第61回

第60回第62回

昭和44年/1969年上半期 昭和44年/1969年7月18日決定発表／『文藝春秋』昭和44年/1969年9月号選評掲載

選考委員　 三島由紀夫 44歳 丹羽文雄 64歳 石川達三 64歳 瀧井孝作 75歳 舟橋聖一 64歳 大岡昇平 60歳 井上靖 62歳 中村光夫 58歳 川端康成 70歳 永井龍男 65歳 石川淳 70歳 選評総行数　 30 20 32 26 42 28 22 27 28 26 23 評 評 評 評 評 評 評 評 評 評 評 候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 庄司薫　「赤頭巾ちゃん気をつけて」 244枚 32歳 評 ◎ 17 ○ 4 ■ 17 ○ 8 □ 6 ◎ 6 ◎ 16 ■ 9 ■ 3 △ 10 ◎ 21 田久保英夫　「深い河」 123枚 41歳 評 ◎ 14 ○ 6 △ 3 □ 6 ◎ 12 ○ 7 □ 12 ■ 9 ◎ 12 △ 4 ― 0 直井潔　「歓喜」 36枚 54歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ◎ 5 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 3 ― 0 黒井千次　「時間」 122枚 37歳 評 ― 0 ― 0 ◎ 11 ■ 7 ■ 6 □ 4 △ 6 ■ 7 ― 0 △ 3 ― 0 奥野忠昭　「煙へ飛翔」 77枚 (33歳) 評 △ 2 △ 6 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 3 ― 0 佐江衆一　「青年よ、大志をいだこう」 112枚 35歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 12 □ 7 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 4 ― 0 阿部昭　「大いなる日」 44枚 34歳 評 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 △ 9 □ 5 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 3 ― 0 後藤明生　「笑い地獄」 106枚 37歳 評 △ 3 ■ 4 ■ 11 ― 0 △ 2 ― 0 ― 0 ― 0 ― 0 ■ 3 ― 0           欠席         欠席 年齢/枚数の説明   見方・注意点

三島由紀夫44歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題才気と的確さ　総行数30　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ◎ 17 「二作（引用者注：「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「深い河」）に賞が与えられたことは、私にとっては勿怪の幸であった。私はこの二作の間で非常に迷っていたからである。」「才気あふれる作品だと思う。」「饒舌体で書きつらねながら、女医の乳房を見るところや、教育ママに路上でつかまるところなどは、甚だ巧い。」 田久保英夫 41歳 全 ◎ 14 「二作（引用者注：「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「深い河」）に賞が与えられたことは、私にとっては勿怪の幸であった。私はこの二作の間で非常に迷っていたからである。」「私は規矩のキチンとした新しい反戦小説として読んだ。とりわけ感心したのは、ラストの数行」「話の運びも、あざやかで簡潔な自然描写も、この作品の的確さをよく示している。」 直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 ― 0   奥野忠昭 (33歳) 全 △ 2 「描かれない不在の子供の実在感も印象に残った。」 佐江衆一 35歳 全 ― 0   阿部昭 34歳 全 ― 0   後藤明生 37歳 全 △ 3 「ゴースト・ライターの幽霊から怨恨への転化（引用者中略）も印象に残った。」

他の選考委員 丹羽文雄 石川達三 瀧井孝作 舟橋聖一 大岡昇平 井上靖 中村光夫 川端康成 永井龍男 石川淳

丹羽文雄64歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題面白さとうまさ　総行数20　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ○ 4 「面白かった。」「面白い小説のジャンルでは群を抜いていた。これはこれでよろしい。」 田久保英夫 41歳 全 ○ 6 「うまい小説であった。」「悪戦苦闘の末にやっと（引用者注：馬の）始末が出来たのなら悪戦苦闘ぶりをもっと書いてもらいたかった。あれだけでは疑いを誘うだけである。が、この小説のうまさは際立っている。」 直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 ― 0   奥野忠昭 (33歳) 全 △ 6 「奇抜な着想で興味をもったが、作者にも書きたいことがよくわかっていなかったのではないか。」「生徒が一人もいない教室という着想はぎょっとさせたが、私は生れが四日市なので四日市公害を連想したものである。」 佐江衆一 35歳 全 ― 0   阿部昭 34歳 全 ― 0   後藤明生 37歳 全 ■ 4 「前回の作品にくらべるとごたごたしている。笑いが作者が想定しているようにはこちらに響いて来ないのだ。」

