	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

西川満34歳×各選考委員　 「朱氏記」 短篇 33枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ● 4 「（引用者注：この）作者の小説は幾つか読んだが、いつも同工異曲で、この同工異曲の作品から抜けなければ、まず望みは持てない。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

倉本兵衛35歳×各選考委員　 「雪と夜桜」 短篇 67枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ● 4 「身辺の題材をいつも書くようであるが、このままでは延びようがない。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

永松元雄（不明）×各選考委員　 「虚心」 短篇 79枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ● 5 「今日の戦争を題材にしたものであるが、（引用者中略）腕がない。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

本間立也(38歳)×各選考委員　 「浮浪の父」 短篇 39枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ■ 4 「一と通り書けてはいるが、これでは、仮りに取っておきの題材としても、常識的で、はっきり云うと、つまらない。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

船山馨28歳×各選考委員　 「三月堂」 短篇 46枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ● 5 「一人よがりのところがあって、大事なものが欠けている。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

若杉慧38歳×各選考委員　 「微塵世界」 中篇 231枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ■ 6 「特徴はあるが、作者がその特徴を、承知していて、わざとらしく出しているので、下賎な作品になった。」「このままで行けば、この作者の前途は安心できない。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

野村尚吾30歳×各選考委員　 「旅情の華」 短篇 139枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ■ 5 「読みごたえはあり、感じもわるくないが、面白い題材でありながら、作者の腕が据わっていないので、作り物の観がある。この作者は、才能があるらしいから、この辺で手綱を締めなければ、油断が出来ない。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

福村久28歳×各選考委員　 「星夜」 短篇 70枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ■ 5 「いくらか腕があるだけに、筆が走り過ぎているので、冗漫になり、散漫になって、平凡で、薄っぺらな作品になった。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

田宮虎彦30歳×各選考委員　 「七つの荒海」 短篇 31枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 △ 4 「かなり面白いところがあるが、これだけでは、安心が出来ないところがある。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

正治清英26歳×各選考委員　 「砲煙」 短篇 45枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ● 6 「今日の戦争を題材にしたものであるが、（引用者中略）腕がない。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

金逸善（不明）×各選考委員　 「断層」 不明 ―

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ● 4 「例の（といいたい）帰還兵を主人公にしたものであるが、書き方も、書かれている事も、安易であり過ぎる。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

青山光二29歳×各選考委員　 「師弟邂逅」 短篇 37枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ■ 4 「ちょっとは面白いが、凡作である。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

広尾新一（不明）×各選考委員　 「私の大学」 短篇 61枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ■ 4 「珍しく、ほがらかな、ほほ笑ましい感じのする作品であるけれど、やはり、この小説だけでは、安心が出来ない。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 桜井造 「海峡植民地」 森玉美雄 「おふくの家出」

桜井造（不明）×各選考委員　 「海峡植民地」 短篇 127枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ・ 2   川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 森玉美雄 「おふくの家出」

森玉美雄32歳×各選考委員　 「おふくの家出」 短篇 68枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 瀧井孝作 48歳 全 ― 0   小島政二郎 48歳 全 ― 0   室生犀星 53歳 全 ― 0   横光利一 44歳 全 ― 0   宇野浩二 51歳 全 ■ 6 「妙な特徴があり、面白いところもあるが、この作者は、まだまだ、もっと、修業すべきであろう。」 川端康成 43歳 全 ― 0   久米正雄 50歳 全 ― 0	他の候補作 石塚友二 「松風」 中島敦 「光と風と夢」 波良健 「コンドラチエンコ将軍」 藤島まき 「つながり」 森田素夫 「冬の神」 中野武彦 「訪問看護」 西川満 「朱氏記」 倉本兵衛 「雪と夜桜」 永松元雄 「虚心」 本間立也 「浮浪の父」 船山馨 「三月堂」 若杉慧 「微塵世界」 野村尚吾 「旅情の華」 福村久 「星夜」 田宮虎彦 「七つの荒海」 正治清英 「砲煙」 金逸善 「断層」 青山光二 「師弟邂逅」 広尾新一 「私の大学」 桜井造 「海峡植民地」