他の選考委員 三島由紀夫 石川達三 瀧井孝作 舟橋聖一 大岡昇平 井上靖 中村光夫 川端康成 永井龍男 石川淳

石川達三64歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題変遷を考える　総行数32　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ■ 17 「種々の疑問があって、私は推薦に躊躇した。」「甚だ饒舌的で、あり余る才気を濫用したようなところがあり、また日常的な通俗さを無二無三に叩きこんで、ユーモア大衆小説のようでもある。」 田久保英夫 41歳 全 △ 3 「疑問の点がいくつか有って、私は積極的には推さなかった。実直な描写は買うが、その描写が抜け出たもう一つ新しいものがほしいと思った。」 直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 ◎ 11 「私は（引用者中略）当選作と考えていた。創作態度は堅実であり、作品として姿勢は正しい。」「いわば将来に向って進む小説の正道を歩いた作品であろうと思うが、私以外の推薦者は五人ばかりしか得られなかったことを残念に思った。作中の或る男の幻影は少しとらわれ過ぎたところがあるようだ。」 奥野忠昭 (33歳) 全 ― 0   佐江衆一 35歳 全 ― 0   阿部昭 34歳 全 ― 0   後藤明生 37歳 全 ■ 11 「いろいろな意味で問題があると思った。」「戯作者的な素質をもった作家であるのかも知れない。少々悪ふざけのようなところも見える。これが現代のリアリズムであるかどうか。そしてこういう方法が将来にどういう発展の道をもっているのか。いろいろ疑問がある。」

他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 瀧井孝作 舟橋聖一 大岡昇平 井上靖 中村光夫 川端康成 永井龍男 石川淳

瀧井孝作75歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題繊細美　総行数26　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ○ 8 「現今の学校卒業生の生活手記で、十八歳の少年にしては余りにおしゃべりだが、この饒舌に何か魅惑される、たぶらかされる面白味があった。」「構成も面白く、繊細な美しさがあった。筋のない小説らしい。」 田久保英夫 41歳 全 □ 6 「描写がリアルにハッキリして佳かった。」「しまいの学生一人で馬の屠殺は、少し唐突のようで、書き足りないが、何か智恵のない感じがした。」 直井潔 54歳 全 ◎ 5 「童話の味で、文章がいきいきして、新しい爽やかな感じで、実に佳かった。文章にこれだけの持味のある作家は、今は殆ど少なくなったが……。」 黒井千次 37歳 全 ■ 7 「これは力作だが、この作家が何か意図をもって描くのは宜しいが、何か図式を見るようで、これが、文章にもっとやわらか味、持味、実感が出てくればよいと思った。」 奥野忠昭 (33歳) 全 ― 0   佐江衆一 35歳 全 ― 0   阿部昭 34歳 全 ― 0   後藤明生 37歳 全 ― 0

他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 石川達三 舟橋聖一 大岡昇平 井上靖 中村光夫 川端康成 永井龍男 石川淳

舟橋聖一64歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題田久保を推したが　総行数42　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 □ 6 「二作授賞に私も同意した。」「書き出しから、ある病院の女医さんに生爪を剥がした指の治療をしてもらうあたりまでは快調なタッチで、わかりやすく読ませる。高校生らしい純情と不純が巧みにないまぜられている。」 田久保英夫 41歳 全 ◎ 12 「私は田久保英夫と阿部昭を念頭に置いて出席した。」「まともな力作で、殊にアメリカ軍の同じ要員である女子学生との不即不離の関係が上手に書けている。馬殺しとその運搬に関するリアリズムが、果して間違いないかどうかに疑問が残ったが、これは銓衡委員が何時間議論しても決ることではない。」「二作授賞に私も同意した。」 直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 ■ 6 「私には前作のほうが面白かった。」「そのうちにいいものが出来るだろうから、今回の「時間」を急いで採り上げるにはあたらないと私は発言した。」 奥野忠昭 (33歳) 全 ― 0   佐江衆一 35歳 全 ■ 12 「所々に上手な描写があるが、しめくくりが曖昧なのと題が内容にそぐわないのが減点で、前回の「客」よりも人気がなかった。佐江のみならず、題が奇抜すぎ、鬼面人をおびやかすていの疑問もあって、内容とチグハグなのは、ここ数年の候補作に見る一般的な傾向だ。」 阿部昭 34歳 全 △ 9 「私は田久保英夫と阿部昭を念頭に置いて出席した。」「芥川賞の所謂常連組で、（引用者中略）それなのになかなか授賞にならないのは、どこかに難点がひそんでいるからであろう。阿部君自身にも、それはよくわかっていないのだろう。」 後藤明生 37歳 全 △ 2 「授賞には程遠いが、個人的な見方をすれば、尠からず興味があった。」

他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 石川達三 瀧井孝作 大岡昇平 井上靖 中村光夫 川端康成 永井龍男 石川淳

大岡昇平60歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題庄司の「新しさ」　総行数28　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ◎ 6 「現代の典型の一つを、「猛烈」「最高」など流行語で書き表しているのに興味を惹かれました。」「この作品が「新しさ」という点で、芥川賞にふさわしいのではないか、と推薦しておきました」 田久保英夫 41歳 全 ○ 7 「朝鮮戦争時代、占領軍と日本人との間に生じた忌まわしい間隙が、二人のアルバイト学生の生活を通してよく描けています。」「描写力がしっかりしている上に、題材には沖縄問題が深刻化している今、現代的興味もあるといえます。」 直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 □ 4 「（引用者注：当選二作と「青年よ、大志をいだこう」「大いなる日」「時間」は）甲乙をつけ難い出来でした。」「現代生活を書く新しい視角が徐々に形成されつつあるような希望を抱かせます。」 奥野忠昭 (33歳) 全 ― 0   佐江衆一 35歳 全 □ 7 「（引用者注：当選二作と「青年よ、大志をいだこう」「大いなる日」「時間」は）甲乙をつけ難い出来でした。」「こんどは主題が一層単純化されていて、現代の繁栄から取り残された夫婦のあわれさがよく出ているように思いました。」 阿部昭 34歳 全 □ 5 「（引用者注：当選二作と「青年よ、大志をいだこう」「大いなる日」「時間」は）甲乙をつけ難い出来でした。」「この作品が授賞しても、私には文句はなかったところです。」 後藤明生 37歳 全 ― 0     「今期は、よい作品が多かったと思います。」

他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 石川達三 瀧井孝作 舟橋聖一 井上靖 中村光夫 川端康成 永井龍男 石川淳

井上靖62歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題佳作三篇　総行数22　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ◎ 16 「二篇（引用者注：「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「深い河」）いずれが授賞作になってもいいという気持で銓衡の席に臨んだ。」「最後に私自身は多少の不安はあったが、「赤頭巾ちゃん」にしぼった。不安というのは、作品全体から感じられる新鮮な感覚の中に、時折、汚れというか分別臭いというか、そうしたものが顔を出しているからである。」「庄司氏が未知数の面白さを持っているのに対して、田久保氏はもうできあがっている作家である。」 田久保英夫 41歳 全 □ 12 「二篇（引用者注：「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「深い河」）いずれが授賞作になってもいいという気持で銓衡の席に臨んだ。」「庄司氏が未知数の面白さを持っているのに対して、田久保氏はもうできあがっている作家である。」 直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 △ 6 「面白く読んだ。」「正面きって主題を設定して行くところなどはみごとである。みごとであると同時に、そこに危険もないわけではないが、この作家に改めてそれを言う必要はないだろう。」 奥野忠昭 (33歳) 全 ― 0   佐江衆一 35歳 全 ― 0   阿部昭 34歳 全 ― 0   後藤明生 37歳 全 ― 0

他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 石川達三 瀧井孝作 舟橋聖一 大岡昇平 中村光夫 川端康成 永井龍男 石川淳

中村光夫58歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題当選作なし　総行数27　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ■ 9 「才筆には違いありませんが、僕は最後まで興味を覚えることができませんでした。」「現代をこのような形で表現しようとする企図はたしかに独創的であっても、それはこのような饒舌を読者におしつける弁明にはならないでしょう。」 田久保英夫 41歳 全 ■ 9 「達者な小説です。達者という点では全候補作のなかでずばぬけています。しかしうますぎるせいか、読後感にどこか空虚なところがあります。「それでどうしたんだ」と読者に反問されることは、小説にとって致命傷でしょう。」 直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 ■ 7 「本格的な構成で、テーマも現代人の関心を正当にそそるものを持っていますが、それだけに作者の身構えに自信がありすぎる結果になり、おそらくそのせいで、主人公の描きかたも感傷的な類型にとどまります。」 奥野忠昭 (33歳) 全 ― 0   佐江衆一 35歳 全 ― 0   阿部昭 34歳 全 ― 0   後藤明生 37歳 全 ― 0     「今回は当選作なしというのが僕の意見です。」

他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 石川達三 瀧井孝作 舟橋聖一 大岡昇平 井上靖 川端康成 永井龍男 石川淳

川端康成70歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題明晰と沈着　総行数28　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ■ 3 「おもしろいところはあるが、むだな、つまらぬおしゃべりがくどくどと書いてあって、私は読みあぐねた。」 田久保英夫 41歳 全 ◎ 12 「ただこの一編によって、私は救われた思いをした。」「なによりも文章、表現が明晰であった。そして沈着であった。その結果、鮮明な印象を与えながら、読者の解釈を自由のまま確実にしている。」「委員会で議論になった、一人で死馬を動かせるかという疑問はあるにしても、明晰と沈着によって、確かな作品となっている。田久保氏に作家としての敬意を感じた。」 直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 ― 0   奥野忠昭 (33歳) 全 ― 0   佐江衆一 35歳 全 ― 0   阿部昭 34歳 全 ― 0   後藤明生 37歳 全 ― 0     「斎藤雅子氏の「悲しみの人魚の歌」（「早稲田文學」四月号）（引用者中略）がなぜ候補作から漏れているのか、全くふしぎである。（引用者中略）みずみずしい出発がある。それにくらべると、今回の候補作のほとんどすべては、新鮮な魅力がない。なまぬるくて、ふがいがない。あるいはくたびれている。」

他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 石川達三 瀧井孝作 舟橋聖一 大岡昇平 井上靖 中村光夫 永井龍男 石川淳

永井龍男65歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題小説技法の練達　総行数26　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 △ 10 「読み進むうち、この小説は二人以上の筆者による合作ではないかと推理したが、結末の「あとがき」に到ると、そういう読者を予想したかの感想も添えてあった。「薫」というあやつり人形は巧みに踊るが、人形使いの姿が露出する個所もあるのである。」「まことに気がきき才筆なことは確かだが、アイスクリームのように溶けて了う部分の多いことも、この作品の特徴であろう。」 田久保英夫 41歳 全 △ 4 「小説技法の練達を示した。」「（引用者注：同様に練達を示した「青年よ、大志をいだこう」に比べて）スタイルにも題材にも新鮮さを感じさせるのが授賞の対象となったものであろう。」 直井潔 54歳 全 ■ 3 「今度の候補作のうちでもっとも純粋だったが、賞の対象となるにはなにか足りないようであった。」 黒井千次 37歳 全 △ 3 「（引用者注：「穴と空」につづき）今度もまた短篇作家としての才能を見せている。」 奥野忠昭 (33歳) 全 ■ 3 「熟し切らない作品だが、色盲の描いた絵のような（それを見たことはないのだが）、一種ゆがんだ雰囲気が全篇に流れ、それが異色であった。」 佐江衆一 35歳 全 ■ 4 「小説技法の練達を示した。」「なんでも描破する筆力を持っている」 阿部昭 34歳 全 ■ 3 「今度の候補作のうちでもっとも純粋だったが、賞の対象となるにはなにか足りないようであった。」 後藤明生 37歳 全 ■ 3 「達者には違いないが、横にひろがるばかりで、何を云おうと努めているのか私には判らず仕舞であった。」

他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 石川達三 瀧井孝作 舟橋聖一 大岡昇平 井上靖 中村光夫 川端康成 石川淳

石川淳70歳×各候補作

年齢/枚数の説明 見方・注意点

題ただこのスタイルを　総行数23　（1行=26字） 候補 評価 行数 評言 庄司薫 32歳 全 ◎ 21 「車はうごかなくても、車輪がくるくるまわっているので、車がうごいているように見える、そこに「赤頭巾ちゃん気をつけて」のスタイルの面目がある、それがおもしろくないこともない。」「そういっても、スタイル一手で押しきってカンペキと申すまでには至らない、それほどお立派なものではない、」「やりそこないの部分をもふくめて、このスタイルは一つの価値を作っている。これを価値といってはあぶなっかしいというか。しかし、（引用者中略）わたしはあえてこのスタイルを推す。」 田久保英夫 41歳 全 ― 0   直井潔 54歳 全 ― 0   黒井千次 37歳 全 ― 0   奥野忠昭 (33歳) 全 ― 0   佐江衆一 35歳 全 ― 0   阿部昭 34歳 全 ― 0   後藤明生 37歳 全 ― 0	他の選考委員 三島由紀夫 丹羽文雄 石川達三 瀧井孝作 舟橋聖一 大岡昇平 井上靖 中村光夫 川端康成 永井龍男

庄司薫32歳×各選考委員　 「赤頭巾ちゃん気をつけて」 中篇 244枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 三島由紀夫 44歳 全 ◎ 17 「二作（引用者注：「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「深い河」）に賞が与えられたことは、私にとっては勿怪の幸であった。私はこの二作の間で非常に迷っていたからである。」「才気あふれる作品だと思う。」「饒舌体で書きつらねながら、女医の乳房を見るところや、教育ママに路上でつかまるところなどは、甚だ巧い。」 丹羽文雄 64歳 全 ○ 4 「面白かった。」「面白い小説のジャンルでは群を抜いていた。これはこれでよろしい。」 石川達三 64歳 全 ■ 17 「種々の疑問があって、私は推薦に躊躇した。」「甚だ饒舌的で、あり余る才気を濫用したようなところがあり、また日常的な通俗さを無二無三に叩きこんで、ユーモア大衆小説のようでもある。」 瀧井孝作 75歳 全 ○ 8 「現今の学校卒業生の生活手記で、十八歳の少年にしては余りにおしゃべりだが、この饒舌に何か魅惑される、たぶらかされる面白味があった。」「構成も面白く、繊細な美しさがあった。筋のない小説らしい。」 舟橋聖一 64歳 全 □ 6 「二作授賞に私も同意した。」「書き出しから、ある病院の女医さんに生爪を剥がした指の治療をしてもらうあたりまでは快調なタッチで、わかりやすく読ませる。高校生らしい純情と不純が巧みにないまぜられている。」 大岡昇平 60歳 全 ◎ 6 「現代の典型の一つを、「猛烈」「最高」など流行語で書き表しているのに興味を惹かれました。」「この作品が「新しさ」という点で、芥川賞にふさわしいのではないか、と推薦しておきました」 井上靖 62歳 全 ◎ 16 「二篇（引用者注：「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「深い河」）いずれが授賞作になってもいいという気持で銓衡の席に臨んだ。」「最後に私自身は多少の不安はあったが、「赤頭巾ちゃん」にしぼった。不安というのは、作品全体から感じられる新鮮な感覚の中に、時折、汚れというか分別臭いというか、そうしたものが顔を出しているからである。」「庄司氏が未知数の面白さを持っているのに対して、田久保氏はもうできあがっている作家である。」 中村光夫 58歳 全 ■ 9 「才筆には違いありませんが、僕は最後まで興味を覚えることができませんでした。」「現代をこのような形で表現しようとする企図はたしかに独創的であっても、それはこのような饒舌を読者におしつける弁明にはならないでしょう。」 川端康成 70歳 全 ■ 3 「おもしろいところはあるが、むだな、つまらぬおしゃべりがくどくどと書いてあって、私は読みあぐねた。」 永井龍男 65歳 全 △ 10 「読み進むうち、この小説は二人以上の筆者による合作ではないかと推理したが、結末の「あとがき」に到ると、そういう読者を予想したかの感想も添えてあった。「薫」というあやつり人形は巧みに踊るが、人形使いの姿が露出する個所もあるのである。」「まことに気がきき才筆なことは確かだが、アイスクリームのように溶けて了う部分の多いことも、この作品の特徴であろう。」 石川淳 70歳 全 ◎ 21 「車はうごかなくても、車輪がくるくるまわっているので、車がうごいているように見える、そこに「赤頭巾ちゃん気をつけて」のスタイルの面目がある、それがおもしろくないこともない。」「そういっても、スタイル一手で押しきってカンペキと申すまでには至らない、それほどお立派なものではない、」「やりそこないの部分をもふくめて、このスタイルは一つの価値を作っている。これを価値といってはあぶなっかしいというか。しかし、（引用者中略）わたしはあえてこのスタイルを推す。」

他の候補作 田久保英夫 「深い河」 直井潔 「歓喜」 黒井千次 「時間」 奥野忠昭 「煙へ飛翔」 佐江衆一 「青年よ、大志をいだこう」 阿部昭 「大いなる日」 後藤明生 「笑い地獄」

田久保英夫41歳×各選考委員　 「深い河」 短篇 123枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 三島由紀夫 44歳 全 ◎ 14 「二作（引用者注：「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「深い河」）に賞が与えられたことは、私にとっては勿怪の幸であった。私はこの二作の間で非常に迷っていたからである。」「私は規矩のキチンとした新しい反戦小説として読んだ。とりわけ感心したのは、ラストの数行」「話の運びも、あざやかで簡潔な自然描写も、この作品の的確さをよく示している。」 丹羽文雄 64歳 全 ○ 6 「うまい小説であった。」「悪戦苦闘の末にやっと（引用者注：馬の）始末が出来たのなら悪戦苦闘ぶりをもっと書いてもらいたかった。あれだけでは疑いを誘うだけである。が、この小説のうまさは際立っている。」 石川達三 64歳 全 △ 3 「疑問の点がいくつか有って、私は積極的には推さなかった。実直な描写は買うが、その描写が抜け出たもう一つ新しいものがほしいと思った。」 瀧井孝作 75歳 全 □ 6 「描写がリアルにハッキリして佳かった。」「しまいの学生一人で馬の屠殺は、少し唐突のようで、書き足りないが、何か智恵のない感じがした。」 舟橋聖一 64歳 全 ◎ 12 「私は田久保英夫と阿部昭を念頭に置いて出席した。」「まともな力作で、殊にアメリカ軍の同じ要員である女子学生との不即不離の関係が上手に書けている。馬殺しとその運搬に関するリアリズムが、果して間違いないかどうかに疑問が残ったが、これは銓衡委員が何時間議論しても決ることではない。」「二作授賞に私も同意した。」 大岡昇平 60歳 全 ○ 7 「朝鮮戦争時代、占領軍と日本人との間に生じた忌まわしい間隙が、二人のアルバイト学生の生活を通してよく描けています。」「描写力がしっかりしている上に、題材には沖縄問題が深刻化している今、現代的興味もあるといえます。」 井上靖 62歳 全 □ 12 「二篇（引用者注：「赤頭巾ちゃん気をつけて」と「深い河」）いずれが授賞作になってもいいという気持で銓衡の席に臨んだ。」「庄司氏が未知数の面白さを持っているのに対して、田久保氏はもうできあがっている作家である。」 中村光夫 58歳 全 ■ 9 「達者な小説です。達者という点では全候補作のなかでずばぬけています。しかしうますぎるせいか、読後感にどこか空虚なところがあります。「それでどうしたんだ」と読者に反問されることは、小説にとって致命傷でしょう。」 川端康成 70歳 全 ◎ 12 「ただこの一編によって、私は救われた思いをした。」「なによりも文章、表現が明晰であった。そして沈着であった。その結果、鮮明な印象を与えながら、読者の解釈を自由のまま確実にしている。」「委員会で議論になった、一人で死馬を動かせるかという疑問はあるにしても、明晰と沈着によって、確かな作品となっている。田久保氏に作家としての敬意を感じた。」 永井龍男 65歳 全 △ 4 「小説技法の練達を示した。」「（引用者注：同様に練達を示した「青年よ、大志をいだこう」に比べて）スタイルにも題材にも新鮮さを感じさせるのが授賞の対象となったものであろう。」 石川淳 70歳 全 ― 0

他の候補作 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」 直井潔 「歓喜」 黒井千次 「時間」 奥野忠昭 「煙へ飛翔」 佐江衆一 「青年よ、大志をいだこう」 阿部昭 「大いなる日」 後藤明生 「笑い地獄」

直井潔54歳×各選考委員　 「歓喜」 短篇 36枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 三島由紀夫 44歳 全 ― 0   丹羽文雄 64歳 全 ― 0   石川達三 64歳 全 ― 0   瀧井孝作 75歳 全 ◎ 5 「童話の味で、文章がいきいきして、新しい爽やかな感じで、実に佳かった。文章にこれだけの持味のある作家は、今は殆ど少なくなったが……。」 舟橋聖一 64歳 全 ― 0   大岡昇平 60歳 全 ― 0   井上靖 62歳 全 ― 0   中村光夫 58歳 全 ― 0   川端康成 70歳 全 ― 0   永井龍男 65歳 全 ■ 3 「今度の候補作のうちでもっとも純粋だったが、賞の対象となるにはなにか足りないようであった。」 石川淳 70歳 全 ― 0	他の候補作 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」 田久保英夫 「深い河」 黒井千次 「時間」 奥野忠昭 「煙へ飛翔」 佐江衆一 「青年よ、大志をいだこう」 阿部昭 「大いなる日」 後藤明生 「笑い地獄」

黒井千次37歳×各選考委員　 「時間」 短篇 122枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 三島由紀夫 44歳 全 ― 0   丹羽文雄 64歳 全 ― 0   石川達三 64歳 全 ◎ 11 「私は（引用者中略）当選作と考えていた。創作態度は堅実であり、作品として姿勢は正しい。」「いわば将来に向って進む小説の正道を歩いた作品であろうと思うが、私以外の推薦者は五人ばかりしか得られなかったことを残念に思った。作中の或る男の幻影は少しとらわれ過ぎたところがあるようだ。」 瀧井孝作 75歳 全 ■ 7 「これは力作だが、この作家が何か意図をもって描くのは宜しいが、何か図式を見るようで、これが、文章にもっとやわらか味、持味、実感が出てくればよいと思った。」 舟橋聖一 64歳 全 ■ 6 「私には前作のほうが面白かった。」「そのうちにいいものが出来るだろうから、今回の「時間」を急いで採り上げるにはあたらないと私は発言した。」 大岡昇平 60歳 全 □ 4 「（引用者注：当選二作と「青年よ、大志をいだこう」「大いなる日」「時間」は）甲乙をつけ難い出来でした。」「現代生活を書く新しい視角が徐々に形成されつつあるような希望を抱かせます。」 井上靖 62歳 全 △ 6 「面白く読んだ。」「正面きって主題を設定して行くところなどはみごとである。みごとであると同時に、そこに危険もないわけではないが、この作家に改めてそれを言う必要はないだろう。」 中村光夫 58歳 全 ■ 7 「本格的な構成で、テーマも現代人の関心を正当にそそるものを持っていますが、それだけに作者の身構えに自信がありすぎる結果になり、おそらくそのせいで、主人公の描きかたも感傷的な類型にとどまります。」 川端康成 70歳 全 ― 0   永井龍男 65歳 全 △ 3 「（引用者注：「穴と空」につづき）今度もまた短篇作家としての才能を見せている。」 石川淳 70歳 全 ― 0

他の候補作 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」 田久保英夫 「深い河」 直井潔 「歓喜」 奥野忠昭 「煙へ飛翔」 佐江衆一 「青年よ、大志をいだこう」 阿部昭 「大いなる日」 後藤明生 「笑い地獄」

奥野忠昭(33歳)×各選考委員　 「煙へ飛翔」 短篇 77枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 三島由紀夫 44歳 全 △ 2 「描かれない不在の子供の実在感も印象に残った。」 丹羽文雄 64歳 全 △ 6 「奇抜な着想で興味をもったが、作者にも書きたいことがよくわかっていなかったのではないか。」「生徒が一人もいない教室という着想はぎょっとさせたが、私は生れが四日市なので四日市公害を連想したものである。」 石川達三 64歳 全 ― 0   瀧井孝作 75歳 全 ― 0   舟橋聖一 64歳 全 ― 0   大岡昇平 60歳 全 ― 0   井上靖 62歳 全 ― 0   中村光夫 58歳 全 ― 0   川端康成 70歳 全 ― 0   永井龍男 65歳 全 ■ 3 「熟し切らない作品だが、色盲の描いた絵のような（それを見たことはないのだが）、一種ゆがんだ雰囲気が全篇に流れ、それが異色であった。」 石川淳 70歳 全 ― 0	他の候補作 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」 田久保英夫 「深い河」 直井潔 「歓喜」 黒井千次 「時間」 佐江衆一 「青年よ、大志をいだこう」 阿部昭 「大いなる日」 後藤明生 「笑い地獄」

佐江衆一35歳×各選考委員　 「青年よ、大志をいだこう」 短篇 112枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 三島由紀夫 44歳 全 ― 0   丹羽文雄 64歳 全 ― 0   石川達三 64歳 全 ― 0   瀧井孝作 75歳 全 ― 0   舟橋聖一 64歳 全 ■ 12 「所々に上手な描写があるが、しめくくりが曖昧なのと題が内容にそぐわないのが減点で、前回の「客」よりも人気がなかった。佐江のみならず、題が奇抜すぎ、鬼面人をおびやかすていの疑問もあって、内容とチグハグなのは、ここ数年の候補作に見る一般的な傾向だ。」 大岡昇平 60歳 全 □ 7 「（引用者注：当選二作と「青年よ、大志をいだこう」「大いなる日」「時間」は）甲乙をつけ難い出来でした。」「こんどは主題が一層単純化されていて、現代の繁栄から取り残された夫婦のあわれさがよく出ているように思いました。」 井上靖 62歳 全 ― 0   中村光夫 58歳 全 ― 0   川端康成 70歳 全 ― 0   永井龍男 65歳 全 ■ 4 「小説技法の練達を示した。」「なんでも描破する筆力を持っている」 石川淳 70歳 全 ― 0

他の候補作 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」 田久保英夫 「深い河」 直井潔 「歓喜」 黒井千次 「時間」 奥野忠昭 「煙へ飛翔」 阿部昭 「大いなる日」 後藤明生 「笑い地獄」

阿部昭34歳×各選考委員　 「大いなる日」 短篇 44枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 三島由紀夫 44歳 全 ― 0   丹羽文雄 64歳 全 ― 0   石川達三 64歳 全 ― 0   瀧井孝作 75歳 全 ― 0   舟橋聖一 64歳 全 △ 9 「私は田久保英夫と阿部昭を念頭に置いて出席した。」「芥川賞の所謂常連組で、（引用者中略）それなのになかなか授賞にならないのは、どこかに難点がひそんでいるからであろう。阿部君自身にも、それはよくわかっていないのだろう。」 大岡昇平 60歳 全 □ 5 「（引用者注：当選二作と「青年よ、大志をいだこう」「大いなる日」「時間」は）甲乙をつけ難い出来でした。」「この作品が授賞しても、私には文句はなかったところです。」 井上靖 62歳 全 ― 0   中村光夫 58歳 全 ― 0   川端康成 70歳 全 ― 0   永井龍男 65歳 全 ■ 3 「今度の候補作のうちでもっとも純粋だったが、賞の対象となるにはなにか足りないようであった。」 石川淳 70歳 全 ― 0

他の候補作 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」 田久保英夫 「深い河」 直井潔 「歓喜」 黒井千次 「時間」 奥野忠昭 「煙へ飛翔」 佐江衆一 「青年よ、大志をいだこう」 後藤明生 「笑い地獄」

後藤明生37歳×各選考委員　 「笑い地獄」 短篇 106枚

年齢/枚数の説明 見方・注意点

選考委員 評価 行数 評言 三島由紀夫 44歳 全 △ 3 「ゴースト・ライターの幽霊から怨恨への転化（引用者中略）も印象に残った。」 丹羽文雄 64歳 全 ■ 4 「前回の作品にくらべるとごたごたしている。笑いが作者が想定しているようにはこちらに響いて来ないのだ。」 石川達三 64歳 全 ■ 11 「いろいろな意味で問題があると思った。」「戯作者的な素質をもった作家であるのかも知れない。少々悪ふざけのようなところも見える。これが現代のリアリズムであるかどうか。そしてこういう方法が将来にどういう発展の道をもっているのか。いろいろ疑問がある。」 瀧井孝作 75歳 全 ― 0   舟橋聖一 64歳 全 △ 2 「授賞には程遠いが、個人的な見方をすれば、尠からず興味があった。」 大岡昇平 60歳 全 ― 0   井上靖 62歳 全 ― 0   中村光夫 58歳 全 ― 0   川端康成 70歳 全 ― 0   永井龍男 65歳 全 ■ 3 「達者には違いないが、横にひろがるばかりで、何を云おうと努めているのか私には判らず仕舞であった。」 石川淳 70歳 全 ― 0

他の候補作 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」 田久保英夫 「深い河」 直井潔 「歓喜」 黒井千次 「時間」 奥野忠昭 「煙へ飛翔」 佐江衆一 「青年よ、大志をいだこう」 阿部昭 「大いなる日」